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屋根塗装に使う遮熱塗料は効果なしって本当?原因やおすすめケースを解説

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屋根塗装に使う遮熱塗料は効果なしって本当?原因やおすすめケースを解説

屋根塗装に使う遮熱塗料は効果なしって本当?原因やおすすめケースを解説

2024/06/19

遮熱塗料が屋根塗装において「効果なし」と言われることがありますが、遮熱塗料の効果は使用する環境や条件によって大きく変わります。

 

屋根塗装に使う遮熱塗料が効果がない、と言われる理由と原因、そして遮熱塗料がおすすめなケースを解説します。

遮熱塗装の効果やデメリットを知り、実際に屋根塗装に施工を考えるうえでの判断材料にしましょう。

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遮熱塗料とは

遮熱塗料とは、太陽光を反射して建物内部の温度上昇を抑制する塗料です。

冷房費の節約や居住空間の快適性向上に効果があり、主に屋根や外壁に使用され、特に暑い地域や日差しが強い場所での快適性とエネルギー効率の向上が期待できます。

屋根用や、路面用などの遮熱塗料があり、どちらも夏場の暑さ対策が主な使用用途となり、ここでは屋根用の遮熱塗料を紹介しています。

遮熱塗料のメリット・デメリット

夏場の住環境の向上に関係する遮熱塗料ですが、メリット・デメリットをより詳しく知ると、屋根の塗装について、正しいメンテナンスを行えるでしょう。

下記で遮熱塗料のメリット・デメリットを紹介します。

遮熱塗料のメリット

遮熱塗料のメリットをみていきましょう。

夏場の室内温度を保つ

遮熱塗料を屋根や外壁に使用すると、太陽光を反射して室内の温度上昇を防ぎ、夏でも涼しく快適な室内環境を作り出します。

遮熱塗料を屋根に塗ると、施工前と比べ施工後の室内温度は最大2〜3度低下が期待でき、暑い日でも体感温度が涼しく感じられるため、夏を快適に過ごすのに効果的です。

節電効果が期待できる

遮熱塗料は太陽光を反射する機能が大きな特徴です。遮熱塗料による節電効果を環境省の実験結果を参考に、みてみましょう。

大阪と東京の工場の屋根に遮熱塗料である「サーモアイSi」を塗付した場合の冷房負荷の低減効果を、年間でみた場合と、期間で見た場合に下表のデータが得られたそうです。

  東京都 大阪府
遮熱塗料を使用した場合の冷房負荷低減効果
(年間空調)
熱量 -4,352kWh/年
95,171kWh/年
(一般塗料)
低減率:4.6%
-5,376kWh/年
118,525kWh/年
(一般塗料)
低減率:4.5%
遮熱塗料を使用した際の電気料金 -16,069円/年 -18,331円/年
遮熱塗料を使用した場合の冷暖房負荷低減効果
(期間空調)
熱量 30Wh/年129,138kWh/年
低減率:0%
1,885kWh/年15,764kWh/年
低減率:1.2%
遮熱塗料を使用した際の電気料金 -1,839円/年 -7,547円/年
参照:環境省 平成21年度環境技術実証事業ヒートアイランド対策技術分野建築物外皮による空調負荷低減等技術 実証試験結果報告書《詳細版》実証番号051-0968より

遮熱塗料の効果は夏場の冷房に掛かる費用に顕著に表れることがわかる試験結果データで、期間を年間空調と、期間空調(夏季と冬季の10カ月)とし、冷房のみを見た場合と、暖房も加味した低減率が算出されています。

遮熱塗料を使用した際の空調に掛かる電気料金は冷房の負荷で見ると東京でマイナス16,069円、大阪でマイナス18,331円、冬場の暖房代も加味した場合、東京ではマイナス1,839円、大阪ではマイナス7,547円、と差が出たそうです。

