マンションの大規模修繕工事・リフォーム・リノベーションの工事内容の違い
2024/05/17
マンションでは、建物の耐久性や機能性を維持し、住環境を向上させるために一定の周期で大規模な修繕工事が欠かせません。
しかし、多くの方が「リフォームやリノベーションとの違いって?」と、疑問に思われている方も多いでしょう。
これらの言葉はいずれも建物に対して使用される表現ではありますが、その意味合いには微妙な違いが存在します。
そこで本記事では、マンションの大規模修繕とリフォーム・リノベーションとの違いに焦点を当て、ご紹介します。
大規模修繕工事のメリットとデメリット、流れなどについてもわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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マンションにおけるリフォーム・リノベーション・大規模修繕の特徴
リフォームやリノベーション・大規模修繕工事にはそれぞれ異なる目的や特徴があり「理解が難しい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
一般的には、以下のような分け方をしています。
- リフォーム…原状回復を目的として行う工事
- リノベーション…付加価値の向上を目的として行う工事
- 大規模修繕工事…リフォームとリノベーションを総合した工事
ここでは、それぞれの工事の特徴と違いについて詳しく説明します。
リフォームの特徴
リフォームは、主に原状回復を目的として行う工事です。
建物や設備が経年劣化や傷みで老朽化した場合、新築に近い状態に修繕することが主な目的です。
代表的なリフォーム工事には、以下があります。
- クロスの張り替え工事
- 外壁の塗り替え工事
- キッチンやユニットバスの交換工事
リノベーションの特徴
リノベーションは革新や刷新を意味し、建物の機能を刷新して付加価値を向上させる工事です。
リフォームよりも大規模で、建物全体の改善や変更が行われることがあります。
代表的なリノベーション工事には、以下があります。
- 耐震補強工事
- 間取りの変更工事
- フルリノベーション(内装や壁をすべて取り払う)
大規模修繕工事の特徴
大規模修繕工事は、マンションの劣化や損傷を補修し、資産価値を維持・向上させるために行われます。
リフォームとリノベーションの要素を組み合わせて行われることがあり、具体的な工事には以下が含まれます。
- 下地補修工事
- タイル補修工事
- 防水改修工事
- 塗装工事
- 設備工事
- 耐震補強工事
大規模修繕工事は単一の工事ではなく、複数の要素を組み合わせて行われることがあり、マンション全体の状態によって異なる工事が必要となります。
建物の診断を行い、必要な工事を計画的に実施することが大切です。
ちなみにマンションの修繕工事には、小規模修繕工事と中規模修繕工事もあります。
小規模修繕工事は日常のメンテナンスで発見した劣化や不具合を、その都度対応して修繕していく工事です。
リフォーム・リノベーション・大規模修繕の違い
以下に、リフォーム、リノベーション、大規模修繕工事の特徴を比較表にまとめました。
項目 | リフォーム | リノベーション | 大規模修繕 |
---|---|---|---|
目的 | 原状回復 | 機能刷新・付加価値向上 |
劣化補修・資産価値維持向上 |
規模 | 比較的小規模 | 大規模 | 大規模 |
範囲 | 部分的 | 建物全体の改善・変更 | マンション全体 |
代表的な工事 |
|
|
|
特徴 | 新築に近い状態への修繕 | 革新的な改善 | リフォームとリノベーションの要素を組み合わせ |
この表では、各工事の目的、規模、範囲、代表的な工事内容、そして特徴を比較しています。
大規模修繕工事は、リフォームとリノベーションの要素を両方含む可能性があり、マンション全体の状態に応じて必要な工事が決定されます。
大規模修繕を行うメリットとデメリット
マンションにおいて大規模修繕工事は不可欠ですが、その際にはメリットだけでなくデメリットも考慮する必要があります。
メリット・デメリットについての対策や注意点について詳しくご紹介しますので、ぜひご覧ください。
大規模修繕のメリット
- 家賃水準の維持
建物が老朽化・劣化すると、家賃水準の維持が難しくなります。
大規模修繕によって建物を良好な状態に保つことで、適正な家賃を維持できるでしょう。
- 入居率の維持
マンションの状態は、入居率に影響します。
外観が美しく、機能が良好な状態を維持することで、入居率を保ちやすくなります。
- 資産価値の向上
大規模修繕により建物の状態が向上すれば、資産価値も高まります。
将来的な売却時や、投資価値の向上につながります。
大規模修繕のデメリット
- 高額な費用
大規模修繕工事は、高額な費用がかかります。
住民や管理組合にとっても負担がかかるでしょう。
- 工期の長さやトラブルの可能性
工期が長いため、住民にとっては建物周辺に足場や養生シートが張られ、騒音や不便が続くことがあります。
工事による騒音や塗料の飛散は住民だけでなく、周辺住民とのトラブルにつながる可能性もあるでしょう。
デメリットへの対策と注意点
高額な費用に備えて、事前に修繕資金を計画的に積み立てることが重要です。
工事期間中は住民への影響を最小限に抑えるよう、工事進行の入念な計画や住民とのコミュニケーションが必要です。
またトラブルを避けるためには、工事前に住民に事前通知を行い、騒音や塗料の飛散に対する注意喚起を行うことが欠かせません。
大規模修繕工事の実施には、メリットを最大限に引き出すためにこれらの対策と注意点を考慮することが重要と言えます。
大規模修繕工事における周期と回数は?
