防水塗料の種類|外壁塗装や屋上・屋根、ベランダの防水におすすめなのは?
2024/11/27
「建物の防水対策に、どんな塗料を選べばいいの?」
「外壁と屋根で使う塗料は同じもので大丈夫?」
「おすすめの防水塗料とは?」
「塗り替え時期の目安は?」
防水塗料の選択に悩まれている方も多いのではないでしょうか。
建物を長く保護するためには、場所や用途に応じた適切な防水塗料の選択が重要です。ウレタン系やトップコート付きなど、様々な種類がある中から、外壁塗装や屋根塗装、ベランダなど、それぞれの部位に適した塗料を使用することで、より確実な防水効果を得ることができます。
本記事では、防水塗料の種類や特徴から、塗り替えのタイミングまで、専門家の視点で詳しく解説します。建物に最適な防水塗料を選び、適切な防水工事を実施するための参考として、ぜひご活用ください。
防水塗料とは
防水塗料とは、建物や構造物の表面に塗ることで水の浸入を防ぎ、防水性能を高めるための特殊な塗料のことです。
防水塗料の特徴は、その優れた防水性能にあります。塗膜が建物表面を覆うことで、雨水や湿気が内部に浸入するのを防ぎます。この防水性は、建物の耐久性や安全性を確保するために欠かせない要素です。また、防水塗料は柔軟性にも優れており、建物が地震や温度変化によって微妙に動く場合でも、塗膜がひび割れに追従して保護機能を維持します。
さらに、防水塗料は耐久性が高く、紫外線や風雨による劣化から建物を守ります。
一部の塗料には、耐候性が強化された成分が含まれており、長期間にわたり効果を発揮します。また、防水塗料はコンクリートやモルタル、金属、木材など、さまざまな素材に対応できる適応性も持っています。このため、屋上、外壁、ベランダなど多様な場所で使用されます。
主に屋上や外壁、ベランダ、バルコニー、外廊下など、雨水や湿気の影響を受けやすい部分に使用されます。防水塗料を施すことで、漏水や構造物の劣化を防ぎ、建物の耐久性を向上させる効果があります。
防水塗料には「弾性塗料」と「非弾性塗料」の2種類がある
防水塗料には、大きく分けて「弾性塗料」と「非弾性塗料」の2種類があります。
外壁用防水塗料の種類「弾性塗料」
弾性塗料は、外壁塗装に用いられる防水塗料の一種です。
一般的な塗料よりも伸縮性に優れており、建物の動きやひび割れにも柔軟に対応できます。
防水性、耐久性、遮熱性に優れているため、外壁塗装だけでなく、屋上やベランダなどにも使用されます。弾性塗料は、防水性や耐久性に優れた塗料を探している方に適しています。
非弾性塗料
非弾性塗料は、伸は弾性塗料に比べて硬化性が高く、建物の動きにはあまり追従しません。
ただし、耐摩耗性や耐久性に優れており、ひび割れが少ない場所や、平滑な屋上、防水シートの補強などに使用されることが多いです。また、非弾性塗料は特定の用途で非常に安定した性能を発揮し、施工後のメンテナンスが容易な場合もあります。
コンクリートやモルタルなどの下地に適しています。
弾性塗料と非防水塗料の違い
弾性塗料と非防水塗料は、どちらも建物を保護するための塗料ですが、その特性は大きく異なります。
弾性塗料は伸縮性が高く、建物の動きや振動に追従して防水性を維持できます。
一方、非防水塗料は伸縮性に乏しく、建物の動きに追従できないため、防水性はありません。
そのため、弾性塗料は外壁塗装や屋上・屋根、ベランダの防水に適しており、非防水塗料は屋内や水のかからない場所での装飾や保護を目的として使用されます。
項目 | 弾性塗料 | 非防水塗料 |
---|---|---|
特徴 |
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主な用途 |
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適した使用場所 |
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弾性塗料を使用する際の注意点
弾性塗料は、塗料の種類によって仕上げ方法と工程数が異なります。
仕上げ方法
弾性塗料は、塗料の種類によって仕上げ方法と工程数が異なります。
仕上げ方法 | 工程 | 特徴 |
---|---|---|
単層弾性仕上げ |
下塗り1回 上塗り2〜3回 |
一般的な戸建住宅でよく使用される |
複層弾性仕上げ |
下塗り1回 中塗り2回 上塗り2〜3回 |
中塗りと上塗りに異なる塗料を使用する。 工場の屋上防水など、防水工事を必要とする場合に採用されることが多い。 |
微弾性仕上げ |
下塗り(微弾性フィラー)1回 上塗り2回 |
伸縮性のある下塗り材「微弾性フィラー」を使用する。 |
塗装費用の変動について
弾性塗料を使った塗装費用は、一般的な塗料と比べて大きな差はありません。塗料代に若干の変動がある程度です。
150㎡の住宅の外壁塗装の場合、一般的なシリコン塗料で塗装すると約100万円かかるのに対し、弾性塗料に変更すると塗料代だけで約10万〜30万円以上の差が出ます。