夏場だけの効果だからと軽く見ず、しっかりと年間トータルでメリットが得られることを理解しておきましょう。

耐用年数が長い

遮熱塗料の耐用年数は一般的な塗料と比べて約1.5倍から2倍長く、15年程度といわれています。

遮熱塗料の耐用年数を最大限に延ばすためには、定期的なメンテナンスや適切な施工が重要です。

熱による建材へのダメージが減る

遮熱塗料は外壁や屋根に太陽光が当たることによる熱の吸収を減少させ、建材の劣化を防ぐメリットがあります。

太陽光による熱エネルギーを反射または散乱させることで、表面温度の上昇を抑制し、長期的に建材の色褪せや劣化のペースを遅らせるからです。

建物が日々受けるダメージが軽減できると、建物の耐久性が向上し、メンテナンスコストの削減にも繋がるでしょう。

遮熱塗料のデメリット

遮熱塗料は建物の管理・維持をするうえで、多くのメリットが得られることが分かりましたね。

次に、遮熱塗料のデメリットをみていきましょう。

費用が高い

遮熱塗料のメリットは、一般の塗料に比べ、費用が高くなることが多いでしょう。

安価なシリコン塗料は2,000円/㎡で施工可能ですが、遮熱塗料は2,300円~3,500円/㎡です。

塗料を選ぶ際は、耐用年数や得られる効果をしっかりと見極める必要があります。

保温効果はない

遮熱塗料は、冬の寒さを補う効果は基本的にはありません。

なぜなら、遮熱塗料は太陽光を反射し、夏場の室内の温度の上昇を防ぎます。また、太陽光が少なくなる冬場には、寒さを助長させることはなく、特に遮熱塗料を使う影響はないといえます。

外壁や屋根に遮熱塗料を使用することで冬場の室内における保温効果は得られないため、夏の室内温度が高くならない地域、冬場の寒さを主に防ぎたい、という方にはあまり適さないでしょう。

塗膜が汚れると効果は半減する

遮熱塗料は、表面が綺麗であれば、遮熱効果が発揮しやすくなります。

塗膜の表面が汚れていると、反射率が下がり、性能が落ちてしまいます。

また、反射できなかった太陽光を外壁や屋根が吸収し、室内の温度は上昇してしまいます。

汚れには、土埃、煤煙などがあり、付着することは避けられないため、定期的な塗膜の洗浄を行うと、遮熱効果を維持できるでしょう。

遮熱塗料は効果なしと言われる5つの理由

遮熱塗料の効果は、前述にある環境省の実験結果により証明されましたが、遮熱効果を使用しても、効果を実感できない、という意見もあるようです。

数字で証明されているにもかかわらず、なぜ効果が実感できないのか、疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、遮熱塗料が効果がない、と言われる理由を5つ紹介します。

素材によって性能のばらつきがあるから

遮熱塗料は各メーカーで開発が進められていて、主に下表のような種類があります。

耐用年数も素材によってそれぞれ異なり、耐用年数が長いとコストも高くなります。

塗料の種類 耐用年数
アクリル系 3~8年
ウレタン系 5~10年
シリコン系 8~15年
フッ素系 12~20年
無機系 20~25年

遮熱塗料は一般的な塗料と比べ、コストが掛る面でも、費用に見合った効果が得られない、と感じた場合は「効果がない」と感じてしまうことも。

建物の形状や地域の気候、外気の環境などによって使用する塗料の種類を見極められると、効果を感じやすいのではないでしょうか。

遮熱塗料だけでは十分な効果は得られないから

遮熱塗料さえ屋根や外壁に施していれば夏を快適に過ごせる、といった考えは、遮熱塗料に対する期待が大きすぎる分、効果を感じにくいでしょう。

遮熱塗料は、太陽光の一部を反射して建物内部の温度上昇を抑制する塗料です。したがって、太陽光による室温の上昇があまり見られない、日当たりの悪い建物に使用しても効果は得られません。

また、日当たりが強烈な建物においては、遮熱塗料だけに効果を頼るのも不十分です。熱は窓からも侵入するため、窓に遮熱シートを施すのもさらに効果を得る手段のひとつです。

