アパート修繕費用の目安相場は?修繕費を抑える方法について解説
2024/12/06
アパートやマンションの修繕費用、いったいどのくらい必要なのでしょうか?
経営において避けては通れない修繕・メンテナンス。しかし、
「具体的な費用の相場がわからない」
「どの程度の積立金を用意すべきか悩む」
「入居者との原状回復費用の負担割合は?」
など、多くの不動産オーナーが頭を悩ませているのではないでしょうか。
また、昨今の建築資材の高騰や職人不足により、修繕費用は年々上昇傾向にあります。
このような状況下で、どのように修繕費用を適切に管理し、物件の価値を維持していけばよいのでしょうか?
本記事では、アパート経営における修繕費の目安から、賢く費用を抑えるためのポイントまで、具体的な事例を交えながら詳しく解説していきます。これから修繕を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
アパートで必要な修繕工事について
アパートのオーナーとして、入居者からの問い合わせで最も多いものの1つは、修繕に関するものです。修繕には様々な種類があり、その費用も異なります。
原状回復
原状回復とは、入居者が退去する際に、借りた当時の状態に戻すことです。これは、民法で定められており、借主の義務とされています。
原状回復が必要となる理由は主に3つあります。
1つ目は、アパートの価値を維持するためです。原状回復を怠ると、アパートの価値が下がり、売却や賃貸が難しくなります。
2つ目は、次の入居者への配慮です。原状回復をしないと、次の入居者は不快な思いをするかもしれません。
3つ目は、トラブル防止のためです。原状回復を怠ると、オーナーとのトラブルになる可能性が高まります。
原状回復の費用は、損傷の程度によって異なります。一般的には、自然損耗による損傷は借主の負担となりませんが、故意や過失による損傷は借主の負担となります。
原状回復の費用を節約するためには、入居時にアパートの状態を写真で記録しておくことが有効です。また、退去時には、オーナーと立ち会いを行い、損傷箇所を確認しておくことも大切です。
補修工事
補修とは、建物の老朽化や損傷によって生じた不具合を修復して、建物の性能を維持・回復させる工事のことです。
アパート経営においては、入居者の快適な生活環境を維持し、資産価値を保つために不可欠なものです。
補修が必要となる主な原因は、経年劣化、自然災害、入居者による損傷などです。 放っておくと、建物の劣化が加速し、修繕費用がかさむだけでなく、入居率の低下や建物の価値低下につながるおそれがあります。
補修が必要かどうかは、建物の状況や入居者のニーズによって異なります。 定期的な点検を行い、必要に応じて補修を行うことが重要です。
予防修繕
予防修繕は、老朽化やトラブルを未然に防ぐために、定期的に行う修繕のことです。
具体的な例としては、クロスや床の張り替え、給排水管の洗浄、屋上防水の塗り替えなどが挙げられます。 目立った破損や不具合がなくても、一定のサイクルで修繕を行うことで、大きなトラブルの発生を防ぎ、将来の修繕費を抑えることができます。
大規模修繕工事
アパートの大規模修繕工事とは、アパートの経年劣化に伴い発生する損傷や不具合を修復するために実施する大規模な工事のことです。建物全体の寿命を延ばし、資産価値を維持することを目的としています。
大規模修繕工事には、外壁塗装、屋根葺き替え、防水工事、バルコニー改修、共用部の修繕などが含まれます。工事の規模と費用は、アパートの規模や築年数、劣化状況などによって異なります。
大規模修繕工事は、一般的に築20~30年程度経過したアパートで実施されます。工事を実施する時期は、定期的な調査によって建物の劣化状況を確認し、適切な時期を判断する必要があります。
大規模修繕工事は、多額の費用がかかるため、計画的に資金を積立てる必要があります。修繕積立金制度を活用することで、工事費用の負担を軽減することができます。
アパート修繕費の見積もり目安
アパート修繕では、以下のような費用がかかるのが一般的です。
