アスファルトシングル屋根に塗装は不要?その理由や工事の注意点などを解説

アスファルトシングルとはガラス繊維をベースにアスファルトでコーティングし、石や砂の粒状素材を用いて色付けされた屋根材です。

北米では一般的に使用されていますが、日本では屋根材の約5%にしか使用されていません。このため、ユニークなデザインや特別な屋根を求める際に選ばれることが多いです。

日本での使用頻度が低いため、アスファルトシングルの屋根を持つ建物の所有者の中には、定期的な塗装が必要かどうか疑問に思う方もいるでしょう。

一般的に、アスファルトシングルの屋根においては塗装工事は必要ない、と言われていますが、本当にそうなのでしょうか?

今回はアスファルトシングル屋根に塗装は不要なのか、そしてその理由や工事の注意点をご紹介します。

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アスファルトシングルに塗装は必要?不要?

アスファルトシングルの屋根に塗装は基本的に不要です。

多くの場合、アスファルトシングルは塗装を施しても耐用年数を延ばすことは期待できません。

その主な理由は、塗装が主に美観を改善し、表面の石粒の脱落を防ぐ効果に限られるからです。

屋根全体の寿命を延ばすためには表面の塗装だけでは不十分であり、経済的にもあまりお得ではないため、多くの業者が推奨していません。

しかし、見た目の美しさを保ちたい場合や、石粒の落下を防ぎたい場合は、塗装による改善が可能です。

特にアスファルトシングルが10年程度経過すると汚れや色褪せが目立ち始めるため、そのような状態が気になる場合には塗装が有効です。

アスファルトシングルに塗装する目的

上記でアスファルトシングルに塗装は基本的に不要と述べましたが、特定の理由がある場合に塗装を推奨します。

塗装する目的として2つあります。

  • 美観の向上
  • 表面の石粒の固定

それでは、詳しく解説していきます

美観の向上

見た目の汚れや色褪せが気になる方は、塗装によってこれらの問題を改善することができます。

アスファルトシングルは耐久性が高い屋根材ですが、紫外線の影響で色が褪せたり、コケが生えることで外観が損なわれることがあります。

特に、屋根の傾斜が急な家では、屋根が外からよく見え、汚れが目立ちやすくなります。

外観をきれいに保ちたい場合は、塗装を検討するとよいでしょう。

表面の石粒の固定

アスファルトシングル屋根は、表面に色付きの石粒が付着しており、これが屋根に独特の意匠性とデザイン性をもたらします。

しかし、これらの石粒は完全に固定されているわけではなく、施工中や施工後に少しずつ落下することがあります。

石粒の落下が雨漏りの直接的な原因にはなりませんが、その落下が気になる場合は塗装を行うことをおすすめします。

塗装によって石粒の落下を防ぎ、屋根の表面を保護することで耐久性を向上させる効果が期待できます。

アスファルトシングルに塗装するタイミング

アスファルトシングルの塗装に適したタイミングは、主に以下の2つの場合です。

1つ目は、色褪せや汚れが目立つようになったときです。

屋根材は紫外線や雨風の影響を受けやすく、時間と共に色が褪せたりコケやカビが生じたりします。これらの問題により見た目が損なわれるため、塗装をして外観をきれいに保つことが大切です。

2つ目は、表面の細かな石粒や砂が経年劣化で剥がれて落ち始めたときです。

石粒が落ちることで直接的な危険や雨漏りはすぐには発生しませんが、落ちた石粒が雨樋を詰まらせたり、周囲を汚したりする可能性があります。

これらの症状が見られたら、塗装を行うことをおすすめします。

アスファルトシングル塗装工事の費用相場と内訳

アスファルトシングルの塗装費用の相場について説明します。

塗装工事を依頼する前に、費用についての全体的な情報を理解しておくことが重要です。

費用相場

アスファルトシングル屋根の塗装費用の相場は、1平方メートルあたり約3,000~5,700円です。80平方メートルの屋根を塗装する場合、およそ40〜60万円がかかります。

