シーリング工事とは何ですか?マンションの大規模修繕工事
2024/12/09
シーリング工事について
建物には必ずシーリング材が使われています。
サイディングボードはもちろん、ALC造、鉄筋コンクリート造の外壁にも使われています。
シーリング工事とは、接着性があるゴムのようなシーリング材で、目地の隙間を塞ぐ工事のことです。外壁目地にシーリング工事を施すことで、外壁材の内側に雨水が入りづらくなります。
雨漏りを防ぐことで外壁部材や下地が劣化しにくくなり、外壁の寿命を伸ばすことができます。
シーリング材の役割は、もちろん。外部からの雨水の侵入を防ぐことが一番の役割ですが、地震や風などの揺れで、外壁自体にひび割れが発生しないように、動きを緩衝させる大きな役割もあります。
またサッシ廻りにも外壁との隙間を埋めるため、シーリング材が打たれています。
シーリングは、時々コーキングと呼ばれることがあり、2つの言葉に明確な違いはありません。『コーキング』と『シーリング』は建築・塗装業界では、同じものとして使用されており、本来は違うもののようですが、現在は『シーリング』という表現が主流となっております。
昔気質の職人さんの中には、今でも『コーキング』と言われる方もおられます。
充填されたばかりのシーリング材は柔軟性・伸縮性があり、目地の隙間を完全に埋めることが可能です。
しかし、温度変化・紫外線・経年劣化が原因となって、シーリングの表面に劣化症状が起こります。シーリング材の劣化症状は主に表面のひび割れ、中央から破断する切れ、接着面の剥がれがあります。
そのため劣化した部分から雨漏り等の症状が起きる可能性があります。
シーリングの劣化が目に見える状態まで進んでいると、外壁全体に影響が出ている可能性があり、工事費用総額は高くなる傾向があります。
ただし、工事費用についてしっかりと根拠を示して見積りを行える業者であれば、適正価格でシーリング工事を行ってもらえます。
また、2階以上の工事の場合、足場が必要となります。そのためシーリング工事と外壁塗装をセットで依頼することにより、足場費用のコストカットができます。
また足場を建てるついでに屋上やベランダの防水工事なども一緒に行うことが多いです。
シーリング材の種類
シーリング材には1液と2液の2種類のものがあります。簡単にいうと、すでに出来上がっていてすぐに使用できるのが1液で、2液はシーリング材に硬化剤を自分で混ぜ攪拌することで使えるようになる材料です。
使い勝手が良いのは一液です。特に一般の方が補修などで使用する場合には1液がいいと思います。2液と比べて混ぜる手間が
ない分、費用は高くなりますが使い勝手もよく、使用して材料が残ってしまってもしっかり密封しておけば少し日にちが空いても再度使用できます。
2液の場合は硬化剤を入れてしまっているので、どんどん固くなりその日のうちに使用しないと固まって次の日には使用できなくなってしまいます。
何百メートルもあるコーキング材に施工する場合は、1液に比べて2液の方が費用も安く一度に大量のコーキング材をつくれるので経済的です。
皆さんが普段補修するのにお勧めしたいのは1液のシーリング材です。後は下記の中から用途によって種類を選んでください!!
