マンションの大規模修繕とは?周期や費用負担・時期について解説
2024/05/16
マンションの大規模修繕工事の計画を立てる際、最初に考えるべきは費用の見積もりとその負担方法です。
大規模修繕工事は一度きりの事業ではなく、マンションが存続する限り、十数年ごとに行われる大きなプロジェクトです。
高額な費用が必要という認識はあるものの、具体的にどの程度の費用が必要なのかは理解していない方が多いかもしれません。
しかし資金が不足すると、満足できる工事を実施することが難しくなります。
そのため工事を計画する前に必要な費用の目安を把握し、その上で業者に見積もりを依頼すると、より具体的なイメージが湧くでしょう。
今回の記事では、マンションの大規模修繕工事における費用負担や時期について詳しく解説していきます。
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マンションの大規模修繕とはどのような工事?
マンションの外観や設備が経年劣化により損傷した場合に、定期的に大規模な修繕を行うことを「大規模修繕」と言います。
特に、日常的には実施が困難な大規模な建物躯体の維持のための修繕や、共用部分の改修を指します。
建物は時間が経つと共に、各部分が劣化し、損傷を受けます。
よって適切なメンテナンスを行わなければ、外観の美観だけでなく機能も低下し、最悪の場合は外壁のタイルが剥がれ落ちるような安全上の問題が発生します。
これでは快適な生活を送ることができないだけでなく、資産価値の低下にもつながります。
そのため、定期的な修繕が必要です。
規模が大きく多くの世帯が生活するマンションでは、劣化した部分をその都度修繕するよりも、計画的に資金を蓄積して一度に全体を大規模修繕する方が、手間、コストの面で効率的です。
大規模修繕は、マンションの長期修繕計画に基づいて実施されるのが一般的です。
なお、修繕工事と改修工事の違いは以下のとおりです。
■修繕工事
問題がある部分の性能や機能を、問題なく使用できる状態に回復させることを目的とする。
■改修工事
社会や時代の変化に伴う居住環境の水準の向上に合わせ、初期の状態よりも高性能・高機能、または高い居住性を得ることを目的として行われる。
大規模修繕で行われる工事の内容
大規模修繕では、以下のような工事が行われます。
・建物検査
・外装部や共有部の補修
・外壁の洗浄
・外壁塗装
・防水工事
■建物検査
大規模修繕を行う前に、マンションの外壁・屋上状態を視覚的に、または機器を使用して評価します。
具体的には、以下のようなことを検査します。
・コンクリートやタイル表面のひび割れ、浮きなど
・シーリングの劣化度合
・金属部分の腐食状態
・屋上防水のひび割れ、剥がれ、浮きなど
・水漏れがないかどうか
・塗膜の劣化や浮きなど
建物の劣化状況を事前に把握することで必要な工事内容が明らかになり、適切な工事を実施できるようになるでしょう。
■外装部や共有部の補修
外壁・外廊下・タイル・ベランダの手すり・床など、外装部や共有部の補修が行われます。
駐車場設備・セキュリティ設備、エレベーターなどの補修も行われるでしょう。
補修の対象が多いため、それなりの時間と手間がかかります。
■外壁の洗浄
外壁は風雨の影響でホコリ・排気ガス・カビ・雨だれなどの汚れが付着してしまいます。
これらの汚れを放置すると美観が損なわれるだけでなく、外壁がさらに劣化してしまうでしょう。
最悪の場合、雨水が浸入し建物内部を劣化させてしまうこともあるので、定期的に外壁の洗浄を行う必要があります。
■外壁塗装
大規模修繕では、外壁塗装も重要です。
外壁の塗装が劣化すると、建物の防水機能・断熱機能が低下します。
外壁塗装の工事は足場を組んで行うので、外壁の補修や外壁洗浄と同時に行うのがおすすめです。
これなら新たに足場を組む必要がなく、時間の節約と費用の削減につながります。
■防水工事
常に風雨さらされる屋上やベランダも、劣化しやすいです。
そこで防水工事が必要です。
防水機能が低下すると、水漏れが発生してしまうでしょう。
大規模修繕に適切な頻度
大規模修繕を12年ごとに1度に行うのを前提に、計画を立てるのが一般的です。
ただし、この周期はあくまで目安です。
建物の劣化状態を見て、工事時期を調整する必要があるでしょう。
例えば塩害がある場所では、早めの大規模修繕が必要になるかもしれません。
2年周期を基本に、状態に応じて工事の時期を調整することが大切です。
■2回目以降の大規模修繕の時期
2回目の大規模修繕工事は、おおよそ24~30年目に行うのが適切でしょう。
国土交通省が公開している長期修繕計画のガイドラインの例では、25年目に2回目の大規模修繕工事を行うことが目安となっています。
また国土交通省が発表する「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、全体の約4割のマンションが、12年〜13年の周期で大規模修繕工事を行っています。
よって24年〜30年の間に、2回目の大規模修繕工事を行うのがおすすめです。
大規模修繕工事の費用負担は誰?