使用する塗料の種類によっても費用は変わるため、選択する塗料に注意が必要です。

大手企業やメーカーに依頼すると、中間マージンが加わることで費用がさらに上がることがあります。

コストを抑えつつ適切なサービスを受けたい場合は、塗装専門の業者に依頼することをおすすめします。

内訳

以下はアスファルトシングル屋根における塗装工事の内訳です。

項目費用相場(1㎡あたり)
仮設足場作業800~1100円/㎡
高圧洗浄200~300円/㎡
塗装(下塗り・中塗り・上塗り)2,000~5,000円/㎡
縁切り600~800円/㎡

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アスファルトシングルに塗装する際の注意点

上記の情報を踏まえると、アスファルトシングルの塗装を検討される方もいるかもしれません。

塗装工事を実施する際は、以下の3つのポイントに注意して進める必要があります。

  • 水性塗料を使用する
  • ツヤ消し塗料を使用する
  • 縁切りを必ず行う

各注意点について解説していきます。

水性塗料を使用する

アスファルトシングルの屋根に塗装を行う際には、スレート屋根などと同様に、基本的には「下塗り→中塗り→上塗り」の3回塗りが必要です。

特にアスファルトシングルの場合、全ての塗装工程で水性塗料を使用することが重要です。

油性塗料(溶剤系塗料)を使用すると、アスファルトが溶け出してしまうリスクがあります。

この現象は「ブリード」と呼ばれ、塗料の溶剤がアスファルト成分を溶解させ、屋根材がにじむように見えることがあります。

これにより屋根材の表面がべたついたり、歪んだり、膨れたりする原因となるため、注意が必要です。

縁切りを必ず行う

縁切りは、屋根塗装時に屋根材同士が重なる部分に形成される塗膜を切断する作業です。

この作業によって、屋根材の間に隙間が生まれ、屋根内部に侵入した雨水を外に排出することが可能になります。

アスファルトシングルの場合、塗装をすると重なる部分の隙間が塗料で塞がれてしまいがちです。

これらの隙間は雨水の排出経路として重要であるため、塗装後には隙間を再度形成する必要があります。

隙間が塞がれてしまうと、雨水が内部に溜まり、結果として雨漏りを引き起こすリスクが高まります。

塗装工事以外のメンテナンス方法とは?

