防水工事の4種類とは?工法別の耐用年数や価格(費用)を徹底比較!
「屋上やベランダの防水工事を検討中だけど、どんな方法を選べば良いのか分からない」
こんなお悩みはありませんか?
確かに防水工事は頻繁に行なうものではないので、どんな工事をすれば良いのかを意識する機会は少ないですよね。
そこでこの記事では、防水工事の種類について解説していきたいと思います。
工法別の耐用年数や価格についても比較していますので、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ防水工事が必要なの?
防水工事が必要なのは、以下のような理由によります。
建物の寿命が長くなる
雨や雪、湿気が多い日本では、建物の寿命が短い傾向にあります。
雨水などが建物内部に侵入すると、柱が腐ったり鉄筋が錆びたりしたりして、建物の寿命が短くなってしまいます。
そこで防水工事を行なうことにより、建物の寿命を延ばせるのです。
資産価値を維持できる
防水工事により建物の劣化が少なくなると、その分だけ資産価値を維持しやすくなります。
特に雨風に晒される屋上や外壁などは劣化しやすいです。
定期的な点検を行ない、資産価値を維持する意識が大切でしょう。
防水工事は4種類
防水工事には、以下の4種類があります。
ウレタン防水
屋上やベランダ、陸屋根の施工時に使われます。
国内の防水工事のなかで、最も多く用いられています。
ウレタン防水の表面は弾力があります。
液体の防水材を使うので、複雑な形状の箇所にも施工できます。
防水層が軽量なので、建物への負担も少ないですよ。
ただし各工程で乾燥させることが必要なので、工期に余裕も必要です。
また職人の腕によって仕上がりが左右されるので、施工実績が豊富な施工業者に依頼すると良いでしょう。
ウレタン防水の一般的な施工日数は3~10日程度です。
ちなみにウレタン防水には、「密着工法」と「通気緩衝工法」という2種類があります。
- 密着工法…ウレタン防水材を直接下地に塗る工法です。雨漏りしていない場合に使います。
- 通気緩衝工法…下地とウレタン防水材との間に通気マットを挟む工法です。雨漏りが発生している場合に使われます。
FRP防水
ガラス繊維のマットを敷いた上からポリエステル樹脂を塗る施工方法です。
屋上やベランダ、陸屋根で使われることが多いです。
塗料が固まるのが早いので施工はスピーディですが、ガラスマットに樹脂を塗る工程があるので、全体として施工にある程度の時間がかかります。
またFRP防水の防水層は重い物を乗せても傷みにくく、熱や薬品にも強い特徴があります。
1~2日の短期間で施工できるのもメリットでしょう。
ただし固まった後は伸縮性がないので、広い面積のある場所に施工すると、ひび割れを起こすデメリットがあるので注意が必要です。
シート防水
屋上やベランダで使われる工法です。
シート状の防水材を使うのが特徴で、広い面積を一気に施工できます。
ただし既製品のシートを使うので、複雑な形状の箇所への施工には適しません。
またシート防水には、「塩ビシート防水」と「ゴムシート防水」の2種類があります。
- 塩ビシート防水…軽量で耐久性が高いです。ゴムシート防水よりも耐用年数が高いメリットもあります。
- ゴムシート防水…ゴムシートで防水する方法です。費用が安く工期も短いですが、耐久性が低いので現在では使われる機会が少なくなっています。
ちなみにシート防水には、以下のような2種類の施工方法がありますよ。
- 密着工法…接着剤を使い、下地にシートを貼り付ける工法です。強風の影響を受けにくいですが、下地の状態に影響を受けやすいです。
- 機械的固定工法…専用の器具(固定ディスク)を使い、防水シートを下地に固定する工法です。防水シートと下地が触れないので、劣化している下地の影響を受けにくく、シートの膨れなども予防できます。
シート防水の施工には、1~4日ほどかかるのが一般的です。
アスファルト防水
合成繊維でできた不織布にアスファルトがコーティングされた、「ルーフィング」という材料を使う工法です。
昔から使われている工法なので、信頼性が高いです。
