マンションの外壁塗装(塗り替え)をする前に知っておきたい!費用相場や注意点は?
「外壁塗装って、どのタイミングで行なえば良いの?」
こんな疑問をお持ちのオーナーさんはいませんか?
外壁塗装を検討する際には、工事の時期や費用など、さまざまな疑問が浮かんでくるでしょう。
そこで今回は、「マンションの外壁塗装をする前に知っておきたいこと」について解説していきます。
外壁劣化のサインや費用相場、注意点などもご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
なぜ外壁の塗り替えが必要なの?
外壁の塗り替えが必要なのは、以下のような理由によります。
・外壁の見た目を良くするため
・建物の寿命を延ばすため
・入居率を高めるため
・雨漏りを防ぐため
外壁塗装を行なわないと、マンションを風雨や気温・湿度の変化から守り切れなくなります。
外壁の劣化が進みやすくなり、資産価値がどんどん落ちていきます。
外壁塗装は、マンションを長く大切に使うために欠かせないのです。
外壁劣化のサインは?
以下のような症状がある場合、外壁が劣化している可能性が高いです。
チョーキング現象
外壁を手で触って白い粉が付くことを「チョーキング現象」と呼びます。
チョーキング現象は塗膜が劣化してきているサインです。
チョーキング現象が起こったからといって、すぐに再塗装が必要なわけではありませんが、「徐々に外壁が劣化してきているんだな」という意識は持っておきましょう。
ひび割れ
幅が0.3mm以下のひび割れ(ヘアークラック)なら問題ありませんが、0.3mmを超えるひび割れ(構造クラック)がある場合は注意が必要です。
建物内部までひび割れていて雨漏りが起こる可能性があります。
大きなひび割れがある場合は、まずは専門家に点検を依頼しましょう。
雨漏り
すでに雨漏りが発生している場合は、大規模修繕の時期に関わらず早めの補修が必要です。
雨漏りを放置すると建物内部がどんどん劣化していきます。
コンクリートの剥離
コンクリートが剥がれて落ちてきている場合も要注意。
内部の鉄筋が腐食して膨張している可能性があります。
コンクリートの剥離は住人や通行人の頭上に落下すると危険です。
すぐに補修を検討しましょう。
シーリング(コーキング)の劣化
外壁やサッシの隙間を埋めるシーリングが劣化していると、そこから雨水が侵入します。
シーリングの割れや剥離がある場合も、早めの補修が必要ですよ。
塗料の種類
外壁塗装では、以下のような塗料が使われます。
塗料の種類 |
耐用年数 |
1㎡あたりの費用 |
特徴 |
アクリル |
3~5年 |
1,000~1,800円 |
発色が良く低コストで施工できる。ただし耐久性がなく、こまめな塗り替えが必要 |
ウレタン |
5~7年 |
1,700~2,500円 |
かつての主流。リーズナブルに施工できる。ただし耐久性や防汚性は低め |
シリコン |
10年 |
2,300~3,500円 |
値段と性能のバランスが良く、現在の主流。住宅で多く使われる |
フッ素 |
10~15年 |
3,500~4,800円 |
一般的な塗料では最高グレード。高級感のある艶消し塗装が可能。耐久性も高いが、ひび割れしやすい |
光触媒 |
12年 |
3,800~5,500円 |
光による化学反応により、外壁の汚れを分解する。空気中の汚染物質を分解する作用もある。ただし太陽の光が当たらない場所では高い効果が期待できないので注意が必要 |
ピュアアクリル |
15年 |
4,000~4,700円 |
耐久性、防水性、弾力性が高い。施工費用は高いが、長持ちするので高コストというわけでもない |
無機配合型フッ素 | 16年 |
3,500~4,800円 |
フッ素塗料に無機成分が配合されている。耐候性が高いので長持ちする |
無機ハイブリッド |
18年 |
3,500~5,500円 |
有機物が配合されていて劣化しにくい。かなり長持ちする |
セラミック(断熱・遮熱タイプ) |
10~25年 |
2,300~4,500円 |
セラミックが配合された樹脂塗料で、耐久性が高く汚れにくい。断熱効果や遮熱効果があるので、夏は涼しく冬は暖かい |
塗料の値段や性能を考えて選ぶだけでなく、大規模修繕のタイミングに合った耐用年数のものを選ぶとコストカットに繋がります。
外壁塗装の費用相場
マンションの外壁塗り替えには、1戸あたり12.9~21.6万円の費用がかかるのが一般的です。
例えば10戸のマンションの場合は129~216万円、50戸の場合は645~1,080万円という計算ができますね。
また以下のように階数で概算を出すこともできます。
階数 |
費用相場 |
3階建て |
130~410万円 |
5階建て |
450~670万円 |
7階建て |
630~950万円 |
「階数×約100万円」で計算すると分かりやすいですよ。
ちなみに面積で計算する場合は、1㎡あたり865~2,595円が相場となります。
工事期間はどのくらい?
