塗装ができない屋根材は7種類も!屋根塗装NGな理由とメンテナンス方法を解説
2024/06/20
屋根の「塗装」は、建物の美観と耐久性を向上させる重要なメンテナンス作業です。しかし、すべての屋根材が塗装に適しているわけではありません。
塗装ができない屋根材は多く存在し、塗装ができない理由もそれぞれあります。
この記事では、塗装ができない屋根材の7つの種類と、その理由を紹介します。
また、塗装ができない屋根材の場合の適切なメンテナンス方法についても解説します。
屋根の寿命を延ばし、建物を守るための知識を身に付けましょう。
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塗装できない屋根材とは?
塗装ができない屋根材とはどのようなものを指すのか、見当がつかない方がほとんどではないでしょうか。
塗装ができない屋根材とは、「ノンアスベスト屋根材」のことです。アスベスト(石綿)を含まない屋根材です。
一昔前の屋根材には強度が高くなることからアスベストが含まれていました。
しかし、アスベストは2006年に健康への悪影響が確認され、使用が禁止されました。そのことで誕生したのが「ノンアスベスト屋根材」です。
各建材メーカは、アスベスト使用の禁止を受け、こぞってノンアスベスト商品の開発を進めましたが、強度に問題を抱えたままノンアスベスト屋根材は流通していました。
流通当初から顕著に表れた、強度に問題のある「ノンアスベスト屋根材」は塗装によって強度の補強ができない、塗装によって劣化が抑えられない、といったことから、塗装ができない屋根材が存在するのです。
塗装できないノンアスベスト屋根材の種類は7つ
前述のとおり、アスベストの使用が健康への悪影響が明らかとなり、使用を禁止され、ノンアスベスト商品の開発が進んだことがきっかけで、強度に不備のある「塗装できない屋根材」が流通しました。
この時期のノンアスベスト屋根がすべて塗装できないわけではなく、その内の7種類が塗装できないものとして挙げられます。
それぞれの特徴や難点を紹介しますので、ご自宅や、所有される建物に当てはまるかどうか、確認して屋根材に適切なメンテナンスを施しましょう。
パミール
製品名 | パミール |
メーカー | ニチハ株式会社 |
製造年 | 1996~2008年 |
パミールは、アスベスト使用禁止前の1996年に発売された屋根材です。当時、アスベストの代替材として開発されたものの、経年劣化によってミルフィーユ状に剥がれるという問題点が発生しました。
特徴としては軽量で、施工性に優れる、といった利点がある一方、8~10年で特に劣化が進み、剥がれた屋根材の上に塗装をしても全く意味がない、というデメリットがあります。
また、メーカーのニチハ株式会社は、パミールを固定する際に耐食性表面処理が施されたラスパート釘の中の一部に、メッキ層不足の釘が混入されていた、と発表しています。
被膜の薄い釘は通常よりも錆び・腐食を起こしやすく、急に屋根材が落下する、といった報告もされています。
所有される建物にパミールが使用されているかどうかは、経験豊富な専門業者に点検をお願いすることで分かります。
信頼できる業者に適切な意見を聞きましょう。
レサス
製品名 | レサス |
メーカー | 松下電工株式会社(現:KMEWケイミュー株式会社) |
製造年 | 1999~2006年 |
レサスは、アスベスト使用禁止前の1999年に発売された屋根材で、アスベストの代替材として開発されましたが経年劣化によってひび割れや欠けが発生しやすいという問題が発生しました。
塗装を行うと、劣化が加速し、さらにひび割れが大きくなったり、落下する可能性があります。
材質はセメント質繊維板で、軽量で施工性に優れていますが、強度が低く、屋根の点検で上を歩くだけで割れてしまう、という問題点があります。
そんな状況の上から塗装を施しても、意味のないことは明確です。塗り替えよりも必要なのは張り替えになります。
シルバス
製品名 | シルバス |
メーカー | 松下電工株式会社(現:KMEWケイミュー株式会社) |
製造年 | 2001~2003年 |
シルバスも松下電工の商品で、レサスの上位商品として発売された屋根材ですが、耐久性に問題があり、3年ほどで製造販売は終了になりました。
シルバスは大きなスリットが入っており、デザイン性に優れていますが、レサス同様に、ひび割れや欠け・反りが多く発生します。スリットが入っている分、さらに割れやすいと考えられます。
そんな劣化が進んだ屋根材の上からの塗装は、全く意味がなく、推奨されていません。
コロニアルNEO
製品名 | コロニアルNEO |
メーカー | クボタ株式会社(現:KMEWケイミュー株式会社) |
