大規模修繕の周期とその重要性について解説
2024/06/20
大規模修繕の周期について詳しく解説し、その重要性や計画方法を知ることで、建物の価値を維持・向上させるためのポイントを押さえましょう。
建物の価値を維持し、住民の安全・快適な暮らしを守るために、大規模修繕は欠かせません。
しかし、その重要性を理解していても、周期的な実施や計画の立案については、悩むことが多いものです。
そこで本記事では、大規模修繕の周期や計画の立案方法、実施時の注意点などについて解説します。
建物オーナーや管理者、管理組合の方々は、ぜひ参考にしていただき、適切な大規模修繕を行い、建物の価値を守っていただければ幸いです。
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大規模修繕とは
マンション居住者にとって避けて通れないのが「大規模修繕」です。建物を長期間維持し、居住者が安全・快適に生活するために必要不可欠な工事です。
ここでは、大規模修繕の定義と大規模修繕が必要な理由について説明します。
大規模修繕の定義
「大規模修繕」とは、マンションの外観や設備が経年によって劣化した場合、定期的に修繕することを指します。
主に建物本体(躯体)の大がかりな修繕や共用部分の改修を行います。一般的には、12年から16年程度の周期で実施されます。
修繕工事は、問題部分の性能や機能を回復させることを目的としており、一方改修工事は、社会や時代の変化に対応して高性能、高機能、または高い居住性を獲得することを目的としています。
大規模修繕が必要な理由
住宅やマンションの建物や設備は年月と共に劣化し、維持には定期的な点検や修繕が必要です。
そこで欠かせないのが「大規模修繕」で、建物や設備の回復や資産価値の維持、設備の性能向上を目的として行われます。
具体的には、コンクリート補修、外壁塗装、鉄部塗装、屋上の防水塗装、給排水管の補修などが主な工事として挙げられます。
また、建物の美観やバリアフリー化なども行われ、居住者の住環境向上が図られます。
国土交通省のガイドラインによると、最初の大規模修繕は築12年を目安に行うようにとされています。
大規模修繕の対象となる建物
大規模修繕は、マンションの居住環境を快適に保ち、建物や設備の劣化を防止し、資産価値を維持するために行われます。
主な対象は共用部分であり、建物全体を囲む足場を組み、補修や修繕工事、設備や資材の交換などを行います。
以下は、代表的な大規模修繕の対象となる箇所とその工事内容です。
対象箇所 | 工事内容 |
外壁 | 塗装、タイル補修や貼り替え |
シーリング | 外壁材と外壁材の間、サッシまわりなどに施工されている止水のためのシーリング材の補修や充填 |
屋上 | 防水処理の補修や交換、屋上床材の補修や交換 |
鉄部 | 塗装、防錆処理 |
バルコニー | 防水処理の補修や交換、床材の補修や交換 |
大規模修繕では、建物全体を足場で囲み、劣化した箇所を修繕したり、設備や資材を交換したりする作業が行われます。
また、必要に応じて性能向上を目的とした改修工事も実施されます。
大規模修繕の周期
分譲マンションの大規模修繕は通常、12年周期で行われますが、最近では15年や18年などの周期も提案されています。
大規模修繕の目的は建物の劣化を修繕することであり、周期の延伸が建物の質を維持できるかどうかは個別のケースによると言えます。
一般的な大規模修繕の周期
大規模修繕の周期は一般的に12年とされており、外装の改修や補修を行うことで建物の寿命を延ばすことができます。
一部の業者では18年まで延長する長期保証商品を提供していますが、建物の立地や使用状況によっては12年周期での修繕が必要な場合もあります。
周期の延伸に際しては足場のコスト削減などのメリットがありますが、必要なメンテナンスを放置することは建物の劣化を早めるため注意が必要です。
足場架設を行う場合には、全ての修繕工事を一度に行うのではなく、足場が必要な箇所を中心に修繕計画を立てるようにしましょう。
大規模修繕周期の決定要因
大規模修繕工事を実施する周期や回数には明確なルールや決まりはありません。
