防水工事による補修が必要な症状は?工法や費用相場も徹底解説!
「外壁にひび割れや膨れを見つけたのだけど、補修をしたほうが良いの?」
「どのタイミングで防水工事を行えばいいのか分からない」
こんな疑問やお悩みをお持ちのかたはいませんか?
そこで今回は、防水工事による補修が必要な症状についてご紹介していきたいと思います。
防水工事の工法や費用相場についても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
防水工事が必要な理由
家をはじめとした建物に防水工事は必須です。
屋根や外壁、お風呂やキッチンなどの水回りは、特に入念に防水工事を施す必要があります。
防水工事を行わずにいると雨漏りや水漏れがするだけでなく、建物自体の強度が弱くなってしまいます。
コンクリート内の鉄骨が錆び、カビなども発生します。
劣化した部分を放置すると、その部分からさらに劣化が大きく広がっていくので、なるべくダメージが小さいうちに補修するのがおすすめです。
補修が必要な症状
一般的には10年に1度、防水工事を行ないます。
といっても、これはあくまでも目安です。
例えばベランダの、防水層のトップコートの塗り替えは5年に1度行なうのが一般的です。
次のような症状が現れた際にも、そのつど補修が必要になる場合がありますよ。
雨漏り
雨漏りが発生した場合は、すぐにでも防水工事を行なう必要があるでしょう。
雨漏りが起こるということは、屋上やベランダの防水層や、外壁がかなり劣化しています。
専門業者に点検を依頼するのがおすすめです。
水たまり
水たまりがなかなか消えない場合は、屋上やベランダから上手く雨水が排出されていません。
この場合も、早めに点検をしてもらうと良いでしょう。
ひび割れ
ひび割れの大きさによって、防水工事が必要かどうかを判断する必要があります。
ひび割れの幅が0.3mmよりも小さい(ヘアークラック)の場合は補修工事は必要ありません。
しかし0.3mm以上のひび割れがある場合は、建物内部までひび割れている可能性があります。
ちなみに横方向へのひび割れのほうが、雨水が侵入しやすいと言われていますよ。
剥がれ、膨れ
外壁や床が剥がれている場合は、防水性能が落ちています。
剥がれは経年劣化や施工ミスによって起こります。
膨れは、下地と防水層が付着していないことを表します。
膨れの部分が破れて下地がむき出しになると、防水性能がなくなってしまいます。
チョーキング現象
外壁を手で触った際にチョークの白い粉のようなものが手に付く「チョーキング現象」は、外壁劣化のサインです。
ただしチョーキング現象があっても、すぐに補修が必要でない場合が多いです。
しかし近いうちに補修工事が必要になる可能性は、頭の片隅に置いておきましょう。
シーリングの劣化
外壁材同士の間や、サッシ回りに施されているシーリングが劣化していると、その部分から雨水が入り込みます。
合成樹脂が素材のシーリングは塗装部分よりも劣化が早いので、定期的に剥がれや亀裂などがないかチェックする必要があります。
藻やコケ、雑草の発生
藻やコケ、雑草が生えている場合も要注意です。
外壁や屋上などが湿気を含みやすい状態になっています。
洗い流して落ちるようなコケなら問題ありませんが、雑草が防水層に根を張っている場合は、専門業者に点検を依頼したほうが良いでしょう。
錆び
手すりなどの鉄部が錆びているのは、表面の塗装が剥がれている証拠です。
放置すると外壁にサビ汁が付着して見た目がよく有りありませんし、外壁の塗膜も劣化しやすくなります。
最悪の場合は鉄部に穴が空いてしまうことも。
なるべく早く補修するのが良いでしょう。
防水工事は4種類
防水工事では、次の4つの工法のいずれかで施工するのが一般的です。
- ウレタン防水
- FRP防水
- シート防水
- アスファルト防水
ウレタン防水
ウレタン樹脂を下地に塗る工法です。
価格と耐久性のバランスが良いので、防水工事において最も多く採用されています。
硬化する前は液状なので、複雑な形状の場所にも施工できます。
継ぎ目ができないので仕上がりもきれいです。
硬化後は表面が弾力を持つので、ひび割れも発生しにくいです。
ウレタン防水は戸建て住宅のベランダやバルコニー、屋上などに使われます。
ただし工期が5~10日と長めで、職人の腕によって仕上がりが左右される点は注意が必要です。
FRP防水
ガラス繊維のマットの上から液状のポリエステル樹脂を塗るFRP防水。
ちなみにFRPとは「繊維強化プラスチック」のことです。
FRP防水はマンションやアパートのベランダや、戸建て住宅の屋上などで使われることが多いです。
熱にも強く頑丈なので、上から重いものを乗せても問題ありません。
また硬化が早く、1~2日で施工が完了します。
ただし木造住宅など下地の伸縮が大きい箇所に施工すると、ひび割れが発生しやすいです。
紫外線にも弱いので、施工後は定期的にトップコートを塗り替える必要があります。
