モニエル瓦とは?モニエル瓦の特徴やメンテナンスについて解説
2024/06/20
モニエル瓦は、1970年頃から流行した屋根材のことです。
モニエル瓦とはどんな屋根材なのか、どのようなメンテナンスが必要なのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなモニエル瓦について、特徴やメンテナンス、メリット・デメリットなどの情報を詳しく紹介していきます。
モニエル瓦に興味がある方やメンテナンスにお悩みの方などは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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モニエル瓦とは?
モニエル瓦とは、1970〜80年代頃に流行した、輸入品の瓦屋根のことです。
オーストラリアのモニエル社と日本の企業が共同開発した屋根材で、正式名称を「乾式コンクリート瓦」というセメント瓦の一種です。
「瓦」と聞いて多くの方が想像する一般的な瓦は陶器でできていますが、モニエル瓦はセメントに砂利を混ぜて作られています。
陶器の瓦は水を通さないため塗装が必要ありませんが、モニエル瓦には水が浸透してしまうため、防水のための塗装が必要となることが大きな違いです。
瓦には塗装が必要ないというイメージを持っている方も多いので、モニエル瓦のメンテナンスには塗装工事が必要である点に注意が必要です。
モニエル瓦は、2010年にメーカーが解散したために生産が終了しました。
かつて人気のあった屋根材ですが、生産が終了しているため現在の新築住宅の屋根材として使用されることはありません。
モニエル瓦とセメント瓦の違いは?
モニエル瓦とよく似た屋根材に、セメント瓦という屋根材があります。
どちらもセメントを主成分とした瓦の屋根材で、見た目で判断することが難しいほどよく似ています。
モニエル瓦はセメントに砂利を混ぜ合わせた屋根材、セメント瓦はセメントに川砂を混ぜ合わせた屋根材です。
どちらも主成分がセメントであることから、業界では両方含めて「セメント瓦」と呼ばれることも多いです。
モニエル瓦とセメント瓦の違いとして、モニエル瓦には「着色スラリー」と呼ばれるセメントの着色剤が1mm以上の厚さに塗布されていることが挙げられます。
この着色スラリーをアクリル樹脂系の透明塗料で覆うことで、モニエル瓦が完成します。
また、見た目でモニエル瓦とセメント瓦を見分ける際には、瓦の切り口や切断面を見ることで簡単に判断することが可能です。
モニエル瓦の断面には凹凸があり、セメント瓦の断面は平らな形状になっています。
加えてモニエル瓦の裏面には「M」というロゴが刻印されているため、ロゴが刻印されていればモニエル瓦だと判断することができるでしょう。
モニエル瓦のメリット・デメリット
モニエル瓦には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、メリットとデメリットについてそれぞれ詳しく紹介していきます。
モニエル瓦のメリット
モニエル瓦のメリットには、以下のようなものがあります。
- 機能性が優れている
- 災害に強い
- デザインが豊富
それぞれの特徴について、さらに詳しく解説します。
機能性が優れている
モニエル瓦は、以下のような特徴を持っているため、機能性が優れている屋根材だといえます。
- 防水性
- 防火性
- 遮熱性
- 防音性
モニエル瓦は、本来は水に弱い素材ですが、防水性能の高い塗料を使用して塗装工事を行うため、高い防水性を発揮します。
強度が高い素材で燃えにくく、耐火性にも優れていることが特徴です。
屋根材が耐火性に優れていると、火災が発生した際に建物が燃えるスピードを遅らせることができるでしょう。
素材が頑丈なモニエル瓦は、遮熱性や防音性にも優れています。
屋根は太陽光の影響を大きく受けるため、遮熱性の高い屋根材を使用すれば室内温度への影響が少なく、快適に過ごせることがメリットです。
また、防音性に優れた屋根材を使用すれば、雨音が気にならずに過ごせるでしょう。
このように、屋根材の機能性は生活の質に影響する部分が多いため、機能性が優れていることはモニエル瓦の大きなメリットだといえます。
災害に強い
先ほども触れたように、モニエル瓦は機能性に優れている素材です。
着色スラリーを塗装することで強度が増し、強風や豪雨にも耐えることができ防水性や耐火性にも優れているため、自然災害や火災などにも強いことが大きなメリットだといえるでしょう。
自然災害の影響を受けて屋根に不調が出てしまうことも多いため、頑丈な素材の屋根材は安心感があります。
デザインが豊富
瓦というと和風なイメージが強いですが、モニエル瓦はデザインが豊富で洋風の住宅にも合わせられるため、屋根のデザインにまでこだわりたいという方にもおすすめの屋根材です。