熱がこもりやすい天井裏に小窓を設置し、熱を逃がす工夫も、夏場の室温上昇を防ぐ効果的な方法です

寒冷地や日当たりが悪い環境だから

遮熱塗料の効果は使用する環境や条件によって大きく変わります。太陽光を反射する特徴を持つ遮熱塗料は、日射時間が少ない環境ではその効果を十分に得られないでしょう。

また、遮熱塗料は保温効果がないことから、施工によるメリットは冬には感じられません。

日当たりの少ない建物、夏が短い気候の地域では、遮熱塗料による効果は感じにくいため、断熱塗料の検討をおすすめします。

断熱効果はないから

遮熱塗料には、断熱効果がないため、室内の室内の温度維持には直接関係しません。

つまり、遮熱塗料は夏場の光を外に反射して室内温度の上昇を抑える効果はあるものの、冬場に室内の暖かさを保つ効果は期待できないのです。

遮熱塗料だけでは、熱の移動をコントロールできず、快適な室温の維持は難しいでしょう。

遮熱塗料と断熱塗料の違い

遮熱塗料で効果が感じにくい建物の場合、断熱塗料の使用の検討をおすすめします。

遮熱塗料と断熱塗料の違いを下記の表にまとめました。

  遮熱塗料 断熱塗料
特徴 光を反射して熱の発生を遮断し、室内の温度上昇を抑える 外からの熱や冷気を防ぎ、室内の温度上昇を抑える
冬場の保温 ×
寒い

暖かい
耐用年数 約10〜20年 約15〜20年
費用相場(1缶あたり) 5,000〜20,000円 15,000〜100,000円

遮熱塗料と断熱塗料の違いは、冬場の保温効果にあります。断熱塗料は、室内の温度を逃さない効果があるため、冬の室温を保温する効果があります。

遮熱塗料は太陽光を反射する機能はありますが、保温効果がなく、冬場の貴重な太陽光を反射してしまうということも。

断熱塗料と遮熱塗料は、両者とも夏の室温を下げる効果がありますが、冬に室温を暖かく保つ効果は、断熱塗料にしかありません。遮熱塗料は、冬に室温を暖かくする効果は無いので、建物の用途や気候などの環境によって選択する必要があります。

施工不良

施工の際、塗りムラなどの施工不良があった場合、塗装の効果に影響します。

施工不良の理由には、下地処理の不十分さによる塗料の剥がれや浮き、塗布量が不適切で塗膜が薄すぎるまたは厚すぎる場合、塗装環境の管理不足によるほこりや汚れの混入、乾燥時間の不足による塗膜の未硬化などがあげられます。

これらは、職人の経験不足によるものが多く、塗装の耐久性や効果の低減を招くため、外壁、屋根の塗装は信頼のおける施工業者に依頼することをおすすめします。

表面が汚れると効果が弱くなるから

塗装による効果は、塗膜の表面がホコリや砂などで汚れていると弱くなります。

外壁や屋根を定期的に洗浄することで塗装による効果を維持できるので、定期的なメンテナンスをおすすめします。

遮熱塗料がおすすめなケース

これまで、遮熱塗料の特性や、メリット・デメリットを解説してきました。断熱塗料とも比較されたりと、遮熱塗料は一体どんな建物におすすめの塗料なのか、把握しておくと、塗装による効果が得られるでしょう。

