マンションの大規模修繕工事における鉄部塗装のポイントとは?
2024/05/20
マンションは多くの方が住まう場所であり、安全かつ快適でなければなりません。
しかし、建物は雨や風などの影響を直接受けてしまうため、時の経過とともに劣化が進みます。
劣化が進むと、雨漏りや居住者にケガや健康への被害を生じさせてしまうこともあるでしょう。
経年による劣化を補修して安全で快適な場所にするためにも、定期的に行う大規模修繕は非常に重要です。
マンションにおける大規模修繕工事では、屋上の防水工事・外壁の塗装などのほか、鉄部塗装も含まれます。
鉄部塗装という言葉は、日常において耳にする機会がない方も多いです。
そのため「どのような内容であるのか」「鉄部はどの部分を指すのだろう」と、疑問を持つ方もいらっしゃいます。
今回はマンションの大規模修繕工事における鉄部塗装の詳細をはじめ、必要性や工事の流れなどについて紹介します。
大規模修繕において鉄部塗装をお考えの際は、参考としてぜひご覧ください。
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マンションの大規模修繕とは
マンションにおける大規模修繕とは、経年による建物の劣化や設備を修繕することを意味します。
大規模修繕は一度行ったら終わりというものではなく、約12〜18年に一回というペースで定期的に行われるものです。
足場を組むような大掛かりな工事が、長期にわたって行われます。
そのため多くの費用も掛かり、居住している方へ事前の連絡も必要です。
具体的な工事の内容としては、下記のものが挙げられます。
・屋根や屋上における防水のための補修や修繕
・外壁の補修や塗装
・建具の点検や調整
・耐用年数を過ぎた設備の取替え
・給排水管の取替え
・痛んだ金物類の取替え
大規模修繕では、行う回数によって工事の内容が変わります。
1回目では修繕の必要や設備に問題がない場所でも、2回目・3回目には補修や修繕を行う部分が広がっている場合もあります。
また費用に関しても、1回目に比べて2回目・3回目では高額になる傾向があります。
スムーズな大規模修繕工事を行うためにも、事前に計画をしっかりと考えておきましょう。
大規模修繕において、なぜ鉄部塗装が必要?
マンションにおける鉄部とは、エレベーター・メーターボックス・玄関扉・手すりなどを指します。
いずれの箇所も、日常において使用頻度の高い場所です。
下記では、鉄部塗装が必要な理由について解説します。
機能性を維持するため
鉄部は鉄でできており、サビが生じやすい部分です。
サビが生じてしまうと、扉が開かなくなったり腐食でもろくなったりと、機能に問題が生じます。
美観を維持するため
鉄部は目につきやすく、建物の印象を左右します。
そのため鉄部がさびてしまうと、ネガティブなイメージが定着してしまうでしょう。
美観を維持するためには、鉄部の塗装が欠かせません。
雨漏りを防ぐため
屋根材やひさしなどが鉄で作られている場合、サビが生じて腐食することがあります。
腐食が進むと、雨漏りを生じさせることもあるでしょう。
雨漏りは建物の躯体(くたい)を劣化させるほか、居住者の健康被害につながることもあります。
居住者の生活環境や建物を守るためには、鉄部の塗装が必要です。
マンションの鉄部の劣化を放置することで生じるリスクとは
「工事のタイミングが合わない」「多くの費用が掛かる」といった理由で、鉄部の劣化を放置していませんか。
鉄部の劣化を放置してしまうと、さまざまなリスクが生じます。
生じるさまざまなリスクとしては、下記のものが挙げられます。
メンテナンスが行えなくなる
鉄部の劣化が生じた際、早期であれば修繕によって対処できます。
しかし、生じた劣化を長期にわたって放置してしまうと、メンテナンスが行えなくなるでしょう。
メンテナンスが行えないと、鉄部を部分的または全面的に取り換えなくてはなりません。
その場合、修繕以上の費用が掛かってしまいます。
費用を抑えるためには劣化を放置せず、早期に対処することが大切です。
倒壊や破損
鉄部にサビが生じると、時の経過とともに腐食がどんどん進みます。
腐食が進むと、鉄部がボロボロと崩れたり指で押すと曲がったりすることもあるでしょう。
その状態が続くと、倒壊や破損してしまうこともあります。
倒壊や破損してしまうと鉄部が機能を果たせなくなり、居住者にとっても非常に危険です。
安全性を維持しながら鉄部の持つ機能性をしっかりと果たすためには、早期に鉄部の劣化へ対処する必要があります。
鉄部塗装に使用する塗料の特徴
鉄部塗装では、場所や用途に応じてさまざまな塗料を使用します。
塗料にはそれぞれ特徴があるため、施工する前に知っておくことが大切です。
特徴としては、下記のものが挙げられます。
アクリル塗料|耐用年数5年〜7年
塗料の中でも、最も安価な塗料がアクリル塗料です。
しかし、耐久性が低くツヤ落ちも早いため、鉄部の塗装ではあまり使用されません。
ウレタン塗料|耐用年数8年〜10年
ウレタン塗料は、アクリル塗料よりも耐候性や耐久性の高い点が特徴です。
密着性が高くて軟らかいため、雨どいをはじめとする細かい部分の塗装に使われます。
シリコン塗料|耐用年数10年〜15年
外壁や屋根の塗装に使用されることの多い塗料です。
紫外線に強く耐候性があり、価格も適正な特徴があります。
また、仕上がりも美しさも、シリコン塗料が好まれるポイントです。
フッ素塗料|耐用年数15年〜20年