おもにビルやマンションなど大規模な建物における、屋上の防水工事で使われます。
耐久性が高く、他の防水工事の種類よりも長持ちします。
防水層の上を人や車が移動してもビクともしません。
紫外線にも強いです。
ただし重量があるので、戸建て住宅や木造住宅で使われることは基本的にありません。
またアスファルト防水には、「常温工法」「熱工法」「トーチ工法」の3種類があります。
- 常温工法(冷工法)…片面に粘着性のあるアスファルトシートを貼る方法です。熱を使わないので手間やコストがかかりません。
- 熱工法…専用の釜でアスファルトを溶かし、ルーフィングを接着する方法です。道路のアスファルト工事のような臭いが発生するので、現在では使われることが少なくなってきています。
- トーチ工法…ルーフィングの裏面をバーナーで溶かして接着する方法です。常温工法よりも防水性が高い傾向があります。ただし、ある程度は施工中に臭いや熱が発生するので、施工の際は周囲への配慮が必要です。
防水工事の耐用年数
防水工事ごとに耐用年数が異なります。
詳しくは以下の表を参考にしてみましょう。
防水工事の種類 |
単価(1㎡あたり) | 耐用年数 |
---|---|---|
ウレタン防水 | 4,500~7,000円 | 10年前後 |
FRP防水 | 6,000~8,000円 | 10~12年前後 |
シート防水 |
塩ビシート:4,000~8,000円 |
塩ビシート:10~13年前後 |
アスファルト防水 | 5,500~8,500円 | 15~20年前後 |
防水工事の費用
防水工事を行なう場合、一般的に以下のような費用がかかります。
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ちなみに上記の費用だけでなく、足場の設置費用(1㎡あたり700~900円程度)もかかるので注意しましょう。
施工箇所別の防水工事の選び方
施工場所によって、適している防水工事の種類が異なります。
小規模なベランダ
小規模なベランダにはウレタン防水が良いでしょう。複雑な形状のベランダの場合でも継ぎ目なく施工できます。
耐久性が必要なベランダ
ベランダでガーデニングやバーベキューを行ないたいなら、熱や衝撃に強いFPR防水がおすすめです。
屋上の物干しスペース
障害物がない屋上(陸屋根)なら、広い面を一気に施工できるシート防水がおすすめです。
費用も安く済むでしょう。
ただし陸屋根は雨漏りしやすいので、ひび割れや膨れなどを見つけた場合は早めのメンテナンスが必要です。
商業施設の屋上
商業施設の屋上は面積が広いので、シート防水が良いでしょう。
マンションの屋上でもシート防水は良く使われます。
人や車が通行する屋上
人や車の通行で高重量がかかる場合は、耐久性が最も高いアスファルト防水がおすすめです。
施工業者の選び方
防水工事を行なう施工業者を選ぶ際は、以下のポイントを押さえておくと安心です。
相見積もりを取る
施工業者を選ぶ場合は、必ず相見積もりを取りましょう。
初めから1社に絞ってしまうと、施工内容も費用も、その会社の言いなりになってしまう恐れがあるからです。
少なくとも2~3社を比較することにより、適正価格や信頼性が分かります。
アフターサービスをチェックする
工事内容や金額だけでなく、アフターサービスがしっかりしているかどうかも重要です。
定期的に点検してくれる業者だと安心感があります。
通常は5~10年の保証期間が設定されている業者が多いです。
防水工事まとめ
最後に、今回の記事の内容を簡単にまとめていきます。
- 防水工事を行なうと建物の寿命が長くなり、資産価値を維持しやすくなる
- 防水工事には「ウレタン防水」「FRP防水」「シート防水」「アスファルト防水」の4種類がある
- 防水工事の種類ごとに費用や耐用年数が異なる
- 施工箇所に合わせた防水工事を選ぶことが大切
- 施工業者を選ぶ際は相見積もりを取り、アフターサービスもチェックする
防水工事は建物を守るためには欠かせません。
ぜひ定期的に点検やメンテナンスを行なってみてくださいね。