防水処理工事とは?防水工事の下地処理の種類や施工の流れ、費用を解説
2024/11/01
防水工事や外壁塗装の成功を左右する重要な工程をご存知ですか?それは、施工前の「下地処理」です。
屋上防水やウレタン防水、シート防水など、どの工法を選択する場合でも、適切な下地処理なくして理想的な仕上がりは望めません。
建物の屋根や外壁、屋上などの防水工事において、下地処理は防水層の密着性や耐久性に大きく影響を与えます。
しかし、下地処理にはどのような種類があり、どのような手順で行われるのでしょうか?また、工事費用の相場にはどの程度影響するのでしょうか?
本記事では、防水工事における下地処理・防水処理の重要性から、具体的な施工の流れ、そして費用の目安まで、専門家の視点から詳しく解説していきます。
適切な下地処理が、建物を長く守る高品質な防水工事の基礎となることをご理解いただければ幸いです。
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防水工事に必要な下地処理とは
下地処理の主な目的は「防水面との密着性を確保すること」です。
防水工事における下地とは、建物に手を加える前の素地の状態を指します。 この下地の状態を整える工程を、下地処理と言います。
下地処理には高圧洗浄・既存の防水層の撤去など、さまざまな工程があり、それぞれの工程が重要な役割を果たすでしょう。
防水塗料・防水シートなどにより、防水機能を付加する工事の前に行われるのが一般的です。
床・外壁の下地は、適切に下地処理が行われないと劣化しやすいため下地処理が欠かせません。
いくら防水層の表面が綺麗に仕上がっていても下地処理が不十分だと、防水処理を施しても早い段階で雨漏りが発生する可能性があります。
防水工事後に下地処理のチェックはできないので、注意が必要です。 したがって下地処理を丁寧に行うことは、防水工事を行う上で欠かせないといえます。
防水工事で下地処理が不十分な際に起こるトラブル
下地処理のクオリティにより、防水工事全体の質が大きく左右されます。
しかし下地処理が不十分だと、どのようなトラブルが発生するのでしょうか。
具体的には、以下のようなトラブルが考えられます。
- 防水シートの剥がれ
- 塗装の剥がれ
- 追加工事の発生
- クラックの発生
- カビの発生
防水シートの剥がれ
防水工事の下地処理が不十分だと、防水シートの剥がれが発生する恐れがあります。
防水塗装を施した後でも下地処理が不十分だと、台風・強風などで塗膜がすぐに剥がれてしまうでしょう。
例えば高圧洗浄が不十分で下地に汚れが残っている場合、防水シートを張り付ける接着剤の役割を果たすプライマーが定着しません。
防水シートの剥がれが発生すると、施工後数年で雨漏りが発生する場合があります。
雨水が建物内に浸入すると、建物の構造自体にもダメージを与えるので注意が必要です。
結果として地震に弱くなり、建物の寿命も短くなってしまうでしょう。
防水シートの剥がれを避けるには、下地処理をきちんと行ってもらえるか、業者に見積もりを出してもらう際に確認が必要です。
些細な疑問点・不明点があれば積極的に質問して、納得した状態で工事を依頼しましょう。
塗装の剥がれ
下地処理が不十分だと、防水シートだけでなく塗装の剥がれも発生します。
部分的にわずかに塗装が剥がれるのであれば、業者の作業ミスと考えられるので、基本的には業者が補修してくれます。
ただし全体的に塗装が剥がれる場合は、手抜き工事の可能性があります。
防水工事の耐用年数は10~15年ほどなので、数年で塗装の剥がれが発生した場合は注意しましょう。
業者に作業の過程を写真で撮影して報告してもらうと、手抜き工事を避けられるでしょう。
追加工事の発生
下地処理が不十分だと、追加工事が発生しやすくなります。
これは不十分な下地処理を改善するためです。
しかし追加工事が発生すると、予算オーバーになる可能性があります。
また下地工事では騒音も発生するので、周辺住民に大きなストレスを与えてしまうでしょう。
追加工事を避けるには、業者に事前に現地調査を行ってもらうことが大切です。
工事をする屋上に実際に登り、どのような状態なのかを入念にチェックしてもらいましょう。
また、図面で屋上の状態を確認することも大切です。
事前調査がしっかり行われていれば、追加工事が発生しにくいでしょう。
事前調査を丁寧に行わない業者は要注意です。
思ったように調査をしてくれない場合は、他の業者に見積もりを依頼することも検討しましょう。
クラックの発生
下地処理が不十分だと、クラックが発生する恐れがあります。
クラックを補修せずに作業を進めてしまうと、クラックが徐々に広がっていく恐れがあります。
補修をしていない箇所からクラック部分から雨水が浸入し、建物にダメージを与えてしまうでしょう。
クラックの発生を防ぐには、丁寧に下地を補修して防水工事を行うことが大切です。
カビの発生
不十分な下地処理で雨漏りが発生するのに伴って、カビも発生します。
カビはアレルギーの原因になり、住民の健康に影響を及ぼしかねません。
カビの発生を防ぐには、下地処理をしっかり行ってくれる業者を見つける必要があります。
施工実績が豊富だったり、見積もり時の対応が丁寧だったりする業者は、信頼感があります。
アフターサービスが整っている業者だと、万が一施工不良が発生した時の備えになるでしょう。
防水工事の下地処理を行う流れ
防水工事における下地処理は、以下のような流れで行われます。
①高圧洗浄
②既存の防水層の撤去
