軒天の防水工事が必要な理由とは?工事の種類や費用相場を紹介
2024/05/15
軒天とは屋根の一部で、特に外壁から外側に出た部分の裏側を指します。
塗装・張り替えなど、軒天の防水工事にはさまざまな工法があり、それぞれの状況に応じて最適なものを選択する必要があります。
そこで今回の記事では、軒天の防水工事の工法や費用、そして軒天の劣化を放置するとどんなリスクがあるのかを解説していきます。
記事の後半では防水工事の業者選びについても解説していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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軒天とは?
軒天とは、軒の裏側に取り付けられた天井パネルのことを指します。
「軒裏天井」「上げ裏」「軒天ボード」などと呼ばれることもあるでしょう。
建物から屋根がどれだけ突き出しているかにより、軒天の大きさは異なります。
屋根があっても軒天がない場合や、1メートルの軒天がある家もあるでしょう。
ちなみに軒裏と軒天は同じ場所を指し、上から見た場合に軒裏、下から見た場合に軒天と呼ばれます。
ベランダやバルコニーの床面の裏部分も、軒裏と呼ばれます。
軒天の役割
軒天は美観を保つだけでなく、外壁が劣化するのを防ぐ役割も果たします。
その他にもいくつかの重要な役割がありますので、1つずつ詳しく説明します。
■美観を向上させる
軒天を屋根の裏側に設置することで、屋根板や垂木などの屋根の構造部分を隠すことができ、外観がすっきりします。
日本の家では、軒天を設置した後に化粧垂木を追加し、デザイン性を高めることが多いです。
■外壁の劣化を防ぐ
軒天は「傘」のような役割を果たし、外壁が直接、雨風にさらされないように保護します。
軒天が長ければ長いほど雨水や日差しを遮断し、外壁材の劣化を防げます。
軒天がない建物はスタイリッシュですが雨水の影響を受けやすく、外壁材の経年劣化や雨滴による汚れに注意が必要です。
■延焼を防止する
隣の家から火災が発生したり、窓から火が出たりした場合、軒天がなければ火はすぐに屋根裏に燃え移ってしまうでしょう。
よって軒先には不燃材を使用し、建物への被害の拡大を防ぐことが大切です。
■屋根裏の換気を行う
軒天に小さな穴が開いているのを見たことがある方も多いでしょう。
この穴が開いている理由は、屋根裏に溜まった湿気を排出し、内部結露を防ぐためです。
ちなみに棟側や妻側など、2か所以上で通気穴による換気を行えば、さらに大きな効果が期待できます。
軒天の種類
軒天には「ボードタイプ」「外壁一体型」という2種類があります。
モルタルやその他の塗り壁を使用する場合、外壁材と同じ素材で仕上げられる外壁一体型が一般的です。
一方、外壁がサイディング張りの場合は「ボードタイプ」が選択されます。
ボードは主に以下の3つのタイプに分類され、それぞれの特性を理解することが重要です。
■カラー化粧板(ベニヤ板)
カラー化粧板は30年以上経過した住宅の軒先に頻繁に使用され、新築ではほとんど見られません。
ベニヤ板が厚いと重量が増えるため、軒天には一般的に3~5mmの薄いベニヤ板が使用されます。
価格は手頃ですが、耐水性や耐火性は低いという欠点があります。
それでも、カラー化粧板は施工性やコスト面で優れており、リフォーム工事ではよく使用されます。
■スパンドレル
金属製の軒天には、ガルバリウム鋼板を主成分とするスパンドレルという仕上げ材が使われます。
スパンドレルは外壁にも使用されますが、ビル・マンションをはじめとする比較的大きな建物の軒先の仕上げ材としても採用されます。
金属板は耐火性・耐水性・耐久性に優れており、非常に優れた建材です。
しかし施工単価の高さから一般住宅ではあまり使用されず、デザイン住宅や病院、公共施設で使われることが多いですが、金属板は劣化すると錆が発生するため、約25年ごとに塗装によるメンテナンスが必要です。
■ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)
ケイカル板は、軒天素材として使われることが多いです。
カラーベニヤと比較して、ケイカルボードの価格は若干高いですが、ケイカル板は耐久性・耐火性・耐水性に優れています。
このように優れた建材であるため高価な建材と思われがちですが、ベニヤ板1枚が約600円であるのに対し、ケイカル板1枚は約750円と大きな価格差はありません。
防火性能基準を満たした製品も多く、法的制約を気にせずに使用できるのも魅力です。
ただしケイカル板はベニヤ板とは異なり、さまざまな素材を合成して作られた合成建材であるため、衝撃が加わると割れる可能性があります。
万が一割れた場合は、部分的に張り替えることが必要でしょう。
軒天から雨漏りしやすいのはなぜ?