マンションの大規模修繕工事は、一度行ったからといって終わりではありません。
その理由として、建物は紫外線や風雨などの自然の影響を受け、次第に劣化してしまいます。
加えて、地震や台風などの自然災害により、建物が損傷する可能性もあります。
したがって、劣化の診断を受けつつ、定期的かつ計画的に修繕工事を行うことが重要なのです。
大規模修繕工事の周期や回数についても理解しておくと役立ちますので、ぜひ下記の内容を参考にしてみてください。
大規模修繕工事の周期
一般的に、マンションの大規模修繕工事は12~18年周期で行われます。
また劣化状況の診断は、新築から約10年ごろが適しています。
ただし、地震や台風などにより劣化や破損が早期に進んでいる場合は、それに応じて早めに修繕が必要です。
大規模修繕工事の回数
大規模修繕工事の回数には厳密な決まりはなく、建物の劣化状況に基づいて判断されます。
通常のケースでは、以下のような傾向が見られます。
- 1回目… 外壁を中心にした工事
- 2回目…外壁に加え、建物内部の要素(玄関ドアやサッシなど)にも対応する工事
- 3回目… 建物全体にわたる総合的な工事
回数が進むにつれて、大規模修繕工事にかかる費用は増加する傾向があります。
そのため適切な修繕計画を練り、建物の耐久性や安全性を確保することが求められます。
大規模修繕工事・リフォーム・リノベーションでかかる費用
マンションの工事において、規模によって発生する費用は大きく異なります。
そこで大規模修繕工事に伴う費用について、それぞれ詳しく紹介します。
大規模修繕工事にかかる費用の目安
大規模修繕工事の場合、費用の目安は1戸あたり75~125万円です。
100戸以上のマンションの場合、総額が1億円を超えることもあります。
修繕の回数が増えるほど、必要な費用も大幅に増加していくでしょう。
この点を考慮して、管理組合は計画的かつ適切な資金計画を行うことが求められます。
リフォームにかかる費用の目安
リフォームは、マンションの一部屋のみに対して行われることがあります。
費用の目安は、以下のとおりです。
リフォーム場所 | 費用目安 |
---|---|
キッチン | 約50〜100万円 |
浴室 | 約100万円 |
リビング | 約160万円 |
フルリフォーム |
約500〜600万円 |
設備の入れ替えやリフォームの範囲によっても、金額は変動します。
個々の住戸に対するリフォームは、所有者のニーズや希望に合わせて行われるため、柔軟な予算計画が重要です。
リノベーションにかかる費用の目安
リノベーションは、リフォームよりも大規模かつ総合的な工事を指します。
費用は広さによって変動し、特にフルリノベーションの場合、坪単価の相場は8~50万円/坪となります。
リノベーションは建物全体を新たなスタイルに変えることができるため、その分コストも高額になりがちです。
計画段階から慎重に検討し、予算内で進めることが重要です。
大規模修繕工事の内容
大規模修繕工事の進行における、大まかな内容を解説していきましょう。
工事前の段階から、各工程の概要について詳しく説明します。
大規模修繕前の必要な準備
大規模修繕工事では、建物の調査や診断から始まります。
専門家による調査が不可欠で、建物の劣化・破損状況を詳細に把握し、必要な工事を判断するためです。
調査結果をもとに基本計画を作成し、その後に施工業者を選定して契約を締結します。
また、トラブルを未然に防ぐためにも、着工前には入居者向けの工事説明会を実施することも重要です。
仮設工事
最初に行われるのが、仮設工事です。
足場や仮設シート・養生などを設置し、工事を進めるための基盤を整えます。
下地補修工事
下地補修工事は、建物に生じたひび割れなどの補修作業です。
その後の工程にも影響するため、入念に行います。
タイル補修工事
