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屋根塗装の縁切り(タスペーサー)とは?なぜ必要?重要性や正しい方法を解説

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屋根塗装の縁切り(タスペーサー)とは?なぜ必要?重要性や正しい方法を解説

屋根塗装の縁切り(タスペーサー)とは?なぜ必要?重要性や正しい方法を解説

2024/06/19

スレート屋根を塗装する際、縁切りという作業を行います。

スレート屋根の塗装工事において、縁切りは重要な作業です。

この記事では、縁切りとはどのような作業なのか、必要性、縁切りに関するトラブルなどを解説していきます。

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屋根塗装の縁切りとは?

縁切りとは、スレート屋根の塗装工事における工程の一つです。

塗装後に屋根材同士が塗料でくっついてしまった部分を手作業で切り離し、水の排水路を確保するための作業です。縁切りは、雨水がスムーズに流れるようにし、雨漏りを防ぐために非常に重要です。

具体的には、塗装が完了し塗料が乾燥したあと、塗膜カッターや皮スキといった道具を使って、スレート屋根の重なり部分にある塗膜を切り開きます。

塗膜を切り開くことで、水が通れる程度の隙間を作り出し、雨水が屋根の下へと効率よく排水されるようにします。

縁切りが必要な理由は?しないとどうなる?

スレート瓦を使う屋根の塗装工事では、縁切りは重要な作業です。

というのも、スレート屋根の構造が関係しています。

スレート屋根は、野地版と防水シートの上に、スレート瓦を重ねて配置し、釘で固定しています。

雨が屋根に降り注いだ際、雨水はスレート瓦の重ね目から排水されます。

雨水の排水経路である重ね目を塗料で塞いでしまうと、雨水は排水されず、スレート瓦の下に溜まってしまいます。

そして滞留した雨水によってさらに雨水が入り込み、スレート瓦の下にどんどん雨水が溜まっていきます。雨水が次の雨水の侵入を誘発するこの現象を毛細管現象と呼びます。

滞留した雨水は釘をつたって建物の内部に入り、雨漏りの原因になります。さらに、野地版と防水シートも腐らせます。

縁切りで作る隙間は、雨水の排水以外にも、以下のような効果もあります。

  • 内部で発生した湿気を逃して結露を防ぐ
  • 温度変化による膨張・収縮で生じる亀裂の抑制

以上の理由から、縁切りはスレート屋根の機能性と耐久性を保つために必要な作業です。また、縁切りを適切に行うことで、将来的な修理コストの削減にもつながります。

塗装工事で縁切りが不要な屋根とは?

屋根塗装で縁切りは省いてはならない工程の一つですが、中には縁切りをしなくてもいいケースがあります。

縁切りをしなくてもいいケースとは、以下のような条件のスレート屋根です。

  • 急勾配の屋根
  • 経年劣化で先端が反っているスレート屋根
  • 初めての塗装工事

以下では、上記の条件下だと縁切りが不要になる理由を詳しく解説していきます。

屋根の状態は建物ごとに異なり、状態によっては部分的な縁切りが必要になることもあります。きちんと専門の業者に屋根の状態を調査してもらいましょう。

急勾配の屋根

傾斜が大きい屋根は水はけがよく、雨水が自然と流れやすいため、水が溜まりにくいです。そのため、塗料が屋根材の隙間に入り込むことが少なく、雨水の排水経路は確保されるので、縁切りは不要になります。

急勾配の屋根とは、一般的には5寸勾配以上の屋根を指します。

水平面に対する屋根勾配の数値は新築時の図面で確認することができるでしょう。

ただ、図面は難解なので屋根勾配の数値を確かめるには、専門の業者に見てもらうのが確実です。

先端が反っているスレート屋根

スレート瓦は10年程度で経年劣化が起こり始め、劣化してくると、先端部分が反ってきます。

先端部分が反ることで重ね目に隙間ができるので、縁切りは不要になります。

ただし、反り方が先端が内側に入る巻反りの場合は縁切りが必要になります。

また、すべてのスレート瓦が同じ時期に劣化が生じるわけではありません。日当たりの度合いによって劣化の進行具合は異なります。

そのため、業者に部分的な縁切りが必要と判断されることがあります。

初めて塗装工事を行うスレート屋根

新築から初めての屋根塗装の工事を行う場合、スレート瓦の隙間が充分に確保されているため、基本は縁切りを行う必要はないとされています。

縁切りが必要になるのは、2回目以降の屋根塗装です。

2回目以降の場合、1回目の塗料がスレート瓦に残っているため、その上から塗装をしてしまうと隙間が埋まってしまうので縁切りを行います。

ただ、屋根の状態や建物の立地条件、使用する塗料の種類、塗装方法などの関係で、初めての塗装工事でも稀に縁切りが必要になる場合があります。

縁切り工法の種類

縁切り工法は主に2つです。

  • 金属ヘラやカッターを使う工法
  • タスペーサー工法

以下ではこれらの工法の特徴を紹介していきます。

金属ヘラやカッターを使う工法

タスペーサー工法が登場するまで、縁切りは金属ヘラやカッターを使い、手作業で行われていました。

具体的な作業としては、塗料が硬化したあとに、スレート瓦の重ね目に金属ヘラやカッターを差し込んで隙間を地道に作っていきます。

この工法にはデメリットが多くあります。デメリットとして以下のようなことが挙げられます。

  • 手間と時間がかかり、費用も高い
  • カッターで削った部分が傷む場合がある
  • 塗装が完了した屋根を歩いて作業を行うので屋根が汚れる可能性がある

以上のようなデメリットがあるので、手作業で行う縁切りは今ではほとんど使われなくなりました。

タスペーサー工法

タスペーサーとは、スレート瓦の重ね目に差し込んで隙間を作る部材です。

下塗りと上塗りの間で差し込み作業を行います。

従来の手作業による縁切り工法に比べ、タスペーサー工法は塗装完了後に屋根に登る必要がなく、屋根材を傷つける恐れがありません。また、手間と時間がそれほどかかりません。

