外壁塗装の無機塗料とは?メリットやデメリット・特徴を解説
2024/06/20
外壁塗装を行う際、塗料選びはとても重要です。
外壁塗装に使用される塗料は、大きく無機塗料と有機塗料に分けられます。
無機塗料は、無機物を主成分とした塗料のため、耐久性や耐火性に優れている特徴があります。
一方で、施工性や意匠性では有機塗料に劣るという側面もあり、多くの方に選ばれています。
そこで本記事では、外壁塗装に使われる無機塗料について、特徴・メリットやデメリット・有機塗料との違いなどを詳しく解説します。
無機塗料の特性を理解することで、建物に適した塗料選びができますので、外壁塗装を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
外壁塗装に使われる無機塗料とは?
無機塗料は、無機物を主成分とした塗料で、セメント・石灰・ケイ酸カリウムなどを結合材として使用しています。
無機物同士が化学反応によって強固に結びつくため、非常に硬い塗膜を形成するのが特徴です。
この硬い塗膜が、外壁を物理的な衝撃や劣化から守ってくれます。
また、無機塗料は下記のような種類があります。
セメント系塗料
セメントを結合材とした塗料で、高い耐久性と耐火性を持っています。
コンクリートやモルタルなどの外壁に適しています。
石灰系塗料
石灰を結合材とした塗料で、古くから使用されている伝統的な塗料です。
湿度調整機能があり、結露防止に効果的です。
ケイ酸カリウム系塗料
ケイ酸カリウムを結合材として使用し、耐久性と耐火性に優れている塗料です。
また、防カビ・防藻効果もあるため、きれいな見た目を維持できます。
無機塗料は、無機物を主成分としているため、有機物を主成分とする有機塗料とは異なる特性を持っています。
耐久性・耐火性・耐熱性に優れている一方で、施工性や意匠性では有機塗料にやや劣る面もあります。
無機塗料は、外壁塗装に使用される塗料のなかでも、特に耐久性に優れているのが特徴です。
以下では、無機塗料のメリットとデメリットを詳しく解説します。
メリット
- 耐久性が高い
無機塗料は、無機物同士が化学反応によって強固に結びつくため、非常に硬い塗膜を形成します。
この硬い塗膜が、外壁を物理的な衝撃や劣化から長期間守ってくれます。
- 耐火性に優れている
無機塗料は、無機物を主成分としているため、燃えにくい性質を持っています。
このため、火災時の延焼を防ぐ効果が期待できます。
- 耐熱性が高い
無機塗料は、高温に強い性質を持っています。
このため、日光の当たる外壁でも、塗膜の劣化が起こりにくいです。
- 耐薬品性に優れている
無機塗料は、酸やアルカリなどの薬品に強い性質を持っています。
過酷な環境や外壁の汚れを落とす洗剤など、さまざまな影響から劣化を防ぐことが可能です。
- 防カビ・防藻効果がある
無機塗料の中には、防カビ・防藻効果を持つものがあります。
汚れが目立ちにくいため、外壁の美観を長期間保てます。
デメリット
- 施工性が悪い
無機塗料は、硬い塗膜を形成するため、施工性が高くありません。
このため、塗装工事に時間がかかり、費用も高くなる傾向です。
- 意匠性が低い
無機塗料は塗膜が硬いため、平滑な仕上がりが得られにくいです。
また、色の選択肢も他の塗料と比べて少なく、意匠性は劣ります。
- 下地の影響を受けやすい
無機塗料は、下地の状態によって塗膜の性能が大きく左右されます。
このため、下地の処理が不十分だと、塗膜の剥がれや割れが起こる流場合があります。
- 初期費用が高い
無機塗料は、高い耐久性を持つ分、初期費用が高くなる傾向です。
長期的にみれば費用対効果は高いですが、初期投資は大きくなります。
無機塗料は、耐久性・耐火性・耐熱性に優れているのが最大のメリットです。
一方で、他の塗料と比較すると、施工性や意匠性で劣る面もあります。
外壁塗装に無機塗料を使用する場合は、これらのメリットとデメリットを十分に理解したうえで、建物の特性に合わせて選択しましょう。
無機塗料と有機塗料の違い
無機塗料と有機塗料は、外壁塗装に使用される代表的な塗料ですが、その特性は大きく異なります。
無機塗料と有機塗料の主な違いは、以下のとおりです。
主成分
無機塗料は、セメント・石灰・ケイ酸カリウムなどの無機物が主成分です。
また、有機塗料は合成樹脂をはじめとする有機物を主成分としています。
耐久性
無機塗料は、無機物同士が化学反応によって強固に結びついて非常に硬い塗膜を形成するため、耐久性に優れています。
一方で有機塗料は、有機物が主成分のため紫外線や熱による劣化が起こりやすく、耐久性では無機塗料に劣ります。
耐火性
無機塗料は、燃えにくい性質を持っています。
また、有機塗料は燃えやすい有機物を含むため、耐火性では劣っています。
施工性
有機塗料は柔らかい塗膜を形成するため、施工性に優れています。
しかし、無機塗料は硬い塗膜を形成するため、施工には技術が必要です。
意匠性
