外壁塗装は築15年で行うべき?メンテナンス時期の見極め方と塗装費用
2024/06/20
築15年を迎えて外壁塗装を考慮中の皆様へ。「15年で塗装は必要?」という疑問を解消します。
外壁塗装には理想的なメンテナンス時期が存在し、大半の外壁は築10年目が初塗装のタイミングと言われています。
築15年経過でまだ塗装を経験していない方は、本記事で塗装時期の見極め方、費用や業者の選び方を学び、塗装を検討しましょう。
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外壁塗装は必ず築15年で行うべき?
初めての外壁塗装はいつ行うべきなのでしょうか。「新築後、気づけばもう15年が過ぎていた」という方も少なくないことでしょう。 ここでは、外壁塗装のメンテナンスを行うタイミングについて解説します。
初めての外壁塗装、最適なタイミングは築10年後
一般的に、新築の外壁塗装の1回目の塗装から次の塗装までの最適な期間は10年とされています。
塗装に用いられる塗料には多くの種類があり、それぞれが異なる耐用年数を持っています。
特に指定のない場合、新築の外壁塗装には主にシリコン塗料が使用されます。
シリコン塗料の寿命は10~15年とされていることから、1回目の塗装から10年後が次の塗装の目安とされています。
その他の塗料が使用される場合でも、使用される塗料の多くが、最短で5年、長くても15年程度で耐用年数を迎えます。
現状の技術では25年以上持続する塗料は存在しません。
一部の特殊な塗料、例えば無機塗料やフッ素塗料などは15年以上の耐用年数があると言われていますが、これらは高価で一般の住宅にはあまり使用されません。
2回目以降の塗装は使用塗料の耐用年数により異なる
2回目以降の外壁塗装の時期は、前回の塗装で使用した塗料の耐用年数によって変わります。各種塗料の主な耐用年数は以下の通りです。
塗料の種類 | 耐用年数 |
アクリル塗料 | 5~8年 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
シリコン塗料 | 10~15年 |
ラジカル(制御型)塗料 | 12~15年 |
光触媒塗料 | 12~20年 |
フッ素塗料 | 15~20年 |
無機塗料 | 20~25年 |
例えば、前回の塗装でシリコン塗料を使用した場合、次の塗装はおおよそ10~15年後、フッ素塗料の場合は15~20年後になると考えられます。 ただし、耐用年数とは標準的な使用状況でメーカーが保証する期間を指すものであり、それ以前に劣化症状が出ることもある点には注意が必要です。
外壁材の種類と耐用年数
外壁のメンテナンス時期をより詳細に考えるには、外壁材それぞれの耐用年数やメンテナンス周期も把握しておく必要があります。
外壁材の耐用年数
各外壁材のメンテナンス周期と耐用年数の目安は以下の通りです。
外壁材の種類 | メンテナンス周期の目安 | 耐用年数 |
窯業系サイディング | 8〜10年 | 20〜40年 |
金属系サイディング | 10~15年 | 20〜40年 |
木質系サイディング | 3~10年 | 15〜40年 |
樹脂系サイディング | 10~20年 ※塗り替えは不要 | 20〜50年 |
タイル | 約20年 | 30~50年 |
ALC | 10~15年 | 30〜40年 |
モルタル | 8~10年 | 30〜40年 |
これらはあくまで目安であり、例えばサイディングの一般的な耐用年数は20~40年、モルタル・ALCは30年以上、タイルは30~50年と言われています。 しかしながら、外壁の塗膜の耐用年数は外壁材自体の耐用年数を超えることはありません。 外壁材が劣化している場合、外壁塗装だけでなく外壁材そのもののメンテナンスも同時に必要になります。 各材料の正確なメンテナンス周期は、メーカーのウェブサイトやパンフレットで確認することができます。
塗装が不要な外壁材も存在する
ガルバリウム鋼板、タイル、レンガ、樹脂系サイディングなどの一部の外壁材は、基本的に塗装の必要がありません。 それでも最近では、メンテナンス不要な外壁材であっても外壁を保護する目的でクリア塗装を施す方が増えています。 クリア塗装は必須ではありませんが、外壁の劣化を遅らせたり防水機能を向上させる目的で施されます。