大規模修繕の費用を誰が負担するかは、工事の種類により異なります。
貸主が費用負担するのは、建物の性能を保つための工事や、資産価値を向上させる工事です。
一方で、借主の過失によって建物の補修が必要になった場合は、借主の費用負担が必要です。
これらのことについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
■貸主が費用負担するもの
通常の使用による経年劣化・老朽化が原因で設備に問題が生じた場合は、貸主が費用を負担します。
借地借家法第8条により、賃貸期間中の設備の維持管理は貸主の責務となっています。
大規模修繕・小規模修繕の費用も、貸主が負担しなければなりません。
具体的には外壁の補修・防水工事・設備のメンテナンスや交換などが行われます。
■借主が費用負担するもの
一方、借主自身の過失や不注意による損害・汚れについては、借主が修繕費用を負担します。
民法第415条では、借主が責任を持つべきトラブルが発生した場合、借主が修理代を支払う必要があることが明記されています。
基本的に大規模修繕の費用は、借主が負担することはありません。
日常生活で補修が必要になった場合に、借主が費用負担するのが一般的です。
具体的には日焼けによる壁紙や畳の変色、床のワックスの剥がれなどは、貸主が費用負担することになるでしょう。
ただし賃貸借契約書に「特約」が記載されているケースもあります。
特約がある場合は、特約の内容に則って費用負担をする必要があるでしょう。
大規模修繕工事の範囲
1回目はまだ建物の劣化が少ない時期なので、建物の外部を中心に大規模修繕工事が行われることが多いでしょう。
2回目以降の大規模修繕工事では、1回目よりも建物の設備の老朽化が進んでいるため、改修の内容も変わってきます。
2回目は建物内部の付属的な部位やパーツの改修も含めることになるでしょう。
例えば郵便受け・掲示板・宅配ロッカーなどの取り替えが発生します。
3回目にもなると、エレベーターをはじめとする建物内部の主要な設備や、各種部材の更新が加わります。
さらに耐震補強工事や省エネ化工事といった、時代に合わせた工事が求められることもあります。
その結果、大規模修繕の回を追うごとにコストが増大していくことは避けられません。
ただし2回目・3回目は前回のノウハウも蓄積されているため、大規模修繕が成功する可能性は高いでしょう。
もちろん修繕費用をしっかりと確保しておくことが、何度目の大規模修繕でも重要になってきます。
大規模修繕を行うべきタイミング
大規模修繕は、どのようなタイミングで行うべきなのでしょうか。
年数以外では、建物に以下のような症状が出ている場合に、大規模修繕を行うのが良いと言われています。(一例)
■チョーキング現象
外壁に白い粉が付着している場合、それは「チョーキング現象」と言われます。
チョーキング現象は、紫外線や風雨により塗膜表面が劣化し、粉状になる現象です。
放置すると壁面の防水機能が低下し、塗膜が剥がれる可能性があります。
ただしチョーキング現象が起こっただけで、大規模修繕が必要とは言い切れません。
■外壁塗膜の剥がれ・ひび割れ
外壁の塗膜に剥がれ・ひび割れがあると見た目が悪くなり、雨水も侵入しやすくなるので建物内部の腐食を招きます。
建物の強度にも影響を与えるので、剥がれ・ひび割れがあるとマンション自体の寿命が短くなってしまうでしょう。
■外壁タイルの剥がれ
外壁タイルが剥がれると、その部分から水が侵入してコンクリートの強度が低下します。
またタイルが剥落した際に通行人に当たり、重大な落下事故を引き起こす可能性もあるので要注意です。
希望通りの工事を行うためのポイント
希望通りの大規模修繕工事を行うためには、以下のポイントに気を付ける必要があります。
■大規模修繕委員会を組織する
まず、大規模修繕工事というプロジェクトを進めるための組織を作る必要があります。
管理組合の理事会は、日常的な建物管理の問題解決に時間を取られます。
そのため多くの場合大規模修繕に特化した「大規模修繕委員会」が組織されるでしょう。
大規模修繕委員会内では、全体のスケジュールや工事の形式などを審議します。
■資金の確保を行う
大規模修繕プロジェクトが途中で頓挫する原因の多くは、資金が確保できないことです。
長期修繕計画では、すでに大規模修繕工事の費用の概算金額が試算されています。
もし修繕積立金が足りない場合、工事の延期も検討しなくてはなりません。
ただし劣化が激しく延期できない場合は、一時金の徴収や借り入れを考える必要があります。
しかし借り入れを行うと、その返済期間中は次回の大規模修繕に向けた資金の積立ができません。
そのため修繕積立金の金額の見直しも必要になるかもしれません。
まとめ
最後に、この記事の内容を箇条書きでまとめていきます。
・マンションの外観や設備が経年劣化により損傷した場合に、大規模修繕が行われる
・修繕工事は問題がある部分の性能・機能を回復させることを目的とする
・改修工事は、初期の状態よりも性能や機能を高めることを目的とする
・大規模修繕では建物検査・外装部や共有部の補修・外壁の洗浄・外壁塗装・防水工事などが行われます。
・大規模修繕は一般的に12年ごとに1度行うのが良いと言われている
・2回目の大規模修繕工事は、24~30年目に行うのが適切
・通常の使用による経年劣化・老朽化が原因で設備に問題が生じた場合は、貸主が費用を負担する
・借主の過失によって建物の補修が必要になった場合は、借主が修繕費用を負担する
・建物にチョーキング現象・外壁塗膜の剥がれやひび割れ・外壁タイルの剥がれなどの症状が出ている場合も、大規模修繕を検討する
・希望通りの大規模修繕を行うには大規模修繕委員会を組織し、資金の確保を行うことが重要
マンションの大規模修繕の費用は、修繕内容によって誰が負担するのかが異なります。
もちろん毎月徴収される修繕積立金は借主が支払うので、適切なタイミング・内容で工事を行わないとクレームの対象となるでしょう。
大規模修繕に関する費用や詳細について知りたい場合は、ぜひ専門家に相談してみてください。