ウレタン防水工事の適正単価の相場どのくらい?見積もりで注意することとは?
2025/08/12
建物の大切な防水機能を守るウレタン防水工事。
適切な防水工事を実施するためには、まず工事費用の相場を知ることが重要です。
ウレタン防水の単価は、施工面積や工法、材料の種類によって大きく異なり、ベランダや屋上などの施工箇所によっても価格が変動します。
特に見積もりを取る際は、シート防水や通気緩衝工法など、他の防水工事との単価の違いを理解し、比較検討することが賢明です。
本記事では、ウレタン防水工事の一般的な相場や単価表を基に、屋上防水やベランダ防水の費用について詳しく解説します。
また、見積もりを依頼する際の注意点や、適正価格を見極めるポイントについてもご紹介していきます。
ウレタン防水工事とは?特徴と補修の重要性
ウレタン防水工事は、液状のウレタン樹脂を塗り重ね、防水層を形成する工法です。柔軟性が高く、複雑な形状の屋上やベランダにも対応できるため、幅広い建物で採用されています。既存の防水層にひび割れや剥がれが発生した場合には、「ウレタン補修」と呼ばれる部分補修を行い、防水性能を回復させます。
補修そのものは比較的容易ですが、施工精度によって仕上がりや耐久性が大きく変わるため、業者選びが非常に重要です。不適切な補修は防水効果を低下させ、かえって雨漏りや膨れの原因になることがあります。施工実績や資格を確認し、信頼できる業者に依頼することが長持ちする防水工事の秘訣です。
ウレタン防水のメリットとデメリット
ウレタン防水はコスト面・施工性で優れている一方、施工品質が職人の技量に大きく依存する工法です。メリットとデメリットを正しく理解し、工事の判断材料にしましょう。
メリット | 内容 |
---|---|
コストが安い | 他の防水工法に比べて初期費用を抑えやすい |
補修が容易 | 局所的な剥がれや傷みにも部分補修で対応可能 |
複雑な形状に対応 | 隅や段差の多い屋上・ベランダにも施工可能 |
デメリット | 内容 |
---|---|
業者選びが重要 | 技量不足の施工は耐用年数を大きく下げる |
手抜き施工のリスク | 下地処理や塗布回数を省略されると不具合発生 |
職人の腕で仕上がりが変わる | 光沢や平滑性、防水性能に差が出やすい |
ポイント
- メリットを活かすには、施工経験が豊富な業者を選定することが必須です。
- 安さだけで選ばず、耐用年数や保証内容もあわせて確認しましょう。
ウレタン防水の工法別特徴と費用相場【3種類を徹底比較】
ウレタン防水工事は、施工方法によって耐久性や費用、工期が変わります。ここでは代表的な3つの工法について、それぞれの特徴と1㎡あたりの費用相場を比較します。建物の下地の状態や施工面積、使用環境によって最適な工法は異なるため、選定の参考にしてください。
工法の種類 | 工法の内容 | 特徴・適用場面 | 費用相場(㎡単価) |
---|---|---|---|
密着工法 | 既存の下地に直接ウレタン防水材を塗布する方法 | 下地が健全な場合に適し、工期が短く費用も安価 | 約4,000円〜6,000円 |
メッシュ工法 | 下地と防水層の間にガラス繊維メッシュを挟み補強 | クラック(ひび割れ)や下地の強度不足に有効 | 約5,000円〜7,000円 |
通気緩衝工法 | 下地と防水層の間に通気緩衝シートを設置 | 下地からの水蒸気による膨れを防ぎ、雨漏りリスクが低減 | 約5,500円〜8,000円 |
補足
- 密着工法はコストを抑えたい場合や面積が狭いベランダ・バルコニー向け。
- メッシュ工法は既存下地に微細な損傷がある場合や補強が必要な屋上に適用。
- 通気緩衝工法は雨漏りや膨れの再発を防ぐため、既に漏水がある建物や築年数の古い屋上で選ばれることが多い。
ウレタン防水 密着工法の特徴と適用場面
密着工法は、既存の防水層が健全な場合に、その上から新たにウレタン防水層を直接塗布して仕上げる方法です。防水層の撤去作業が不要なため、工期とコストを抑えやすいのが特徴です。ただし、既存層が劣化していると密着が困難なため、事前の下地調査が不可欠です。
メリット | デメリット |
---|---|
撤去作業が不要で工期が短い | 既存層が劣化していると施工不可 |
費用を抑えられる | 不陸調整など下地処理に手間がかかる |
下地が良好なら耐久性も高い | 下地状態に施工可否が左右される |
こんな人におすすめ
- 下地が良好で、ひび割れや剥離がない建物
- 築年数が浅いマンションや戸建て
- 紫外線や熱の影響が少ない環境下の屋上・バルコニー