外壁のメンテナンス方法
外壁のメンテナンスには、外壁塗装、外壁の重ね張り(カバー工法)、外壁の張り替えの3つの主要な手段が存在します。 それぞれの工事の費用と期間は、以下の通りです。
メンテナンスの種類 | 費用相場 | 工期 |
外壁塗装 | 約80~100万円 | 1~2週間 |
外壁の重ね張り※金属製サイディング | 約150~200万円 | 10日~2週間 |
外壁の張り替え※窯業系サイディング | 約180~250万円 | 2~3週間 |
※この費用相場は、30坪の木造二階建て住宅を基に算出されています。
20年以上経過した建物の外壁が深刻に損傷している場合、主に重ね張りや張り替えが採用されます。一方、築10~15年程度の建物では、一般的には外壁塗装が行われます。
重ね張りは、既存の外壁材の上に新しい外壁材を貼り付ける方法です。
メンテナンスを行う際、建物の構造体に余計な負荷をかけないように、軽量な金属サイディングが使用されることが多いです。 張り替えは、既存の外壁材を全て撤去し、新しい外壁材に替える方法です。
既存の外壁材を撤去するため、新しい外壁材は自由に選択することが可能ですが、窯業系サイディングを選ぶ方が一般的です。 また、張り替えによる補修を行う際、下地の修繕が必要になるため、劣化状況によっては費用と期間が増える可能性もあります。
コーキング(シーリング)の補修も重要
外壁材の種類によって、外壁材の接合部や窓周りにコーキング(シーリング)材が充填されていることがあります。
これらのコーキング材も経年劣化により、亀裂や剥がれ、隙間などが生じ、その部分から雨水が侵入する可能性があります。
このような状況から、コーキングが劣化している場合には「打ち増し」や「打ち替え」などの補修が必要となります。
コーキングを早めに修繕することで、外壁塗装の耐久性が向上しますので、定期的なコーキングの修繕が大切です。
外壁塗装の費用相場
外壁塗料には様々な種類があり、それぞれ特徴や価格が異なります。
防水性や耐久性に優れた塗料は、通常よりも価格が高くなる傾向がありますが、その分、長期間にわたって効果を発揮します。 30坪の家の外壁塗装では、最低でも60万円はかかると考えておくのが妥当ですが、外壁の状態や塗装の目的によっては費用が高くなることもあります。
適切な費用と工程を計画するためにも、業者選びと見積書を細かくチェックすることが大切です。
外壁塗装の費用は、塗装する家の延べ床面積や塗装面積、塗料の種類や厚み、塗り方や下地処理などの要素によって変わってきます。
そのため、相場はあくまで参考程度にし、実際に業者に見積もりを出してもらうことが大切です。 以下は戸建て住宅の外壁塗装にかかる費用相場を表にまとめたものです。
坪数(延坪) | 塗装面積 | 費用相場 |
10坪 | 40㎡ | 約20~40万円 |
20坪 | 79㎡ | 約40~70万円 |
30坪 | 119㎡ | 約60~100万円 |
40坪 | 158㎡ | 約80~130万円 |
50坪 | 198㎡ | 約100~160万円 |
60坪 | 238㎡ | 約120~200万円 |
70坪 | 277㎡ | 約140~230万円 |
100坪 | 396㎡ | 約200~320万円 |
外壁塗装の工事費用が高くなる状況とは
外壁の塗り替えメンテナンスは、適切なタイミングで定期的に行うことが求められます。 しかし、適切な時期にメンテナンスを行わなかった場合や、その他の状況下では工事費用がかさんでしまうことがあります。 以下に、そのような状況をいくつか紹介します。
塗り替え時期が早すぎる
外壁塗装の最適な塗り替え時期は、塗料の耐用年数や塗膜の劣化状態から判断します。 しかし、メンテナンスがまだ必要ではないにも関わらず、利益優先の業者が工事を提案することがあります。 このような場合は、無駄な費用が発生するだけでなく、長期的に見てメンテナンスコストが高くなることでしょう。 そのため、業者の勧めだけで決断せず、必ず適切な時期に工事を行うことが大切です。 また、複数の業者の意見を聞いたり、自分でも外壁塗装の知識を身につけて適切な判断を行うようにしましょう。
