トタン屋根とは?錆びやすい?種類・特徴・メンテナンス方法・費用を解説
2024/06/21
トタン屋根はその経済性と実用性で長年にわたり多くの建物の屋根材として選ばれてきましたが、その特徴やメンテナンス方法、費用についてはあまり知られていません。
この記事では、トタン屋根がどのような屋根材であるのか、なぜ錆びやすいのか、またその種類や特徴、適切なメンテナンス方法とそれにかかる費用について詳しく解説します。
また、トタン屋根のメリットやデメリットも詳しく解説するので参考にしてみてください。
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トタン屋根とは?
トタン屋根は、薄い鋼鉄板に亜鉛でコーティングした屋根材です。
この亜鉛コーティングが錆の防止に役立ちます。トタンは軽量で安価な屋根材なので、工場や倉庫、農業施設などによく使用されています。
その名前は、かつて広く使われていた亜鉛メッキ鋼板「トタン」に由来します。
ただし、現在では、トタン屋根をより進化させ、1982年に商品化された「ガルバリウム鋼板」が主流になっています。
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金コーティングを施した鋼板で、トタン屋根よりもさらに高い耐錆性と耐久性があります。。
そのため、最近の建物にはガルバリウム鋼板がよく使用されていますが、昔からある家や工場、倉庫などではまだまだトタン屋根が多く残っています。
トタン屋根の種類は?
トタン屋根の種類は以下の4つがあげられます。
- 瓦棒葺きトタン屋根
- 縦平葺き
- 波板トタン屋根
- 折板トタン屋根
それぞれ詳しく解説していきます。
瓦棒葺きトタン屋根
瓦棒葺き(かわらぼうぶき)トタン屋根は、凸型の突起が等間隔で設置されており、屋根の表面に連続した凹凸があることが特徴です。
突起の表面はトタンで覆われていますが、内部には「芯木」(しんぎ)と呼ばれる棒状の木材が埋め込まれています。この芯木は、屋根材を支え、強度を高める役割を担います。
芯木は野地板(のじいた)という屋根の下地に打ち付けられ、屋根材がしっかりと固定されるようになっています。
屋根全体が一枚の大きな板となり、継ぎ目がない屋根が仕上がります。
縦平葺き
縦平葺きは、瓦棒葺きトタン屋根と外観が非常に似ていますが、異なる点は「構造」です。
瓦棒葺きが芯木を使用するのに対し、縦平葺きでは木材は使用せず、トタン屋根自体を曲げて突起を形成する工法で屋根を作ります。
この方法により、トタン材自体の柔軟性と強度を活かし、連続した曲線を作り出しています。そのため、継ぎ目から水漏れが発生するリスクが少ないことが縦平葺きトタン屋根の特徴です。
波板トタン屋根
波板トタン屋根は、波状の凹凸が特徴的な屋根材で、トタン屋根の中でも高い強度を持ちます。
鋼板を波状に加工することで、エネルギーを広範囲に分散させ、衝撃からの耐性が向上します。このような造りなので、波板トタン屋根は水はけが良く、傾斜が少ない屋根にも適しています。
さらに、波板トタン屋根は形状やサイズの選択肢が豊富で、ホームセンターなどでも簡単に手に入ります。
現在市場に出回っている多くの波型屋根材がトタンを使用しており、「波型トタン」とも呼ばれています。
折板トタン屋根
折板(せっぱん)トタン屋根は、台形状に折り曲げて成形された屋根材です。
野地板を使用せずに直接屋根に設置ができるので、設置コストを抑えることができます。
折板トタンは現在でも工場や倉庫、サイクルポートなどの平らな屋根を作る際に多く使用されています。
トタン・ガルバリウム・ブリキの違いは?
