アスファルトシングルとはどんな屋根材?デメリットやメンテナンス方法を解説
2024/06/20
日本ではまだ珍しいものの、近年注目されつつあり、アスファルトシングルの塗装を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、屋根は常に自然の影響を受けるため、アスファルトシングルのデメリットが気になるところです。
その為、定期的なメンテナンスが必須です。
ここでは、アスファルトシングルがどんな屋根材でメリットやデメリットがあるのか、そのメンテナンス方法について紹介します。
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アスファルトシングルとは?
アスファルトシングルは、カナダ発祥で100年以上の歴史を持つ軽量かつ耐久性に優れた屋根材です。
「シングル」や「シングル葺き」と呼称されることもあります。
ガラス繊維や木材チップにアスファルトをコーティングして作られ、その防水性と耐候性で知られています。
デザインの多様性と施工のしやすさから、特にアメリカやカナダで屋根材市場の大部分を占めています。
アスファルトシングルは装飾性と機能性を兼ね備え、適切なメンテナンスにより長期間利用可能です。
これとは異なり、ルーフィングシートは防水層としての役割に特化したアスファルトベースのロール材で、主に屋根の下層に用いられます。
アスファルトシングルのメリット・デメリット
アスファルトシングルのメリットとデメリットについてご紹介します。
アスファルトシングルのメリット
アスファルトシングルには、次の5つのメリットがあります。
- 防水性が優れている
- 防音性が高い
- 加工や施工が簡単
- 耐震性がある
- メンテナンスやリフォームの費用が安い
メリット①防水性が優れている
アスファルトシングルは、防水シートを使用しているため、10年から30年の防水保証がついている製品が多い屋根材です。
一方で、トタン、スレート、ガルバリウム鋼板などの他の屋根材を施工する際は、ルーフィング(防水シート)を固定するために釘やビス、タッカーといった固定具を大量に使用します。
これらの方法ではルーフィングに多くの穴が開くため、雨漏りのリスクが少し高まります。
しかし、アスファルトシングルの屋根施工には専用のセメント(接着剤)を使用し、ルーフィングに穴を開けずに施工ができるため、雨漏りのリスクを低減できます。
ただし、屋根の形状によっては釘を使用する必要がある場合もあり、ビスやタッカーを使わずに施工できる業者は限られています。
そのため、アスファルトシングルの施工には、経験豊富なプロの業者選びが重要です。
メリット②防音性が高い
アスファルトシングルの多くには、表面に天然石が施されています。
この天然石が音を吸収する緩衝材の役割を果たし、防音性を向上させます。
その結果、トタンや金属製の屋根でよくある「雨音がうるさい」という心配がアスファルトシングルでは格段に少なくなります。
メリット③加工や施工が簡単
アスファルトシングルは柔軟性があり、カッターやハサミで簡単にカットできるほど加工しやすいのが大きな魅力です。
この特性のおかげで、曲がりくねった屋根にもスムーズに適用でき、複雑なデザインの屋根リフォームも手軽に行えます。
その使い勝手の良さから、自宅の物置など小さなプロジェクトのDIYにも多く選ばれています。
総合的に、アスファルトシングルは非常に扱いやすい屋根材と言えます。
メリット④耐震性がある
一般的な屋根瓦が約45~60kg/㎡、スレート屋根が約18~21kg/㎡の重さであるのに対して、アスファルトシングルはたったの9~12kg/㎡と非常に軽量です。
屋根の重さは建物への負荷を意味し、それが多いほど耐震性に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、軽量なアスファルトシングルへのリフォームは、建物の耐震性を向上させる効果が期待できます。
メリット⑤メンテナンスやリフォームの費用が安い
アスファルトシングルは、1㎡あたりのコストが約5,000円から最高でも8,000円程度と、他の屋根材に比べて経済的です。
例えば、日本瓦や洋瓦は1㎡あたり8,000円から15,000円、スレート屋根は5,000円から7,000円、ガルバリウム鋼板は6,500円から8,000円が相場です。
これにより、アスファルトシングルは材料費と施工費の両方でコストパフォーマンスが高いと言えます。
