介護施設の大規模修繕 その必要性と適切な実施方法を探る
2024/06/20
この記事では、介護施設における大規模修繕の重要性とその手続きについて詳しく解説します。施設の長期的な維持管理や、利用者の生活品質の向上を目指す上で欠かせない大規模修繕。その具体的な実施方法や注意点、そして成功のためのポイントについて深く掘り下げていきましょう。
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介護施設の大規模修繕とは?
特別養護老人ホームなどの社会福祉施設では、建物を維持するために大規模修繕が欠かせません。施設には多くの設備があり、その修繕や更新も考慮する必要が出てくるでしょう。
そのため、事前に修繕計画を立てることで資金的な見通しが立ち、補助金の申請も可能になります。
また、大規模修繕を行うことで、時代のニーズにあったサービスの導入や、新たな利用者の獲得も可能になります。
大規模修繕の定義とは
施設の維持保全は、機能を元の状態に戻すことを目的とする「修繕」と、性能の向上や機能の変更を目的とする「改修」に分けられます。
一般的に大規模修繕は、建物や設備が本来持っている機能を回復させることを目的としています。大規模修繕の時期は、一般的に竣工後10~15年、20~30年程度とされています。
屋根などの防水工事は10年程度、設備の更新は15年程度かかるため、これらの周期に合わせて修繕を行うのが一般的です。
介護施設の大規模修繕の必要性
介護施設の大規模修繕の必要性は、施設の長期的な維持における役割と、利用者の快適性と安全性の向上という二つのポイントで考えることが大切です。
施設の長期的な維持における役割
介護施設は、高齢者や障がい者など社会的弱者が安心して暮らせる場として重要な役割を担っています。
しかし、施設の老朽化や設備の劣化は、利用者や職員の生活や介護に悪影響を及ぼすだけでなく、施設経営にも影響を及ぼします。
そのため、施設の長期的な維持管理には、定期的な大規模修繕が欠かせません。
大規模修繕は、建物や設備本来の機能を回復させることで施設の寿命を延ばし、安全性や耐震性を確保することができます。
また、ランニングコストの削減や補助金の活用といった経営上のメリットもあります。
利用者の快適性と安全性の向上
介護施設は利用者にとって第二の我が家と言っても過言ではありません。そのため、利用者の快適性や安全性の向上は大規模修繕の重要な目的です。
大規模修繕では、単に建物や設備の機能を回復させるだけでなく、利用者のニーズや時代の変化に合わせた機能改善や変更も行われます。
例えば、居室を洋室に変更したり、個浴やユニットケアに対応することで、利用者のプライバシーを守り、ケアの質を向上させます。
また、家族との交流や地域交流の場を設けることで、利用者の社会参加に貢献し、生きがいを見出せる施設になることでしょう。
さらに、災害対応設備や防災備蓄品の導入により、利用者の安全を確保します。これらの改修は、利用者の満足度や信頼度を高めるだけでなく、新たな利用者の獲得にもつながります。
大規模修繕の具体的な手続き
ここでは、大規模修繕を行う際に必要なステップを具体的に解説します。全体的な流れを把握して、スムーズに修繕を行えるようにしましょう。
予算計画の立案
大規模修繕には多額の資金が必要となるため、事前に修繕計画を策定し、資金的な見通しを立てることが必要です。
具体的には、施設の現状、必要な修繕項目、工事費の目安、補助金や融資の有無などを調査・分析し、その上で修繕計画を策定することが求められます。
その際、施設の運営方針や利用者のニーズ、工事期間や工事中の利用者・職員の受け入れ体制なども合わせて検討するようにしましょう。
修繕計画策定後は、関係者に周知・説明し、理解と協力を得ることが大切です。
修繕工事の進行管理
修繕工事の進捗管理には、次のような業務が関係しています。まず、工事内容や工程表の確認、工事業者との打ち合わせを行います。
工事中の安全管理や品質管理も重要で、工事が計画通りに進んでいるか、定期的に現場監督や検査を行います。
工事費の支払いや精算も進捗管理の一環です。支払いは工事の進捗状況に応じて行われますが、支払いの遅れや不適切な支払いは工事の進捗に悪影響を及ぼしますので、適切な管理が必要です。
また、利用者やスタッフへの周知・説明、不安や苦情への対応も進捗管理の重要な仕事です。
