改質アスファルトシート防水とは?
2024/06/19
建物の寿命を左右する重要な要素の1つが「防水」です。
建築物の防水が不備であると、雨水の浸入によって建物の構造体が傷み、最悪の場合、建替えを余儀なくされる可能性があります。
そこで、確実な防水対策として注目されているのが「改質アスファルトシート防水」です。
本記事では、改質アスファルトシート防水の仕組みや特徴、施工の流れなどを分かりやすく解説します。
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改質アスファルトシート防水とは?
改質アスファルトシート防水は、アスファルトをゴム状の合成樹脂で改質した「改質アスファルトシート」を防水層として用いる工法です。
通常のアスファルト防水工事に比べ、優れた伸縮性と耐久性を備えています。
改質アスファルトシートは、下地コンクリートの動きに追従する柔軟性があり、ひび割れが入りにくい特徴があります。
また、優れた耐熱性と低温耐性を兼ね備えているため、極端な気温変化にも対応できます。
このように、建物の劣化要因となるひび割れの進行を抑える効果が期待できます。
実際に、(独)建築研究所の調査によると、改質アスファルト防水層の平均的な耐用年数は23.4年と試算されています。
一方、従来のアスファルト防水層は16.3年と推定されており、改質アスファルト防水の方が約7年長持ちすることがわかっています。
改質アスファルトシート防水のメリット・デメリット
改質アスファルトシート防水のメリットとデメリットについて、解説していきます。
メリット
改質アスファルトシート防水には、建築物の長期的な防水性能を確保する上で、多くのメリットがあります。
- 伸縮性に優れ、ひび割れが入りにくい
- 耐熱性・低温耐性に優れている
- 長期的な防水性能が高い
- 施工性がよく、工期が短縮できる
伸縮性に優れ、ひび割れが入りにくい
改質アスファルトシートは、優れた伸縮性を持つため、建物の動きに追従でき、ひび割れが入りにくいのが大きな特長です。
従来のアスファルトシートは硬く、建物の動きに追従できないため、ひび割れが発生しやすい欠点がありました。
一方、改質アスファルトシートは、アスファルトに合成ゴムなどの改質剤を混合することで高い伸縮性を持つようになりました。
耐熱性・低温耐性に優れている
気温の変化が激しい環境下でも、改質アスファルトシートは、優れた耐熱性と低温耐性により、シートの劣化や破損を最小限に抑えることができます。
従来のアスファルトシートは、高温多湿下や極寒の環境で劣化しやすい欠点がありました。
しかし、改質アスファルトシートでは、改質剤の配合によりこれらの耐性能が大幅に向上しています。
長期的な防水性能が高い
改質アスファルトシートは、優れた伸縮性と耐久性により、建築物の長期にわたる防水性能を確保することができます。
シートの劣化を最小限に抑えられることに加え、建物の動きに追従できるため、ひび割れが発生しにくいのが大きな利点です。
これにより、漏水のリスクを低減し、建物を長期間にわたって健全に保つことができます。
施工性がよく、工期が短縮できる
改質アスファルトシート防水工法は、効率的な施工が可能なため、工期の短縮につながります。
理一部の改質アスファルトシートは、溶融アスファルトの使用が不要で、常温で施工できるものがあります。
また、シート状の製品を使用するため、現場での作業工程が簡略化されます。
デメリット
改質アスファルトシート防水は多くの利点がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
建物の防水工事を検討する際には、これらのデメリットも十分に把握しておく必要があります。
- 材料費が高額になる場合がある
- 下地の不陸調整が重要で、作業が繁雑になる可能性がある
- 高温時の施工は難しい
材料費が高額になる場合がある
改質アスファルトシートは、従来の一般的なアスファルトシートに比べて、材料費が高くなる傾向にあります。
改質アスファルトシートは、アスファルトに合成ゴムなどの特殊な改質剤を配合しているため、製造コストが高くなります。
また、補強材なども高機能なものが使用されているケースが多いです。
下地の不陸調整が重要で、作業が繁雑になる可能性がある
改質アスファルトシート防水では、下地コンクリートの平坦性が重要視されるため、不陸調整の作業が必要となり、施工が繁雑になる可能性があります。
改質アスファルトシートは伸縮性に優れているものの、過度の不陸がある場合はシートが損傷するリスクがあります。
そのため、下地コンクリートをある程度平坦に仕上げる必要があり、作業が増えます。
高温時の施工は難しい
一部の改質アスファルトシート工法では、高温期の施工が困難になる場合があります。
熱溶融型の改質アスファルトシートは、シートを溶かして敷設する工法です。
気温が高い時期には溶けすぎてしまい、シートの密着性が損なわれる恐れがあります。
改質アスファルトシート防水の種類
主な改質アスファルトシート防水工法には、以下の3種類があります。
常温粘着シート工法
アスファルトに合成ゴムを混合し、シート状に加工した製品を使用する工法です。
下地への接着には常温で施工できる粘着層が設けられています。施工性に優れ、工期の短縮が可能です。
加熱溶融アスファルトシート工法
アスファルトにスチレン系エラストマーなどの合成ゴムを混合したシートを使用します。
溶融状態でシートを敷設し、圧着・養生する工法で、優れた防水性能を発揮します。
常温可とう形シート工法
合成ゴムやアスファルトで改質されたペースト状の防水層と、補強材であるポリエステル短絨維不織布で構成されています。
常温で施工できることが特徴で、工場でシート状に加工されています。
改質アスファルトシート防水の改修方法の流れ
改質アスファルトシート防水の改修工事は、以下の手順で行われます。
現状の確認と下地調整
既存の防水層の劣化状況を確認
不陸などの下地調整を行う
脆弱部の補修
ひび割れや段差部分のシーリング施工
防水層が損傷している箇所の部分補修
新たな防水層の設置
改質アスファルトシートの敷設
シートの重ね合わせ、圧着作業
保護層の設置
防水層上に保護モルタルや押さえコンクリートを設置
止水板やドレン工事
雨水の排水経路を確保するための工事
改修工事では、下地の状態を的確に把握し、適切な補修を行うことが重要です。
確実な防水性を確保するには、熟練の施工業者に依頼することをおすすめします。
押さえコンクリートの劣化症状は?
最後に、押さえコンクリートの劣化症状について触れましょう。
押さえコンクリートが劣化すると、防水層の保護が困難になり、防水トラブルにつながる恐れがあります。
主な劣化症状には、以下のようなものがあります。
- ひび割れの発生
- 浮き、はく離
- 中性化の進行
- 塩分の浸入(海岸付近の建物)
- 凍結融解の影響
これらの症状が見られる場合は、速やかな改修が必要不可欠です。
防水層だけでなく、押さえコンクリートなども定期的に点検し、適切なメンテナンスを心がける必要があります。
ビルや集合住宅などの長期にわたる防水対策として、改質アスファルトシート防水は有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
建物の大切な資産を守るためにも、ぜひ検討いただければと思います。