アスファルトシングルの屋根は一般的に15から20年の寿命がありますが、使用して10年が経過すると定期的なチェックとメンテナンスが推奨されます。

アスファルトシングルには以下のような劣化の症状が起きやすいです。

  • 屋根材のめくれ・剥がれ
  • 屋根材の亀裂・破れ
  • 雨漏り

色あせ、汚れ、石粒の落下以外にも劣化症状が見られる場合は、塗装工事だけでは不十分です。

そのような状況に対応するための他のメンテナンス方法について説明します。

部分補修

台風や強風によってアスファルトシングルの屋根材がめくれたり、剝がれたりした場合、部分的な補修が必要です。

アスファルトシングルは耐風性にやや劣るため、強風が屋根材を下から持ち上げてしまうことがあります。

めくれが広範囲に及ぶと、防水シートが露出し、雨漏りの原因になることがあります。

修理の費用は一枚あたり約4,000円〜10,000円ですが、作業に足場が必要な場合はその設置費用も加わります。

カバー工法

屋根材は経年劣化しているが、屋根下地材はそれほど傷んでいない場合はは、カバー工法が適しています。

この方法では、軽い金属屋根材を新たに重ねるか、新しいアスファルトシングルを既存の屋根の上に被せます。

工事費用は約100万円〜150万円かかりますが、選択する屋根材によって費用は変わるため注意しましょう。

棟板金の交換

アスファルトシングル屋根の一番上にある棟板金は風で飛ばされやすい部分です。

新築時の棟の下地は通常、木製であり、10年〜20年経過すると経年劣化で交換が必要になることがあります。

棟板金を交換する場合、費用は一般的に50万円〜150万円の範囲で収まることが多いです。

葺き替え工事

屋根材が寿命を迎えて雨漏りが発生した場合、屋根の葺き替えが必要です。

この作業では、古いアスファルトシングルを剥がし、新しい屋根材に張り替えます。

アスファルトシングルは接着剤で固定されているため、剥がす作業は非常に困難です。

葺き替え工事では、既存の屋根を下地まで完全に取り除く必要があります。

これには、カバー工法と比較して、撤去費用と廃材の処分費が加わります。

一般的な住宅の場合、葺き替え工事の相場は約70万円〜200万円です。

アスファルトシングルの点検はいつ行えばいい?

アスファルトシングルの屋根は、美観を保ち、耐久性を維持するために、10年ごとの定期点検が推奨されます。

アスファルトシングルの耐用年数は最長で30年程度ですが、10年経過すると色褪せや汚れが目立つようになることがあります。

屋根は常に雨風に晒されるため、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。

点検では、屋根材の剥がれや色褪せがないかを確認します。

見えない箇所は直接屋根に登ってチェックすることも多く、高所での作業は危険が伴うため、専門業者に依頼することが安全です。

業者に塗装工事を依頼する際のポイント

アスファルトシングルの塗装を依頼する際、業者に塗装工事を依頼する際のポイントは以下の3つです。 

  • 複数の会社から見積もりを取る
  • 見積書の項目を確認する
  • アスファルトシングル工事実績がある業者に依頼する 

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

複数の会社から見積もりを取る

同じ工事内容について複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

見積書には、工事費用や施工過程が詳細に記載されており、複数の見積もりをとることで、適正価格かどうか、不必要な工事が含まれていないか、などを見比べて確認することができます。。

価格やサービスを比較検討するため、少なくとも3社から見積もりを取ることを推奨します。

見積書の項目を確認する

アスファルトシングル屋根の塗装を依頼する際は、見積もりに「縁切り」または「タスペーサー」という項目が含まれているかを確認することが重要です。

塗装作業で「縁切り」は必須の工程であり、これを行わないと毛細管現象が起こり、結果的に雨漏りの原因となるからです。

アスファルトシングル工事実績がある業者に依頼する

日本におけるアスファルトシングル屋根の普及率は欧米に比べ、まだまだ少ないです。そのため、工事の実績を示さない業者は、施工ミスが原因で問題が発生するリスクが高いです。

一方で、多くの工事実績を開示する業者は、経験豊富で技術も高いと考えられます。

そのため、業者を選ぶ際は、その実績を確認し慎重に選ぶことが重要です。

まとめ

今回はアスファルトシングル屋根に塗装は不要なのか。

また、その理由や工事の注意点などを解説していきました。まとめると以下の通りです。

  • アスファルトシングルは塗装をしても耐用年数が長くなるとは限らないので不要
  • 塗装する目的は「美観の向上」と「表面の石粒の固定」
  • 塗装するタイミングは「色褪せや汚れが目立ってきた」「表面に付着する石粒の落下」
  • アスファルトシングルの塗装費用の相場は約40~60万円程度
  • 塗装する際の注意点は「水性塗料を使用する」「ツヤ消し塗料を使用する」「縁切りを必ず行う」
  • アスファルトシングルは10年に一度の点検をし、メンテナンスを行う
  • 業者に塗装工事を依頼する際は、複数の会社から見積もりを取る

アスファルトシングルの屋根を塗装する際は、適切な注意点を守ることができる業者に施工を依頼することが最も重要です。

この記事で挙げた悪徳業者を避けるためのポイントを参考にし、詐欺や施工不良といったトラブルに巻き込まれないよう注意しましょう。

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