工事中に施設の利用が制限される場合、騒音や振動が発生する場合などは、事前に利用者や職員に伝え、工事への理解と協力を得る必要があります。
工事中にトラブルや問題が発生した場合は、迅速かつ適切に対応することも求められるでしょう。
工事完了後は、引き渡し検査や竣工検査を行い、不具合や欠陥がないことを確認します。これらの検査は、施設の運営に影響を与えるため、十分な時間と労力をかけなければなりません。
大規模修繕の成功のためのポイント
ここでは、介護施設における大規模修繕を成功させるためのポイントを、的確な診断と計画の重要性と適切な修繕業者の選定という二つの観点から紹介します。
的確な診断と計画の重要性
大規模修繕を成功させるためには、まず施設の劣化状況や必要な修繕項目を正しく把握する必要があります。そのためには、劣化診断と修繕計画の作成が重要なステップとなります。
劣化診断とは、施設の構造・設備・外壁・屋根などの各部位の劣化症状や原因、寿命・耐用年数などを調査・分析することで、施設の現状を客観的に把握するものです。
劣化診断は目視だけでなく、非破壊検査やサンプリング試験など科学的な手法を用いることが望ましいでしょう。
劣化診断は専門家に依頼することが望ましいですが、施工業者や管理会社に任せきりにすると不適切な判断がされたり、過剰な修繕項目を盛り込んだりする可能性も考えられます。
そこで、コンサルタント会社に依頼し、客観的・中立的な立場から劣化診断を行います。劣化診断の結果をもとに、修繕箇所の優先順位をつけ、工事費用を見積もるのが修繕計画です。
修繕計画は、施設の運営方針や利用者のニーズに応え、工期や工事中の利用者・職員の対応にも配慮する必要があります。
コンサルティング会社に依頼することで、施設の特性や最新の技術・工法・材料などを踏まえた最適な修繕計画を立てることができます。
適切な修繕業者の選定
大規模修繕プロジェクトを成功させるための次のステップは、適切な修繕業者を選ぶことです。
修理業者によって、作業内容や費用が大きく変わってきます。そのため、修理業者を選ぶ際には、以下の点に注意することが大切です。
施工実績と信頼性をチェック
適切な修繕業者を選ぶ際には、介護施設の大規模修繕に豊富な経験と実績がある業者であることが重要です。
また、施設の特性やニーズに合わせた提案・対応ができる業者を選ぶことが望ましいです。
過去の施工事例や参考施設の見学を通じて、工事内容や品質を確認できる業者であることも大切です。
見積もりや契約内容を細かく確認
業者は改修計画に基づき、工事内容と費用の見積もりを提示します。見積書には、工事項目、単価、数量、総費用を明確に記載しているか確認が必要です。
見積もりは、比較のために複数の会社から取ることも意識しましょう。
また、契約書の内容として、工期、支払い方法、保証期間、アフターサービスなどを明記しているかも確認も忘れずに行います。
工事中・工事後のアフターフォローの確認
施工業者は、工事中の利用者やスタッフへの配慮、安全管理を徹底する必要があります。また、工事後に引き渡し検査や竣工検査を行い、不具合や欠陥がないことを確認しなければなりません。
もし保証期間中に発生した欠陥や不具合に対しては施工業者は、迅速かつ適切に対応することが求められます。
こうした内容をしっかりと施工業者に確認して、不安がないようにしておきましょう。
大規模修繕における注意点
介護施設の大規模修繕は、施設の運営や利用者に大きな影響を与える工事です。そのため、大規模修繕を行う際には様々な留意点があります。
ここでは、施設運営への影響と利用者への配慮2つの観点から、大規模修繕における留意点を解説します。
施設の運営に与える影響
介護施設の大規模修繕は、建物や設備の劣化を防ぎ、利用者や職員の快適性や安全性を向上させるために必要なものです。
しかし、大規模修繕は施設の運営にも大きな影響を与えます。特に入居者がいる場合、工事中の騒音、振動、粉塵、臭気などが入居者の生活や健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、工事期間中は施設の一部が使用できなくなり、入居者の移動や食事が制限されることもあります。そのため、大規模修繕工事を行う際には、以下のような点に注意が必要です。
- 工事内容・日程の事前周知・説明
- 工事中の配慮と安全管理の徹底
- 工事期間中の生活リズムやプライバシーの尊重
