モニエル瓦のメンテナンス方法は?塗装だけで十分?必要な理由・費用を解説
2024/06/20
モニエル瓦は、1970年代〜80年台にかけて流行した瓦屋根の一種です。
今回は、そんなモニエル瓦について、メンテナンス方法や他の瓦屋根との見分け方などを詳しく解説していきます。
モニエル瓦に興味がある方や、モニエル瓦のメンテナンス方法について知りたい方などは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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モニエル瓦のメンテナンス方法
モニエル瓦のメンテナンスは、以下のような方法で行います。
- 塗装工事
- 漆喰の詰め直し
瓦というと塗装が必要ないイメージを持っている方もいるかもしれませんが、モニエル瓦は塗装によるメンテナンスが必要となる屋根材です。
屋根材本体に防水機能がなく雨水が浸透してしまう素材でできているため、塗装によって防水性を持たせて屋根材を雨水から守ることが重要です。
塗装は、一度施工しても経年劣化を起こすとひび割れや剥がれなどが生じるため、徐々に防水機能が低下していってしまいます。
塗装の効果を切らさないためには、10〜15年に一度を目安として塗装によるメンテナンスを行うことがおすすめです。
また、モニエル瓦の塗装工事には美観を保つ役割もあります。
徐々に色褪せてきたりカビやこけが生えたりして美観が損なわれるため、建物の外観を綺麗に保つ意味でも定期的な塗装によるメンテナンスが必要です。
漆喰の詰め直しは、名前の通り漆喰を詰め直す作業のことです。
屋根面が重なる「棟」と呼ばれる部分には、屋根の接合部を雨漏りから守る役割のある「棟瓦」が施工されています。
その棟瓦の隙間部分には、漆喰が詰められています。
この漆喰は経年劣化によって剥がれや崩れが生じるため、劣化した部分の漆喰を詰め直すメンテナンスである漆喰の詰め直しが必要です。
漆喰の詰め直しは、漆喰の劣化が比較的軽い状態の際に行われるメンテナンスです。
漆喰の劣化が激しければ、棟瓦を一度取り外してから漆喰を詰め、再び棟瓦を設置する工事が必要になります。
漆喰の詰め直しだけで済む場合のほうがメンテナンス費用を抑えることができるので、定期的なメンテナンスや点検を行うこと、そして劣化症状を早期発見することが大切です。
モニエル瓦にメンテナンスが必要な理由は?
瓦屋根にもいくつかの種類があり、その中でもモニエル瓦は塗装などの定期的なメンテナンスが必要になる屋根材です。
なぜモニエル瓦にはメンテナンスが必要なのか、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
モニエル瓦にメンテナンスが必要な理由としては、以下のようなポイントが挙げられます。
- 防水機能がないから
- 新品が手に入らないから
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
防水機能がないから
モニエル瓦本体には、防水機能がありません。
モニエル瓦の表面は、セメント・砂・骨材に顔料を混ぜた着色スラリー層と呼ばれる層が形成されています。
スラリー層が雨水を吸収すると膨張と収縮を繰り返すため、ひび割れなどの劣化症状を起こしてしまうのです。
防水機能のないモニエル瓦が雨水を吸収するのを防ぐためにも、防水塗料を塗布して防水層を形成し、屋根材を雨水から守る必要があります。
新品が手に入らないから
モニエル瓦は1970年代〜1980年代を中心に流行した屋根材ですが、現在では生産・販売ともに行われていないため、新品が手に入らない貴重な屋根材です。
そのため、モニエル瓦に割れなどの劣化が生じた場合、新しいモニエル瓦を入手して補修を行うことが難しいといえます。
現在モニエル瓦が使用されている住宅の多くは築20〜50年ほどが経過していて、耐用年数を超えていたり劣化が始まっていたりするケースが多いです。
葺き替え工事でモニエル瓦が手に入らず違う屋根材での葺き替えになることはもちろん、部分的な劣化であっても材料が手に入らず葺き替え工事が必要になってしまう場合もあります。
葺き替え工事となると費用も高額となるため、できるだけ屋根材の劣化を遅らせるためにも定期的なメンテナンスが必須です。
モニエル瓦・セメント瓦・粘土瓦の見分け方
瓦にはいくつかの種類があり、それぞれが異なる特徴を持っています。
瓦の種類ごとにメンテナンス方法も違うので、自宅の屋根材を把握し最適なメンテナンスを行う日強要がありますが、見分け方がわからない方が多いのではないでしょうか。
ここでは、以下の3種類の瓦屋根の見分け方を、それぞれ紹介していきます。
- モニエル瓦
- セメント瓦
- 粘土瓦
自宅の瓦屋根がどの種類なのかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
モニエル瓦の見分けるポイント
モニエル瓦は、その多くがF型と呼ばれるフランスから伝わってきた平らな形状をしています。
ただ、S型やJ型と呼ばれる湾曲のある形状のモニエル瓦も存在するため、形だけで判断することは難しいでしょう。
モニエル瓦は、セメント瓦とよく似ている屋根材です。
見た目で判断しにくいモニエル瓦とセメント瓦を見分けるポイントは、瓦の断面にあります。
モニエル瓦の断面は凹凸のある形状をしていることが特徴です。
セメント瓦の見分けるポイント
モニエル瓦の断面が凹凸のある形状をしている一方で、セメント瓦の断面は平らな形状をしていることが特徴です。
デザインが豊富なモニエル瓦とセメント瓦は見た目で判断することが難しいため、多くの業者の方が瓦の断面を見ることで判断しています。
粘土瓦の見分けるポイント
粘土瓦は、瓦と聞いて多くの方がイメージする最も一般的な瓦です。
瓦には塗装によるメンテナンスが必要ないというイメージが強いのは、この粘土瓦には塗装が必要ないからでしょう。
粘土瓦は、モニエル瓦・セメント瓦に比べて瓦の一枚の大きさが一回り小さいので、見た目からも判断することができます。
また、瓦の端が丸い形状をしていることも粘土瓦の特徴です。
このように、粘土瓦なのかモニエル瓦・セメント瓦なのかを見分けることは比較的簡単です。
粘土瓦の中にも釉薬瓦と素焼き瓦という種類があり、特徴が異なります。
釉薬瓦は汚れにくく苔が生えにくいですが、素焼き瓦は表面がざらざらしていて汚れやすく、苔も生えやすい傾向があります。
メンテナンスを怠った場合はどんなことが起こる?