モニエル瓦では、平らな形状のものやS字型のものなどが選べるため、洋風の住宅にも人気があります。
デザインだけではなく色も豊富に選ぶことができ、和風の建物から洋風の建物まで理想のデザインを叶えることができるでしょう。
モニエル瓦のデメリット
モニエル瓦のデメリットには、以下のようなものがあります。
- 金属瓦よりも重いため耐震性が低い
- メンテナンスに手間がかかる
それぞれについて詳しく紹介していきます。
メリットだけではなくデメリットについても知っておくことが大切なので、ぜひチェックしてくださいね。
金属瓦よりも重いため耐震性が低い
セメントを主成分とするモニエル瓦は、金属瓦に比べて重量があるため耐震性が低い点に注意が必要です。
一般的な金属瓦とモニエル瓦の重量には約8倍もの差があるといわれており、どうしても耐震性が低くなってしまうという特徴があります。
メンテナンスに手間がかかる
モニエル瓦には、着色スラリーが塗装されています。
そのためモニエル瓦には「スラリー層」と呼ばれる、他の瓦にはない層が形成されているという特徴があります。
モニエル瓦が劣化し塗装工事が必要になった際には、このスラリー層を綺麗に取り除くことが重要です。
スラリー層の除去が不完全なまま塗装を行ってしまうと、すぐに塗膜が剥がれるなどの不具合が生じるリスクがあります。
そうして塗膜が剥がれてしまったモニエル瓦は水に弱く、雨漏りや瓦の急激な劣化にもつながるため、塗装メンテナンスの際には注意が必要です。
モニエル瓦のメンテナンス方法
モニエル瓦は、適切なメンテナンスを行って機能性を維持していくことが重要です。
一般的な瓦とは異なるメンテナンスも必要となるため、ぜひ確認しておきましょう。
メンテナンス方法
- 塗装工事
- 葺き替え工事
塗装工事
モニエル瓦の機能性を維持し瓦を保護するために欠かせないのが、塗装工事です。
一般的に瓦のイメージが強い陶器の瓦には塗装が必要ないのですが、モニエル瓦にとっては欠かせないメンテナンスとなるので覚えておきましょう。
モニエル瓦の場合、塗膜が劣化してくると水が染み込むようになってしまうため、定期的に塗装工事を行って機能性を維持する必要があります。
塗膜が劣化しているのを放置してしまうと、瓦に雨水が染み込んで急激な劣化や雨漏りなどの重大な被害にもつながります。
葺き替え工事
葺き替え工事とは、既存の屋根材を撤去して新しい屋根に葺き替える工事のことです。
瓦のズレや割れなどの劣化症状が全体に広がっていたり、雨漏りが生じていたりする場合は、葺き替え工事を検討してください。
とくにモニエル瓦の耐用年数を超えて使用している場合は、葺き替え工事が必要になるでしょう。
現在はモニエル瓦の生産が行われていないため、異なる屋根材を使用して屋根を葺き替えることがほとんどです。
モニエル瓦にメンテナンスが必要となるサイン
モニエル瓦は定期的にメンテナンスを行うことが重要ですが、メンテナンスが必要なタイミングがわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、モニエル瓦にメンテナンスが必要となるサインを、6つの劣化症状から紹介します。
- 色褪せ
- コケ・カビ・藻の発生
- 塗膜の膨れ
- 塗膜の剥がれ
- 瓦のひび割れ
- 瓦のズレ
それぞれの症状について詳しく解説するので、点検に役立てるなどメンテナンス時期の目安にしてみてください。
色褪せ
モニエル瓦の表面に塗布した塗料が劣化してくると、だんだん色褪せてきます。
紫外線の影響を受けるため経年劣化は避けれず、どうしても徐々に色が薄くなってくるでしょう。
色褪せはすぐに雨漏りに直結するような症状ではありませんが、全体的に塗膜の劣化がはじまってきているサインです。
防水性が低下していることの現れでもあるので、色褪せに気づいたら塗装によるメンテナンスを検討するといいでしょう。
色褪せがはじまると、近い時期に他の劣化症状も現れてくることがほとんどです。
劣化が重症化する前に対応することで、建物を守れるだけではなく工事費用の節約にもつながります。
コケ・カビ・藻の発生
塗膜が劣化してきて屋根の防水性が低下すると、コケ・カビ・藻などが発生する場合があります。
とくに日当たりの悪い箇所に発生することが多いので、北面や東面を中心にチェックするといいでしょう。
コケや藻が生えると、その部分の屋根材は常に水分を含んだ状態となるため、どんどん劣化が進んでしまいます。
水分が建物の内部や建材にも染み込み、腐食が起きるリスクも高まるため、早めに対応することがおすすめです。
コケ・カビ・藻が発生した屋根は、高圧洗浄によってしっかりと汚れを落としてから塗装を行うことが重要です。
塗膜の膨れ
何らかの原因によって施工中に水分が含まれると、空気層ができて塗膜に膨れが生じることがあります。
塗膜の膨れができた部分は剥がれにつながるリスクが非常に高いため、早めに対応したい症状です。
