マンションのアスファルト露出防水とは?特徴と押さえコンクリートの違い
2024/05/21
アスファルト防水には熱工法・トーチ工法・常温工法(冷工法)の、3つの工法があります。
またアスファルト防水の熱工法には、アスファルト露出防水と押さえコンクリート仕上げの2種類があります。
防水工事を検討している方は、仕上げの種類や工法について確認したうえで、適切な工事を選ぶことが大切です。
そこでこの記事では、アスファルト露出防水とは何か、押さえコンクリートとの違いは何かを解説します。
記事の後半では費用や依頼のポイントなどにも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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マンションにおける防水工事の種類と特徴
マンションにおける防水工事には、以下のようにさまざまな種類があります。
■ウレタン防水
ウレタン防水は屋上防水工事の中で最も一般的な手法で、液状のウレタン樹脂を広げて防水層を形成します。
またウレタン防水には、密着工法・通気緩衝工法の2つの種類があります。
密着工法では下地にウレタン塗料を直接塗り、通気緩衝工法では通気緩衝シートを敷いた上にウレタン塗料を塗るのが特徴です。
■シート防水
シート防水では、塩化ビニールシートやゴム製シートなどを貼り付けて防水層を形成します。
シートを貼るというシンプルな施工方法のため、職人による仕上がりの差はほとんどありません。
ちなみにゴム製シートよりも塩化ビニールシートの方が厚いため、耐用年数が長くなります。
■FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維と液状のプラスチックを使う工法です。
FRP防水のメリットは、その耐久性と防水性の高さです。
硬化までの時間も短いため、1日で施工が完了するでしょう。
また軽量素材なので、建築物への負荷が少ないとも言えます。
ただし伸縮性がないため、建物の揺れによりひび割れが生じるケースがあります。
■アスファルト防水
アスファルト防水は、古くから存在する施工方法です。
アスファルトルーフィングシートと液体化したアスファルトを重ねて防水層を形成するのが特徴です。
耐久性・耐用年数が長いため、一度アスファルト防水を施すとしばらくは再工事をしなくて済みます。
マンション防水工事の耐用年数
マンションで行われる防水工事では、防水工事の種類によって耐用年数が異なります。
耐用年数については、以下を参考にしてみてください。
- ウレタン防水…10~12年
- シート防水…12~15年
- FRP防水…10~15年
- アスファルト防水…15~30年
ただし、マンションの立地や施工品質などによって、耐用年数が前後します。
またアスファルト露出防水の耐用年数は13年、押さえコンクリート仕上げの耐用年数は17年と言われています。
■耐用年数を延ばすには
マンション防水工事の耐用年数を延ばすには、定期的なメンテナンスが必要です。
劣化した箇所を放置すると、その箇所から劣化がどんどん広がってしまいます。
防水工事の仕上げに塗るトップコートが色あせてきた場合も、塗り直しが必要です。
トップコートを劣化したまま放置すると、紫外線の影響を大きく受けて防水層にダメージを与えてしまいます。
早めにメンテナンスをすると、防水層の寿命を延ばすことにつながるでしょう。
アスファルト露出と押さえコンクリートの違い
アスファルト露出防水と押さえコンクリート仕上げは、防水層の上にコンクリートを打設するかどうかという違いがあります。
具体的な違いについては、以下を参考にしてみてください。
■特徴の違い
アスファルト露出防水は、防水層が露出しているのが特徴です。
軽量なので、屋上への負荷が少ないでしょう。
押さえコンクリート仕上げの場合は、防水層の上にコンクリートが打設されます。
重量があるので、屋上への負荷は大きくなるでしょう。
またアスファルト露出防水は目視での確認が可能ですが、押さえコンクリート仕上げは防水層を目視できません。
■メリットの違い
アスファルト露出防水は、不具合を初期の段階で補修できます。
水漏れが発生した場合も補修箇所が見つけやすく、部分的な補修も可能です。
押さえコンクリート仕上げは、防水層が外からのダメージに強いです。
そのため、紫外線による劣化もしにくいでしょう。
■デメリットの違い
アスファルト露出防水は防水層がむき出しになっているため、外からのダメージを受けやすいです。
押さえコンクリート仕上げは、漏水が発生しても目視で確認できないので、損傷箇所を見つけにくいデメリットがあります。
不具合が発生した場合は、全面改修が必要になるケースもあるでしょう。
■採用される屋上の違い
アスファルト露出防水は、人の出入りが少ない屋上に適用されます。
一方、押さえコンクリート仕上げは車・人の出入りが頻繁にある屋上に適しています。
アスファルト露出防水工事はどのような場所に適している?