製造年 | 2001~2008年 |
コロニアルNEOは2001年に発売されたクボタ(現・ケイミュー)の人気屋根材で、セメント質繊維板で、豊富なカラーバリュエーションを持ちます。
アスベスト使用禁止後に代替品として開発されたものの、細かなひび割れや先端の欠けが目立ち、10年を超えるとその範囲は全面に広がります。屋根材の劣化を放置したままだと、屋根材の下部の防水シートに紫外線や雨風が直接影響し、雨漏りがしやすくなります。
ただ、コロニアルNEOは他の屋根材と比べて不具合の報告が少なく、築年数によっては塗装で補強ができる場合もあります。
信頼できる施工業者と話し合い、ベストな屋根のメンテナンスを施しましょう。
アーバニーグラッサ
製品名 | アーバニーグラッサ |
メーカー | クボタ株式会社(現:KMEWケイミュー株式会社) |
製造年 | 2001~2005年 |
アーバニーグラッサは通称”アーバニー”ともされるクボタの屋根材です。うろこのように入り組んだデザインで人気を集めたものの、強度が低く、細かなひび割れや、欠損が多く発生します。
屋根材の一部が割れ、滑落してきた、塗装をしようと屋根の上を歩いただけでパキパキと割れてしまうほど、劣化した屋根材の放置は大変危険です。
アーバニーグラッサを使用し、劣化した屋根材は、塗装による補強は期待できません。
ザルフグラッサ
製品名 | ザルフグラッサ |
メーカー | クボタ株式会社(現:KMEWケイミュー株式会社) |
製造年 | 2001~2005年 |
ザルフグラッサは、コロニアルNEOとよく似た形状で、こちらの方がスリット幅がやや広いデザインです。
アスベストを使用しない「ノンアスベスト屋根材」ですが、2004年に定められた規定をクリアするため、長期における耐久性のデータがないまま製造・販売されました。
ザルフグラッサは高級感あるデザインで、耐候性に優れているとされていましたが、ひび割れが多く発生し、パミールのようにミルフィーユ状の層状剥離がみられる場合もあります。
ひび割れや剥離がみられるをザルフグラッサ使用した屋根材に、塗装を施しても工賃や手間が無駄になってしまいます。
セキスイかわらU
製品名 | セキスイかわらU |
メーカー | 積水屋根システム株式会社 |
製造年 | 1990~2007年 |
セキスイかわらUは、大手ハウスメーカーの積水グループが長い間使用していた屋根材です。1990年からノンアスベストになっています。2013年まで販売されていたので、現在以降からメンテナンスを考える方も少なくないでしょう。
セキスイかわらUは軽量で施工性に優れている一方、表面のひび割れ、塗膜の剥がれが目立つ屋根材です。
表面の色褪せも目立ちますが、塗装前の高圧洗浄で表面が剥がれてしまい、塗装による補強効果は得られません。表面だけではなく、屋根材そのものの強度の不足も、塗装ができない理由の一つです。
塗装できない屋根材の見分け方
塗装出来ない屋根材の見分け方を紹介します。素人でも目で見て判断できますが、専門家の意見も取り入れながら、屋根材のメンテナンス方法を模索しましょう。
塗装出来ない屋根材の特徴は、以下の通りです。
- 色褪せが激しい
- 表面にひび割れや欠損が多数ある
- 屋根材先端から材料の剥離
ご自宅や所有される建物の屋根材の劣化症状と比べていかがでしょうか?
もし、すべてに当てはまり、屋根全体に劣化症状がみられた場合、「ノンアスベスト屋根材」である可能性も高まり、塗装出来ない屋根材である可能性があります。
素人が屋根に上り、確認するのは危険です。必ず専門業者に点検を依頼しましょう。
塗装できないノンアスベスト屋根のメンテナンス方法
前述の通り、1990年代〜2005年くらいまでに流通された「ノンアスベスト屋根材」には塗装ができないものが多いようです。
また、そのころに建物を新築した方で、そろそろ屋根のメンテナンスをお考えの方はいらっしゃるのではないでしょうか。
所有される建物に、「ノンアスベスト屋根材」が使用されているか気になるところです。またもし、「ノンアスベスト屋根材」が使用されている場合、どのようなメンテナンス方法があるのかを知っておくと、屋根材のメンテナンスが適切に、スムーズに行えるでしょう。
信頼できる専門業者に点検を依頼し、屋根材のメンテナンス方法の知識を得たうえで工事の計画を進めることが重要です。
カバー工法
ノンアスベスト屋根材に適したメンテナンス方法に、カバー工法があります。
カバー工法とは、既存の屋根に新しい屋根材を被せることで屋根の耐久性を向上させ、長期間にわたってその性能を保持することを目的としています。屋根材はガルバリウム鋼板を使用することが多く、耐久性・耐熱性・軽量性に優れた屋根が期待できます。