単層弾性仕上げと複層弾性仕上げでは、工程数が増えるため、塗料代、施工費、人件費などが異なり、費用が大きく変わります。複層弾性仕上げの場合、単層弾性仕上げの2~3倍以上の費用がかかります。
弾性塗料に適した下地と適さない下地がある
弾性塗料は、下地の状態によって性能を発揮できない場合があります。
モルタル
ひび割れが発生しやすいモルタルには、弾性塗料が適しています。ひび割れに塗膜が追随し、ひび割れを表面に出さない効果が期待できます。
窯業系サイディング
窯業系サイディングに弾性塗料を塗布する場合は注意が必要です。
蓄熱性が高いため、塗膜が伸縮し、「膨れ」や「剥がれ」が発生する可能性があります。サイディングボードが水分を含んでいる場合も同様です。
防水塗料の種類と特徴
主な防水塗料の種類としては、ウレタン、アクリル、シリコン、フッ素の4種類の塗料が一般的に使用されております。
アクリル塗料
塗料の主成分がアクリル樹脂の塗料のことをいいます。
軽量なので重ね塗りしやすく、また光沢があり発色しやすいため、調理家電や自動車の上塗りでよく使用されています。
最も安価な塗料ですが、耐用年数が3〜8年程度と短く、すぐに塗り直しのメンテナンスが必要になるため、最近では外壁に採用されるケースは多くありません。
ウレタン塗料
主成分がウレタン樹脂であり、柔らかい素材なので密着性に優れています。
ゴルフボールの塗装にも使われるほど細かい箇所や曲面にも対応でき、複雑な形状の外壁にも最適です。
またモルタル・鉄・アルミ・コンクリートの外壁とも相性が良く、弾力がありゴムのように伸縮する製品もあるので、木材にも塗装可能です。
剥がれにくく硬度があり、耐用年数は5〜10年です。独特の光沢感があるタイプが多いので、仕上がりが気になる方は避けたほうが良いかもしれません。
シリコン塗料
主成分がシリコン樹脂でできており、総合的に住宅保存にかかるコストを大きく削減できると言われるほど、非常にコストパフォーマンス性の高い塗料です。
「塗料選びに迷ったら、シリコンが良い」と勧める塗装業者も多く見られます。弊社も基本的にはシリコン塗料を使用しております。
耐久性・耐水性・費用などのバランスが良く、耐用年数は約7〜15年です。
透湿性に富んでいるため結露が発生しにくいことも、人気の理由の一つです。
フッ素塗料
フッ素樹脂を使っており、耐熱性・耐寒性が高いため、あらゆる気候に対応できる上、耐用年数も12〜20年と非常に長いのが特徴です。
費用が高いので、一般住宅では、外壁よりも施工面積の狭い屋根にのみ採用されるパターンが多いです。
雪が滑り落ちやすいので、積雪地帯の屋根の塗装でも親しまれています。
酸性雨や紫外線に強く、汚れが付着しても雨で流れ落ちるため、長い期間メンテナンスをしないで済むことから、陸橋や鉄塔、高層ビルなどの塗装でも好まれています。
塗料を選ぶ際は、予算、住宅環境や耐候性などを考慮して、機能に優れた塗料を選びましょう。
防水塗料(防水性の高い塗料)・低汚染塗料・遮熱塗料・光触媒塗料・弾性塗料など機能性からあった塗料を選びましょう。
防水塗料の塗り替え時期と注意点
防水塗料の塗り替え時期の目安は約10~15年ですが、建物の状態や使用環境によって異なります。以下のような劣化症状が見られる場合は、早めに塗り替えを検討する必要があります。
- チョーキング現象:塗膜表面を触ると白い粉が付く。
- クラック(ひび割れ):塗膜表面にひび割れが生じる。
- 膨れ・剥離:塗膜が膨れたり、剥がれ落ちたりする。
- 色褪せ:塗膜の色が褪せてくる。
防水塗料の塗り替え時期を判断するには、目視による確認や専門業者による調査などが有効です。
目視による確認では、上記のような劣化症状がないかを確認します。専門業者による調査では、劣化状況を調査してもらいます。
防水塗料塗り替え時の注意点
- 時期:雨の少ない時期に塗り替えを行うことが重要です。
- 下地処理:塗り替え前に、古い塗膜や汚れをしっかりと除去する必要があります。
- 塗料選び:建物の素材や使用環境に適した塗料を選択する必要があります。
防水塗料の塗り替えは、専門業者に依頼することが望ましいです。業者選びは、実績やアフターサービスなどを考慮して慎重に行いましょう。
まとめ
防水塗料は、建物を雨水や湿気から守る重要な役割を果たします。大きく分けて弾性塗料と非弾性塗料があり、それぞれの特性に応じた使い分けが必要です。
主な防水塗料の種類には、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素の4種類があり、それぞれに特徴があります。アクリルは最も安価ですが耐用年数が短く、ウレタンは密着性に優れ、シリコンは総合的なバランスが良く、フッ素は最も耐久性が高いという特徴があります。
塗り替え時期の目安は10~15年程度ですが、チョーキング現象やクラック、膨れ、色褪せなどの劣化症状が見られる場合は、早めの対応が必要です。施工時は適切な下地処理と、建物の状況に応じた塗料選択が重要で、専門業者による適切な施工が求められます。