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マンション大規模修繕における鉄部塗装を徹底解説

マンション大規模修繕における鉄部塗装を徹底解説

2025/08/20

マンションの大規模修繕を検討している方にとって、「鉄部塗装」は見落とされがちですが非常に重要な工事です。
手すりや階段・玄関扉・駐輪場などに多用されている鉄部は、風雨や紫外線の影響でサビや腐食が進行しやすい部位です。
放置してしまうと、安全性や美観の低下だけでなく、修繕費用の増大や資産価値の下落にもつながります。
鉄部は日常的に居住者が直接手に触れる部分も多く、建物の第一印象を左右する重要な要素でもあります。
そのため、鉄部塗装は単なる補修工事ではなく、建物の寿命や快適性を左右する「投資」とも言える工事です。

この記事では、マンションの大規模修繕における鉄部塗装の重要性や必要なタイミング・使用される塗料の種類・工事の流れ・費用相場・業者選びのポイントまでを詳しく解説します。
これから修繕計画を立てる管理組合やオーナーの方に役立つ内容をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

マンションの大規模修繕における鉄部塗装の重要性

マンションの大規模修繕工事において、外壁塗装や屋上防水と並んで欠かせないのが「鉄部塗装」です。
鉄部とは、手すり・玄関扉・階段・駐輪場・エレベーター周りなど、建物内外で日常的に使用される金属部分を指します。
これらは常に風雨や紫外線の影響を受けるため劣化が早く、サビや腐食を防ぐための定期的な塗装が不可欠です。
鉄部塗装を怠ると、安全性・美観・耐久性すべてに悪影響を及ぼすため、大規模修繕の中でも重要な位置づけにあります。
さらに鉄部は、他の部位と比較して劣化の進行が早いため、塗装サイクルを短めに設定する必要があります。
適切なタイミングで鉄部塗装を実施することで、建物全体の耐用年数を延ばすことにつながります。

マンションの大規模修繕にて鉄部塗装を行う部位と劣化のサイン

鉄部塗装が必要になる箇所は、マンションの随所にあります。
特に日常的に居住者が触れる場所や、外気にさらされる場所は劣化が早いため、定期的なチェックが必要です。
鉄部は建物の構造や機能に直結しているため、少しの劣化でも大きな問題へ発展する可能性があります。

鉄部塗装が必要な箇所

マンションにおける鉄部とは、以下の部分を指します。

  • 玄関扉やメーターボックス:居住者が頻繁に使用し、視認性も高い部分。金属表面の塗装剥がれは外観を損なうだけでなく、防錆性能の低下にも直結します。
  • 手すりや階段:安全性に直結し、劣化すれば事故につながるリスク大。特に共用部分は利用頻度が高いため、早期劣化が目立ちやすい箇所です。
  • 駐輪場やゴミ置き場の鉄枠:雨風にさらされ劣化が進みやすく、錆び始めると腐食スピードが早まります。
  • エレベーター扉や機械室周り:利用頻度が高く、わずかな不具合が利便性や安全性を損なう要因となります。

劣化サイン

鉄部の劣化は、目視で確認できるケースが多くあります。
そのため定期的に確認を行い、以下のようなサインを見逃さないことが大切です。

  • 赤サビや黒サビの発生:鉄部が酸化し始めた証拠。
    サビの進行は放置すれば内部まで広がり、部分交換が必要になることもあります。
  • 塗膜の剥がれや浮き:下地との密着が失われ、内部腐食が進行しているサイン。
    軽微な段階で補修できれば費用も抑えられます。
  • 変形やひび割れ:劣化が進んで強度低下している状態で、居住者の安全に直結する危険な症状です。

これらのサインが出た時点で早期に鉄部塗装を行うことが、余計な修繕コストを抑える最善策です。
劣化の進行を見逃さずに、定期的な点検を習慣化することが求められます。

マンションの鉄部塗装を怠った場合のリスク

鉄部の塗装を放置すると、単なる見た目の問題だけでなく、建物全体の安全性や資産価値にも直結します。
修繕計画において「鉄部は後回しでよい」と考える方もいますが、実際には早めの対処こそが将来の大きなコスト削減につながります。

安全性の低下

手すりや階段などの鉄部が腐食すれば、居住者が利用する際に転落やけがを引き起こす危険性があります。
特に小さなお子さまや高齢者が利用する環境では、安全性を確保するための鉄部塗装が欠かせません。
安全性の低下は管理組合にとっても大きな責任問題につながるため、定期的な塗装工事はリスクマネジメントの一環と考える必要があります。

修繕費用の増大

初期段階のサビであれば塗装で対応可能ですが、劣化を放置すると部分交換や全面交換が必要になり、費用は数倍に膨らむことがあります。
例えば手すりの補修で済んだものが、腐食によって階段全体の交換に至るケースも少なくありません。
予防的に鉄部塗装を行うことは、長期的に見てコスト削減につながる合理的な選択です。