アスファルト露出防水は、具体的には次のような場合に採用される傾向にあります。
- 屋上を歩かないビルやマンション(メンテナンス程度の歩行は可能)
- 屋上防水と同時に屋上断熱もする改修工事
- 防水層の改修工事中の屋上
ちなみにアスファルト防水の熱工法には、密着工法と絶縁工法(通気緩衝工法)の2種類があります。
密着工法では、ルーフィングシートを下地に密着させて施工するのが特徴です。
コストパフォーマンスが高いのがメリットですが、下地の状態が悪いと防水層のひび割れ・膨らみが起こりやすいでしょう。
絶縁工法は穴あきルーフィング、もしくは通気層を持つルーフィングシートを使うのが特徴です。
水蒸気を逃がす脱気筒が設置されるため、水蒸気による防水層の膨れを防げます。
ただし、コストが高めで重量もあるので、人の利用頻度が多い箇所への施工には適していません。
建物の状態や防水層・下地の状態にあわせて、工法を選択する必要があるでしょう。
アスファルト露出防水工事の流れ
アスファルト露出防水工事は、以下のような流れで行われます。
①下地清掃
下地の汚れをきれいに清掃します。
②下地処理
下地を補修して整えます。
下地の状態を整えると、仕上がりの品質が向上します。
③改修用ドレンの設置
雨水を排出するための改修用ドレン(排水溝)を設置します。
④プライマーの塗布
プライマー(接着剤)はブラシ・ローラーを使って、施工範囲の全体に均一に塗布します。
⑤パラペットへのシートの貼り付け
パラペット(屋根の周囲に立ち上がった壁)には、アスファルトルーフィングシート(アスファルトが染み込んだ防水シート)を貼り付けます。
⑥アスファルトの溶解
アスファルトを溶かす際には温度管理をしっかりと行い、火傷や火災に注意しながら作業を進めましょう。
⑦ルーフィングシートの貼り付け
溶かしたアスファルトを流し込み、アスファルトルーフィングシートを貼り付けます。
1層目・2層目・3層目と、複数回貼り重ねる必要があります。
⑨水張試験
水張り試験を行います。
水張り試験とは屋根全体に水を溜めて、室内に水漏れがないかを確認する試験です。
もし水漏れがあった場合は、その箇所を見つけて補修します。
⑩保護塗料の塗布と完了
最後に防水層の表面に保護塗料を塗り、アスファルト露出防水の完了です。
アスファルト露出防水工事に必要な費用
アスファルト露出防水には、1平方メートルあたり6,000~8,000円ほどの費用がかかると言われています。
費用は少し高めですが耐用年数が長めなので、長く建物を利用したい場合に検討すると良いでしょう。
また定期的な防水対策は、建物の防水機能の維持に加え、改修費用のトータルコストを削減することにもつながります。
■漏水が起きた後の修理は高額になる
一度漏水が起きてしまうと防水層が大きく劣化し、建物の骨組みにまでダメージが及ぶ可能性があります。
漏水は、建物全体へ悪影響を及ぼしかねません。
このような状況での修理は、既存の防水層の取り外しや防水下地の処理に加えて、高品質な防水工法を選ばざるを得ないケースもあります。
それに伴って、修理費用も増加するでしょう。
また、漏水による室内の被害が発生した場合、内装の修繕費も発生します。
■定期的に補修すると全体のコストを抑えられる
漏水が発生する前なら、建物の骨組みの補修や内装の修繕は必要ありません。
また既存の防水層の取り外しや下地の補修も比較的簡単で、一般的な工法で新築時に近い状態に戻せます。
防水工事全体のコストも抑えられるので、早めのメンテナンスが肝心です。
アスファルト露出防水工事を依頼する際のポイント
アスファルト露出防水工事を依頼する際は、以下のポイントに注意しましょう。
■実績豊富な業者に依頼する
実績豊富な業者に依頼すると、高品質な施工になりやすいです。
防水工事には専門的な知識・技術が必要だからです。
業者のホームページ上で過去の施工実績をチェックしたり、見積り時に施工事例を尋ねたりしましょう。
また防水工事全般ではなく、アスファルト露出防水に限った施工実績も確認することが大切です。
アスファルト露出防水の施工実績が多い会社だと、安心感があります。
さらに自社施工なのか、下請け業者に工事を任せているのか、この点もチェックしてみてください。
自社施工だと、費用が割安になります。
■相見積もりで業者を選ぶ
業者選びを行う際は、初めから1社に絞るのは良くありません。
2~3社を選んだらそれぞれの業者に見積りを出してもらい、見積り内容を比較してください。
料金や施工内容など、さまざまなことを比較検討することが大切です。
■担当者の対応をチェックする
担当者の対応をチェックすることも必要です。
こちらの質問に丁寧に答えてくれるか、丁寧に接してくれるかを確認しましょう。
担当者が不親切な場合、工事についての相談がしにくくなります。
施工品質の低下につながるので、担当者の対応もしっかりとチェックしましょう。
まとめ
今回の記事では、マンションのアスファルト露出防水について解説してきました。
最後に、この記事の内容をまとめていきます。
- アスファルト防水には熱工法・トーチ工法・常温工法(冷工法)の3つの工法がある
- 熱工法の仕上げにはアスファルト露出防水と押さえコンクリート仕上げの2種類がある
- マンションの防水工事にはウレタン防水・シート防水・FRP防水・アスファルト防水の4つの種類があり、それぞれ特徴が異なる
- 防水工事の耐用年数は種類により異なり、ウレタン防水は10~12年、シート防水は12~15年、FRP防水は10~15年、アスファルト防水は15~30年
- アスファルト露出防水と押さえコンクリート仕上げの主な違いは、防水層の上にコンクリートを打設するかどうか
- アスファルト露出防水は、屋上を歩かないビルやマンション、屋上防水と同時に屋上断熱もする改修工事、防水層の改修工事中の屋上などに適している
- アスファルト露出防水工事では下地の清掃や下地処理、ルーフィングシートの貼り付けなど、さまざまなことが行われる
- アスファルト露出防水には、1平方メートルあたり6,000~8,000円ほどの費用がかかる
- 工事を依頼する際のポイントとして実績豊富な業者に依頼する・相見積もりで業者を選ぶ・担当者の対応をチェックするということが挙げられる
マンションの防水工事として、アスファルト露出防水が必ず行われるわけではありません。
自身のマンションでアスファルト露出防水が必要かどうかを知るには、専門業者に問い合わせてみることが大切です。
漏水を防いで修繕コストを抑えるためにも、住んでいる建物に使われている防水施工を確認し、定期的なメンテナンスを行うようにしましょう。