水は低い場所に集まる性質があるため、軒天は雨漏りしやすいです。
軒天が雨漏りしやすい理由を、以下でさらに詳しく解説していきます。
■軒天と外壁の接合部は雨漏りのリスクが高い
軒天と外壁の接合部は、その構造上、雨漏りが起こりやすい部分です。
接合部から雨水が侵入する主な原因は、暴風雨によって下から吹き上げられる雨水です。
ちなみに軒天と外壁の接合部から雨漏りが起こる場合、水が侵入する場所と排水する場所が異なることがあります。
例えば窓周辺に適切な防水処理を施しても、窓からの雨漏りが改善しないことあり、この場合は、軒天の接合部から雨水が侵入している可能性が考えられます。
このような事態を防ぐためにも、軒天と外壁の接合部に防水処理が必要です。
防水工事は樹脂製のコーキング材を用いて行われますが、コーキングは施工後数年で剥がれてしまうことがあり、劣化により再度雨漏りが発生する可能性があるため、定期的な点検と防水工事が必要でしょう。
■排水能力を超えることで軒天が腐食する
大雨・台風などで雨水の量が雨どいの排水能力を超えてしまい、雨どいから溢れ出ることがあります。
またゴミが雨どいや集水器に詰まり、あふれ出るケースも考えられるでしょう。
溢れた雨水は軒天を腐食させ、雨漏りの原因となるので要注意です。
そこで雨の日には、雨どいが適切に機能しているかを定期的に確認することが大切でしょう。
軒天の劣化を放置する危険性
軒天の防水工事や修繕を先延ばしする方もいるかもしれません。
しかし、適切に軒天の防水工事や修繕を行わないと、後々大きな問題が発生することがあり、結果的により多くの修繕費が必要となることもあります。
そこでここでは、軒天の劣化を放置する危険性についてお伝えしていきます。
■雨漏りが起こる
塗装が剥がれたり、穴が開いたままで放置すると、軒天に水が浸透し雨漏りが発生し、水が建物の骨格である垂木まで到達すると、カビや腐食を引き起こします。
耐震性能も低下するので、地震による被害はもちろん、住宅の資産価値も下がる可能性があるでしょう。
■台風や強風で軒天が剥がれる
軒天が劣化していると、雨や風などの強い衝撃により、軒天自体が剥がれ、軒天が剥がれると内部に雨が吹き込み、雨漏りの原因となります。
また、近隣の家屋に二次的な被害を及ぼすこともあります。
近隣の車に木材が当たって傷が付いた、という事例もあるので要注意です。
■小動物が侵入する
軒天が劣化していたり穴が開いていたりすると、隙間から小動物が侵入し、屋根裏に住み着く可能性があります。
小動物の尿により天井が汚れ、その後で小動物の侵入に気づくことが多いです。
軒天が剥がれて放置されていると、剥がれ落ちて穴が開く恐れがあります。
ダニやノミ、寄生虫などにより健康被害が発生することも考えられます。
ただし小動物が鳥で、巣に卵やヒナがいる場合、撤去することはできません。
これは鳥獣保護法によります。
この法律に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
このように大変な事態になる前に、早めに対策をとることが肝心です。
軒天における防水工事の種類
軒天の防水工事には塗装・カバー工法・張り替え、という3つの工法があります。
防水工事を行う前に、それぞれの防水工事の特性を理解することが重要です。