種類 | 概要 | 費用の目安 |
---|---|---|
原状回復 | 退去時に行う修繕のこと。 入居者が支払った敷金が使われる |
数万円〜20万円 |
補修 | 設備に不具合が起こった場合、その都度発生する修繕工事のこと。 いつ不具合が発生するか分からないため日頃から予算を確保しておくことが大切。 |
数万円〜数十万円 |
予備修繕 | 数年に一度行われる修繕。 古い設備を交換したり、室内のリフォームを行ったりする。 |
数万円〜数十万円 |
大規模修繕 | 15年に一度ほどおこなわっる大規模な修繕工事のこと。 外壁やベランダなど、共有部分を中心に修繕する。 |
数百万円~1,000万円以上 (大規模なマンションの場合) |
また具体的なっ見積もり費用の目安は下記の通りです。
費用 | 実施周期 | |
---|---|---|
壁紙クロスの張替え | 1㎡あたり1,000~1,500円 | 6〜8年 |
クッションフロアの張替え | 1㎡あたり3,000~5,000円 | 8〜12年 |
ウォシュレットの交換 |
2〜4万円 | 8〜10年 |
エアコンの交換 | 3〜6万円 | 10〜15年 |
給湯器の交換 | 10〜15万円 | 10〜12年 |
外壁塗装 | 1㎡あたり5,000~10,000円 |
10〜15年 |
屋上防水 | 1㎡あたり8,000~10,000円 |
10〜15年 |
アパートの修繕費は、一般的に「費用」ではなく「資本的支出」とみなされます。
資本的支出とは、将来の利益を生み出すために現在行う投資のことです。アパートの修繕は、建物の価値を維持・向上させ、入居率や賃料収入の安定化につながります。そのため、修繕費は投資と捉えるべきなのです。
アパート修繕箇所ごとの修繕時期は?
アパートで修繕が必要になる時期は、修繕をする箇所によって異なります。
修繕箇所 | 実施時期 |
---|---|
外壁 | 10〜15年 |
給排水管 | 15〜30年 |
給水ポンプの交換 | 10〜15年 |
エアコンや給湯器の交換 | 10年前後 |
ベランダの防水工事 | 10〜15年 |
鉄部の防錆 | 5年前後 |
エアコンなどは数年で故障することもあるので、上記はあくまでも目安と捉えてくださいね。
修繕費用を安く抑える方法は?
修繕費用を安く抑える方法は、以下のようにさまざまあります。
定期的に劣化診断をする
アパートは築10年も経つと、徐々に劣化が進んできます。
そんな時に何もメンテナンスをせずに放置していると、劣化部分が大きく広がっていく恐れがあります。
定期的に専門業者に依頼して劣化診断を行なうことにより、劣化が小さなうちに修繕できますよ。
小規模なアパートなら6~10万円ほどで劣化診断ができるので、ぜひおすすめです。
長期の計画を立てる
長期の修繕計画を立てておくことにより、「修繕費用が足りない」といったことが起こりにくくなります。
どんなタイミングで修繕が必要になるかを、事前に検討しておくと良いでしょう。
入居審査を丁寧に行なう
マナーの悪い入居者は部屋を汚く使う傾向があるので、退去後の修繕費用が増えやすくなります。
掃除をしないとカビも発生しやすいので、入居審査は丁寧に行うことをおすすめします。
相見積もりを取る
修繕を行なう業者を選ぶ際は、複数の業者で見積もりを出してもらいましょう。
適正価格が分かり、工事内容やアフターフォローの内容も比較しやすくなりますよ。
アパート修繕まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめていきます。
- アパート修繕の費用は、原状回復や補修など、種類によって異なる
- 修繕箇所別でも、費用はさまざま
- 修繕時期は外壁やベランダなど、場所ごとに異なる
- 「定期的な劣化診断」「長期計画」「入居審査」「相見積もり」が費用を抑えるポイント
アパート修繕は突発的に必要になることがあるので、日頃から予算を用意しておくことが大切です。
今回の記事を参考に、ぜひアパート修繕を成功させてみてください。