屋上防水層の劣化症状の種類|屋上防水の耐用年数について解説
2024/06/20
屋上の防水層は、建物を雨や湿気から守る重要な役割を担っています。
しかし、経年劣化や施工不良などにより、様々な劣化症状が現れる可能性があります。
本記事では、屋上防水工法の種類ごとに発生しやすい劣化症状について解説します。
早期発見と適切な対策が重要となる劣化症状を確認しましょう。
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屋上防水の劣化症状の種類と耐用年数
屋上は、常に雨や風、紫外線にさらされているため、防水層の劣化は避けられません。
屋上防水の劣化症状は、膨れ、ひび割れ、めくれ、白華、コケや藻などがあります。
これらの症状は、早期発見と適切なメンテナンスで防ぐことができます。
屋上防水の耐用年数
防水の種類 |
耐用年数 |
---|---|
アスファルト防水 | 10〜15年 |
塩化ビニルシート防水 | 15〜20年 |
ウレタン塗膜防水 |
10〜15年 |
FRP防水 |
15〜20年 |
アスファルト防水保護コンクリート仕上げの劣化症状例
アスファルト防水の上にコンクリート保護層を設けた工法では、次のような劣化症状が見られます。
ひび割れ
コンクリート保護層にひび割れが入ると、そこから雨水が浸入し劣化が進行します。
コンクリートは乾燥収縮によりひび割れが発生しやすく、その割れ目から水分が浸透すると、内部の鉄筋が錆び膨張してひび割れが拡大します。
一般社団法人プレキャストコンクリート工業会の調査では、10年程度でコンクリートにひび割れが見られるケースが多いとされています。
大阪市内の集合住宅(竣工後15年経過)では、屋上コンクリート保護層に幅2~5mmのひび割れが多数発生しており、そのひび割れ部分から雨漏りが確認されました。
伸縮目地の突出
コンクリートの伸縮によって目地部分が突出し、防水層を損傷させる。
温度変化などでコンクリートが伸縮を繰り返すと、目地部分にずれが生じ、防水層を押し上げて損傷させます。
国土交通省の調査によると、伸縮目地の劣化は雨漏りの主因の15%を占めるとされています。
神奈川県の工場で、屋上コンクリート保護層の伸縮目地部分が5cm以上も突出しており、その部分のアスファルト防水層が破れていました。
防水層の押出し
コンクリートの膨張によって防水層が押し上げられ、雨水の浸入経路となります。
コンクリートの中の鉄筋が錆び膨張すると、防水層を押し上げて変形させます。
一般財団法人日本建築防水工事技術協会の報告書では、防水層の押出しが雨漏りの原因となるケースが多いと指摘されています。
東京都内の高層ビルで、屋上コンクリート保護層の一部が膨らみ、そこからアスファルト防水層が数cm押し上げられた状態となっていました。
塩化ビニールシート防水の劣化症状例
塩化ビニールシートを用いた防水工法では、以下のような劣化症状が発生しがちです。
しわの発生
シートにしわが発生すると、そのしわ部分から雨水が浸入しやすくなります。
塩ビシートは伸縮性に乏しいため、温度変化などで伸び縮みを繰り返すと、しわが発生しがちです。
しわができた部分は防水性が低下します。
一般社団法人日本防水工事業協会の調査では、しわの発生が塩ビシート防水の主な劣化要因とされています。
愛知県の物流センターの屋上では、塩ビシート防水層に波打ったようなしわが多数発生しており、散水試験の結果そのしわ部分から雨漏りが確認されました。
ディスクの浮き
固定ディスクが浮いた状態になると、シートとの密着性が失われ雨水が浸入します。
塩ビシートの固定は、コンクリート面にアンカーディスクを打ち込んで行います。
ディスクが浮くと、シートとの間に隙間ができ、そこから雨水が浸入する可能性があります。
一般財団法人日本建築防水協会の報告書によると、ディスクの浮きは塩ビシート防水の主な劣化事例の一つです。
東京都内の事務所ビルで、屋上の塩ビシート防水層のディスクが一部浮いた状態になっており、その箇所から雨漏りが発生していました。
シート破断
シートに亀裂や穴が開くと、そこから直接雨水が浸入します。
加熱による熱劣化や衝撃などによって、シートに破れ目ができると防水機能が著しく低下します。
一般社団法人日本建設業連合会の調査によると、シートの破断は防水層の致命的な劣化現象の一つです。
新潟県の工場で、塩ビシート防水層に長さ約1mの亀裂が入っていました。