所有される建物の特徴が、遮熱塗料がおすすめのケースに当てはまるかみていきましょう。

屋根がスレート瓦の建物

スレート瓦は、セメントを主成分とする厚さ5㎜程度の薄い瓦で、この瓦が用いられた屋根は、フラットな形状をしています。

都心や、郊外の住宅で特に多く使われていて、一般的な屋根を指します。

メーカーや地域によって呼び名は様々で、下記のような呼び名があげられます。

  • コロニアル
  • カラーベスト
  • 平板スレート
  • 化粧スレート
  • スレート瓦
  • 新生瓦

スレート瓦は流通量も多く、塗料の種類も多く用意されています。

夏の暑さを防ぐためにも、スレート瓦には遮熱塗料がおすすめです。

金属屋根の建物

屋根材に金属のトタンやガルバリウム鋼板が使用されている場合も遮熱塗料がおすすめです。

金属は熱伝導率がいいため、太陽光の熱の影響を受けやすく、夏場の室温の上昇は避けられないでしょう。

遮熱塗料は太陽光を効果的に反射して、夏場の建物内の温度上昇を抑える塗料です。

特に金属屋根の建物では、この塗料が太陽の熱を反射することで、室内が過度に暑くなるのを防ぎ、快適な室温を保つ効果が期待できます。

吹き抜けがある建物

吹き抜け天井のある建物では、屋根からの熱が室内温度に直接影響しやすく、高い天井のため冷房効果が出にくいことが暑さの原因となります。

この場合、遮熱塗料を使うことで、太陽熱を反射し室内の温度上昇を抑えることができ、より快適な室温を保つことが期待できます。

2階建て以上の建物

2階建て以上の建物では、日当たりが良く、遮熱塗料を使うと太陽の熱を反射し室温を下げる効果が顕著です。

特に3階建てでは、軒先が短く外壁に日光が当たりやすいため、室内が暑くなりがちです。また、リビングが2階以上にあることも多く、暑さを感じやすいでしょう。

2階建て以上の建物の遮熱効果を高めるためには、屋根だけではなく外壁にも遮熱塗料を施すことが効果的です。

遮熱塗料の効果を高めるポイント

建物の遮熱効果を高めるポイントを紹介します。

少しでも遮熱効果が得られるよう、遮熱塗料についての知識を深めましょう。

日射反射率が高い明るい色で塗装する

遮熱塗料で効果を上げるためには、日光をよく反射する明るい色の塗料を選びましょう。

明るい色、特に白は反射率が高く、太陽の熱を効果的に反射します。白はちょっと…と抵抗感がある方にはグレーやシルバーをおすすめします。

塗装を計画する際は、塗料のカタログで各色の反射率を確認して、最も高い反射率を持つ色を選ぶといいでしょう。

遮熱シートを使う

遮熱塗料の効果を高めるには、断熱塗料に加え、遮熱シートも使ってみましょう。

遮熱シートは、外壁や屋根に貼ることで太陽の熱を反射し、室内を涼しく保ちます。

塗りムラの心配がなく、均一に遮熱効果を得られるのが特長で、断熱効果をもつタイプもあります。

目的に合った遮熱シートを選ぶためにも、専門業者に相談してみましょう。

グレードの高い塗料を選ぶ

グレードの高い遮熱塗料を選ぶと、耐久性が高く長期間遮熱効果を保つことができます。

品質がいい塗料を選ぶと、初期費用は高めですが、塗り直しの必要が少ないため、結果的にコストを抑えられる場合があります。

予算内で最適な遮熱塗料を選ぶために、信頼できる施工業者とよく相談しましょう。

新水性が高い塗料を選ぶ

遮熱効果を高めるためには、親水性が高い塗料を選ぶことが大切です。

親水性とは、水となじみやすい性質のことで、このタイプの塗料は雨で汚れが流れやすく、塗膜の汚れが遮熱効果を低下させるのを防ぎます。

一方で、水をはじく撥水性の塗料は汚れが落ちにくいため、遮熱性を長期間維持したいと考える場合にはおすすめしません。

まとめ

これまで、屋根塗装に使う遮熱塗料について、詳しく解説してきました。

遮熱塗料の効果を最大限に得るために、大切な要点を以下にまとめました。

  • 遮熱塗料のメリットは、夏場の室温の上昇を防ぎ、節電効果がある
  • 遮熱塗料のデメリットは、断熱効果がない点など
  • 遮熱塗料をおすすめする建物は、屋根の材質や、太陽光の影響を受けやすい建物である
  • 遮熱塗料の効果を高めるポイントは、明るい色を選ぶ、グレードの高い塗料を選ぶ、などがある

たくさんある塗料の中から、予算の範囲で最大限に遮熱効果が得られる塗料を慎重に選びましょう。

また、所有される建物が遮熱塗料の効果が得られると判断するためにも、信頼のおける業者と相談できる環境をつくりましょう。

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