トタン、ガルバリウム、ブリキはすべて鋼板にメッキを施した金属屋根材ですが、それぞれの特性と用途は大きく異なります。
トタン
トタン屋根は前述のように、亜鉛のメッキを施した鋼板です。亜鉛メッキが施されているため、ある程度の防錆性はありますが、耐用年数は約8~10年と比較的短めです。
経済的で軽量なため、過去には広く利用されていましたが、耐久性や長寿命が求められる現代の使用は少なくなっています。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、亜鉛だけでなくアルミニウムと珪素(けいそ)を含むメッキが施されています。
この合金メッキにより、耐用年数は20年以上と非常に長く、耐腐食性にも優れています。
また、高い耐熱性を持ち、色褪せが少ないため、見た目の美しさを長期間保つことができます。現在では人気の屋根材で、多くの建築物で使用されています。
ブリキ
ブリキはスズをメッキした鋼板です。スズは見た目が魅力的で衛生的なため、過去には食品缶などの容器材料として広く使用されていました。
しかし、ブリキはサビやすく耐久性が低いため、現在では屋根材や外壁材としてはほとんど用いられず、主に包装材料としての用途が見られます。
上記で紹介した屋根材は、それぞれが持つメッキの種類と特性によって用途・適性が異なります。
予算、環境条件、建物の用途、そして期待される耐用年数などを考慮することが重要です。
トタン屋根のメリット・デメリット
トタン屋根のメリット・デメリットを紹介します。
所有される建物に適切な屋根材を選ぶためには、メリット・デメリットの両方を理解することが重要です。
トタン屋根のメリット
まずはトタン屋根のメリットを解説します。一つずつみていきましょう。
価格が安い
トタン屋根の魅力の一つは、コストパフォーマンスです。
1㎡あたりの価格は4,000~7,000円で他の屋根材と比較してもかなり経済的です。
種類 | 施工費用 |
---|---|
トタン |
4,000~7,000円/㎡ |
ガルバリウム鋼板 |
5,000~7,500円/㎡ |
瓦 |
8,000~15,000円/㎡ |
低予算で建て替えや屋根の新設を考えている場合、トタン屋根は非常に魅力的な選択肢です。
軽量で耐震性がある
軽い屋根材の一種であるトタン屋根を使用すれば、建物にかかる総重量を減らすことができます。屋根の軽量化は建物の耐震化を考えるうえで非常に重要です。
勾配が緩い屋根にも施工できる
トタン屋根は柔軟性が高く、様々な屋根の形状にあわせやすいため、勾配が緩い屋根にも適しています。
勾配が緩い屋根では水の流れが悪くなりがちですが、トタン屋根は表面が滑らかなため、水の流れをスムーズにし、水はけを良くします。
継ぎ目も少ないことから、平らな屋根でよく起こってしまう雨漏りのリスクも低減されるので、雨、雪が多い地域では特にメリットを感じやすいでしょう。
トタン屋根のデメリット
トタン屋根のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。メリットとあわせて確認することで、より、状況に適した施工やメンテナンスが可能になります。
トタン屋根のデメリットを詳しく解説していきます。
錆が発生しやすい
トタン屋根は亜鉛メッキされた鋼板を使用していますが、亜鉛の保護層が損傷すると下地の鋼が露出し、錆が発生しやすくなります。
とくに雪止め金具などとの接合部は錆が発生しやすいので注意が必要です。
定期的なメンテナンスを怠、トタン屋根は錆びついてしまいます。錆は屋根の耐久性を低下させ、最終的にはトタン屋根に穴を開ける原因になります。
断熱性と耐風性が低い
トタン屋根は軽量である一方、断熱性が低く、外気温の影響を直接受けやすいです。屋内の温度調節が難しく、冷暖房の効率が落ちることがあります。
また、軽量なために強風時には飛ばされやすく、特に台風や強風が頻発する地域では不向きな屋根材といえます。
遮音性がない