無機塗料は、塗膜が硬く平滑な仕上がりが得られにくいです。
また、色の選択肢も有機塗料に比べて少ないため、意匠性では劣ります。
一方で有機塗料は、平滑な仕上がりが得られやすく、色の選択肢も豊富であるため、意匠性に優れています。
価格
無機塗料は高い耐久性を持っていますが、初期費用が高くなる傾向です。
しかし、有機塗料は、比較的安価で入手できます。
無機塗料と有機塗料は、それぞれ異なる特性を持っています。
外壁塗装に使用する際は、建物の用途・環境・予算などを考慮して、適切に選択しましょう。
耐用年数
無機塗料は、耐久性に優れていますが、その耐用年数は、塗料の種類・施工方法・建物の環境などによって異なります。
一般的に無機塗料の耐用年数は、15〜20年程度といわれています。
ただし、定期的なメンテナンスを行うことで、さらに長持ちさせることが可能です。
- セメント系塗料…20年以上
- 石灰系塗料…15年程度
- ケイ酸カリウム系塗料…20年以上
ただし、これはあくまでも目安であり、実際の耐用年数は、建物の立地条件・気象条件・メンテナンスの頻度などによって異なります。
費用相場
無機塗料の費用相場は、有機塗料に比べて高くなる傾向にあります。
これは、無機塗料が高い耐久性を持っているため、原材料費が高くなることが主な理由です。
また、無機塗料は施工性が悪いため、塗装工事に時間がかかるため、人件費も高くなります。
無機塗料の費用相場は、塗料の種類や施工方法、建物の大きさなどによって異なりますが、一般的に、1平方メートルあたり3,000〜5,000円程度です。
あくまでも目安であり、実際の費用は見積もりを取って確認する必要があります。
外壁塗装の費用は、建物の大きさや形状、塗料の種類、施工方法などによって大きく異なります。
無機塗料を使用する場合は、有機塗料に比べて費用が高くなる傾向にありますが、長期的にみれば、費用対効果は高いといえるでしょう。
無機塗料の注意点
無機塗料を外壁塗装に使用する際は、以下のような点に注意が必要です。
下地の処理
無機塗料は、下地の状態によって塗膜の性能が大きく左右されます。
下地のひび割れや欠損部分を補修し、汚れや付着物の除去が必要です。
処理が不十分だと、塗膜の剥がれや割れが起こりやすくなるため、使用する際は入念な下地処理が求められます。
施工方法
無機塗料は、施工性が高くないため、塗装工事に時間がかかります。
また、無機塗料は、気温や湿度の影響を受けやすく、施工時の環境にも注意が必要です。
そのため、無機塗料を使用する際は、専門の施工業者に依頼することをおすすめします。
施工業者選びの際は、実績・技術力・アフターサービスなどを総合的に評価して決めましょう。
メンテナンス
無機塗料は耐久性に優れていますが、定期的なメンテナンスを行わないと、塗膜の劣化が進んでしまいます。
無機塗料を使用した後は、定期的な清掃や補修を行うことが重要です。
年に1〜2回程度は外壁を洗浄し、塗膜の状態を点検します。
塗膜の剥がれや割れが見つかった場合は、早めに補修を行いましょう。
コスト
無機塗料は、初期費用が高くなる傾向にあります。
また、塗装工事には時間や人件費も必要なため、使用する際は、費用対効果を十分に検討することが大切です。
長期的な耐久性を重視する場合は、無機塗料を選ぶメリットがありますが、初期費用を抑えたい場合は、有機塗料も検討しましょう。
無機塗料は、耐久性に優れているため、長期的にみれば、費用対効果は高いといえます。
ただし、無機塗料を使用する際は、下地の処理・施工方法・メンテナンスなどに十分な注意を払う必要があります。
まとめ
無機塗料は、セメント・石灰・ケイ酸カリウムなどの無機物を主成分とした塗料で、耐久性や耐火性に優れているのが特徴です。
無機物同士が化学反応によって強固に結びつくため、非常に硬い塗膜を形成し、外壁を物理的な衝撃や劣化から長期間守ってくれます。
また、無機塗料は、燃えにくい性質を持っているため、火災時の延焼を防ぐ効果も期待できます。
一方、無機塗料のデメリットとしては、施工性の悪さや意匠性の低さが挙げられます。
無機塗料は硬い塗膜を形成するため、施工に時間がかかり、費用も高くなる傾向ですが、塗膜の硬さ・平滑な仕上がりが得られにくい・色の選択肢が狭いという点には注意しましょう。
無機塗料の耐用年数は、15〜20年程度といわれていますが、定期的なメンテナンスを行うことで、さらに長持ちさせられます。
無機塗料の費用相場は、有機塗料に比べて高くなる傾向にありますが、長期的にみれば費用対効果は高いです。
無機塗料を外壁塗装に使用する際は、下地の処理・施工方法・メンテナンスなどに十分な注意を払いましょう。
特に下地の処理が不十分だと、塗膜の剥がれや割れが起こりやすくなるため、入念に行うことが重要です。
特性を十分に理解して採用すれば、長期間機能や美観を維持できます。
他の塗料とも特性を比較し、より良いメンテナンスを実施しましょう。