- 工事期間中の健康・心理状態の把握
- 工事期間中のスタッフの負担やストレスの軽減
利用者への配慮
老人ホームの大規模修繕には、利用者への配慮も欠かせません。特に、高齢者や障がいのある利用者は、工事による変化に敏感で、不安やストレスを感じやすいものです。
また、工事によって利用者の居室や共有スペースが変わったり、仮設施設に移動したりすることもあります。
そのため、大規模修繕工事を行う際には、以下のような点に注意しましょう。
- 工事の目的、内容、期間、影響などを事前に説明し、同意を得ること
- 工事中は、希望や意見を聞き、不安や不満を解消すること
- 工事中の生活環境・サービスの質を維持し、快適性・満足度を高める
- 工事期間中は、楽しみや刺激を提供するために、日課やレクリエーションを工夫する
- 孤立や孤独を防ぐため、工事中のコミュニケーションや交流を促進する
大規模修繕後の維持管理
介護施設の大規模修繕は、建物や設備の劣化を防ぎ、利用者や職員の快適性や安全性を高めるために必要なものです。
しかし、大規模修繕を行った後も、施設の維持管理は重要な課題です。特に、高齢者や障害者などの利用者は、施設の環境に敏感で、不安やストレスを感じやすい状況にあります。
また、施設のランニングコストは抑えなければなりません。そこで、大規模修繕後の維持管理では、「定期的な点検・整備」と「長期修繕計画の見直し」の2点に留意する必要があります。
定期的な点検と保守
大規模修繕を行っても、施設の建物や設備は劣化していきます。そのため、定期的な点検とメンテナンスが必要です。これにより、利用者やスタッフの安全性や快適性が確保されます。
点検・整備を行うことで、施設の機能や性能を維持し、問題や故障を早期に発見し、修理や交換を行うことができるだけでなく、長期的にはランニングコストの削減にもつながります。
また、点検やメンテナンスは、建物や設備ごとに定められた法令やメーカーの指示にしたがって行う必要があります。
例えば、外壁・屋根は年1回以上、電気・ガスは年1回以上、空調・給排水・消防・昇降は年1回以上、厨房・浴室は年1回以上などの点検・整備が必要です。
長期修繕計画の見直し
大規模修繕を実施しても、施設の建物や設備は今後も修繕や更新が必要です。そのため、長期的な視点で修繕計画を立てる必要があります。
長期修繕計画とは、施設の建物・設備の劣化状況や寿命を予測し、修繕・更新の内容や時期、費用などを計画するものです。
長期修繕計画を策定することで、修繕・更新の必要性や優先順位が明確になりますし、修繕・更新の費用を予測することもできるでしょう。
大規模修繕後は、施設の建物や設備の劣化状況や寿命が変化します。また、社会的ニーズや法規制の変更なども考慮する必要があります。
長期修繕計画を見直すことで、施設の現状に応じた適切な修繕計画を策定することができます。
大規模修繕とバリアフリー化
介護施設の大規模修繕は、建物や設備の老朽化を防ぎ、利用者や職員の快適さや安全性を向上させるために必要な工事です。
しかし、大規模修繕を行う際には、単に原状回復するだけではなく、高齢者や障害者などが建物内で移動や生活をしやすくするために、建物の構造や配置を改善するバリアフリー化することも重要です。
バリアフリー化の意義
バリアフリーは利用者の自立と尊厳を守り、生活の質を向上させます。利用者が自分の意思で動き、活動を行うことができれば、自信と満足感を得ることができるのです。
利用者の身体的・精神的な負担やストレスが軽減されれば、安全や健康の維持が促進されますし、利用者の不安や苦痛は心身の安定にも繋がります。
さらに、バリアフリーによって、利用者のニーズや特性に合わせてサービスを提供することができます。利用者が自分らしく生活できれば、個性や多様性が尊重されます。
バリアフリーは、スタッフの作業効率や働きやすさの向上にもつながります。スタッフが利用者の移動や介助に費やす時間や労力が減れば、仕事の質も量も向上します。
また、利用者とのコミュニケーションが円滑になれば、人間関係や信頼関係も深まります。さらに、バリアフリー化は施設の魅力や競争力を高めます。
快適で安全な施設環境は、入居者や利用者の満足度や評価につながります。また、法令や基準に適合している施設であることは、行政からの評価や支援にもつながります。
大規模修繕時のバリアフリー化の考慮点