マンションの外壁塗装では50戸未満なら1~2か月、50戸以上なら3~4か月の工事期間が必要です。
100戸以上のマンションの場合は、工事に半年以上かかる場合もありますよ。
外壁塗装では塗料を塗る作業以外に、さまざまな工程があります。
・施工計画
・住民説明会
・役所への届出
・足場の設置
・仮設トイレの設置
・仮設電気設備の設置
・防犯対策
・高圧洗浄
・下地処理
・シーリング
・養生
・竣工検査
・足場の解体
上記のようにさまざまな工程があるので、1か月単位で工事期間が必要なのです。
塗料の色選びのポイント
マンションの外壁塗装では、塗料の色選びも重要です。
以下のような基準で色選びをするのがおすすめですよ。
人気の色で選ぶ
多くの家で使われている人気の色なら、周囲から浮くのも避けられますし、満足度も高くなるでしょう。
人気なのはクリーム系やグレー系、ベージュ系、茶系といった中間色です。
中間色は周辺環境の色とも馴染みやすいですよ。
年齢層で色を選ぶ
一般的に若者は明るい色を好み、年配者は落ち着いた色を好む傾向があります。
利用者の年齢層に合わせて塗料の色を選ぶことにより、入居率アップが狙えます。
例えば若者向けならモノトーンやパステルカラー、年配向けならベージュ、ホワイトといった色合いがおすすめです。
学生街か一般住宅街か、といったことも考慮して選ぶと良いですね。
太陽光の下で選ぶ
太陽光の下と蛍光灯の下とでは、同じ色でも色味が異なって見えます。
マンションの外壁は、太陽光の下で見た色味を参考に選びましょう。
面積効果を考慮して選ぶ
面積効果とは、色を塗る面積が広いほど明るい色はより明るく見え、面積が狭いほど暗い色がより暗く見える、という現象です。
塗料のカタログで色を確認するのも良いですが、なるべくA4サイズ以上のサンプルで確認しておくと、仕上がりとイメージのギャップが出にくいでしょう。
機能性で選ぶ
汚れが目立たないか、遮熱性は高いか、といった機能性を考慮することも大切です。
特に真っ白、真っ黒といった色は汚れが目立ちやすい傾向にあるので注意しましょう。
外壁塗装の注意点
外壁塗装では、以下のような注意点があります。
塗料の臭いがする
外壁塗装工事を行なうと、塗料の臭いが発生します。
最近では臭いの少ない塗料もありますが、それでも臭いはします。
事前にマンション住人の方々に告知して、理解を得ておくことが大切です。
ベランダで洗濯物が干せなくなる
外壁塗装をしている最中は、ベランダに洗濯物が干せなくなる場合があります。
1~2週間で塗装が終わることが多いので、そこまで心配する必要はありませんが、マンション住人とのトラブルを避けるために、事前に告知しておくことが大切です。
日当たりが悪くなる
外壁塗装工事中は、マンションの周囲が保護シートで覆われることになります。
日当たりが悪くなり、住環境が悪くなることは避けられないでしょう。
住人からのクレームが発生しやすくなるので、この場合もかなり前から工事に関する告知をしておき、理解を求めておくことが必要です。
複数色を使うと費用が高くなる
外壁塗装の塗料を複数色使うとデザイン的なメリットはありますが、塗装費用は高くなります。
異なる色を塗るための工程が増えるからです。
予算を抑えたい場合は、なるべく少ない色数にするのがおすすめです。
近隣住民への告知も必要
マンションの外壁塗装では、マンション住人だけでなく近隣住民への告知も必要です。
塗料の臭いが広まる可能性があるのはもちろん、足場の設置の際に大きな音などが発生します。
施工業者の出入りも多くなり、セキュリティ面の不安に感じるかたもいます。
工事内容を事前に近隣住民へ告知するために、挨拶回りは欠かさず行ないましょう。
悪徳業者が多い
外壁塗装業者には悪徳業者も多いので注意が必要です。