ただし、屋根工事全体の費用には足場設置や既存屋根材の撤去など、追加の費用が含まれます。
最終的な総額は施工業者に確認が必要です。
アスファルトシングルのデメリット
アスファルトシングルがさまざまな利点を提供する一方で、次に挙げる4つのデメリットも考慮する必要があります。
- 勾配がない屋根への施工は不向き
- 表面の石が剥がれ落ちる
- カビ・コケが発生しやすい
- 耐風性・耐熱性が低い
- 業者の数が少ない
デメリット①勾配がない屋根への施工は不向き
アスファルトシングルは、フラットな屋根には適していません。
この種のシングルは、少なくとも3.5寸の勾配がある屋根に最適です。
しかし、緩い勾配の屋根でも、特定の下地処理を施せばアスファルトシングルを使用できることがあります。
勾配が少なく、軽量な屋根材をお探しの場合は、ガルバリウム鋼板が良い選択肢になるでしょう。
具体的な対応策については、リフォーム会社に相談することをお勧めします。
デメリット②表面の石が剥がれ落ちる
多くの屋根材には小石が付いていますが、時間が経つにつれてこれらの石が剥がれて落ちることがあります。
特に、特に庭やバルコニーのある家では清掃が必要です。
さらに、樋に石粒が溜まり詰まりを起こすと、雨水の排水が妨げられ、外壁の劣化や雨漏りを引き起こす可能性があります。
これを避けるため、樋の定期的な清掃が重要となります。
デメリット③カビ・コケが発生しやすい
アスファルトシングル屋根は道路のようなザラザラとした凸凹があり、雨水が流れにくいため水が滞留しやすくなります。
この環境はコケや藻が生えやすい条件を作り出します。
その結果、屋根の見た目を維持するためには、定期的な高圧洗浄や塗装などのメンテナンスが必要になります。
デメリット④耐風性・耐熱性が低い
アスファルトシングルの屋根は、専用の接着剤や釘などで固定されますが、軽量であるため経年劣化すると強風で破れることがあります。
特に、屋根の棟板金は風で剥がれやすい方法で取り付けられるため、沿岸部ではこの材料の使用を避ける傾向にあります。
台風などの強い風が吹く時には、屋根材が損傷する恐れがあるため注意が必要です。
デメリット⑤業者の数が少ない
アスファルトシングル屋根の弱点は、定期的な検査とメンテナンスで早期に対処すれば、簡単に修復可能です。
ただし、日本ではアスファルトシングルの普及率が低く、扱いに慣れた業者が少ないため、修理やメンテナンスの際に適切な業者を見つけるのが難しい場合があります。
アスファルトシングル屋根を選ぶ際は、将来のメンテナンスも考慮して対応可能な業者を選ぶことが重要です。
アスファルトシングルの耐用年数は?
アスファルトシングルの寿命は通常15〜30年とされていますが、これは製品によって異なります。
最新の改良により、耐久性が向上している今の製品は、20年以上前に製造されたものと比べて長持ちします。
また、日本製と海外製では特性や保証内容に違いがあります。
日本でのメンテナンス推奨時期は約12年後ですが、外国製品、特に韓国製などは30年後とされることもあります。
このため、選択するアスファルトシングルによっては期待以上の耐用年数が得られることもある点を押さえておくと良いでしょう。
アスファルトシングルのメンテナンス・リフォーム方法
築20〜30年を経たアスファルトシングル屋根のリフォームが増えてきています。
ここでは、アスファルトシングルのメンテナンスとリフォームについて説明していきます。
- 葺き替え(貼り替え)工事
- カバー工法
- 棟板金の交換
- 屋根塗装
- 部分補修
葺き替え(貼り替え)工事
アスファルトシングル屋根は通常、築20〜30年で交換時期を迎えます。
屋根が大きく損傷していて、その下地も劣化している場合、屋根材と下地材の両方を新しくする葺き替え工事が必要になります。
この工事では、屋根材を取り除く作業や古い材料の撤去に費用がかかり、工期も延びますが、これにより今後の雨漏りやメンテナンスの心配がなくなり、リフォームとしては最も効果的です。
カバー工法
カバー工事とは、既存のアスファルトシングル屋根の上に新しいアスファルトシングルや金属屋根を追加する工事です。撤去作業の手間とコストを節約できるため、人気の選択肢です。
ただし、屋根の厚みが増すことで、雨水の排水経路に影響を及ぼす可能性があるため、工事に先立って雨樋の排水能力について確認することが大切です。
棟板金の交換
アスファルトシングル屋根の棟板金は、特に強風に弱い箇所です。
15年経つと、これらの板金と固定用の釘が劣化し、風で飛びやすくなります。