最も耐久性のある塗料がフッ素塗料です。
シリコン塗料より約2〜3倍も高い価格ですが、約15〜20年ほど持ちます。
フッ素塗料は耐久性があるものの、鉄部塗装ではそれほど用いられません。
鉄部塗装において、上記のなかでもウレタン塗料やシリコン塗料が用いられます。
その理由としては、中間的な耐久性・平均的な価格といった理由によるものです。
マンション大規模修繕鉄部塗装工事の流れ
鉄部塗装は、いくつかの工程を踏んで進めます。
スムーズな施工のためにも、流れについて知っておきましょう。
①ケレン作業
工具やサンドペーパーを使用して、古い塗装やサビをしっかりと落とします。
ケレン作業がしっかり行われていないと、塗膜がすぐにはがれてサビが進むでしょう。
しっかりと塗膜を密着させるには、ケレン作業を丁寧に行うことが大切です。
②下塗り
ケレン作業の後は、下塗りです。
下塗りでは防せい塗料を使用し、主にエポキシ樹脂系の塗料が使用されます。
中塗りと上塗りを定着させるためには、下塗りをしっかりと行わなければなりません。
③中塗り
下塗りの後は、中塗りです。
中塗りでは、仕上げである上塗りに影響が出ないよう平滑に仕上げます。
④上塗り
ケレン作業・下塗り・中塗りの後は、仕上げである上塗りです。
上塗りは見栄えに影響するため、丁寧に施工する必要があります。
中塗りと上塗りで使用される塗料は、同じものです。
マンション大規模修繕鉄部塗装の施工事例
大規模修繕の鉄階段塗装の施工事例をご紹介します。
引用:株式会社新東亜工業
マンションの鉄部塗装の適切な頻度とは
マンションの鉄部塗装を考えているものの、頻度について迷われる方もいらっしゃいます。
鉄部塗装を検討する際には、下記を参考にしてみましょう。
国土交通省が定めた鉄部塗装の目安
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、各部位の修繕周期が示されています。
塗装の周期についての詳細は、下記を参考にしましょう。
・屋上防水や外壁塗装の場合は12年に一回
・雨に濡れてしまう部分は4年に一回
・雨で濡れない部分は6年に一回
塗料メーカーが定めた鉄部塗装の目安
国土交通省のほか、塗料メーカーも下記のような鉄部塗装の目安を示しています。
・雨掛かり部分は4年に一回
・非雨掛かり部分は6年に一回
・機械式駐車場は5年に一回
雨に濡れる部分は、雨に濡れない部分よりも劣化が早いです。
そのため、少し周期が短めに設定されています。
また、上記はあくまで目安であり、劣化やさびの進み状況によっては早期に対処した方が良い場合もあります。
目安を念頭に置きながら、状況に合わせて塗装を行いましょう。
大規模修繕で鉄部塗装を行う際のポイント
マンションにおいて鉄部塗装を行う際には、いくつかポイントを抑えることが大切です。
施工を考える際には、下記のようなポイントを押さえましょう。
大規模修繕計画に合わせた塗料を選ぶ
鉄部塗装は、屋根や屋上防水の塗装よりも修繕の周期が短いです。
大規模修繕で鉄部塗装も同時に済ませるには、耐用年数を確認したうえで塗料を選ぶ必要があります。
12年に一回の大規模修繕を行うのであれば、耐用年数が4年あるいは6年の塗料を使用すると修繕のタイミングを合わせられるでしょう。
適切にケレン作業を行う
ケレン作業が適切に行われていない場合、すぐに塗膜がはがれてしまいます。
再塗装となれば、多くの時間と費用が掛かるでしょう。
余分な時間や費用を生じさせないためにも、ケレン作業はしっかりと行いましょう。
防サビ塗料を使用する
塗装は、下塗り・中塗り・上塗りといった形で行われます。
その際、下塗りはサビ防止の役割を持ちます。
下塗りの塗料が防サビ塗料でない場合、効果を発揮できません。
使用されている場合は、下塗りの塗料が防サビ塗料であるか確認することが大切です。
既定の塗布量を守る
各メーカーによって、塗装の際の塗布量が決められています。
規定よりも少なすぎるまたは多すぎる量で塗布すると、十分な効果を発揮できません。
規定の塗布量が守られているかについては、塗布量試験で確認が行えます。
塗布量試験を行い、既定の塗布料が守られているかをしっかり確認しましょう。
まとめ
鉄部塗装の際には、下記のようなポイントをしっかりと押さえておきましょう。
・マンションにおける大規模修繕は、経年による建物の劣化や設備を修繕することを意味する
・大規模修繕は外壁や屋根の塗装のほか、給水管の取り換え・建具の点検や調整・鉄部の塗装などがある
・鉄部とは、エレベーター・手すり・ガスメーター・玄関扉など、鉄の使用されている部分を指す
・鉄部の塗装は、機能性の長期的な発揮や美観を保つために必要である
・鉄部の劣化を放置すると、メンテナンスが行えず倒壊や破損などにつながる
・鉄部の塗装では、ウレタン塗料やシリコン塗料が使用される
・鉄部の塗装は、ケレン作業・下塗り・中塗り・上塗りといった流れで行う
・鉄部塗装の頻度は、国土交通省や各メーカーが示している目安を参考にする
・雨に濡れる部分は4年に一回、雨で濡れない部分は6年に一回を目安にする
・鉄部塗装を行うにあたって、大規模修繕計画に合わせた塗料を選ぶことが大切
・塗装を成功させるには、適切なケレン作業を行う・防サビ剤を使用する・既定の塗布量を守ることが大切
マンションの機能性を維持しながら見栄えを良くするためには、定期的な鉄部塗装が欠かせません。
時期や他の工事内容などを考慮しながら取り組めば、より長く住みやすい安全な環境を守れます。