モニエル瓦には、定期的な塗装によるメンテナンスが必要だと紹介しました。
メンテナンスは手間も費用もかかるので、モニエル瓦のメンテナンスを怠るとどうなるのかが気になる方も多いのではないでしょうか。
モニエル瓦本体には防水性がないため、防水塗装によって表面に防水層を形成し、雨から屋根材を守っています。
メンテナンスを怠って塗膜が劣化すれば防水機能が失われるため、屋根材が雨水を吸い込み劣化したり、雨漏りが発生したりするリスクが高まるでしょう。
モニエル瓦の塗装は、美観を蘇らせる効果もありますが、機能的な役割が大きいです。
雨漏りが発生すると建物の内部にも大きなダメージを与えるリスクがあるので、定期的にメンテナンスを行って雨漏りを予防することが大切です。
モニエル瓦にメンテナンスが必要となる劣化症状
モニエル瓦のメンテナンスは、10〜15年に一度を目安として行うことが基本です。
ただし、屋根の劣化スピードは環境によっても異なるため、10年経たずにメンテナンスが必要となるケースもあります。
モニエル瓦に劣化症状が現れてきたら、10〜15年が経過していなかったとしてもメンテナンスを行いましょう。
メンテナンスが必要となるモニエル瓦の劣化症状には、以下のようなものがあります。
- 色褪せ
- コケ・カビ・藻の発生
- 塗膜の膨れ
- 塗膜の剥がれ
色褪せは、塗膜の劣化の初期症状です。
すぐに雨漏りにつながるような症状ではありませんが、近いうちに劣化が進んで他の症状も現れてくるでしょう。
この時期にメンテナンスできれば劣化が軽微で、大きな補修が必要ないのでおすすめです。
塗膜の劣化が始まり防水機能が低下してくると、表面にコケ・カビ・藻が発生することがあります。
コケ・カビ・藻が発生した部分は常に水分を含むことになり、瓦の劣化が進んでしまうので注意が必要です。
塗装メンテナンスを行う際は、コケ・カビ・藻をしっかりと落としてから塗装することが重要です。
塗膜の膨れや剥がれは、劣化が進行してきているサインです。
膨れが生じている部分は、剥がれやすくなっています。
塗膜が剥がれると屋根材が剥き出しとなり、雨水がモニエル瓦に浸透していってしまいます。
屋根材に大きなダメージを与えることはもちろん、雨漏りにもつながる劣化症状なので早急にメンテナンスを行いましょう。
モニエル瓦のメンテナンスの流れ
モニエル瓦のメンテナンスは、どのような工程で行われるのでしょうか。
ここでは、メンテナンスの流れをそれぞれの工程ごとに詳しく紹介していきます。
塗装工事
塗装工事は、以下のような手順で行われます。
高圧洗浄
下塗り
中塗り・上塗り
まずは表面をきれいにするために、高圧洗浄機を使用して清掃を行います。
古い塗膜、コケや汚れなどの付着物があると塗膜の密着性が失われてしまうため、丁寧に付着物を取り除くことが重要です。
塗装の完成度や寿命にも影響するので、高圧洗浄の工程を省いたり手を抜いたりしてはいけません。
塗装面の下地が整ったら、いよいよ塗装に入ります。
モニエル瓦の塗装では、下塗り・中塗り・上塗りと三度の重ね塗りを行います。
下塗りは、下塗り材と呼ばれる下地と塗膜の接着剤の役割をする塗料を塗布する工程です。
下地の状態によっては、下塗り材を二度重ねる場合もあります。
下塗り材が乾燥したら、中塗り・上塗りを行います。
中塗りと上塗りは同じ上塗り材の塗料を使用して、重ね塗りを行います。
下塗り・中塗り・上塗りと、それぞれの工程ごとにしっかりと乾燥時間を確保し、塗料が完全に乾燥してから次の塗料を塗布することが重要です。
塗料が完全に乾燥したら、塗装工事は完了です。
モニエル瓦に塗装工事を行う際の注意点
モニエル瓦の塗装工事では、以下のようなポイントに注意する必要があります。
- スリラー層は必ず除去する
- スリラー層がある屋根専用の下塗り材(シーラー)を使う
モニエル瓦の表面には、スラリー層と呼ばれるコンクリートを保護する役割のある層があります。
スラリー層には塗膜がのりにくいという特徴があるため、塗装を行う際にはこのスラリー層をしっかりと除去することが大切です。
スラリー層を除去しないまま塗装を行うと、密着性が低下して施工後すぐに塗膜が剥がれるなどの不具合が生じるリスクが高いです。