資産価値の低下

サビや腐食が進行した鉄部は、見た目の印象を大きく損ないます。
外観の美観はマンションの資産価値に直結するため、鉄部塗装の有無は入居希望者や購入希望者の判断に影響を与えるポイントです。
管理状態の良し悪しは購入者にとって大きな判断材料であり、鉄部の劣化が放置されていれば「維持管理が不十分な建物」という印象を与えかねません。

マンション大規模修繕で鉄部塗装に使われる塗料と耐用年数

鉄部塗装には複数の塗料が使用され、それぞれ耐用年数や特徴が異なります。
適切な塗料選びは、修繕サイクルやコストに大きく関わるため重要です。
塗料の選択は、施工後のメンテナンス頻度や長期的なコストパフォーマンスを左右します。

塗料の種類耐用年数メリットデメリット
ウレタン塗料約8〜10年比較的安価で採用しやすい/細部の塗装に適している耐久性がシリコンやフッ素より劣る
シリコン塗料約10〜15年光沢感があり美観を維持/コストと性能のバランスが良いウレタンよりは価格が高め
フッ素塗料約15〜20年修繕周期を長くできる/耐久性重視の工事に最適高額で予算調整が必要/鉄部では採用例が少ない

マンション大規模修繕における鉄部塗装工事の流れ

マンションの大規模修繕における鉄部塗装は、複数の工程を経て完成します。
各工程には明確な役割があり、ひとつでも手を抜くと仕上がりや耐久性に大きな影響を及ぼします。
正しい手順を理解しておくことは、管理組合やオーナーにとっても工事のチェックポイントとなり、適正施工を見極める判断材料になります。

ステップ1. ケレン作業(下地処理)

古い塗膜やサビを、徹底的に除去する工程です。
ワイヤーブラシやサンドペーパー・電動工具を使用し、金属表面を清潔な状態に整えます。
ケレン作業を怠ると新しい塗料が密着せず、短期間で剥がれてしまう可能性があります。
実際、塗装の耐久性はこの作業の質に大きく左右されるため、「塗装工事の肝」とも呼ばれるほどです。
施工業者を選定する際には、ケレン作業の手順や方法について必ず確認しておくと安心です。

ステップ2. 下塗り(防錆塗料の塗布)

下地を整えた後は、防錆効果のある塗料を塗布します。
代表的にはエポキシ樹脂系の塗料が使用され、鉄の腐食を防ぐ役割を果たします。
下塗りをしっかり行うことで中塗りや上塗りの定着が良くなり、仕上がりの寿命も大きく伸びます。
防錆塗料の選択や塗布量が適切であるかどうかは、見積書の段階でも確認しておくべきポイントです。

ステップ3. 中塗り

下塗りの上に重ねて塗る工程で、塗膜の厚みを確保する役割があります。
表面を平滑に整え、最終的な上塗りの仕上がりに直結するため、見た目の美しさを左右します。
中塗りがしっかりと行われていない場合、上塗りをしても光沢や色ムラが生じやすくなるため注意が必要です。

ステップ4. 上塗り

最終仕上げの工程です。
美観と耐久性を確保し、鉄部の保護膜を完成させます。
中塗りと同じ種類の塗料を使用し、均一に塗布することで見た目と耐候性を両立します。
施工後すぐの美しさだけでなく、数年後に差が出るのもこの上塗りの丁寧さ次第です。

マンション大規模修繕における鉄部塗装の費用相場

鉄部塗装の費用は、使用する塗料の種類や施工する範囲・劣化の程度によって異なります。
以下に代表的な相場を示しますが、これはあくまで目安であり、現地調査によって金額は変動します。

㎡単価の目安

  • ウレタン塗料:約3,000〜5,000円/㎡
  • シリコン塗料:約4,000〜7,000円/㎡
  • フッ素塗料:約6,000〜10,000円/㎡

塗料の耐用年数や性能に比例して、単価が上がる傾向があります。
長期的に修繕コストを抑えたい場合には、初期費用が高くても耐久性の高い塗料を選ぶのが賢明です。

鉄部塗装を実施する部位別費用例

  • 手すり(30m程度):10万〜20万円
  • 階段一式:30万〜50万円
  • 玄関扉:1枚あたり3万〜6万円

部位ごとの費用は、劣化状況や設置環境によっても変わります。
屋外で雨風にさらされる部分は施工難易度が高くなるため、費用も割高になる傾向があります。

鉄部塗装の見積もりチェックポイント

鉄部塗装の見積もりを比較する際には、金額だけでなく以下の点を必ず確認してください。

  • 「一式」表記ではなく、材料費・工賃・塗料の種類が明示されているか
  • 使用する塗料のメーカーやグレードが明確に示されているか
  • 保証内容(剥離やサビ再発への保証)が記載されているか
  • 足場費用や養生費用が含まれているか