散水試験を行ったところ、その亀裂部分から雨水が流れ込む現象が確認されました。
ゴムシート防水の劣化現象
ゴムシート防水も、シート防水の一種であり、以下のような劣化症状が見られます。
しわの発生
ゴムシートにしわができると、そのしわ部分から雨水が浸入しやすくなります。
ゴムシートは弾力性があるものの、温度変化による伸び縮みが繰り返されると、しわが発生します。
しわができた箇所は防水性が低下するため、雨漏りの原因になります。
一般社団法人日本建築防水協会の資料によると、しわの発生はゴムシート防水の主な劣化事例です。
福岡県のマンションで、屋上のゴムシート防水層にしわが多数発生しており、散水検査の結果そのしわ部分から雨漏りが確認されました。
シート破断
ゴムシートに亀裂や穴が開くと、そこから直接雨水が浸入します。
熱や紫外線の影響で劣化が進行したり、施工時の損傷があると、シートに破れ目ができ防水機能が失われます。
一般社団法人リフォーム建築相談センターの報告書では、シート破断は最も深刻な劣化症状の一つとされています。
静岡県の工場で、屋上のゴムシート防水層に長さ約50cmの亀裂が入っていました。
散水検査を行ったところ、その亀裂部分から雨水が流れ込む様子が確認されました。
シートの口開き
ゴムシートと下地の接合部分が開くと、そこから雨水が浸入する恐れがあります。
温度変化によるシートの伸縮で、シートと下地の接合部分にずれが生じると、その隙間から雨水が浸入しがちです。
一般社団法人日本建築士事務所協会連合会の調査では、シートの口開きが主な雨漏り原因の一つになっています。
岐阜県の集合住宅で、屋上のゴムシート防水層と伸縮目地の間に最大5cmの隙間ができており、そこから雨漏りが発生していました。
ウレタン塗膜防水の劣化現象
ウレタン塗膜による屋上防水では、以下のような劣化現象が見られがちです。
チョーキング現象
ウレタン塗膜表面に白っぽい粉状のチョーキングが発生すると、防水性が低下します。
ウレタン塗膜は、紫外線や大気中の二酸化炭素などの影響で表面が劣化し、粉状のチョーキング現象が起きます。
チョーキングが進むと防水性が損なわれます。
一般社団法人日本建築防水協会の資料によると、チョーキングはウレタン塗膜の代表的な劣化症状です。
広島県の商業施設で、屋上のウレタン塗膜防水層の表面が白っぽくざらついた状態になっており、チョーキングが発生していることがわかりました。
塗膜の減耗
塗膜が徐々に薄くなり減耗すると、最終的に下地が露出し雨水の浸入経路となります。
ウレタン塗膜は、紫外線や酸化によって徐々に劣化・減耗が進行します。
国土交通省の調査によると、塗膜の減耗は屋上防水の主な劣化要因の一つです。
大阪府の工場で、竣工10年を過ぎた頃からウレタン塗膜防水層の塗膜減耗が目立つようになり、最終的には床面の一部が露出する状態になりました。
塗膜の破断
塗膜に亀裂が入ると、その部分から雨水が直接浸入する恐れがあります。
温度変化による伸縮、振動、局所的な衝撃などにより、ウレタン塗膜に亀裂が発生します。
一般社団法人日本建築防水工事業協会の報告書によれば、塗膜の破断は最も深刻な劣化事例です。
埼玉県の病院で、屋上防水のウレタン塗膜層に幅約5mmの亀裂が入っており、その部分から内部に雨水が浸入していることが確認されました。
シングル葺きの劣化現象
シングルを使った屋根防水工法では、主に以下の劣化症状が見られます。
シングル材の砂落ち
シングル材の表面から砂が剥がれ落ちると、防水性と耐久性が低下します。
屋外に曝された面の砂が風雨で流失すると、下地であるアスファルトが露出します。
国土交通省の資料によると、砂落ちはシングル防水の最も一般的な劣化症状とされています。
山口県の倉庫で、屋根のシングル防水層から砂が流失し、一部がアスファルト層の露出した状態となっていました。
シングル材の破断
シングル材に亀裂や穴が開くと、そこから雨水が直接浸入する危険があります。
熱や紫外線による劣化、乾燥収縮、強風の影響などでシングル材に破れ目ができると、防水性能が著しく低下します。
一般社団法人リフォーム建築センターの調査では、破断はシングル防水の致命的な劣化事例とされています。
長崎県の工場で、屋根のシングル葺き部分に長さ約1mの亀裂が入っており、散水試験を行うとその箇所から雨水が浸入していることが確認されました。
シングル材の欠損