外壁塗装は品質の判断が難しく、手抜き工事がバレにくいことが理由に挙げられます。
塗装後、数年経ってから不自然な塗膜の劣化を見つけ、初めて手抜き工事に気付くことも多いです。
また外壁は外から良く見えるため、悪徳業者が飛び込み営業しやすい傾向にあります。
しかも塗装業界では工事の定価がはっきり決まっていません。
必要以上の費用を請求する悪徳業者も存在するので、塗装業者選びは慎重に行ないましょう。
外壁塗装業者の選び方
外壁塗装業者を選ぶ際は、以下の選び方を参考してみましょう。
相見積もりで選ぶ
複数の業者に見積もりを出してもらうことにより、適正価格を把握できます。
工事内容やサービスの比較もできるので、無駄な工事を避けられます。
少なくとも3社以上で相見積もりを取るのがおすすめですよ。
自社施工の会社を選ぶ
自社施工の会社を選ぶと、外壁塗装費用が安くなりやすいです。
大手のハウスメーカーに塗装を依頼すると、実際に工事を行なう下請け業者への中間マージンが発生するので、塗装費用が高くなりがちです。
場合によっては3次受けや4次受け、5次受けへと依頼するケースもあります。
有名メーカーに施工を依頼すると安心感はありますが、施工費用を抑えたい場合は自社施工の会社に依頼すると良いでしょう。
予算と相談して、施工業者を選びたいですね。
施工実績で選ぶ
過去の施工実績を自社のホームページで公開している業者は安心感があります。
ホームページで公開していない場合は、見積もりの際に施工実績を提示してもらいましょう。
もし施工実績を公開してくれない場合、その業者に施工を依頼するのはおすすできません。
対応の誠実さで選ぶ
業者の対応が丁寧かどうかも重要です。
「いつでもすぐに連絡が取れるか」「専門知識が豊富か」「工事のデメリットもしっかりと説明してくれるか」といったことをチェックしましょう。
不安をあおって契約を急かしたり、大幅に値下げしたりする業者は良くありません。
相場よりもかなり安い費用で施工すると、質の悪い塗料を使われたり、手抜き工事をされたりする恐れがあります。
本来数十万円かかる足場の設置費用を0円と宣伝し、足場以外の価格を吊り上げる悪質業者もあるので注意しましょう。
塗装技能士または建設業許可を保有している業者を選ぶ
塗装技能士または建設業許可を保有している業者だと、安心感があります。
塗装技能士とは、塗装技能に関する国家資格です。
取得には7年以上の実務経験や豊富な知識が必要です。
建設業許可とは、国土交通大臣や知事に認定された建設業者の証です。
受注金額が500万円以下の施工は無許可でも営業できてしまうので、建設業許可の有無もチェックしておくと安心ですよ。
アフターフォローの有無で選ぶ
契約前に、アフターフォローの内容も確認しておきましょう。
施工ミスがあった場合でも、実際に外壁に劣化症状が現れるのは数年後です。
よってアフターフォローの期間が長い業者だと安心です。
中には定期点検を行なってくれる業者もあったりするので、業者ごとのアフターフォロー内容を比較して選んでみてくださいね。
マンションの外壁塗装まとめ
最後に、今回の記事の内容を簡単にまとめていきます。
・建物の寿命を延ばすため、入居率を高めるために外壁塗装が必要
・チョーキング現象や、大きなひび割れなどがある場合も外壁塗装をする
・塗料にはさまざまな種類がある
・工事期間は1か月単位で必要
・塗料は人気の色や年齢層で選ぶ
・太陽光の下や、面積効果も考慮して色選びをする
・外壁塗装ではマンション住人や近隣住民への告知が大切
・悪徳業者が多いので気を付ける
・相見積もりをすると適正価格が把握できる
・業者の施工実績やアフターフォローなどもしっかりと比較する
マンションの外壁塗装は、10~15年に一度は行なう必要があります。
塗料の耐用年数や修繕計画などを考慮しながら、ぜひ外壁塗装を成功させてみてくださいね。