下地補修工事後に行われるのが、タイル補修工事です。
作業員は足場を使って建物全体のタイル状況を確認し、必要に応じて補修を行います。
シーリング工事
外壁のつなぎ目には、シーリングの充填が必要です。
雨水の浸入を防ぎ、建物の気密性を高める重要な作業です。
塗装工事
外壁と鉄部には、塗装工事が行われます。
塗装により建物の外観や耐久性が向上し、保護されます。
防水工事
屋上や外階段などには、防水工事が必要です。
防水工事により、構造部へのダメージを防ぎます。
各工程が連携して進行することで、大規模修繕工事が効果的に行われ、建物の耐久性や美観の向上が図られます。
リフォームやリノベーションを行うタイミング
賃貸マンションにおいては、経年劣化を理由とするリフォームやリノベーションがで行われます。
住み心地を良く保つためには、リフォームやリノベーションのタイミングを見極めることが重要です。
以下では、それぞれのタイミングについて詳しく解説します。
リフォームのタイミング
住み心地を向上させるためには、定期的な部品や設備の更新が必要です。
リフォームの目安は、以下のとおりです。
リフォーム内容 | 更新目安 |
---|---|
パッキンや金具のメンテナンス | 5年 |
網戸の張り替え | 5年 |
給油器、コンロ、換気扇などの設備の交換 | 10〜15年 |
洗面台、キッチン、ユニットバスの交換 | 20年 |
ただし、これらは一般的な目安であり、部品や設備の状況によっては早い段階でのリフォームが必要となります。
劣化が進むと余計なトラブルにつながる可能性があるため、定期的な点検が重要です。
入居者が居住している場合でも、適切なタイミングで進められるような工夫が求められます。
リノベーションのタイミング
内部の劣化が進んでいる場合、リノベーションを検討することが重要です。
リノベーションの目安は、以下のとおりです。
リノベーション内容 | 更新目安 |
---|---|
床の張り替え | 20年 |
間取りの変更 | 20年 |
リノベーションは大規模な工事となるため、工期に余裕をもたせる必要があります。
特に賃貸マンションの場合、入居者がいないタイミングでの工事検討が望ましいです。
こうした大掛かりな工事は、入居者への影響を最小限に抑えることが重要です。
計画的で柔軟なアプローチが、スムーズなリフォームやリノベーションの実現につながります。
まとめ
マンションのリフォーム・リノベーション・大規模修繕工事の違いや内容については、以下のとおりです。
- リフォームは原状回復を目的とし、経年劣化や傷みで老朽化した部分を修繕する工事
- リノベーションは付加価値の向上を目的とし、大規模かつ建物全体の改善や変更が行われる
- 大規模修繕工事はマンション全体の劣化や損傷を補修し、資産価値を維持・向上させる工事
- 大規模修繕工事のメリットは家賃水準や入居率の維持、資産価値の向上が挙げられる
- デメリットは、高額な費用や工期の長さ・トラブルの可能性などがデメリットとして挙げられる
- 大規模修繕の周期は一般的に12~18年であり、劣化の診断は新築から約10年ごろが適している
- 大規模修繕工事の費用は1戸あたり75~125万円が目安であり、100戸以上のマンションの場合は総額が1億円を超えることもある
- 大規模修繕工事の内容は、調査や診断・下地補修工事・タイル補修工事・シーリング工事・塗装工事・防水工事などが含まれる
- リフォームやリノベーションのタイミングは、必要に応じて行うことが大切。
建物の劣化や損傷を補修し、機能を向上させるために行われるのが大規模修繕工事です。
費用や時間はかかりますが、家賃水準や入居率の維持には欠かせません。
また内部の劣化状況に応じては、リフォームやリノベーションも必要です。
定期的に必要な工事を実施し、マンションの価値を高めることが重要と言えるでしょう。