また、ガルバリウム鋼板は塗り替えの頻度もそう多くなく、定期的な錆などの点検をすれば、メンテナンスに掛かる費用も安く抑えられるでしょう。
葺き替え
ノンアスベスト屋根材に適したメンテナンス方法に、葺き替えがあります。
屋根材の葺き替え工事とは、既存の屋根材を撤去し、全面的に新しい屋根材に葺き替えることを指します。
屋根を全面的に葺き替えるので、カバー工法と比べ費用は高額になりがちですが、耐震性・防水性・断熱性を高めるには大きなメリットがあるといえるでしょう。
屋根材の劣化が進み、雨漏り・防水材への浸水がみられる場合、カバー工法では水分を内部に閉じ込めてしまう特性もあります。この場合、屋根材の葺き替えがおすすめです。
新たに葺き替える屋根材も予算に応じて選べるので、費用対効果を最大限に得られるよう、専門の施工業者とのコミュニケーションや状況判断を大切にしましょう。
工事の費用を抑える方法
カバー工法や葺き替えは、塗装と比べると費用が高額になりがちです。
塗装で済ませようと考えていたら、施工されている屋根材が「ノンアスベスト屋根材」など、塗装ができない屋根材で予算オーバーになってしまう、という場合も考えられます。
予算が足りなくてメンテナンスが遅れてしまうと、屋根材の劣化や雨漏りが進行してしまい、状況は悪化するばかりで、建物の資産価値は下がってしまうでしょう。
工事の費用を抑える方法を知り、屋根に適切なメンテナンスを行いましょう。
リフォームローンを活用する
屋根のメンテナンスを予期していなかった、または屋根と外壁のメンテナンスを一緒に行うと費用が予定よりも高額になってしまった場合、費用の工面にリフォームローンの活用を検討してみましょう。
リフォームローンを活用して屋根のメンテナンスを行うメリットとデメリットを紹介します。
まず、リフォームローンが組める金融機関は以下の通りです。
ローンを申し込むところ
- 住宅ローンと同じ金融機関
- 銀行
- 施工業者が提携するクレジット会社など
それぞれの金利、利便性を加味してローンの申し込み先を選択しましょう。
リフォームローンを組むメリット
リフォームローンを組むメリットは以下の通りです。
- 手元のお金を減らさずに済む
- 適切な工事の時期を逃がさず、屋根のメンテナンスができる
屋根や外壁に掛かるメンテナンス費用は高額になりがちです。高額だとはいえ、全額ローンで支払うのは不安・・という方は、ローンを組む場合、費用の一部を頭金に入れ、残りをローンで支払えます。
例えば、費用の総額が150万円だとすると、頭金60万円:ローン90万円というように、一部をローンで支払うと、手元のお金を残しつつ、自分に合ったローン返済計画が可能です。
支払い回数、年数もライフプランに合わせられるのがリフォームローンの利点です。
ご家族のライフプランニングも考え、余裕のある資金計画を行いましょう。
屋根工事と外壁塗装工事を一緒に行う
屋根のメンテナンスを考える際は、外壁塗装も視野に入れ、予算とスケジュールを組むことをおすすめします。
なぜなら、足場の設置が一度で済むからです。足場の設置費用は、屋根工事、外壁塗装の費用の20~30%を占めると言われています。
足場の設置が必要な工事は、まとめて行うとコストパフォーマンスやスケジュールを組む上でも、メリットが大きいでしょう。
自治体の補助金制度を利用する
屋根のメンテナンス工事は耐震性の向上、住環境の向上といった観点から、自治体の助成金の対象になることがあります。
自治体のホームページや広報を確認し、屋根のメンテナンスに使用できる補助金制度の確認を行いましょう。
例えば、神奈川県三浦市では、住宅リフォーム助成事業を通じて屋根や外壁塗装に対し一律7万円を助成しており、愛知県豊川市ではリフォーム工事費の20%(上限20万円)を補助する制度があります。
少しでも予算を軽減するために、上手に情報収集を行いましょう。
まとめ
塗装ができない屋根材が7種類あり、塗装ができない理由を紹介しました。内容をまとめると、以下の通りです。
- 塗装ができない屋根材は7種類
- 塗装ができない屋根材の見分けるポイントは目視でも確認できる
- 塗装ができない屋根材のメンテナンス方法はカバー工法と葺き替え
- 工事の費用を抑える方法は3つある
ご自身が所有される建物に使用されている屋根材は塗装が可能かどうかの確認方法など、適切な屋根のメンテナンスを施すためにも、専門業者の点検、意見は必要です。
屋根のメンテナンスは、住宅の耐久性を高め、居住性を向上させる重要な投資です。複数の施工業者に見積もり作成の依頼をしてみましょう。
ぜひ、所有される建物に計画的で適切なメンテナンス工事を行い、建物の資産価値を維持しましょう。