以下では、軒天における3つの工法について詳しく解説していきます。
■軒天の塗装
色褪せや微細な剥離などが見られた場合、再塗装が有効です。
塗装を行う際には、まず表面を研磨して汚れや剥離を取り除き、金属部分がある場合は防錆剤を塗布したのちに釘の穴や小さな亀裂はパテ等で修復し、下地を整えます。
その上から耐水性・防カビ性・通気性などに優れた塗料を2回塗ることが行われます。
塗装にはエマルジョン樹脂塗料やアクリル塗料がよく使用されます。
■軒天のカバー工法
カバー工法は既存の軒天に、新しい軒天を下から貼り付ける方法です。
軒天の劣化が軽度であれば、既存の軒天にケイカル板等を重ねてカバーする方法で工事します。
カバー工法は、軒天の表面だけに問題がある場合に多く採用され、工期の短縮とコスト削減が可能です。
張り替えよりも費用が抑えられ、軒天を二重にすることにより防水効果も高まるでしょう。
■軒天の張り替え
劣化が進行し、雨漏りにより防水シートの内部が損傷している時は、軒天の張り替えが必要です。
軒天の張り替えとは、既存のベニヤを取り外して新しいベニヤに張り替える工事です。
ベニヤ以外にもホワイトポリベニヤやケミカルボード、プリントベニヤなどが使われます。
軒天における防水工事の費用相場
軒天の防水工事の費用は、工事の内容により異なります。
戸建て住宅1軒あたりの目安としては、以下を参考にしてみましょう。
- 塗装による防水工事:15~25万円
- カバー工法:5~15万円
- 張り替え:15~45万円
ちなみに軒天の防水工事を行う際に、2階以上の高さの軒天を補修する場合は、足場が必要となります。
足場の費用だけでも平均で15~25万円程度の費用がかかるので、覚えておきましょう。
また雨漏りの発見時期によっても、修理方法や費用は大きく変わります。
早期に雨漏りを発見し対策を講じると被害が抑えられるので、修理費用を抑えられるので定期的に軒先を目視して、軒天に雨染みが出ていないか確認してみてください。
なお雨染みは雨漏りが原因ではなく、結露が原因の場合もあります。
目視だけで判断が難しい場合は、専門業者に相談することも大切です。
まとめ
最後に、この記事の内容をまとめていきます。
- 軒天とは、軒の裏側に取り付けられた天井パネルのことで、建物ごとに軒天の大きさは異なる
- 軒天には「美観を保つ」「外壁の劣化を防ぐ」「延焼を防止する」「屋根裏の換気を行う」などの役割がある
- 軒天の種類「ボードタイプ」「外壁一体型」の2種類があり、それぞれ特性が異なる
- 軒天から雨漏りしやすいのは、水は低い場所に集まる性質があるため
- 特に軒天と外壁の接合部や、排水能力を超えることにより雨漏りが発生しやすい
- 軒天の劣化を放置すると、雨漏りが起こったり、台風や強風で軒天が剥がれたりする
- 塗装やカバー工法、張り替えの3つの方法で、軒天の防水工事が行われる
・軒天における防水工事では、塗装による防水工事に15~25万円、カバー工法では5~15万円、張り替えでは15~45万円ほどの費用がかかる
- 15~25万円ほどの足場の費用も考慮する
- 早期に雨漏りを発見すると、修理費用を抑えられる
軒天についての知識を深めると、適切な内容・タイミングで防水工事が行えるようになるでしょう。
防水工事を検討している方はぜひ一度、専門業者に相談してみてください。