一般的には、マンションの劣化状況や故障の発生具合に応じて、各管理組合が主導して実施するかどうかを判断します。
同じ築年数で同じ戸数のマンションでも、様々な要素が影響し、劣化状況や故障の発生具合は異なります。
また、過去の大規模修繕工事で補修した箇所の保証期間が切れるタイミングも考慮されています。
ただし、実際には建物によって大規模修繕工事の時期は異なります。コンクリート内部に至る深刻な劣化を予防するためには、軽度な劣化の兆候が見られた際に早めに対処することが大切です。
そのため、大規模修繕工事の時期を決定する際には、必ず専門家に相談し、建物の状況を確認することをおすすめします。
建物の構造と材質
マンションの大規模修繕工事の周期は、その建物の劣化状況に応じて決定されます。
マンションは長年にわたり使用されることで、内部や外部の材料が変質したり、損傷したりすることがあります。
マンションの耐用年数は50年から70年程度とされており、この期間を超えた後は、大規模修繕工事が必要になります。
マンションの建物構造は、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)、木造、鉄骨造などがあります。
RC造やSRC造は、長寿命で耐震性に優れた建物構造として知られており、木造や鉄骨造は建築コストが安価な一方で、保全に多くの手間がかかります。
また、建物の材質には、コンクリート、鉄骨、木材、ガラス、タイルなどが使用されています。これらの材料は、それぞれの特性を持っており、適切な管理や保全が必要です。
コンクリートには、酸性雨や塩害による腐食が発生する場合があります。鉄骨は、錆びが発生し、建物の耐力が低下する可能性があります。
木材は、湿気や虫害に弱く、定期的な補修や交換が必要です。建物の構造や材質の特性を理解し、定期的な点検や修繕を行うことで、マンションの寿命を延ばすことができます。
大規模修繕工事の周期は、管理組合が各マンションの状況を確認し、劣化の状況や故障の発生具合に応じて決定するようにしましょう。
立地条件と環境
マンションの大規模修繕工事の周期は、建物の劣化状況によって異なるため、立地条件や環境によっても周期は異なることがあります。
例えば、海岸沿いや湿気の多い地域では、建物への影響が大きいため、修繕周期を短く設定する傾向があります。
また、地震や台風などの自然災害の多い地域でも、周期を短く設定することがあります。一方で、比較的安定した地域では、周期を長く設定することも可能です。
また、マンションの形状や構造的要因、建物の使い方といった管理の状況も、周期に影響を与える要素となります。
これらの要因が絡み合い、建物への影響となって表れるため、劣化状況を正確に把握し、適切な周期で大規模修繕を行うことが重要です。
管理・維持状況
マンションの大規模修繕工事の周期に影響する要素のひとつに、管理・維持状況が挙げられます。
例えば、マンションの管理状況が悪い場合、定期的な清掃や点検が不十分になり、結果として建物が早期に劣化することが考えられます。
逆に、管理状況が良い場合は、適切な清掃や点検が行われ、建物の劣化を遅らせることができます。
また、住民の意識や取り組みも大きな影響を与えます。例えば、マンション内での生活音やゴミの処理に配慮し、共用部の清掃や管理に協力することで、建物の維持・管理につながります。
逆に、住民の意識が低く、マンション内が乱雑である場合、建物の維持・管理に対する負荷が増え、結果として建物の劣化を早めることになるでしょう。
そのため、マンションの管理組合は、住民の意識向上や定期的な清掃・点検の実施など、建物の維持・管理に積極的に取り組むことが求められます。
これによって、マンションの劣化を遅らせ、大規模修繕工事の周期を延ばすことができます。
大規模修繕計画の立案
大規模修繕計画の立案には、目的の明確化や適切な計画立案のポイント、修繕費用の見積もりと節約方法の確認が必要です。以下、計画の立案に伴うポイントを解説します。
大規模修繕計画の目的
大規模修繕計画の目的は、建物を長期間安全かつ快適に使用するために、定期的な修繕を計画的に行うことです。