大規模修繕時のバリアフリー化には、様々な配慮が必要です。
法令や基準に適合する
まず、法令や基準を遵守することが必要です。バリアフリー法では、特定建築物や特定建築物の新築、増築、改築、用途変更の際に、「建築物移動等円滑化基準」への適合を義務付けています。
また、地方公共団体は、条例で対象区域を定め、新たな用途の追加、規模の縮小、基準の強化などを行うことができます。
さらに、建築物移動等円滑化基準に適合していれば、シンボルマークの表示や容積率の特例などの支援措置を受けることができます。
介護保険法では、介護施設整備基準への適合が必要な介護施設等の整備に対して補助金が支給されます。
この基準では、居室・浴室・トイレの広さや設備、廊下・階段・エレベーター、敷地内の駐車場や通路などの外部環境について、バリアフリー化の要件が定められています。
利用者や職員の意見やニーズを反映する
利用者や職員の意見やニーズを反映させることも忘れてはいけません。バリアフリーは、利用者や職員の生活や業務に直結します。そのため、大規模修繕の際には、利用者や職員の意見やニーズを聞くことが大切です。
例えば、利用者の介護度や特性、職員の業務内容や負担感などを把握し、それに応じた改善策を検討することが求められるでしょう。
また、改修工事の内容や工程を利用者や職員に説明し、理解と協力を得ることも大切です。
工事費用や工期を抑える
さらに、工事費用や工期を抑える配慮も必要です。バリアフリー化は、建物の構造や間取りを変更することが多く、コストや工期がかかります。
そのため、大規模修繕を行う際には、工事費や工期を抑える配慮が必要です。例えば、補助金や助成金の活用、既存の設備や資材の再利用、工事範囲や順序の工夫などを行えるでしょう。
「居ながら改修」に対応する
「居ながら改修」への対応も大切です。介護施設における大規模修繕は、住みながら修繕を行うケースも少なくありません。そのため、「居ながら改修」への対応が必要になります。
「居ながら改修」では、入居者の安全性や快適性を確保しつつ、工事の効率や品質を確保する必要があります。
例えば、空きベッドや仮設キッチンの確保、工事騒音や粉塵の防止、工事時間や場所の調整などです。
大規模修繕による施設価値の向上
介護施設の大規模修繕は、建物や設備の老朽化を防ぐだけでなく、施設価値を向上させるためにも重要です。
施設価値とは、利用者や職員、地域社会からの施設に対する評価や信頼のことです。
施設価値を高めることで、利用者の満足度や快適性、職員の快適性やモチベーション、施設の競争力、経営の安定性などが向上します。
大規模修繕によって施設価値を向上させるためには、次の2点に着目しましょう。
施設の見た目と機能性の向上
大規模修繕は、施設の外観と機能性を向上させます。外観とは、外壁や屋根などの外装、居室や共用スペースなどの内装のことです。
機能性とは、空調や給排水などの設備、移動経路や防災対策などの構造を指します。
外観や機能性を向上させることは、利用者にとって快適で安全な住環境を提供するだけでなく、職員にとっても効率的で働きやすい環境を提供し、地域から信頼される施設として認知される効果があります。
たとえば、生活の質を向上させるために自分らしく暮らせる居室、清潔で使いやすい水回り設備、明るく広々とした共用スペース、温度や災害への不安を軽減するための空調設備や防災設備などを整備します。
また、介護業務を円滑に行うための設備や動線を確保し、休憩や学習などのスペースを設けることが考えられます。明るく清潔な施設は、モチベーションや満足度を高めます。
さらに、外観や内装が美しく整備されていれば、施設のイメージや評判が高まり、地域交流スペースやカフェスペースがあれば、地域住民との関係や連携が強化されます。
施設利用者の満足度向上
大規模修繕は、施設利用者の満足度を向上させます。満足度とは、施設に対する利用者の満足度や評価のことです。
満足度が向上することで、利用者の自立や尊厳、心身の健康が維持されるだけでなく、職員との関係や信頼関係が深まります。
また、働きがいを感じることができ、入所者・利用者の確保・増加、経営の安定性や競争力の向上にもつながるでしょう。
たとえば、利用者が自分の意思で体を動かしたり活動できるようになれば、利用者の自信や達成感が高まりますし、利用者のニーズや特性に応じたサービスが提供されれば、利用者の個性や多様性が尊重されます。