ウレタン防水 メッシュ工法の特徴と強み
メッシュ工法は、既存防水層の上にガラス繊維などのメッシュシートを敷き、その上からウレタン防水材を塗布する方法です。補強効果が高く、細かなひび割れにも追従できるため、防水性能を長期的に維持できます。複雑な形状の屋根やバルコニーにも対応可能ですが、施工費用や工期は密着工法よりやや高めです。
メリット | デメリット |
---|---|
補強効果が高く耐久性に優れる | 他工法より施工費用が高い |
細かなひび割れにも対応 | 下地が悪いと施工不可 |
複雑な形状にも施工可能 | 施工に時間がかかる |
こんな人におすすめ
- 既存防水層が比較的健全な状態
- 補強を行い防水性能をさらに高めたい場合
- 雨漏りやひび割れリスクを長期的に防ぎたい建物
ウレタン防水 通気緩衝工法の特徴と効果
通気緩衝工法は、防水層と下地の間に通気性のあるシートを敷き、水蒸気を効果的に外部へ逃がす工法です。これにより防水層の膨れや剥離を防ぎ、既に雨漏りしている建物や膨れが発生している防水層にも対応できます。さらに、通気層は衝撃を吸収するため、建物の動きや振動にも強い構造になります。
メリット | デメリット |
---|---|
通気層+防水層の二重構造で長期保証可(10年以上も可能) | 初期費用が高め |
水蒸気を排出し膨れや剥離を防止 | 工期が長い |
雨漏り箇所の特定が容易 | 専門的な技術が必要 |
こんな人におすすめ
- 既に雨漏りが発生している建物
- 大きなひび割れや膨れがある防水層
- 水たまりが発生しやすい屋上・バルコニー
- 植栽や重量物が設置されている屋上
ウレタン防水の単価相場と25㎡施工時の費用目安
ウレタン防水工事の一般的な単価相場は約7,500円/㎡ですが、施工場所・工法・使用材料・工期・人件費によって大きく変動します。特にベランダと屋上では条件が異なるため、単価にも差が出ます。
施工場所別の単価と25㎡施工時の費用
施工場所 | 単価相場(㎡あたり) | 25㎡の場合の工事費用目安 | 主な用途例 |
---|---|---|---|
ベランダ | 約4,000〜7,000円 | 約100,000〜175,000円 | アパートやマンション各階のベランダ部分 |
屋上 | 約6,000〜8,500円 | 約150,000〜212,500円 | 小型戸建て住宅や低層ビルの屋上 |
単価が異なる主な理由
- 施工面積と材料使用量の違い
- 屋上は面積が広く、必要な防水材や下地処理の量が増える。
- 作業環境と安全対策
- 屋上施工は高所作業となるため、足場設置や安全設備が必要になり、その分コストが上昇。
- 使用する防水材の耐久性
- 屋上は常に雨・風・紫外線にさらされるため、より高耐候性・高品質な防水材を採用する傾向がある。
- 下地の状態による追加工事
- 既存防水層の劣化が激しい場合、撤去後に新たな防水層を形成する必要があり、この撤去費は約800〜1,500円/㎡が相場。
注意点
- 見積もり時は「本体工事費」+「撤去費」+「付帯作業費」を合計して比較することが重要です。
- 同じ面積でも工法(密着工法・メッシュ工法・通気緩衝工法)によって単価が変動します。
- 足場費用が別途必要な場合は、㎡あたり約700〜900円が加算されます。
ウレタン防水工事にかかる作業内容と費用相場
ウレタン防水工事では、単に防水材を塗るだけでなく、下処理や補修、機器設置、廃材処分など多くの工程が必要です。これらの費用は工事本体とは別に計上されるため、見積もり時に詳細を確認しておくことが大切です。特に下地補修や足場の有無によって総額は大きく変動します。
工事前に発生する主な費用
作業内容 | 費用単価(目安) | 解説 |
---|---|---|
高圧洗浄 | 約200〜300円/㎡ | 既存防水層や下地の汚れ・付着物を除去し、防水材の密着性を高める作業 |
下処理 | 約200円/㎡ | 不陸調整やプライマー塗布など、施工前の基礎作業 |
下地補修(必要時) | 約200〜300円/㎡ | クラックや欠損部分の補修。劣化が進んでいる場合は必須 |
機器・部材の設置費用
内容 | 費用単価(目安) | 解説 |
---|---|---|
改修用ドレン設置 | 約15,000円/箇所 | 雨水排水口を新設・交換し、排水不良を防ぐ |
脱気筒設置 | 約15,000円/箇所 | 防水層下の水蒸気を排出し、膨れや剥離を防止 |
その他の付帯費用
内容 | 費用単価(目安) | 解説 |
---|---|---|
発生材処分費 | 約10,000〜30,000円 | 古い防水材や廃材の処分費用 |
