アスファルト防水の押さえコンクリートとは | 露出防水との違いも解説
2024/05/14
屋上のアスファルト防水の仕上げ方法は「押さえコンクリート仕上げ」「露出防水仕上げ」の2種類です。
2種類のうちどちらが適しているのかは、屋上を使用する目的によって異なります。
しかし、防水工事の仕上げ方法については、専門性が高いためご存知ない方も多いです。
そこで本記事では、押さえコンクリートとは一体どのような方法なのかについて、わかりやすく解説します。
また、コンクリート屋根に防水工事が必要な理由や、劣化で見られる症状についてもまとめました。
屋上のアスファルト防水工事や改修工事を行うにあたっての参考として、ぜひ記事の内容をチェックしてみてください。
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押さえコンクリートとは
押さえコンクリートとは、屋上防水のひとつであるアスファルト防水の仕上げにおいて使われている方法のひとつです。
防水層の上からコンクリートを打設し、防水性・耐水性を高めます。
そもそもアスファルト防水とは、液状の溶解アスファルトとアスファルトシートを積層したものです。
厚みがあり、耐久性に優れた防水層を形成できます。
アスファルト防水の工法には、常温工法・トーチ工法・熱工法の3種類があります。
いずれの工法を選ぶ場合であっても、仕上げの処理は必要です。
押さえコンクリートの耐用年数や必要な場所を紹介しますので、特徴を知るために内容をチェックしてみましょう。
■押さえコンクリート仕上げの耐用年数
押さえコンクリート仕上げの耐用年数は、17~26年が一般的な目安です。
耐用年数は工法や気象条件などによって変わるため、あくまでも目安として考えなくてはなりません。
場所によっては、17年未満で仕上げが劣化し、防水機能が低下してしまう可能性もあります。
そのため、問題がないか定期的に専門業者による点検を受けることをおすすめします。
劣化が見られるようであれば、早めに改修工事を実施しましょう。
■押さえコンクリート仕上げが必要な場所
屋上の防水工事で押さえコンクリート仕上げが必要になるのは、次のような場所です。
・駐車場として使用されている場所
・人が頻繁に歩く場所
・頻繁に利用される場所
上記のような場所は、設置物や人の移動があります。
そのため、耐久性や耐水性の高い押さえコンクリートが必要です。
コンクリート屋根に防水工事が必要な理由
なぜ、コンクリート屋根には、防水工事が必要なのでしょうか。
防水工事が必要な理由は、コンクリート屋根の形状にあります。
コンクリート屋根は平たい形状をしており、一般的な民家のように傾斜がついていません。
傾斜があると雨水は自然に流れますが、大きな勾配のない場所では雨水が溜まりやすく、そこから雨漏りを起こす可能性があります。
また、コンクリートは経年劣化によるひび割れが起こると、建物の内部へと水が侵入してしまいます。
そうなると建物の内部から腐食が進みますが、コンクリート屋根の表面に防水工事を施すことで水の侵入を防ぎます。
建物の寿命を縮めないためにも、コンクリート屋根の防水工事は欠かせません。
押さえコンクリート仕上げアスファルト防水の劣化症状
押さえコンクリート仕上げは、耐水性や耐久性に優れている方法です。
しかし、紫外線や風雨に晒されている屋上の防水は、年月が経つと次第に劣化していきます。
また、地震の影響によって劣化が進んでしまう場合もあるでしょう。
劣化症状が見られたら、なるべく早い段階での改修が必要です。
代表的な劣化症状として、以下の4つを紹介します。
■ひび割れ
コンクリートは、温度変化や水分などの影響を受けやすく、膨張と収縮を繰り返す性質があります。
その際、膨張と収縮で発生する応力に耐えられなくなり、ひび割れが発生します。
一度発生すると雨水が侵入してしまい、ひび割れは少しずつ大きくなるでしょう。
■伸縮目地の剥がれ
コンクリートの膨張を吸収するため、伸縮目地が設けられています。
しかし、伸縮目地も年月が経つと劣化が進んでしまい、膨張を吸収できなくなります。
劣化した伸縮目地は剥がれることもあり、そこから隙間の発生や飛び出しなどが起こり、機能性の低下につながってしまいます。
■浮き
押さえコンクリートには目地があり、そこから浮いてしまうことがあります。
劣化によって起こるひび割れを放置していると浮きにつながりやすく、目で見てわかりやすい症状です。
防水工事の機能を損なう原因になりますので、見つけたら対応が必要です。
■水たまり
劣化症状では「水たまり」ができてしまう場合もあります。
水たまりができるのは、押さえコンクリートと防水層のあいだに雨水が侵入してしまうためです。
水たまりは雨漏りにつながりやすことから、見つけたら早急に対処しましょう。
これらの劣化症状が出ても、定期的な点検と必要に応じた修繕作業により、建物を長持ちさせることができます。
また、専門家による詳細な診断を受けることで、最も効果的な改修方法を選択することが可能です。
