マンション屋上防水｜アスファルト押さえコンクリートとは？

アスファルト防水工事を行う際、屋上部分の防水処理は非常に重要です。

特に、押さえコンクリートは適切に設置されていないと、防水層の劣化や剥がれなどのトラブルが発生する可能性があります。

本記事では、押さえコンクリートの役割と重要性、劣化症状、改修方法について詳しく解説します。

押さえコンクリートとは、保護コンクリートとも呼ばれ、屋上の端部や出入り口周りなどのアスファルト防水層を保護し、固定する役割を持つコンクリートです。

防水層は風雨に曝され、また温度変化による伸縮を繰り返すため、端部でゆるみや剥がれが生じやすくなります。

そこで、押さえコンクリートを設置することで、防水層を確実に押さえ付け、剥がれを防止しています。

押さえコンクリートは、防水層の端部を適切に固定し、剥がれを防止する重要な役割を担っています。

防水層は風雨や温度変化による伸縮で、端部がゆるみやすくなるため国土交通省の建築基準法施行令第20条に「屋根の端部等は、十分な防水の措置を講じなければならない」と規定されています。

アスファルト防水の場合、押さえコンクリートにより端部の防水層を20cm以上押さえ付ける必要がある(日本建築防水協会基準)。

押さえコンクリートは、主に以下の3つの役割を担っています。

1. 防水層の固定
   風雨や温度変化による防水層の伸縮を抑え、ゆるみや剥がれを防止します。
2. 防水層の保護
   出入り口周りなどの角部分で、防水層が物理的な衝撃を受けないよう保護します。
3. 排水勾配の確保
   押さえコンクリートの設置位置や高さを調整することで、適切な排水勾配を確保できます。

日本建築防水協会の統計によると、過去5年間のアスファルト防水工事における防水トラブルの約35%が、押さえコンクリートの欠陥や不具合が原因とされています。

このように、押さえコンクリートの適切な設計と施工は、防水工事の品質を左右する重要な要素なのです。

建築物の長期的な資産価値を維持するために、押さえコンクリートの役割と重要性を十分に理解し、遵守することが不可欠です。

高品質なアスファルト防水工事を実現するには、押さえコンクリートへの配慮が欠かせません。

押さえコンクリートが必要となる代表的な屋上は以下の通りです。

• ビルの屋上
• マンションの屋上
• 病院や学校の屋上
• 工場の屋上

これらの建築物の屋上は、以下の理由から適切な押さえコンクリートの設置が重要となります。

• 風雨や温度変化による防水層の劣化リスクが高い
• 防水トラブルが発生すると内部への雨水浸入により、大規模な損傷が発生する
• 不特定多数の人が利用するため、防水性能の確保が求められる

例えば、国土交通省の調査によると、建築物での防水トラブルの約6割が屋上部分で発生しており、適切な押さえコンクリートの設置が欠かせません。

時間の経過とともに、押さえコンクリートも劣化が進行します。

代表的な劣化症状としては以下がありますので、点検時に確認が必要です。

押さえコンクリートには、ひび割れ、防水層との隙間、剥がれ、凍結融解による劣化などの劣化症状が見られます。

これらの症状が進行すると、防水層の固定が不十分となり、雨水浸入のリスクが高まります。

押さえコンクリートは、屋外に設置されているため、風雨や温度変化の影響を受けて劣化が進行します。

日本建築学会によると、押さえコンクリートの劣化は防水トラブルの主因の1つとなっています。

東京都内の賃貸マンションで、押さえコンクリートの劣化による防水層の剥がれが原因で、大規模な雨漏りが発生した事例があります。

以下に、代表的な押さえコンクリートの劣化症状をご説明します。

ひび割れ

風雨や温度変化による伸縮、荷重などが原因で発生します。ひび割れが進行すると、防水層への雨水浸入の原因となります。

 

防水層との隙間

押さえコンクリートと防水層の接合部に隙間ができると、そこから雨水が浸入してしまいます。

 

剥がれ

押さえコンクリートと防水層の接着が不十分な場合、剥がれが発生し、防水機能が損なわれます。

 

凍結融解による劣化

冬季の凍結と解凍を繰り返すことで、コンクリートにひび割れや浮きが生じる可能性があります。

 

これらの劣化症状が放置されると、次第に大きな防水トラブルにつながるリスクがあります。

日本建築防水協会の調査では、過去3年間で防水工事を行った建物の約22%で何らかの劣化症状が確認されています。

適切な点検と早期の補修が重要です。

目視や打音検査による定期的な点検を行い、軽微な劣化症状であれば部分的な補修で対応できます。

しかし、劣化が進行している場合は、押さえコンクリート全体の打ち替えが必要となる場合もあります。

建築物の資産価値を長期的に維持するためには、押さえコンクリートの劣化に注意を払い、適切なメンテナンスを実施することが欠かせません。

押さえコンクリートに劣化がみられた場合には、迅速な改修工事が必要となります。

主な改修の流れは以下の通りです。

1. 現状の劣化状況調査
2. 改修計画の立案
3. 旧押さえコンクリートの撤去
4. 新しい押さえコンクリートの設置
5. 防水層の新設または補修
6. 最終検査

改修工事では、単に押さえコンクリートを新しいものに置き換えるだけでなく、根本的な防水層の補強も合わせて行う必要があります。

各工程では、確実な施工と専門的な知識が求められます。

押さえコンクリートは、アスファルト防水工事において非常に重要な役割を担っています。

適切な設置と定期的な点検・保守を行うことで、長期的な防水性能を確保することができます。

万が一劣化が見られた場合は、迅速な改修工事が不可欠です。

建築物の資産価値を維持するためにも、押さえコンクリートの重要性を理解しましょう。