塗膜に膨れが生じた場合は、一度膨れた部分の塗膜を剥がしてから新しく塗装を行います。
塗膜の剥がれ
塗膜の劣化が進むと、破れや剥がれが生じます。
塗膜が剥がれてしまった部分は屋根材が剥き出しの状態になってしまうため、モニエル瓦自体の劣化が急速に進んでいってしまうでしょう。
屋根材の劣化が進むと雨漏りが生じて補修が必要になったり、葺き替え工事を行うことになったりと大規模な工事が必要になるケースも多いです。
劣化の程度によっては塗装工事で対応できますが、劣化が激しい場合は葺き替え工事を行うことになるので、費用を節約したい方はとくに早めにメンテナンスを依頼することが重要です。
瓦のひび割れ
モニエル瓦本体の劣化が進んだり、台風などで飛んできた飛来物の衝撃を受けたりした場合、瓦にひび割れが生じます。
瓦にひび割れが生じれば、そこから雨水が侵入してしまうため雨漏りにつながります。
雨漏りが生じていない場合でも、屋根の内部で浸水して腐食が起きている場合もあるため、早急なメンテナンスが必要となる症状です。
瓦にひび割れが生じている場合は、コーキングでひび割れを補修したり葺き替えを行ったりするこことで対応します。
瓦のズレ
外部からの衝撃や地震の揺れの影響を受けると、瓦にズレが生じることがあります。
瓦がずれてしまった部分から雨水が侵入するため、雨漏りや内部建材の腐食などが生じるリスクが高い症状です。
また、ずれた瓦の部分に鳥などの小動物が入り込んだり巣を作ったりするリスクもあるため、できるだけ早く補修を行いましょう。
瓦のズレが一部分のみであれば、瓦を接着して補修します。
モニエル瓦にメンテナンスを行う際の注意点
モニエル瓦にメンテナンスを行う際は、以下のような点に注意しましょう。
- 築20年の建物は屋根材を確認する
- スラリー層はしっかり落とす
- 屋根材が傷んでいる場合は葺き替え工事を行う
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
築20年の建物は屋根材を確認する
モニエル瓦は1970〜80年代頃に流行した屋根材なので、築20年以上が経っている建物にはモニエル瓦が使用されている可能性があります。
モニエル瓦は現在は生産が行われておらず、新品のモニエル瓦が手に入りません。
そのため、モニエル瓦の建物で劣化や破損した屋根の一部を交換したいと考えても、モニエル瓦が手に入らず一部を交換する対応ができない場合があります。
いざというときに慌ててしまわないよう、築20年が経過している建物はどのような屋根材が使用されているのかを確認しておくと安心です。
スラリー層はしっかり落とす
先ほども少し触れましたが、モニエル瓦の塗装メンテナンスを行う際には、スラリー層をしっかりと落とすことがとても重要なポイントです。
スラリー層の除去が不十分なまま塗装をしても、すぐに塗膜が剥がれてしまうなどの不具合が起こるリスクが高く、数年で再工事が必要になる場合もあります。
このような事態を避けて塗装の十分な効果を発揮するためにも、高圧洗浄やケレン作業をしっかり行ってスラリー層を完全に除去することが大切です。
そのため、モニエル瓦の塗装メンテナンスの際に高圧洗浄を省く業者には依頼しないようにしましょう。
見積書の段階で洗浄作業にかかる費用が明確に記載されていることを確認し、信頼できる業者にメンテナンスを依頼してくださいね。
屋根材が傷んでいる場合は葺き替え工事を行う
屋根材の傷みがひどく雨漏りに悩まされている場合は、葺き替え工事を行うことがおすすめです。
屋根の構造は、屋根材の下に防水紙・野地板・垂木で構成される下地があります。
そのため多少の屋根の破損やズレでは簡単に雨漏りが起こりませんが、すでに雨漏りが生じている場合は屋根材が傷んでいる上に防水紙も機能していないことになります。
この状態で補修を行わずに放置していると、野地板まで腐食してどんどん建物にダメージを与えて行ってしまうでしょう。
このような屋根材の傷みや雨漏りには、確実に補修し問題を解決することができる葺き替え工事を行うことがおすすめです。
まとめ
今回は、モニエル瓦の特徴やメンテナンスについて詳しく紹介しました。
- モニエル瓦は、セメントに砂利を混ぜて作られた屋根材
- モニエル瓦には着色スラリーと呼ばれるセメントの着色剤が塗布されている
- 機能性に優れていて災害に強く、デザインも豊富なことがメリット
- 重量があるため耐震性が低く、メンテナンスに手間がかかる点に注意が必要
- モニエル瓦には定期的な塗装によるメンテナンスが必要
- 屋根材の傷みが激しく雨漏りしている場合には、葺き替え工事を行う
モニエル瓦は現在生産されていないため、部分的な交換やモニエル瓦を使用した葺き替え工事が難しいです。
今回の記事を参考にして正しいメンテナンスを行い、モニエル瓦を維持したり必要に応じて新しい屋根材で葺き替え工事を行ったりしてくださいね。