利用者とスタッフのコミュニケーションが円滑になれば、孤独感やストレスも軽減され、感謝やねぎらいの気持ちが高まるでしょう。さらに、利用者の状態や要望が把握しやすくなり、自立や健康維持に寄与します。
また、利用者の満足度が高まると、入居・利用意欲が高まり、口コミや紹介が増えるメリットもあります。
介護施設における大規模修繕の事例
介護施設の大規模修繕は、建物や設備の劣化を防ぐだけでなく、利用者や職員の満足度を高めるためにも重要です。
しかし、大規模修繕には多くの課題とコストが伴います。ここでは、大規模修繕の成功例・失敗例とその教訓をご紹介します。
成功した大規模修繕の事例
大規模修繕の成功例として、株式会社ゆう建築設計が手掛けた特別養護老人ホーム「S施設」をご紹介します。
築30年を経過し老朽化が進んでいたため、3億円の予算で外壁・屋根の塗装、居室・浴室の改修、空調・給排水設備の更新を行いました。
予算と入居者のライフスタイルを考慮しながら、効率的に進めることができたので、大規模修繕工事としては成功だったと言えるでしょう。
失敗した大規模修繕の事例とその教訓
大規模修繕の失敗例として厚生労働省が公表したのは、特別養護老人ホーム「T施設」です。
この施設は築20年で老朽化が進んでいたため、5億円の予算で外壁や屋根の塗装、居室や浴室の改修、空調や給排水設備の更新などを実施しました。
しかし、この工事は予算や居住者のライフスタイルを考慮したものではなく、失敗した大規模修繕工事といえます。
予算や居住者のライフスタイルを考慮することの重要性を示した事例です。
大規模修繕の将来展望
大規模修繕においては、建物の性能回復だけでなく、利用者や職員のニーズに合わせて新たな技術や設備の導入が求められます。
新たな技術とその活用方法
介護施設では、介護ロボットやICTの活用が注目されており、これらの技術は利用者の生活支援や健康状態のモニタリングに役立ちます。
例えば、介護ロボットは、移動や入浴などの身体介護や、認知症予防やコミュニケーションなどの生活支援に役立ちます。
ICTは、利用者の健康状態や生活リズムをモニタリングしたり、遠隔で医療や相談に対応したりすることができます。
しかし、新たな技術や設備を導入するには、高いコストがかかるため、補助金の活用が欠かせません。
介護施設等の大規模修繕の際にあわせて行う介護ロボット・ICTの導入支援事業では、整備費の1/2を補助する制度があります。
これらの補助金を活用することで、新たな技術や設備の導入が容易になると考えられます。
高齢化社会と施設修繕の関係
高齢化社会では、特別養護老人ホームなどの入居者の介護度が高くなり、重度化や認知症への対応が求められています。
そのため、施設改修では環境改善工事が重要になってきます。環境改善工事とは、既存の環境を改善する工事のことです。
高齢化に伴うトイレや浴室の環境改善、居室や日中活動室の改修などがこれにあたります。環境改善工事では、利用者本位の設計が求められます。
例えばトイレや浴室には、車いす利用者や寝たきりの利用者のために機械浴槽やシャワーブースを設置したり、居室にはプライバシーを確保できるような工夫をしたり、日中活動室には様々な活動ができるような工夫をしたりしています。
また、入居者が「住みながら」のリフォームも可能です。ただし、「住みながら」の改修工事には、空きベッドの確保や、工事による給水設備への影響など、さまざまな調整が必要となります。
以上のような施設改修によって、高齢者の生活環境が改善され、より快適な生活を送ることができるようになります。
まとめ
この記事では、介護施設における大規模修繕の重要性と手続きについて詳しく解説しました。
大規模修繕とは、施設の長期的な維持管理と利用者の生活の質の向上を目的として、定期的に実施する大規模な修繕工事のことで、具体的には、修繕工事の予算計画や進捗管理が求められます。
大規模修繕の必要性には、施設の長期的な維持管理や利用者の快適性・安全性の向上といった役割が含まれます。
また、的確な診断と計画、適切な修繕業者の選定が必要です。しかし、施設の運営への影響や利用者への配慮など、注意すべき点もあります。
高齢化社会で重要性が増す介護施設の大規模修繕は、新技術の活用や施設利用者の満足度向上に向けた取り組みが求められています。
大規模修繕の計画・実施にあたっては、施設の維持と利用者の生活の質の向上を図るための適切な対応が必要になるでしょう。