シングル材が一部欠損すると、その箇所から雨水が自由に浸入します。
強風や落下物の衝撃などによって、シングル材が剥がれ落ちる欠損が生じると、そこから雨水が簡単に侵入できるようになります。
一般社団法人日本建築士会連合会の資料では、シングル材の欠損は深刻な劣化症状の一つとされています。
福島県の倉庫で、屋根のシングル防水層の一部が約1m2にわたって剥がれ落ち、その部分から内部に雨水が浸入していることが確認されました。
屋上の防水層が劣化する原因
屋上の防水層の劣化は、紫外線の影響、排水溝の詰まり、メンテナンス不足、パラペット・笠木の劣化など、様々な要因によって引き起こされます。
これらの要因によって防水層の表面にひび割れや膨れなどが発生し、雨漏りなどのトラブルに繋がる恐れがあります。
定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、防水層の寿命を延ばし、建物の耐久性と居住者の安全を確保することが重要です。
紫外線の影響
屋上防水層は、紫外線に長時間さらされることで劣化が進むことがあります。紫外線は、防水層の表面を構成する材料を劣化させるだけでなく、防水層の内部にも影響を与え、防水層の機能低下につながる可能性があります。
紫外線による劣化の具体的な影響としては、以下のようなものが挙げられます。
防水層の表面の変色やチョーキング
紫外線に長時間さらされることで、防水層の表面の色が変色したり、チョーキングと呼ばれる粉状のものが発生したりすることがあります。
防水層の強度低下
紫外線は防水層の材料を劣化させ、防水層の強度を低下させることがあります。
防水層のひび割れ
紫外線に長時間さらされることで、防水層にひび割れが発生することがあります。
紫外線による劣化を防ぐためには、定期的なメンテナンスが必要です。定期的な点検を行い、防水層の状態を確認することが重要です。また、必要に応じて防水層の補修や塗り替えを行うことで、紫外線による劣化を防ぐことができます。
排水溝の詰まり
屋上防水層の劣化要因のひとつに排水溝の詰まりがあります。排水溝が落ち葉やゴミで詰まると、水が正常に流れなくなり、防水層に水がたまってしまいます。水たまりの状態が長時間続くと、防水層に負荷がかかり、劣化を早めてしまいます。
排水溝の詰まりを防ぐには、定期的な清掃が効果的です。落ち葉やゴミを取り除き、水の流れを確認しましょう。また、排水溝の近くに植栽がある場合は、枝葉が排水溝に落ちないように剪定するのも大切です。
メンテナンス不足
屋上防水層の劣化は、経年劣化だけでなく、メンテナンス不足によっても引き起こされます。定期的な点検やメンテナンスをおろそかにすると、防水層に小さな傷や亀裂が生じても発見が遅れ、そこから雨水が侵入して内部構造を腐食させてしまう可能性があります。
メンテナンスを怠ると、以下のリスクが発生する可能性があります。
雨漏り
防水層の劣化により雨水が侵入すると、建物内部に雨漏りが発生し、天井や壁が腐食したり、カビが発生したりする可能性があります。
美観の低下
防水層が劣化すると、表面に汚れや苔、藻などが付着し、見た目が悪くなります。
建物の寿命の短縮
雨漏りや美観の低下が放置されると、建物全体にダメージが及び、建物の寿命を短縮させてしまう可能性があります。
屋上防水のメンテナンス費用は、防水層の劣化状況や使用する材料によって異なりますが、一般的には30~50万円程度が目安となります。
パラペット・笠木の劣化
パラペットとは、屋上階の屋上端部を囲っている立上壁のことです。
笠木とは、パラペットの頂部に設置されている板状の部材のことです。パラペット・笠木は、屋上からの雨水の流出を促す役割や、屋上の美観を維持する役割を担っています。
パラペット・笠木は、経年劣化により様々な不具合が発生します。主な不具合としては、以下のようなものが挙げられます。
クラック(ひび割れ)
パラペット・笠木にひび割れが発生すると、そこから雨水が浸入し、防水層の劣化を早める原因となります。
剥離
パラペット・笠木の表面が剥離すると、笠木の防水機能が低下し、雨漏りの原因となります。
鉄筋の腐食
パラペット・笠木の中に鉄筋が入っている場合、鉄筋が腐食すると、パラペット・笠木の強度が低下し、倒壊の危険性があります。
パラペット・笠木の劣化を防ぐためには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。点検では、クラックや剥離などの不具合がないかを確認します。メンテナンスでは、クラックや剥離を補修したり、笠木を塗装したりします。
