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マンション屋上防水|アスファルト防水×押さえコンクリートの基礎と対策

マンション屋上防水|アスファルト防水×押さえコンクリートの基礎と対策

2025/07/31

マンションの屋上防水にはさまざまな工法がありますが、なかでもアスファルト防水と押さえコンクリートを組み合わせた構造は、耐久性と安定性に優れた方法として広く採用されています。この構造は、アスファルト防水層をコンクリートで保護することにより、紫外線や熱、摩耗などの外的要因から防水層を守るという特徴があります。本記事では、その構造の仕組みや施工方法、メリット・デメリット、注意点などを詳しく解説していきます。

アスファルト防水と押さえコンクリート構造の基礎知識

アスファルト防水と押さえコンクリートの構造を理解することは、マンションの屋上防水工事を成功させるための第一歩です。このセクションでは、それぞれの技術の特徴や役割を明らかにし、両者がどのように組み合わさることで高耐久な防水層を形成しているのかを解説します。

アスファルト防水とは?

アスファルト防水は、古くから使われている信頼性の高い防水工法です。アスファルトを主成分とした防水シートを熱で溶かしながら重ねて貼り付ける「熱工法」や、バーナーで炙りながら接着する「トーチ工法」、常温で施工可能な「常温工法」などがあります。それぞれの工法により施工性や安全性が異なり、建物の状況や現場環境に応じて適切な方法が選ばれます。

押さえコンクリート構造とは?

押さえコンクリート構造とは、防水層の上にモルタルやコンクリートを打設して、防水層を物理的に保護する仕組みのことです。この構造は「保護断熱型屋根」としても知られており、防水層の耐久性を大幅に向上させることができます。また、屋上を歩行用スペースや設備設置スペースとして活用する際にも有効です。

アスファルト防水+押さえコンクリートのメリット・デメリット

アスファルト防水と押さえコンクリートの組み合わせは、多くのマンションで採用されている信頼性の高い屋上防水構造です。しかし、その選定には明確な利点と課題の両面を理解しておくことが不可欠です。このセクションでは、それぞれのメリットとデメリットを比較しながら詳しく見ていきます。

メリット

  • 耐久性が高い:適切な施工とメンテナンスを行えば、20年以上の耐用年数を実現できます。
  • 紫外線や熱から防水層を保護:コンクリート層が遮熱・遮光の役割を果たし、防水層の劣化を防ぎます。
  • 屋上スペースの活用が可能:設備機器や避難経路としても利用でき、建物の利便性が向上します。

これらのメリットにより、マンションのように長期間の耐久性が求められる建物には非常に適した工法といえるでしょう。

デメリット

  • 工期が長くなる:コンクリートの養生期間が必要となり、全体の施工期間が延びる傾向にあります。
  • 構造に負担がかかる:コンクリートの重量が加わるため、建物の設計段階から対応しておく必要があります。
  • メンテナンスが困難:防水層がコンクリートの下にあるため、点検や補修が難しくなるケースがあります。

これらのデメリットは、設計段階での計画と、将来的な維持管理を見越した対策により最小限に抑えることが可能です。

どんな建物に適している?採用されやすいケース

この工法が特に効果を発揮するのは、以下のような建物や状況です

  • 高層マンション:風圧や紫外線への耐性が高く、長寿命な構造が求められる
  • 屋上に人が出入りする建物:避難経路や共用スペースとして屋上を使う場合
  • 屋上緑化や設備設置がある建物:重量物の設置に耐えられる構造が必要なケース

このように、アスファルト防水+押さえコンクリートは、使用頻度の高い屋上や高耐久が求められる建物にとって非常に有効な選択肢です。

アスファルト防水+押さえコンクリートの施工工程

アスファルト防水と押さえコンクリートの構造は、段階的な施工手順を経て完成されます。各工程には適切な材料選定、熟練の技術、そして緻密な管理が求められます。これにより、長期的な防水性能を確保するだけでなく、建物全体の耐久性や安全性の向上にもつながります。以下では一般的な施工の流れを詳細に解説します。

一般的な施工の流れ

  1. 既存防水層の撤去(必要に応じて)
    既存の防水層が劣化している場合、すべてを撤去し、新しい防水層を確実に施工できるように表面を処理します。撤去には専門の工具と廃材処理手配も必要です。
  2. 下地処理・勾配調整
    雨水の排水効率を高めるために、適切な水勾配を確保しつつ下地を平滑に仕上げます。表面にひび割れや穴がある場合は、補修材でしっかりと処理します。
  3. アスファルト防水層の施工
    トーチ工法、熱工法、または常温工法など、建物の構造や環境に応じた工法でアスファルト系防水シートを多層に貼り合わせ、防水層を構築します。施工時には重ね幅、加熱温度、シート間の密着状態など細部まで品質管理が求められます。
  4. 保護層(絶縁シートや断熱材)の設置
    防水層の保護と温度変化からの影響を抑えるため、断熱材や絶縁シートを重ねます。これにより押さえコンクリートと防水層の接触による破損を防ぎます。
  5. 押さえコンクリート打設
    50〜60mm程度の厚みで均一にコンクリートを打設します。コンクリートにはひび割れ防止のために鉄筋やファイバー材を使用する場合もあり、表面はモルタルなどで仕上げられます。
  6. 目地・ドレン・伸縮対策の施工
    コンクリートの乾燥・収縮によるクラックを防ぐため、伸縮目地を適切な間隔で設置し、雨水を適切に排出するドレンも配置します。これにより、排水性と耐久性を両立させます。