シート防水
塩化ビニールやゴム製のシートを使って防水する工法です。
ただしゴムシートは耐久性が低いので、現在では塩化ビニールのシートが使われることが多いです。
ビルや商業施設の屋上といった、面積の広い箇所へも一気に施工できます。
シート防水には下地が乾燥している場合に使う「密着工法」と、下地が湿っている(雨漏りが起きている)場合に使う「機械固定法」の2種類があります。
密着工法では下地に直接、シートを貼り付けます。
機械固定法では下地に固定した「ディスク」と呼ばれる専用器具にシートを貼り付けます。
下地とシートの間に隙間ができて通気性が確保されるので、シート貼り付け後の膨れなどが起こる心配がありません。
安価に施工できるのも魅力ですが、既製品である幅広のシートを使うので、複雑な形状の箇所への施工には適しません。
アスファルト防水
液体状のアスファルトや、シート状のルーフィング(合成繊維不織布にアスファルトがコーティングされたもの)を使って防水する工法です。
長年使われてきた工法なので、信頼性が高いです。
施工費用は高めですが、耐用年数が長いので問題なく採用できるでしょう。
紫外線や雨水に強く、頑丈なので防水層の上を車が走ってもビクともしません。
ただし防水層は高重量になるので、木造建築への施工には適しません。
ちなみにアスファルト防水には、以下の3つの工法があります。
・トーチ工法…トーチバーナーを使ってルーフィングの裏面を溶かして貼り付ける
・熱工法…専用の釜で溶かしたアスファルトでルーフィングを貼り付ける
・常温工法…裏面に粘着性のあるルーフィングを貼り付ける
工法別の費用相場
防水工事の工法別の費用相場は、以下のとおりです。
工法の種類 | 耐用年数 | 1㎡あたりの費用相場 |
ウレタン防水 | 12年前後 | 4,500~7,000円/㎡ |
FRP防水 | 10年前後 | 6,000~8,000円/㎡ |
シート防水 | 10~15年 | 4,000~8,000円/㎡ |
アスファルト | 15~25年 | 5,500~8,500円/㎡ |
ただし上記の費用以外に、人件費や仮設足場の設置費用などもかかりますよ。
業者選びの注意点
防水工事を行なう業者を選ぶ際には、以下のことに注意しましょう。
業者の種類を見極める必要がある
リフォーム会社やハウスメーカーなど、防水工事を行なう業者はさまざまです。
それぞれ特徴が異なるので、どの業者が自分に合っているのかを見極める必要があります。
大手リフォーム会社
大手リフォーム会社は知名度があるため安心感を得られるでしょう。
ただし下請け業者に工事を発注するので、中間マージンの分だけ費用が割高です。
ハウスメーカー
家を建てたハウスメーカーに、アフターサービスも一括して行なってもらえるので楽です。
建物にあった施工をしてもらえるでしょう。
ただしリフォーム会社と同じく、下請けに発注するので費用は高くなります。
塗装業者
外壁などへの塗膜防水(ウレタン防水やFRP防水)の施工品質が高い傾向があります。
ただし塗膜防水以外の工事は、業者によって品質に差が出やすいです。
防水業者
防水工事の施工実績が豊富なので、施工品質が高い傾向があります。
ただし業者の数が少ないので、近場の防水業者を探すのは難しい場合もあるでしょう。
はじめから1社のみに絞らない
はじめから1社のみに絞って見積もりを依頼してしまうと、工事内容や費用が相手の言いなりになってしまいがちです。
複数の業者で相見積もりを行なうことにより、「ムダな工事はないか」「適正価格か」といったことが把握しやすくなります。
ちなみに見積書に「工事一式」と記載されてある場合は要注意。
費用が水増しされている恐れがありますよ。
対応が丁寧な業者を選ぶ
対応が丁寧な業者を選ぶのがおすすめです。
不親切な業者だと、何かあった時に相談しにくいです。
また対応の丁寧さだけでなく、アフターサービスの内容についてもしっかりと確認しておきましょう。
飛び込み営業の業者はNG
飛び込み営業の業者に工事を依頼するのはNGです。
顧客が安定せず仕事に困っている業者の可能性があります。
「早く工事しないと危険」と不安を煽って契約を急ぐ業者も多いので注意しましょう。
まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめていきます。
・雨漏りや建物の劣化を防ぐために、防水工事は必須
・雨漏りや膨れなど、劣化症状によっては補修工事が必要になる
・防水工事は「ウレタン防水」「FRP防水」「シート防水」「アスファルト防水」の4種類
・費用相場は1㎡あたり4,000~8,500円
・施工業者は慎重に選ぶ
一般的には防水工事の補修は10年に1度です。
しかしひび割れや剥がれなどの劣化現象を見つけた場合は、そのつど補修工事を検討しましょう。
この記事を参考に、外壁や屋上などに劣化がないか、ぜひチェックしてみてくださいね。