管理費 | 約10,000〜30,000円 | 工事全体の現場管理・安全管理費 |
諸費用(荷下ろし等) | 約10,000〜30,000円 | 材料搬入・搬出や特殊作業の人件費 |
足場設置・撤去(必要時) | 約700〜900円/㎡ | 高所作業や外壁面施工時に必須となる安全設備 |
注意点
- 現場の劣化状況や建物形状により、追加費用が発生する場合があります。
- 見積もりは**「工事費用+付帯費用」**の総額で比較することが重要です。
- 足場費用は工事面積が広いほど高額になりやすく、全体予算に大きく影響します。
ウレタン防水工事の見積書に関する注意点
業者に見積もりを依頼する際のチェックポイントや注意点について解説します。
まず、見積書は複数の業者から取得することが重要です。
複数の見積もりを比較することで、適正な価格を把握できます。 見積書に記載されている内容で特に注視すべきポイントは、次の通りです。
ウレタン防水の単価の相場確認
ウレタン防水の単価の相場確認は、適切な工事品質を確保する上で重要なポイントとなります。
近年、「激安」をうたう業者が増えていますが、極端な低価格での施工は品質低下のリスクがあります。
そのため、まずは市場の標準的な相場を確認し、見積もり金額が適正範囲内かどうかを判断しましょう。過剰に高い、または激安価格の場合は、その理由を業者に詳しく問い合わせることが重要です。
特に低価格の場合は、使用する材料の品質や施工方法、保証内容などをしっかりと確認する必要があります。
適切な品質の防水工事を実現するためには、適正な価格での施工が不可欠です。価格だけでなく、工事の内容や業者の実績、アフターフォローなども含めて総合的に判断しましょう。
工法や作業工程の明記
見積書には、具体的な工法や作業工程が明記されていることを確認しましょう。
施工内容が明確であることは、後々のトラブルを避けるために重要です。
使用する防水材料の明確化
見積書には、使用する防水材料の種類や品質が明記されていることを確認しましょう。
品質の良い材料を使用することで、防水効果や耐久性が向上します。
最も重要なのは、単価だけでなく見積もり全体を見て判断することです。
安価な見積もりであっても、施工内容や使用する材料が適切であるかを確認することが重要です。
トータルバランスの良い見積書であることを判断することが大切です。
ウレタン防水工事の費用を抑える3つのポイント
ここでは、ウレタン防水工事の費用を節約するための3つのコツを紹介します。
定期的なメンテナンス
定期的なメンテナンスを行うことで、建物の寿命を延ばし、修繕費用を抑える事ができます。
防水層の劣化や損傷を早期に発見し修復することで大規模な修理や再施工を回避し、コストを節約できます。
火災保険や補助金の活用
ウレタン防水工事では、火災保険や補助金の活用で一部の費用をカバーできる場合があります。
火災保険が適用されるケースとしては、防水工事を行った建物が火災に遭った場合や自然災害の影響で発生した雨漏りによる損害などが挙げられます。
ただし、火災保険の適用には条件があります。建物の使用目的や建築年数、保険金額などによって異なり、防水工事を行う前に保険会社と相談することが重要です。
また、国や自治体から防水工事の補助金をもらえる場合があります。
申請が可能な居住地域や所得制限などの条件がありますが、条件をクリアすれば申請が可能です。
詳細については、国や自治体の補助金担当窓口に問い合わせてみましょう。
防水工事を自分で行う
一部の作業を自己で行うことで、工事費用を大幅に節約できる場合があります。
しかし、DIYで行う場合は適切な知識と技術が必要であり、無理のない範囲で行うことが重要です。
作業中にミスが生じると後の修復費用がかさむ可能性があるため、少々の費用がかかっても、業者に依頼することで安心感が得られますし、プロの技術によって品質の高い工事が行われるでしょう。
防水工事をDIYする場合は慎重に検討してください。
ウレタン防水工事業者の選び方
防水工事は特殊な工事であり、業者の選び方は重要な要素です。 以下に、防水工事業者を選ぶ際のポイントを紹介します。
防水工事専門で多くの施工実績があること
専門の業者であることが重要です。
施工実績が豊富であれば、その業者の信頼性が高いと考えられます。
職人が防水施工技能士の資格を保有していること
防水施工技能士の資格を保有している職人が在籍しているかどうかを確認しましょう。
この資格を持つ職人は、防水工事の専門知識と技術を有しています。
施工中の写真を見せながら説明してくれること