アスファルト防水+押さえコンクリート工法の費用相場と見積もりのポイント

アスファルト防水+押さえコンクリート工法は初期費用が比較的高めですが、長期的な視点で見れば経済的であり、メンテナンスの頻度が抑えられるのも大きな利点です。適正な見積もりを得るには、現場調査をしっかりと行い、仕様のすり合わせを行うことが重要です。

項目相場目安(㎡あたり)補足説明
アスファルト防水工事6,000〜10,000円シート材料・工法・階層数による変動あり
押さえコンクリート工事4,000〜8,000円コンクリートの厚みや配筋量で変動
総額(目安)10,000〜18,000円足場・廃材処理など別途費用に注意

また、以下のような項目も確認すべきです:

  • 仮設足場の設置費用
  • 廃材処分費・搬出経路の確保
  • 施工期間中の天候リスクと工程管理

補修・改修のタイミングとポイント

押さえコンクリート構造では、防水層がコンクリートに覆われているため目視点検が困難です。そのため、定期的な建物診断や専門的な劣化調査が非常に重要です。兆候を早期に把握し、計画的にメンテナンスを行うことで、予期せぬ雨漏りや改修コストの高騰を防ぐことができます。

劣化サインの例

  • 屋上に水たまりができるようになった
  • ドレンの排水が悪く、詰まりや汚れが目立つ
  • 室内の天井に雨染みやカビが発生
  • コンクリート面の浮きや剥がれ

改修方法の一例

  • 部分補修:小規模な漏水であれば、コンクリートの一部を解体し、局所的に防水層を再構築する方法が取られます。
  • 全面改修(再防水+新コンクリート):広範囲の劣化が確認された場合には、防水層をすべて撤去し、再度押さえコンクリートを打設する必要があります。
  • 露出防水への切替え:点検・改修のしやすさを重視する場合、ウレタン塗膜防水やシート防水への転換が選ばれることもあります。

業者選びのポイントと注意点

アスファルト防水+押さえコンクリートの施工は、高度な技術と実績が必要なため、業者の選定は最も重要なステップの一つです。業者選びを誤ると、施工不良による再漏水や大規模なやり直し工事に発展しかねません。

チェックすべきポイント

  • 類似実績(マンション屋上や大型建築物)に詳しいか
  • アスファルト防水の施工資格者が在籍しているか
  • 保険・保証内容(第三者機関の瑕疵保険加入など)を提示しているか
  • 設計図・仕様書・工程表・材料表がきちんと揃っているか
  • 担当者が建築知識を持ち、相談に丁寧に対応してくれるか

業者選定の際は、必ず複数社に相見積もりを依頼し、価格だけでなく提案力やアフターサポート体制も評価材料にすることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. コンクリートの下にある防水層はどうやって点検するの?

A. 目視が困難なため、赤外線サーモグラフィー、電気抵抗測定、散水調査といった非破壊検査技術を用います。特に赤外線調査は広範囲を短時間で調査可能で、定期点検に最適です。

Q2. 他の防水工法と比べてコストはどのくらい違いますか?

A. ウレタン防水や塩ビシート防水と比較すると初期投資額は20〜30%程度高くなる傾向がありますが、メンテナンス周期が長く、トータルでは経済的です。

Q3. 表面のひび割れは防水層に影響しますか?

A. はい、特にひび割れから水分が浸透することで、内部の防水層が浮きや剥がれを起こす可能性があります。軽度でも早期対応が重要です。

まとめ

アスファルト防水と押さえコンクリートの構造は、耐久性・安全性・遮熱性の面で非常に優れた屋上防水工法です。特にマンションのような大型建物においては、共用部としての屋上利用や設備設置を考慮する上でも最適な選択肢といえます。

一方で、初期費用が高く、施工やメンテナンスに一定の手間がかかるという特徴もあるため、採用にあたっては建物の構造条件や運用方針に応じた検討が必要です。信頼できる業者との連携のもとで、調査・設計・施工・保証までトータルで管理することが、長期にわたって安心できる防水環境を築く鍵となります。

適切な計画と管理により、資産価値の維持と快適な居住環境の実現が可能になります。

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