メンテナンスを先延ばしにした場合
外壁塗装には約100万円前後の費用がかかるため、塗り替えが必要な時期になっても工事を先延ばしにするケースがよく見られます。 その結果、塗膜の防水性が低下し、雨水が塗膜内部に侵入する可能性があります。これは外壁の下地や構造体の腐食、室内の雨漏りにつながる恐れがあります。 それにより、本来なら外壁塗装工事だけで対応できた問題でも、他の場所の修繕が必要になるケースがみられます。 このような理由から、外壁のメンテナンスは決して先延ばしにしないことが大切です。
耐用年数が短い塗料で再塗装を行った場合
外壁塗装の費用を抑えるために、安価で品質が低い塗料を使った結果、耐用年数が短く、塗り替えの頻度が高くなるケースもあります。 例えば、安価なアクリル塗料を使った場合、耐用年数はおおよそ5~8年程度です。 外壁塗り替え時には約15~20万円の足場代も発生するため、長期的に見るとメンテナンスコストが高くなります。 そのため、近い将来に建て替えや引っ越しの予定がない場合の塗り替えは長持する塗料を選択するようにしましょう。
外壁塗装の寿命を延ばす方法
前述したように、外壁の塗膜の寿命を外壁材そのものの寿命以上に延ばすことは不可能です。しかし、その寿命に接近する期間まで延ばすことは可能です。 ここでは、外壁塗装の寿命を延ばすための方法をいくつか紹介します。
外壁の洗浄により寿命を延ばす
外壁の塗膜が劣化する要因の一つは、チリやホコリ、排気ガス、空気中の塩分、カビ、コケなどの外壁への付着です。 しかし、定期的に外壁を洗浄することで、塗膜の劣化を遅らせ、外壁塗装の寿命を延ばすことが可能になります。 スポンジやソフトブラシを用いて、外壁の汚れを丁寧に洗い流すようにしましょう。 ただし、洗浄時に家庭用の高圧洗浄機を使用すると、塗膜や外壁材を傷つける可能性があるため注意が必要です。 また、高所作業が必要となる場合は、安全上の理由からプロの業者に依頼することをおすすめします。
再塗装時に高品質の塗料を選択する
再塗装の際には、寿命が長い塗料を選択することで、メンテナンス周期を延ばすことが可能です。 高価なものとなりますが、フッ素塗料を用いると15年以上、無機塗料を用いると20年以上の寿命が期待できます。 高品質な塗料は、様々な機能が付与されています。そのため、寿命を延ばすだけでなく、外壁のダメージも最小限に抑えることが可能です。
外壁塗装の業者選びのポイント
ここでは、外壁塗装を成功させるための業者選びについて解説します。見積もりを依頼する前に確認しておきましょう。
塗装工事の平均費用を前もって知る
外壁塗装には、使用する塗料だけでなく、足場設置やその他の関連工事など、工事項目ごとに平均的な費用が発生します。 したがって、これらを前もって把握しておくことで、業者から提示された見積もりが適切であるかどうかを大体判断できます。 さらに、外壁塗装では建物の状態により、必要な工事項目が変わることもあります。そのため、この点には特に注意が必要です。
同じ内容に対し、複数の業者から見積もりを取得する
建築工事を業者に依頼する際は、前もって同じ作業内容に対して複数の業者から見積もりを依頼し、各社の見積もり内容を徹底的に比較検討することが重要です。 外壁塗装も例外ではありません。一つの業者だけでなく、複数の業者から同じ内容の見積もりを取得して比較することをおすすめします。
悪質な業者の特徴を理解する
外壁塗装は、建築工事の中でも特に手抜きが行われやすい作業とされており、悪質な業者も多いと言われています。 事実として、毎年多くの悪質な業者による外壁塗装トラブルが報告されており、注意が必要です。 特に、訪問販売を行っている業者の中には、悪質な業者が多いと言われています。このような悪質な業者の特徴を前もって理解し、被害を避けるようにしましょう。
まとめ
この記事では、築15年の持ち家の外壁塗装をお考えの方に向けて、メンテナンスに最適なタイミングやおおよその費用、外壁塗装の寿命を伸ばす方法などを紹介しました。
外壁塗装は家の美観や防水性を保つために必要なメンテナンスです。適切な時期に適切な工事を行うことで、快適で安全な住まいを長く維持できるでしょう。