初期の下地材が木である場合が多いため、10年から20年ごとには劣化による交換が必要です。
その際、棟板金だけでなく、もし木製の下地も使用されていれば、これも一緒に交換することが望ましいです。
屋根塗装
アスファルトシングル屋根の石粒が剥がれた場合、屋根塗装で基材を守ることができます。
屋根塗装には、おおよそ30〜50万円がかかります。
塗装時には、シングルの重なる部分の端を切り落とさないと、水の排出が阻害され雨漏りの原因になるので注意が必要です。
部分補修
アスファルトシングルの部分補修は、小さな損傷や劣化が見られる場合に適しています。
全体の葺き替えを行うほどではないですが、放置すると大きな問題につながる可能性がある小さな問題を解決するための方法として行います。
アスファルトシングルのメンテナンスをする際の注意点
アスファルトシングルのメンテナンスを行う前にチェックすべき重要なポイントをまとめました。
以下の情報を施工前に確認し、注意してみてください。
- 施工実績がない業者がいることを留意する
- DIYは行わない
- 雪止めは先付けがおすすめ
- 台風が去ったあとは屋根を点検するのがおすすめ
施工実績がない業者がいることを留意する
日本ではアスファルトシングルの施工経験を持つ屋根工事業者が少ないため、施工に失敗し雨漏りを引き起こすトラブルが発生することがあります。
施工業者が自ら施工経験の有無を明かさないこともあるので、工事を依頼する際は、業者のアスファルトシングルに関する実績や施工時の注意点を事前に確認し、再確認することが重要です。
これにより、施工ミスによる問題を避けることができます。
DIYは行わない
アスファルトシングルのメンテナンスをDIYで行わない理由には、
- 専門的な知識と技術の必要性
- 高所での作業に伴う安全リスク
- 専門業者による保証の欠如
- 適切なツールと材料の不足
が挙げられます。
誤ったメンテナンスは屋根を損傷させ、修復を困難にする可能性があり、事故や高額な修理費用のリスクも伴います。
これらの理由から、メンテナンスは専門の業者に依頼することを強くお勧めします。
雪止めは先付けがおすすめ
各屋根材には特定の雪止め金具があり、これは施工時や後からの取り付けにも適しています。
アスファルトシングルにも専用の雪止め金具がありますが、取り付けは施工初期に推奨されます。
なぜなら、アスファルトシングルは釘と接着材の両方を使用して固定されており、この方法は強風から守るためですが、既に施工されたシングルに雪止めを後から取り付ける際には困難を伴うことがあります。
これは、特にアスファルトシングルの場合に顕著となっています。
台風が去ったあとは屋根を点検するのがおすすめ
アスファルトシングルは接着剤や釘で下地に固定されていますが、施工の際の接着が甘かったり、軽量な特性から強風による破損のリスクがあります。
台風が去ったあとは破損がないか、屋根を点検するのがおすすめです。
破損を早めに見つけて対処することで、雨漏りの発生を未然に防ぐことができます。また、修理費用の節約にもつながります。
まとめ
今回はアスファルトシングルとはどんな屋根材なのか。
またメリットやデメリット、メンテナンス方法について解説していきました。
そこからわかったことをまとめると
- アスファルトシングルの屋根材は、コストパフォーマンスや防水性にも優れている
- アスファルトシングルの利点には、「優れた防水性」「高い防音性」「施工や加工のしやすさ」「良好な耐震性」「メンテナンスやリフォームのコストが低い」ことが含まれる
- アスファルトシングルの欠点には、「平らな屋根には適さない」「表面の石が剥がれやすい」「カビやコケが生えやすい」「風や熱に弱い」「そして専門の施工業者が少ない」ことがある
- アスファルトシングルの耐用年数は製品や改良によって15年から30年と幅があり、日本製と海外製では特性や保証に違いがあり、メンテナンスの時期も国によって異なる
- メンテナンス時には、施工経験のない業者の存在に注意し、自己修理(DIY)は避けるべき
- 雪止めの設置は事前に行うことが大切
アスファルトシングルは、北米では人気のある屋根材ですが、日本ではまだ一般的ではありません。
これは、日本独特の気候や、この種の屋根を施工できる専門の業者が少ないためです。
アスファルトシングルについてしっかり理解し、その特徴、利点、欠点を把握することで、他の屋根材と比較して、自宅に最適な選択ができるようになります。
色々な屋根材を検討する際は、それぞれの特性を比較して、自分の家に合ったものを選びましょう。