トタン屋根は音を遮る能力がほとんどないため、雨音や外部の騒音が室内に伝わります。
特に激しい雨が降った時の音はかなりの音量となり、屋内でも雨音が騒音に感じることがあるでしょう。
トタン屋根の雨漏りの原因
トタン屋根の雨漏りの原因はどのようなものがあるのでしょう。
雨漏りの放置は危険です。原因を知って適切な対策を取りましょう。
錆による穴あき
トタン屋根にとって錆は最大の天敵です。
錆はメンテナンス不足で起こることが多いです。錆を放置すると、屋根材の耐久性が低下するだけではなく、屋根材に穴を開け、雨漏りを引き起こす原因になります。
錆は一度発生すると、屋根全体に広がっていきます。錆は定期的な防腐処理で防ぐことができます。
芯木と野地版の腐食
瓦棒葺き(かわらぼうぶき)トタン屋根など、芯木(しんぎ)を使用している場合、この木材が湿気や水分により腐食することがあります。
また、芯木の下にある野地板(のじいた)が腐ると、屋根全体の支持力が低下し、雨水が侵入しやすくなります。
芯木や野地板の腐食を防ぐためには、適切な通気と水はけの確認を定期的に行うことが重要です。
勾配不良
トタン屋根の施工時に適切な勾配が設けられていない場合、水はけが悪くなり、水溜まりが屋根上にできやすくなります。
特に長時間雨水が溜まることで、屋根材の接合部や継ぎ目から水が侵入し、内部へと漏れてしまうことがあります。これを防ぐためには、施工時に正確な勾配を計算し、屋根の適切な水流を設計する必要があります。
トタン屋根のメンテナンス方法
トタン屋根は耐用年数が比較的短く、適切なメンテナンスが不可欠です。ここでは、トタン屋根を効果的に維持するため、主なメンテナンス方法について解説します。
それぞれの工事内容と実施の目安となる劣化症状、注意点等に注目しましょう。
コーキングによる部分補修
トタン屋根に発生した小さな亀裂や穴は、比較的安価で手に入る、コーキング材を使用して補修できます。
コーキングによる補修は、屋根の表面に小さな損傷を発見したときにおすすめです。
コーキングの施工は、既存の屋根材表面をきれいに清掃し、乾燥させてから行う必要があり、施工後も硬化させます。雨の日を避けての施工が重要です。
棟板金の交換
棟板金は、屋根の最も高い部分に設置され、屋根の接合部からの浸水を防ぎ、屋根材同士を固定する役割を担っています。
棟板金が損傷すると、雨水が屋根の内部に侵入しやすくなるため、サビや損傷の兆候が見られた場合には交換が必要です。
交換作業には、古い棟板金を取り除き、新しい棟板金を適切に取り付けます。
この際、棟板金の下の貫板も新しくすることで、より防水効果が得られます。棟板金は15から20年を目安に交換を考えましょう。
屋根塗装
屋根塗装は、トタン屋根の寿命を延ばすうえで効果的なメンテナンス方法です。
屋根の見た目を美しくするだけではなく、「防水機能が高い塗料」を使用することで、屋根材自体の防水性と耐久性を向上させます。
トタン屋根に色あせや錆びが進行している場合、または劣化してきたと感じた時に屋根塗装を考えましょう。
塗装前には、屋根の表面を洗浄し、必要に応じて劣化部分の補修も行います。
塗装の際の注意点として、適切な塗料選びと均一な塗布が雨漏り防止には不可欠です。
カバー工法
カバー工法は、既存の屋根の上に新しい金属屋根を被せるメンテナンス工法です。大規模な修理や補強が必要な場合に適しています。
特に、広範囲にわたって損傷や錆が進行している場合や、穴が開いている場合に最適な工法です。
しかし、既存の屋根を撤去することなく寿命を延ばすことができるカバー工法ですが、トタン屋根においては古いトタン屋根の上に芯木と野地板を取り付ける工程があるため、後述の葺き替え工事と費用があまり変わりません。
そのため、トタン屋根においてはカバー工法はコスパがいいメンテナンス方法とはいえず、施工事例も多くはないようです。
屋根葺き替え
屋根葺き替えは、既存のトタン屋根を完全に取り除き、新しい屋根材で全面的に置き換えるといった、屋根工事では最も大掛かりなメンテナンス方法です。