費用を比較するときは、総額だけに惑わされず、内訳の透明性を確認することがトラブル防止につながります。

マンションの鉄部塗装における適切な周期とタイミング

鉄部塗装は、外壁や屋上防水と比べて劣化の進行が早いため、修繕サイクルを短く設定する必要があります。
適切な周期を守ることで、予期せぬ大規模な修繕を防ぐことができます。

国土交通省の目安

国土交通省のガイドラインでは、雨が直接かかる部分は4年に一度、雨が当たりにくい部分は6年に一度の塗装が推奨されています。
これは全国的に適用可能な基準であり、修繕計画を立てる際の大きな参考となります。

塗料メーカーの推奨周期

一方で、塗料メーカーはもう少し細かい基準を提示しています。
たとえば機械式駐車場では5年に一度、屋上の鉄部や外階段では4〜6年に一度の塗装を推奨しています。
メーカーの推奨周期は塗料の性能を最大限発揮できる期間を示したものであり、建物の立地条件や使用状況に応じて柔軟に調整する必要があります。

実際の判断ポイント

実際に鉄部塗装を行うかどうかを判断する際は、年数だけでなく現場の状況を観察することが大切です。
例えば、鉄部にサビが発生している場合は軽度でも早期に対処すべきです。
また塗膜が剥がれたり変色している場合は、美観の問題だけでなく防錆機能が低下しているサインです。
さらに、鉄部に触れた際に手に白い粉が付着する「チョーキング現象」が見られた場合は、塗膜が劣化している代表的な症状といえます。
こうした兆候が出ていれば、目安年数に関係なく早めの塗装を検討することが望ましいでしょう。

マンションの大規模修繕で鉄部塗装を成功させるポイント

鉄部塗装は工事の質によって、耐久性や美観が大きく変わります。
長期的に良好な状態を維持するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

鉄部塗装に使用する塗料の選び方

鉄部塗装は外壁や屋上防水と異なり、修繕周期が短い傾向にあります。
そのため、大規模修繕全体の計画に合わせて塗料を選ぶことが大切です。例えば12年ごとの修繕計画に合わせるなら、耐用年数10年以上のシリコン塗料やフッ素塗料を選ぶことで、工事のタイミングを効率化できます。
コストを抑えたい場合はウレタン塗料でも対応可能ですが、早めの再塗装が必要になることを念頭に置きましょう。

ケレン作業・防錆対策の徹底

鉄部塗装の品質を左右するのは、下地処理です。
ケレン作業を怠れば、数年で塗膜が剥がれる可能性があります。
また、下塗りで防錆塗料を正しく使用することで、サビの再発を防止できます。
施工業者に依頼する際は、ケレンや防錆処理の具体的な方法について確認しておくと安心です。

信頼できる業者選び

業者によって施工品質は、大きく異なります。
鉄部塗装の実績が豊富で、施工写真や過去の事例を公開している業者を選びましょう。
また、見積書の透明性や保証内容、担当者の説明の丁寧さも判断基準になります。
相見積もりを取り、内容を比較することが失敗を防ぐ第一歩です。

マンション大規模修繕の鉄部塗装に関するよくある質問(FAQ)

実際に鉄部塗装を検討する際、多くの方が疑問に思う点をまとめましたのでご覧ください。

Q1. 鉄部塗装は自分で行えますか?

DIYでの塗装は可能ですが、ケレン作業や防錆処理を正しく行うには専門知識と道具が必要です。
耐久性を確保するためには、専門業者に依頼するのが望ましいです。

Q2. 鉄部塗装の工事期間はどのくらいかかりますか?

規模や部位によりますが、手すりや扉など部分的な工事なら数日程度、階段や駐輪場など範囲が広い場合は1〜2週間かかることもあります。

Q3. 鉄部塗装の費用を抑える方法はありますか?

複数業者から見積もりを取り比較すること、他の修繕工事と同時に行い足場費用を節約することが効果的です。
また、適切な周期で塗装を行うことで、大規模な交換工事を避けることができます。

Q4. 鉄部塗装と一緒に行うべき工事はありますか?

外壁塗装や屋上防水と同時に行うと、効率的です。
足場を一度設置することでコスト削減につながり、建物全体の耐久性向上にも寄与します。

Q5. 鉄部塗装の劣化サインを見逃さないチェック方法は?

サビの有無・塗膜の剥がれ・変色・チョーキング現象(手に粉がつく現象)を、定期的に確認しましょう。
共用部は居住者の目にも触れやすいため、日常のチェックも大切です。

マンション大規模修繕の鉄部塗装で建物価値を守る|まとめ

鉄部塗装は、マンションの大規模修繕において欠かせない工事のひとつです。
劣化を放置すれば安全性の低下や修繕費用の増大、資産価値の低下につながります。
適切な塗料選び、徹底したケレン作業と防錆対策、そして信頼できる業者選びが成功の鍵です。
さらに、定期的な点検と適切な周期での塗装を実施すれば、マンション全体の寿命を延ばし、居住者にとって快適で安全な環境を維持できます。
鉄部塗装を計画的に行うことで、長期的なコスト削減と資産価値の維持を実現しましょう。

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