③ケレン
④目地処理
⑤クラック処理
⑥膨れ補修
⑦ドレン周り補修
⑧ノロ引き
これらの工程を、さらに詳しく見ていきましょう。
①高圧洗浄
下地処理を行う前に、まずは高圧洗浄が必要です。
高圧洗浄機を使用して下地に水を吹き付け、汚れ・砂・ホコリ・カビなどを取り除きます。
この作業がないと、下地処理を行っても防水層との間に隙間ができてしまうでしょう。
これでは、十分に防水効果が発揮されません。
施工品質を高めるために、丁寧に洗浄することが大切です。
②既存の防水層の撤去
防水層の劣化状況や防水工事の工法によっては、既存の防水層の撤去作業が必要となる場合があります。
防水層の撤去作業は、手作業で行われることが多いです。
ただし主流の「かぶせ工法」では、劣化した防水層の部分のみを取り除きます。
かぶせ工法では既存の防水層の上に新しい防水層を重ねるだけなので、全ての防水層を取り除く必要はありません。
③ケレン
既存の防水層を撤去した後は、ケレンが行われます。
ケレンとは、やすり・ヘラなどを使用して下地を研磨して整え、さらに凹凸の傷を付けることにより、塗料の密着性を高める作業のことを指します。
ケレンも、防水工事の下地処理において欠かせない作業です。
④目地処理
次に行うのが目地処理です。
目地処理とは、資材の接合部にできる継ぎ目にゴム状のシーリング材を埋め込み、資材間の隙間を埋める作業です。
ちなみに、屋上などでよく使用されるモルタルには、緩衝目地が存在します。
これは温度変化によりモルタルが膨張・収縮した際に、ヒビが入らないようにするために存在します。
この目地から雨水が入り込まないように、既存のシーリングを撤去したり、再度シーリングを施したりする必要があるのです。
⑤クラック処理
クラックとは、建物に生じるひび割れや亀裂のことを指します。
このクラックを補修せずに防水工事を行うと、入り込んだ雨水により雨漏りが発生します。
クラックには下記のように、いくつかの種類があります。
- 構造クラック…建物の安全性に影響を及ぼす大きなクラック
- ヘアークラック…髪の毛程度の細さの、小さいクラック
ヘアークラックであれば問題ありませんが、0.3mm以上の構造クラックは早急な補修が必要です。
クラック処理ではクラック周辺を削り、コーキング材を流し込む工事が行われます。
⑥膨れ補修
既存の防水層に膨れが発生している場合は、補修が必要です。
建物内の湿気は屋外に出ようとしますが、防水層に遮られ、下地と防水層に水蒸気が溜まってしまうことがあります。
これが膨れの原因で、下地の状態が悪かったり、防水層と下地との密着が悪かったりすると起こりやすいです。
膨れは防水層の劣化につながるので、きちんと補修しておきます。
⑦ドレン周り補修
排水口であるドレンの周囲の補修も必要です。
ドレン周りは不具合が起きやすいので注意しましょう。
劣化が進んでいる場合は、既存のドレンの上にかぶせて補修する改修ドレンが使われるケースもあります。
⑧ノロ引き
クラック処理が完了したら、ノロ引きが行われます。
ノロ引きとは、樹脂ノロ(ポリマーセメントペースト)を下地に塗布する作業です。
樹脂ノロはセメント・樹脂・水を混ぜて作られます
下地の劣化が激しい場合や、既存の防水層と新しい防水層の相性により下地を整える必要がある場合に、ノロ引きが行われます。
下地処理の各工法の費用相場
防水工事の下地処理には様々な工法があり、それぞれ費用が異なります。一般的な工法とその費用を以下に示します。
工法 | 費用 |
---|---|
高圧洗浄 | 1,000円〜2,000円/1㎡あたり |
ケレン |
2,000円〜3,000円/1㎡あたり |
モルタル充填 |
1,200円〜3,000円/1㎡あたり |
プライマー |
500円〜1,000円/1㎡あたり |
下地処理の費用は、建物の状態や工法によって異なります。
高圧洗浄は比較的安価ですが、ケレンは時間がかかるため費用が高くなります。プライマーは下地を強化するために必要ですが、費用はそれほど高くありません。
防水工事の費用は、下地処理だけでなく防水層の施工費用も含まれます。防水層の施工費用は使用する材料や工法によって異なります。
防水工事の費用を抑えるためには、下地処理をしっかり行うことが重要です。
下地処理がしっかり行われていれば、防水層の耐久性が向上し、防水工事の寿命が長くなります。
防水工事の下地処理のまとめ
今回の記事では防水工事に下地処理について解説してきました。
最後に、この記事の内容を簡単にまとめていきます。
- 防水面との密着性を確保することが、下地処理の主な目的
- 防水機能を付加する工事の前に下地処理が行われる
- 下地処理が不十分だと、防水処理を施しても早い段階で雨漏りが発生する可能性がある
- 下地処理には高圧洗浄・既存の防水層の撤去・ケレン・目地処理などさまざまな工程がある
- 下地処理のクオリティが、防水工事全体の質を左右する
- 下地処理が不十分だと防水シートの剥がれや塗装の剥がれ・追加工事の発生・クラックの発生・カビの発生のトラブルが発生する
- 施工後数年で防水シートの剝がれや塗装の剥がれが起こる場合は、手抜き工事の可能性がある
- 追加工事が発生すると、予算オーバーになり十分な防水工事が行えなくなる恐れがある
防水工事において下地処理は重要です。
下地は防水工事後は見えなくなりますが、丁寧に行うことが大切です。
また適切に下地処理を行うには、信頼性の高い業者選びが重要といえます。
ぜひこの記事を参考に、防水工事を検討してみてください。