屋根の葺き替えは、部分補修などでは補修しきれない症状がみられた場合に、適切なメンテナンス方法だといえます。
屋根葺き替えには、建物に適した新しい屋根材を選ぶことが重要であり、耐久性、防水性、断熱性などの要件を考慮に入れる必要があります。
トタン屋根のメンテナンス費用
トタン屋根におけるそれぞれの工法のメンテナンス費用の相場を表にまとめました。
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
部分補修 | 30,000円~/箇所 |
棟板金の交換 | 50,000~250,000円 |
屋根塗装(シリコン) | 4000~4,800円/㎡ |
カバー工法 | 9,400~12,000円/㎡ |
屋根葺き替え | 11,000~14,000円/㎡ |
トタン屋根の塗装工事については、「ウレタン」「シリコン」「フッ素」などがあり、耐用年数が長いものほど高額になります。
塗料の耐用年数
塗料の耐用年数は下表のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数 |
---|---|
ウレタン | 7~10年 |
シリコン | 10~15年 |
フッ素 | 15~20年 |
トタン屋根の状態と予算に応じたメンテナンスを行うためには、専門業者の意見を参考にすると、適切なメンテナンス計画が立てられます。
トタン屋根をメンテナンスする際の注意点
トタン屋根をメンテナンスする際の注意点は大きくは以下の3つです。
複数の施工会社から見積もりを取る
トタン屋根のメンテナンスを検討する際の注意点として、一つの業者だけに依存せず、複数の施工会社から見積もりを取ることが重要です。
複数の施工会社に見積もり、または点検を依頼すると工事の必要性、建物の状態がより詳細に分かります。
また、価格や工事内容、レスポンスの速さについても比較検討が可能です。複数の業者からの見積もりを比較することで、価格、対応等を含め、信頼のおける施工会社を選べます。
金属屋根工事専門の業者に依頼する
トタン屋根をメンテナンスする際は、金属屋根工事専門の業者に依頼すると安心です。
金属屋根工事専門の業者は、トタン屋根特有の問題や、金属屋根のメンテナンス技術に精通しているため、より効果的で質の高い修理が期待できます。
実績や保証・アフターフォローを確認する
施工業者の実績・保障やアフターフォローがどこまであるのか、確認することはとても重要です。
トタン屋根をメンテナンスした経験が少ない業者に、高額な費用を支払って工事を任せるのは非常に不安を感じるでしょう。
また、保証やアフターフォローも確認しておかなければ、万一施工不良があった場合など、補償の範囲がどこまでなのかも気になります。
施工実績、アフターフォローの内容を事前に確認し、トラブルがあった場合の連絡方法や対応のスピードも考慮して施工業者を決めましょう。
まとめ
この記事では、トタン屋根について、またそのメンテナンス方法や費用などを解説してきました。
以下に要点をまとめました。
- トタン屋根は亜鉛でコーティングされた薄い鋼鉄板
- トタン屋根には、瓦棒葺き、縦平葺き、波板、折板の4種類
- トタン屋根のメリットは価格が安い、軽量・耐震性があげられる
- トタン屋根のデメリットは錆が発生しやすい、断熱性と耐風性が低いなどがあげられる
- トタン屋根の雨漏り原因は錆、野地板の腐食など
- トタン屋根のメンテナンス方法は部分補修、塗装、葺き替えなど
- トタン屋根のメンテナンスを行う際の業者選びは注意が必要
トタン屋根はそのコストパフォーマンスの良さや施工のしやすさから選ばれがちですが、錆びやすく、耐久年数が短いといった特徴があります。
しかし、トタン屋根について正しい情報を確認し、適切なメンテナンス方法と定期的な点検を行うことで、屋根の耐久性を高め、長期維持管理が可能です。
建物を長期に渡って安心・快適に維持するためには、信頼できる専門業者を見つけ、相談することが大切です。