また、修繕費用の予測や財政計画の策定なども目的の一つです。
長期的な視点で計画的な修繕を行うことで、建物を維持し、大規模修繕にかかる費用を適切に負担することができます。
適切な計画立案のポイント
大規模修繕計画の適切な計画立案には、以下のポイントが重要です。
専門家のアドバイスを活用すること
建物の状態を正確に把握するために、専門家による建物診断が必要です。
建物の種類や立地条件によって、必要な修繕工事が異なるため、専門家のアドバイスを活用するようにしましょう。
長期的な視点で計画を立てること
大規模修繕計画は、将来の修繕工事を見据えた計画です。そのため、10年や20年といった長期的な視点で計画を立てることが必要になります。
また、計画期間中に発生する修繕費用を適切に見積もり、積立金の計算を行うことも大切です。
住民の意見を反映すること
大規模修繕計画は、住民が安心して快適に暮らせるための計画です。そのため、住民の意見を反映した計画を立てることが大切なポイントになります。
住民説明会を実施し、計画内容や費用の見積もりなどを透明性を持って説明するようにしましょう。
修繕費用の見積もりと節約方法
大規模修繕工事の費用は膨大なものとなります。そのため、見積もりを正確に行い、節約方法を考えることが大切です。
まず、見積もりの正確性を確保するために、業者に正確な工事内容を伝えるようにしてください。
また、見積もりの際には、工事内容や金額に関する細かな条件も含めて確認する必要があります。
次に、節約方法としては、業者との交渉が考えられます。見積もりを提示された場合、その金額が高額であれば、業者と交渉することによって、費用を抑えることができます。
また、複数の業者から見積もりを取り、その中から最も費用の安い業者を選ぶことも有効です。
ただし、費用が安い業者が必ずしも信頼できるとは限らないため、適切な業者選びが必要です。
さらに、修繕費用の一部を補助金でまかなうことも可能です。自治体や国から補助金が出される場合がありますので、確認してみることをおすすめします。
最後に、修繕計画を事前に立てることによって、予算をしっかりと見積もることができます。定期的な点検や、維持管理を行うことで、修繕費用を低く抑えることもできるでしょう。
大規模修繕の実施
大規模修繕の実施には、以下の3つのポイントがあります。
工事内容の選定
工事内容の選定は、大規模修繕計画に基づいて行われます。大規模修繕工事には、外壁や屋根の塗装、防水工事、給排水管の交換、エレベーターの改修など、多岐にわたる工事があります。
これらの工事を一括して実施するか、分割して実施するかは、物件の状況や管理組合の財政状況によって決定されます。
また、工事内容に応じて、施工時期や期間、工程なども検討する必要があります。
工事業者の選定と評価
工事業者の選定は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。複数の業者から見積もりを取得し、業者の実績や信頼性、アフターフォローなどを総合的に判断し、最適な業者を選びます。
また、工事業者には契約書による細かな規定がありますので、しっかりと確認し、納得したうえで契約を行うよう心がけましょう。
工事実施時の注意点
工事実施時には、騒音や振動など、周囲への影響に十分注意する必要があります。
また、施工中にトラブルが発生することもありますので、現場監督者との連絡や調整がスムーズに行われるように、事前に打ち合わせを行っておくことが重要です。
工事の進捗状況については、管理組合や入居者に適切に報告し、工事完了後には確認検査を行い、工事が正しく行われているかを確認するようにしましょう。
まとめ
大規模修繕の周期は建物の寿命や環境などによって異なりますが、適切な周期での実施が建物の安全性や価値を守るために重要です。
また、大規模修繕は劣化の度合いや施工箇所によって費用が変動するため、十分な費用の見積もりと節約方法の検討も重要です。
計画段階から専門家のアドバイスを受けることで、工事の成功と建物の長寿命化につながるでしょう。