シリコン系
耐候性・耐水性・耐熱性良好で塗装しなくても耐久性があり、キッチンや浴槽廻りの補修など水廻りに最適です。
塗料が密着しないため上から塗装ができず、主に仕上げに使用されます。ひび割れなどの補修では使用しない方がいいと思います。
変性シリコン系
耐候性がよく、硬化後はシリコン系と違い上から塗装が可能な万能タイプです。
外壁に使われているサイディングの多くは、変成シリコンによりシーリングされています。
変成シリコンは上から塗装可能で耐候性も高く、利用用途が幅広いのが特徴です。
ただしシリコンよりも値段が高めで、施工時にはプライマーが必要です。
ポリウレタン系
耐候性がよくなく、紫外線に弱いため、屋外での使用の場合は上から塗装が必須です。
硬化するとゴムのような弾力性と密着性が高いために耐久性が良く、下地処理やALC板の目地充填、コンクリートのひび割れ補修などにも使用できます。
世間一般では以上3種類のシーリング材がメインで活用されております。
いろんな目的や上から塗装をする可能性がある場合は変成シリコンをおすすめします。
シーリング材は2タイプ
シーリング材には「乾燥硬化型」と「反応硬化型」といった2タイプがあることも、覚えておくと良いでしょう。
乾燥硬化型(1成分形)
専用ガンに装填してそのまま使えるタイプなので、手間がかかりません。
簡単な補修の際に使われたりします。
反応硬化型(2成分形)
主剤と硬化剤を混ぜ合わせてから使うタイプです。
混ぜる際は専用の攪拌機(かくはんき)が必要です。
硬化速度のコントロールは可能ですが、上手く使わないと硬化不良が起こります。
施工業者の経験や知識が物を言います。
シーリング工事の流れ(手順)
シーリング工事は以下のような流れで行なわれます。
今回は既存のシーリングを新しいものに交換する「打ち替え工事」の方法についてご紹介します。
①劣化したシーリング材の除去
まずは劣化した既存のシーリング材を剥がします。
この作業を丁寧に行なうことにより、新しいシーリング材の耐久性が高まります。
②バックアップ材の取付け
シーリング材が外壁と触れないようにするために、シーリングを施す前にバックアップ材を目地に詰めます。
この作業を行なわないと、外壁と外壁パネルの隙間にシーリング材が入り込んでしまいます。
③養生
シーリングを施す箇所の周囲をマスキングテープで保護します。
これで、シーリング材がはみ出しても周囲を汚すことはありません。
④プライマーの塗布
シーリング材を接着しやすくするためにプライマー(接着剤)を塗ります。
⑤シーリング材の充填
プライマーが乾燥したら、いよいよシーリング材を充填していきます。
「コーキングガン」と呼ばれる器具を使って充填します。
コーキングガンを上手く使いこなすには、ある程度の経験が必要ですよ。
⑥仕上げ
充填後はヘラを使って表面をならし、密着性を高めます。
最後にマスキングテープをはがして完了です。
シーリング工事の費用
既存のシーリングを撤去してから充填する「打ち替え」と、既存のシーリングの上からシーリング材を足していく「打ち増し」とでは費用が異なります。
打ち替えの場合は1㎡あたり700~1,200円、打ち増しの場合は1㎡あたり500~900円ほどが相場です。
ただし高所での作業には仮設足場の設置が必要なので、その分の費用も追加されます。
仮設足場の設置には、1㎡あたり700~900円ほどの費用がかかりますよ。
シーリング工事の工期
シーリング工事が始まってから完了するまでに、2~5日はかかるでしょう。
シーリングを完全乾燥させるまでの時間も必要なので、このくらいの日数になるのです。
ちなみに施工面積が広い場合や、天候や温度などが工事に適さず延期する場合は、さらに工期が長くなります。
シーリング工事の注意点
シーリング工事は、次のことに注意して行なう必要があります。
気温、湿度、天候
気温や湿度、天候の条件が整っていないと、シーリング工事の品質が下がりがちです。
気温が15~25%、湿度が80%未満、曇り、無風、といった状態での施工が良いと言われています。
施工に適していない時に、無理に工事を行なおうとする施工業者も、まれにいます。
こうした自体を避けるには、あらかじめ工事担当者と雨天時や低温時にはどうするかを話し合っておくと良いでしょう。
適切なシーリング材の使用
施工箇所に合わせて、適切なシーリング材を選ぶことも大切です。
また使用期限切れのシーリング材を使うと耐久性が落ちがちです。
工事の前に施工業者のシーリング材が適切なものかどうか、確認しておくと安心ですよ。
施工業者の腕
シーリング工事のクオリティには、もちろん施工業者の腕が関わってきます。
施工経験が豊富な業者だと、上手にシーリングを充填してくれるでしょう。
シーリング工事まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめていきますよ。
- シーリング工事とは、外壁材同士の隙間を埋める工事のこと
- シーリング材にはウレタンやシリコンなど種類がある
- 「乾燥硬化型」「反応硬化型」といったタイプがある
- 打ち替え工事は1㎡あたり700~1,200円、打ち増し工事は1㎡あたり500~900円
- シーリングの充填費用以外に、足場の設置費用も必要
- 工事の際は気温や湿度、天候、シーリング材の使用期限、業者の施工実績などにも注意する
シーリング工事は、建物を風雨や振動から守るためには欠かせません。
シーリング工事を検討中のかたは、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。