そのためタスペーサー工法は現在主流の縁切り工法です。

具体的な作業としては、1枚のスレート瓦に対して15cm間隔で2個のタスペーサーを差し込んでいきます。

縁切りの費用相場

手作業による縁切りの費用は、30坪の建物の屋根であれば、およそ5〜7万円かかります。

タスペーサーは、1㎡あたり10個程度を目安として使用します。タスペーサー工法で30坪建物の屋根の縁切りを行う場合、費用はおよそ2〜5万円かかります。

屋根塗装の縁切り関連のトラブルとは?

屋根塗装の縁切りでは以下のようなトラブルが起こることがあります。

  • 縁切りが行われない
  • 縁切りが不十分

スレート屋根の塗装工事において、縁切りは必須の作業です。縁切りを行うことで屋根の防水性が保たれます。

しかし、縁切りは手間がかかる作業なので、縁切りを嫌厭する業者が中にはいるようです。

また、屋根塗装に関する依頼者の知識が浅いことをいいことに、お粗末な工事を行う悪質な業者も存在します。

そのため、上記のようなトラブルが発生します。

縁切りが適切に行われないと、雨漏りや屋根の下地材・躯体の腐食が起こり、修理工事が必要になるだけではなく、建物内部に侵入した雨水によって耐久性・耐震性も低下するので、建物の安全性が脅かされます。

縁切りに関するトラブルを避ける方法は?

縁切りに関するトラブルを未然に防ぐには、以下の方法を実践してみてください。

トラブルを避ける方法

  • 業者と打ち合わせをする際、口約束ではなく、見積書や工程表を作成してもらう
  • 見積書や工程表に「縁切り」の項目があるか、必ず確認する
  • 工事完了後に写真付きの報告書を提出してもらう

見積書や工程表に縁切りの項目がなければ、業者に説明を求めてください。丁寧でわかりやすい説明があれば優良業者と判断して良いでしょう。逆に、曖昧でわかりにくい説明であれば、別の業者に依頼するのがおすすめです。

また、書面を手元に残すことで、万が一トラブルが発生した場合、証拠として示すことができます。

屋根塗装後に施工不良が判明した場合は?

もし、施工不良が判明した場合は、できるだけ早く、屋根周辺の状態を確認し、対処するのが大切です。

ただし、屋根に上るのは危険が伴うので、確認作業は専門業者に頼むのがおすすめです。

調査の結果、縁切りが必要であると判断された場合は、業者に再度の縁切りを依頼しましょう。

万が一、雨漏りを起こしていた場合は、修繕・補修工事が必要になります。

早めに対処することで被害の拡大を防ぎ、屋根の機能を回復させることができます。気づいた時点で業者に相談するのが肝心です。

まとめ

縁切りの必要性や役割、工法の種類などを解説してきました。

以下はこの記事のまとめです。

  • 縁切りは、スレート屋根の塗装工事において重要な工程で、塗装後に屋根材同士が塗料でくっついてしまった部分を切り離し、水の排水路を確保する作業。
  • 縁切りは雨水がスムーズに流れるようにし、雨漏りを防ぐために必要。
  • スレート屋根は、野地版と防水シートの上にスレート瓦を重ねて配置し、釘で固定している
  • 縁切りをしないと、雨水が排水されずにスレート瓦の下に溜まり、雨漏りや野地版と防水シートの腐食を引き起こす可能性がある
  • 縁切りは、内部で発生した湿気を逃して結露を防ぎ、温度変化による膨張・収縮で生じる亀裂を抑制する効果もある。
  • 縁切りが不要なケースは、急勾配の屋根、経年劣化で先端が反っているスレート屋根、初めての塗装工事などがあるが、屋根の状態によっては部分的な縁切りが必要になることもある。
  • 縁切り工法には、従来の金属ヘラやカッターを使う手作業による方法と、タスペーサー工法がある。タスペーサー工法は、塗装完了後に屋根に登る必要がなく、手間と時間がそれほどかからないため、現在は主流の工法。
  • 縁切り関連のトラブルを避けるためには、業者との打ち合わせで見積書や工程表を作成してもらい、「縁切り」の項目があるか確認し、工事完了後に写真付きの報告書を提出してもらうことが重要。
  • 施工不良が判明した場合は、屋根周辺の状態を確認し、必要であれば再度の縁切りを依頼し、雨漏りがあれば修繕工事を行う必要がある。

縁切りはスレート屋根の機能性と耐久性を保つために不可欠な作業です。

スレート屋根を塗装する際は、縁切りをしっかりと行う、信頼できる業者に依頼しましょう。

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