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屋上防水のカバー方式とは?メリット・デメリット・撤去工法との違いを徹底解説

屋上防水のカバー方式とは?メリット・デメリット・撤去工法との違いを徹底解説

2025/08/20

屋上防水で採用される「カバー方式」は、既存の防水層を活かしながら新しい防水層を重ねる工法です。工期短縮やコスト削減といったメリットがある一方で、条件を満たさなければ施工できない場合もあります。本記事では、カバー方式の特徴、メリット・デメリット、撤去工法との違い、施工条件まで詳しく解説します。さらに、どのような建物で採用しやすいのか、注意すべき点についても取り上げ、屋上防水を検討している方に役立つ情報をまとめました。

屋上防水のカバー方式とは?

カバー方式とは、既存の防水層を残したまま、その上に新しい防水層を重ねる工法です。劣化した部分のみを撤去して補修し、下地を整えたうえで施工するため「かぶせ工法」とも呼ばれます。従来の防水層を撤去しないため、産業廃棄物が少なく、工期や費用を削減できる点が特徴です。また、環境負荷が小さい点からも注目されており、マンションや商業ビルの改修工事で広く採用されています。

例えば、築20年程度のマンションで大規模修繕を行う場合、既存の防水層をすべて撤去するとなると費用も工期も膨大になります。しかし、劣化が軽度であればカバー方式を選ぶことで工事費用を数百万円単位で抑えられるケースも珍しくありません。そのため、管理組合やビルオーナーが積極的に検討する選択肢となっています。

ただし、雨漏りが進行している建物や、重量増によって構造的に不安がある場合には適用できません。事前に専門業者による詳細な診断が不可欠であり、誤った判断をすると逆にトラブルを招くリスクもあります。

カバー方式のメリットとデメリット

カバー方式には、コスト削減や工期短縮といった魅力的な利点がある一方で、条件を満たさないと施工できないデメリットもあります。それぞれを理解することで、自分の建物に適した方法かどうかを判断できるようになります。

カバー方式を行うメリット

  • コストを抑えられる:既存防水層の撤去作業が不要なため、工事費用を大幅に削減できます。撤去費用や廃材処分費がかからないのも大きな魅力です。
  • 工期が短い:撤去工程が省略されるため、全体工期を短縮できます。大規模な屋上でも、従来工法より数週間短縮できるケースがあります。
  • 廃棄物が少ない:撤去しない分、産業廃棄物の発生量を抑えられ、環境にも優しいです。SDGsの観点からも評価されています。
  • 二重の防水効果:既存防水層の上に新しい層を重ねるため、二重構造で防水性能を強化できます。特に耐用年数の延長に効果的です。
  • 騒音や振動が少ない:撤去作業がないため工事中の音や振動が少なく、近隣への影響を抑えられます。居住中のマンションや商業施設で採用しやすい工法です。

カバー方式を行うデメリット

  • 施工できる素材が限られる:ウレタン・アスファルト・FRP・塩ビ系防水以外には対応できません。素材の相性を誤ると施工不良につながります。
  • 重量増加のリスク:防水層が二重になるため、建物への荷重が増えます。築年数が古い建物や軽量構造の建物では注意が必要です。
  • 耐久性に影響する可能性:既存防水層の状態次第では、防水性能が長持ちしない場合があります。下地調整を怠ると施工後数年で効果が低下することもあります。
  • 施工条件の制約:雨漏りが発生している場合や下地が傷んでいる場合は適用できません。表面的に問題がなくても内部で劣化が進行している場合もあり、診断の精度が問われます。

カバー方式と撤去工法の違い

屋上防水工事には「カバー方式」と「撤去工法」があります。それぞれの違いを理解し、適切な工法を選ぶことが大切です。ここでは、コスト・工期・廃棄物量・騒音・重量・雨漏り対応といった観点で比較します。

コストの違い

カバー方式は既存防水層を活かすため、撤去工法に比べて低コストです。一方、撤去工法は一から施工し直すため費用が高くなります。一般的に同じ面積でも1.5倍程度の差が出る場合があります。

工期の違い

撤去作業が不要なカバー方式のほうが短期間で完了します。撤去工法は撤去工程に時間を要し、長期化する傾向があります。居住者やテナントがいる建物では工期短縮が特に重要です。

廃棄物の量の違い

カバー方式は撤去が少ないため廃棄物が少なく、撤去工法では大量の廃材が発生します。産業廃棄物の処理費用は増加傾向にあるため、費用面での違いも無視できません。

振動・騒音の違い

カバー方式は静かに施工できるのに対し、撤去工法は騒音や振動が大きいため、近隣への配慮が必要です。特に商業施設や学校などで工事を行う際には大きな検討ポイントです。

重量の違い

撤去工法は既存層を取り除くため重量が軽くなります。一方、カバー方式は重量が増すため、建物への負担が懸念されます。耐震性や構造強度への影響も考慮しなければなりません。