屋上防水の劣化対策
定期的な点検とメンテナンスは、屋上防水の劣化を防ぐために重要です。
定期的な点検で劣化の兆候を早期に発見し、適切なメンテナンスを行うことで、防水層の寿命を延ばすことができます。また、適切な材料を選択し、信頼できる施工業者を選ぶことも、効果的な劣化対策となります。
詳細については、以下をご覧ください。
定期的な点検
屋上防水層の劣化を未然に防ぐためには、定期的な点検が欠かせません。
点検の頻度は年2回程度を目安とし、専門業者に依頼するのが理想的です。
点検では、防水層のひび割れや膨れ、排水溝の詰まり、防水層の表面に水が溜まっていないか、パラペットや笠木にひび割れや欠損がないかなどをチェックします。
点検の結果、劣化が発見された場合は、早期に対処することが大切です。放置しておくと、雨漏りなどの被害につながる恐れがあります。
定期的なメンテナンス
定期的なメンテナンスを実施することで、屋上防水層の劣化を防ぎ、建物の美観を維持することができます。
また、万が一雨漏りが発生した場合でも、早期に発見することができ、被害を最小限に抑えることができます。
適切な材料の選択
適切な材料の選択は、屋上防水の劣化対策に非常に重要です。 各素材には独自の利点と欠点があり、用途や予算によって最良の選択肢が異なります。 以下に、一般的な防水材料とそれぞれの特性を示します。
防水材料 | 特性 |
---|---|
アスファルト防水 | 低コストだが、耐久性は比較的低く、定期的なメンテナンスが必要です。 |
シート防水 | 耐久性と柔軟性に優れ、施工が容易です。 |
ウレタン防水 | 柔軟性と防水性に優れていますが、費用は高くなります。 |
FRP防水 | 強度と防水性に優れていますが、施工が複雑です。 |
適切な材料を選択するには、予算、建物の構造、用途などを考慮する必要があります。 専門業者に相談し、最適な防水材料を選択しましょう。
施工業者の選定
屋上防水の劣化が進行すると、雨漏りや建物の寿命の短縮などさまざまなリスクが発生します。屋上防水の劣化対策として、定期的な点検やメンテナンスとともに重要なのが、施工業者の選定です。
信頼できる施工業者を選ぶためには、以下のポイントを参考にしましょう。
施工実績と経験
これまで屋上防水工事をどのくらい実施してきたか、どのような種類の防水工事に対応できるかを確認しましょう。豊富な実績と経験を持つ業者は、的確な施工方法を提案し、高品質な施工を実現することができます。
技術力と知識
屋上防水にはさまざまな工法があり、それぞれに適した技術と知識が必要です。業者の技術力と知識が不足していると、施工不良や不具合が発生する可能性があります。
誠実な対応とアフターサービス
施工業者の対応は、信頼関係を築く上で重要なポイントです。誠実な対応とアフターサービスを提供している業者は、施工後のトラブルにも迅速に対応してくれます。
見積もりと保証
事前に見積もりを提示してもらい、内容をしっかりと確認しましょう。また、施工後の保証期間についても確認しておくと安心です。
上記のようなポイントを参考に、信頼できる施工業者を選びましょう。施工業者の選定は、屋上防水の劣化対策の成功を左右する重要な要素です。
まとめ
屋上は常に紫外線や雨風にさらされているため、防水層は経年劣化によって様々な症状が現れます。主な劣化症状としては、以下のようなものがあります。
- ひび割れ: 防水層が乾燥したり、衝撃を受けたりすることで発生します。
- 膨れ: 防水層の下に水が浸入することで、防水層が膨れ上がります。
- 剥離: 防水層が下地から剥がれ落ちる現象です。
- コケや藻の発生: 湿気が多い環境では、コケや藻が発生しやすくなります。
これらの劣化症状を放置しておくと、雨漏りや建物の腐食などの大きなトラブルに発展する恐れがあります。そのため、定期的なメンテナンスを行うことが重要です。
メンテナンス方法としては、以下のような方法があります。
- トップコートの塗り替え: 防水層の表面を保護するトップコートを定期的に塗り替えることで、防水層の寿命を延ばすことができます。
- 防水層の全面改修: 劣化がひどい場合は、防水層の全面改修を行う必要があります。
適切なメンテナンスを行うことで、屋上の防水性能を維持し、建物を長持ちさせることができます。