押さえコンクリート仕上げアスファルト防水の改修方法
改修方法としては、以下の2パターンが考えられます。
・既存のコンクリートを撤去せず、その上に新しい防水層を作る
・既存のコンクリートを撤去し、新しい防水層を作る
特に問題が見られない場合、既存のコンクリートは撤去せず、その上に新しい防水層を作る方法をとるでしょう。
なぜなら、改修にあたってコンクリートを撤去すると、労力だけでなく撤去費用もかかってしまうためです。
また、マンション・オフィスビル・商業施設などでは、屋上にあるコンクリートを撤去する場合、振動や騒音によるトラブルが発生してしまう可能性も考えられます。
そのため、下地からの水蒸気対策をとったうえで、既存のコンクリートの上から防水層を作る方法が一般的です。
ただし、コンクリートの劣化がひどく進んでしまっている場合、撤去しなくてはならない場合もあります。
費用を抑えるためにも、コンクリートの劣化が進んでしまう前に改修工事を行うことがポイントです。
改修方法の手順
既存のコンクリートの上に新しい防水層を作る方法について、手順を簡単に紹介します。
どのような手順で改修が進められるのか、基本的な流れをチェックしてみましょう。
①伸縮目地の撤去
改修工事の実施にあたっては、まず既存の伸縮目地を撤去しなくてはなりません。
なぜなら、古い伸縮目地は劣化しており、そのまま改修を進めると新しい防水層を破損する恐れがあるためです。
古い伸縮目地を撤去してから清掃を行い、シーリング材を充填して平らに仕上げていきます。
②下地の処理
古い伸縮目地の撤去が終わったら、新しい防水層が剥離しないように下地の処理を行います。
また、ひび割れが生じている場合は、補修処理も必要です。
③防水層を形成する
下地の処理が終わって平滑な状態になったら、新しい防水層を形成します。
改修工事では、通気緩衝工法や通気工法といった方法をとることが多いです。
コンクリートと防水層に隙間を作ることで通気性を保ち、湿気を逃します。
押さえコンクリート仕上げと露出防水の違い
屋上で使われるアスファルト防水には、押さえコンクリート仕上げ以外の方法もあります。
それは露出防水と呼ばれる方法ですが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
使用場所・メリット・デメリットなども異なるため、それぞれ解説します。
■使われる場所の違い
押さえコンクリートと露出防水では、使われている場所に大きな違いがあります。
車や人の出入りが多い屋上に使われるのは、耐久性や耐水性が高い押さえコンクリートです。
それほど人の出入りがなく、耐久性が必要ではない場所であれば、露出防水仕上げでも問題ないでしょう。
■屋上への負担
仕上げの方法は、屋上にかかる負担によって異なります。
・押さえコンクリート仕上げ…重量が重く屋上への負担が大きい
・露出防水仕上げ…押さえコンクリート仕上げより軽く屋上への負担が少ない
厚さ6センチのコンクリートを打設するため、押さえコンクリートの方が屋上への負担は大きくなります。
負担をできるだけ抑える場合には、露出防水仕上げを利用することもあります。
■メリット
押さえコンクリート仕上げと露出防水では、メリット・デメリットにも違いがあります。
方法ごとの主なメリットは以下のとおりです。
・押さえコンクリート仕上げ……防水層が傷つきにくく、紫外線による劣化リスクがない
・露出防水仕上げ…不具合を見つけやすく、部分的な補修が可能
■デメリット
どちらの方法を選ぶかによって、デメリットにも大きな違いが見られます。
方法ごとのデメリットは、次のとおりです。
・押さえコンクリート仕上げ…防水層の劣化具合が目視ではわかりにくく、損傷している場所を特定しづらい
・露出防水仕上げ…防水層が傷つきやすい
2つの方法にはさまざまな違いがあるため、建物の条件に合わせた選定が必要です。
適切な方法を導入すれば、防水性能の長期的な維持に必要なメンテナンスもしやすくなるでしょう。
まとめ
押さえコンクリートとは、アスファルト防水の仕上げに使われている方法です。
厚みがあって耐久性に優れた防水層を形成でき、以下のような特徴や利用用途などがあります。
・押さえコンクリート仕上げは、防水層の上にコンクリートを打設する方法
・押さえコンクリートは、耐久性や耐水性に優れている
・コンクリート屋根は傾斜がないため、雨水が溜まらないように防水工事が必要である
・押さえコンクリート仕上げが劣化すると、ひび割れや浮きなどの症状が出る
・改修工事では既存のコンクリートの上に新しい防水層を作る方法が一般的である
・アスファルト防水工事では、仕上げ方法によって適した場所・メリット・デメリットなどに違いがある
マンション・商業施設・病院・オフィスビルなど、押さえコンクリート仕上げはコンクリート屋根で使われる方法です。
ひび割れや浮きなどの劣化症状をそのまま放置していると、雨漏りが発生して建物全体の劣化につながってしまう場合があります。
屋上は専門業者による定期的な点検を実施し、劣化が進んでしまう前に改修工事を行いましょう。