施工中の写真を見せながら丁寧に説明してくれる業者は、信頼できると言えます。施工の進捗状況や工程を把握しやすく、安心して工事を任せられます。
これらの条件をクリアしている業者であれば、安心して防水工事を任せることができるでしょう。
防水工事を行うには、専門資格である防水施工技能士を取得している職人でなければ工事を行うことはできません。
悪徳業者に注意し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
防水効果を長持ちさせるためには
防水工事の施工後でも、効果を長持ちさせるためには以下の3つのポイントがあります。
定期的なドレンの清掃
定期的にドレンを清掃することで、雨水が溜まることなくスムーズに流れるようになります。
水溜まりができると、防水層にも影響が出る可能性があるため、定期的な清掃が重要です。
業者による定期点検
施工後は定期的に業者に点検してもらうことが重要です。
業者が定期点検を行うことで、早期に問題を発見し修復することができます。
防水工事に関するよくある質問(FAQ)
5年ごとにトップコートを塗り替える
防水工事で施工した最上層のトップコートを5年ごとに塗り替えることで、防水効果を持続させることができます。
トップコートの定期的な塗り替えは、防水層の劣化を防ぎます。
これらのポイントを実践することで、防水工事の効果を長持ちさせることができます。まずはできることから始めてみましょう。
Q1. 防水工事とはどんな工事ですか?
A. 防水工事は、建物内部に雨水や地下水が浸入するのを防ぎ、構造の劣化を防止するための施工です。主に屋上・ベランダ・外壁・浴室・基礎部分など、水に弱い箇所に行います。適切な防水工事を行うことで、雨漏り防止・耐久性向上・資産価値の維持が可能です。
Q2. 防水工事の費用相場はどのくらいですか?
A. 工事費用は工法・施工面積・下地の状態・地域によって変動します。以下は一般的な目安です。
箇所 | 費用相場 |
---|---|
屋上防水(戸建て30〜50㎡) | 約50〜150万円 |
屋上防水(アパート・マンション100〜200㎡) | 約200〜500万円 |
ベランダ防水(10㎡程度) | 約15〜30万円 |
外壁防水(戸建て100〜150㎡) | 約100〜300万円 |
基礎防水(戸建て) | 約30〜100万円 |
ポイント
- 工事方法(ウレタン防水・シート防水・FRP防水など)で単価が異なります。
- 足場設置や下地補修が必要な場合は、追加費用が発生します。
Q3. 防水工事は何年ごとに行うべきですか?
A. 防水の耐用年数は材料や施工環境によって異なります。下記はおおよその周期です。
防水の種類 | メンテナンス周期 |
---|---|
ウレタン塗膜防水 | 約10〜15年 |
アスファルト防水 | 約15〜20年 |
シート防水 | 約15〜20年 |
FRP防水 | 約10〜15年 |
シーリング(目地) | 約5〜10年 |
外壁防水塗装 | 約7〜10年 |
ポイント
- 強い紫外線・降雨量の多い地域では劣化が早まる場合があります。
- 定期点検を行い、劣化サイン(ひび割れ・膨れ・色あせ)が出たら早めに対応しましょう。
Q4. 防水工事の期間はどれくらいかかりますか?
A. 規模・工法・天候によって変わりますが、おおよその目安は以下の通りです。
工事内容 | 工事期間の目安 |
---|---|
屋上防水(アパート) | 約1〜2週間 |
屋上防水(マンション) | 約2週間〜1ヶ月 |
ベランダ防水 | 約2〜4日 |
外壁防水(アパート) | 約2〜3週間 |
外壁防水(マンション) | 約1〜3ヶ月 |
基礎防水 | 約3〜7日 |
ポイント
- 雨天や強風の日は作業が中断するため、予備日を含めたスケジュール計画が必要です。
- マンションやアパートでは、住民への事前周知と調整も重要です。
ウレタン防水工事費用のまとめ
ここまで、ウレタン防水の単価相場について説明してきました。
現在、ウレタン防水は他の防水材料に比べて比較的安価であり、そのため多くの場面で採用されています。
ウレタン防水には、密着工法、メッシュ工法、通気緩衝工法という3つの施工方法があり、それぞれ異なる施工箇所に適しています。
また、見積書は複数の業者から取って比較検討することが非常に重要です。さらに、条件が揃っていれば火災保険や補助金の活用も検討しましょう。
最後に、定期的なメンテナンスや定期点検を行うことで、防水効果を長持ちさせることができますので、日頃からのケアを怠らないようにしましょう。