雨漏りへの影響

雨漏りがある場合は、カバー方式では対応できず、撤去工法で根本的な解決を図る必要があります。雨漏りの発生原因を特定できる点でも撤去工法のほうが優れています。

結論:劣化が軽度でコストを抑えたい場合はカバー方式、雨漏りや大規模劣化がある場合は撤去工法が適しています。選択を誤ると再施工のリスクが高まるため、専門家の診断を受けることが必須です。

屋上防水工事でカバー方式が行える条件

カバー方式を採用できるかどうかは、建物の状態によって異なります。以下の条件を満たす必要があります。条件を見誤ると耐用年数が著しく短くなるため、慎重な判断が欠かせません。

既存の防水層の劣化が軽度である

表面のひび割れや小規模な劣化程度であればカバー方式が可能ですが、大きな破損や雨漏りがある場合は撤去工法が望ましいです。施工前に赤外線カメラや打診調査などを行うと劣化の度合いを正確に把握できます。

重量に問題がない

カバー方式は重量が増えるため、建物の構造的耐久性に問題がないことが条件です。特に築年数が古い建物では事前の構造確認が必要です。耐震診断と併せて検討するとより安心です。

現在の防水層が適切な素材である

対応できる素材はウレタン・アスファルト・FRP・塩ビに限られます。それ以外の素材ではカバー施工できません。過去の施工履歴を確認し、どの材料が使われていたのかを把握しておくと判断がスムーズになります。

カバー方式を手掛ける業者の選び方

屋上防水のカバー方式を成功させるには、施工を依頼する業者選びが極めて重要です。防水工事は専門性が高く、業者の経験や技術によって仕上がりに大きな差が出ます。ここでは、業者を選ぶ際に重視すべきポイントを解説します。

専門知識と実績を持つ業者を選ぶ

カバー方式を依頼する場合、防水工事に特化した業者を選ぶことが不可欠です。特に、マンションやビルなどの大規模建物での施工実績が豊富な業者は信頼性が高いと言えます。過去の施工写真や事例を確認し、経験の有無を見極めましょう。

保証とアフターサービスに注目する

施工後に問題が発生した場合の保証や定期的なアフターメンテナンスが用意されているかどうかも重要です。保証期間が長く、定期点検サービスを提供している業者であれば、施工後の安心感が高まります。

見積もりの透明性を確認する

見積書に工事項目・材料費・人件費・保証内容などが明記されているかを必ずチェックしましょう。内訳が不透明な場合は追加請求やトラブルにつながる恐れがあります。複数業者から相見積もりを取り、価格だけでなく説明の丁寧さも比較することが大切です。

相場から大きく外れた金額に注意

相場より極端に高額な見積もりは不当請求の可能性があり、逆に安すぎる場合は手抜き工事のリスクが高まります。価格だけでなく、実績や口コミ、保証内容を総合的に判断することが求められます。

費用相場と見積もりの注意点

カバー方式の費用は建物規模や状態によって大きく変動します。以下は一般的な目安です。

  • 平米単価の目安:1㎡あたり6,000〜9,000円程度
  • 小規模屋上(100㎡前後):60万〜100万円前後
  • 中規模マンション屋上(300〜500㎡):200万〜400万円程度
  • 大規模施設(1,000㎡以上):数千万円規模になることも

見積もりの際は「材料費」「人件費」「下地調整費」「産廃処理費」「保証内容」が明確に記載されているか確認しましょう。特に下地処理費用や産業廃棄物処理費用は見落とされやすいため要注意です。

カバー方式のよくある質問(FAQ)

カバー方式のよくある質問を紹介します。

Q1. カバー方式の耐用年数はどのくらいですか?

通常は10〜15年程度の耐用年数が期待できます。ただし、使用する防水材や下地の状態によって差が生じます。

Q2. 雨漏りしている屋上でもカバー方式は可能ですか?

基本的に雨漏りが発生している場合はカバー方式では対応できません。その場合は撤去工法など、根本的な修繕が必要です。

Q3. マンションと戸建てで違いはありますか?

施工方法の基本は同じですが、マンションなどの大型建物では重量や構造に関する制約が多く、より専門的な診断が必要です。

Q4. 工事中の生活や営業に影響はありますか?

カバー方式は騒音や振動が少ないため、比較的影響は小さいです。ただし足場の設置や一部エリアの立入制限が発生する場合があります。

Q5. 補助金や助成金を利用できますか?

自治体によっては、省エネや耐震強化の観点から防水工事への補助金・助成金制度を設けている場合があります。事前に調べることでコストを抑えられる可能性があります。

まとめ

屋上防水のカバー方式は、既存防水層を活かして施工するため、工期短縮やコスト削減に優れた工法です。ただし、施工条件を満たさない場合は適用できず、撤去工法の方が適しているケースもあります。成功の鍵は、信頼できる業者を選び、適切な診断を受けることです。見積もり内容や保証をしっかり確認し、建物の状況に合った最適な方法を選びましょう。

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