高圧洗浄の工程でスラリー層が完全に取り除けなかった場合は、手作業でスラリー層を取り除くケレンという作業も行います。
モニエル瓦の塗装を行う際には、下塗り材にはスリラー層がある屋根専用のものを選ぶ必要があります。
専用の下塗り材を使用することによって、古い塗膜と下塗り材、そして新しい塗膜のそれぞれをしっかりと接着させる効果が期待できるでしょう。
モニエル瓦の塗装工事の費用相場
モニエル瓦の塗装工事にかかる費用は、一般的な住宅で40〜100万円程度が目安となります。
塗装工事にかかる費用は屋根の広さによって異なり、屋根が広いほど高額になります。
また、塗料の種類によっても費用が異なるため、広い面積の屋根に高いグレードの塗料を使えば、それだけ費用も高額になるでしょう。
だからといって、安い塗料を選べばいいというものではありません。
グレードの高い高価な塗料の中には、塗り替えの頻度を減らせるなどの高い性能を持っているものもあります。
塗装工事の頻度が減らせれば長期的にみてお得ということもあるので、塗料の値段だけではなく性能も吟味しながら選ぶようにしましょう。
漆喰の詰め直し
モニエル瓦に使われている漆喰が劣化してきた場合には、漆喰の詰め直しを行います。
漆喰の詰め直しは、以下のような手順で行われます。
古い漆喰を剥がす
新しい漆喰を詰め直す
釘が浮いている場合は打ち込む
モニエル瓦に行われる漆喰の詰め直しは、特別なものではなく一般的な瓦屋根で行われると同様の作業です。
劣化した古い漆喰は剥がし、新しい漆喰を詰め直します。
モニエル瓦では、漆喰と同時に釘を併用して固定しているため、その釘が浮いている場合は打ち込んで補強します。
塗装工事以外の工事が必要なケースとは?
モニエル瓦のメンテナンスは塗装工事が基本ですが、状況によっては塗装工事以外のの工事が必要となるケースがあります。
塗装工事以外の工事が必要となるケースには、以下のようなものがあります。
- 大きなヒビ割れや破損、ズレなどモニエル瓦の劣化がひどい場合
- 雨漏りが起こっていたり、雨漏りで下地材が腐食している場合
- モニエル瓦の寿命(20〜30年)が経過している場合
- 築年数が30年を超えている場合
- これまで一度も屋根のメンテナンスを行っていない場合
上記のように、モニエル瓦の耐用年数を超えていたり、劣化がひどい場合などは、塗装工事で完全な補修を行うことができないため、葺き替え工事を検討する必要があります。
現在使用されているモニエル瓦の多くが施工から30年ほど経過していると考えられるので、葺き替え工事を検討する必要のある方も多いでしょう。
現在はモニエル瓦の生産・販売が行われていないため材料が手に入りにくく、モニエル瓦の部分的な交換はとても難しいです。
とくに現在の住宅に長く住み続ける予定のある方は、今後のメンテナンスコストを含めて葺き替え工事を行うほうがお得な場合もあるので、一度業者に相談してみることをおすすめします。
屋根の葺き替え工事には平均して200万円ほどの高額な費用が必要となるため、すぐに葺き替えを行わない方も少しずつ資金準備をしておくと安心です。
まとめ
今回は、モニエル瓦のメンテナンス方法について詳しく紹介しました。
- モニエル瓦は、1970〜80年台にかけて流行した瓦屋根の一種
- 現在はモニエル瓦の生産・販売ともに行われていない
- モニエル瓦には、10〜15年に一度を目安とした塗装によるメンテナンスが必要
- モニエル瓦本体には防水機能がないので、防水塗装によって雨水から屋根材を保護している
- 新品のモニエル瓦は入手困難なので、メンテナンスで維持するか葺き替え工事を行う
- 塗装メンテナンスを怠ると、屋根材の劣化や雨漏りのリスクが高まる
モニエル瓦は現在入手することが難しいため、定期的に適切なメンテナンスを行いながら維持していくことが重要です。
現在使用されているモニエル瓦は30年以上が経過して寿命を迎えているものも多いので、劣化が激しい場合や耐用年数を過ぎている場合は葺き替え工事も検討してみてくださいね。
今回の記事が、モニエル瓦のメンテナンスに悩む方の参考となれば幸いです。