セメント瓦とはどんな屋根材?メリット・デメリット・メンテナンス方法を解説
2024/06/21
セメント瓦は屋根材の一種ですが、どのような特徴を持つ屋根材なのか知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、セメント瓦とはどんな屋根材なのか、どんなメリット・デメリットがあるのかについて詳しく紹介していきます。
メンテナンスやリフォームの方法についても触れているので、採用する屋根材に悩んでいる方からセメント瓦のメンテナンスについて悩んでいる方まで、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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セメント瓦とは?
セメント瓦とはその名の通りセメント製の瓦で、セメントと川砂を混ぜ合わせて作られた屋根材のことです。
瓦と聞いて一般的にイメージされるような陶器の瓦は、粘土瓦と呼ばれます。
セメント瓦は、粘土瓦に比べて製造しやすく初期費用が安いことが人気を呼び、1980〜1990年頃に建設された戸建て住宅の屋根材として多く採用されました。
現在ではセメント瓦の生産が中止されているため、新築住宅でセメント瓦が使われることはありません。
そのため、現在住宅に使用されているセメント瓦は、施工から30〜40年ほどが経過して耐用年数を超えているものがほとんどで、塗装や葺き替えなどのメンテナンスが必要となるでしょう。
セメント瓦のメリット・デメリット
ここでは、セメント瓦のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
強みと同時にデメリットも知っておくことが大切なので、メリットとデメリットの両方をチェックしておきましょう。
セメント瓦のメリット
セメント瓦のメリットとしては、以下の2つのポイントが挙げられます。
- 耐火性に優れ、耐久年数が長い
- デザインが豊富
それぞれの魅力を詳しく紹介します。
耐火性に優れ、耐久年数が長い
セメント瓦は、耐火性・耐久性に優れていることが大きな特徴のひとつです。
セメント瓦はセメントと川砂を混ぜ合わせて作る屋根材であるため、燃えにくく耐火性に優れています。
屋根材の耐火性が高いと、火災が発生した際に住宅が燃えるスピードを遅らせる効果が期待できるでしょう。
また、セメント瓦は耐久性に優れているため耐久年数が長いことも嬉しいポイントのひとつです。
セメント瓦の耐久年数は30〜40年ほどで、長く使用できることが大きなメリットになります。
デザインが豊富
セメント瓦はデザインが豊富で、和風だけではなく洋風も含むさまざまなデザインのものを選べることがメリットです。
色や形状も豊富で気に入ったものを選ぶことができるので、屋根材を選ぶ際に機能性や費用だけではなくデザインにまでこだわりたいという方にもおすすめの素材です。
瓦と聞くと和風なイメージがありますが、例えば平型瓦という平らな形状のセメント瓦を選んだり、カラーバリエーションの多いセメント瓦を選んでカラフルな屋根にしたりと、デザインを選ぶことで洋風な建物にも合わせることができるでしょう。
セメント瓦のデメリット
セメント瓦のデメリットとしては、以下の2つのポイントが挙げられます。
- 衝撃に弱く、割れやすい
- 塗装メンテナンスが必要
それぞれのデメリットについて、詳しく紹介します。
衝撃に弱く、割れやすい
セメント瓦は耐久性に優れている一方で、割れやすいという特徴もあります。
硬い素材のセメント瓦は衝撃に弱く、屋根に強い衝撃を受けると割れてしまうことがあります。
セメント瓦が割れてしまった場合は、放置すると雨漏りの原因となるため、割れた瓦を交換するメンテナンスが必要です。
塗装メンテナンスが必要
屋根材に瓦を採用した場合、塗装塗り替えを行うメンテナンスが不要であるというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかしセメント瓦では、表面に塗装を行う必要があり、定期的に塗装を塗り替えるメンテナンスも必要になります。
セメント瓦の特徴でもある耐久年数の長さを活かすためには、塗料の耐久年数に合わせた塗り替えメンテナンスを行うことが必須です。
セメント瓦に塗装するタイミングは?
セメント瓦には塗装によるメンテナンスが必要だと紹介しました。
実際に塗装が必要になるタイミングは、耐久年数のほかにも劣化症状の状態によって判断することが重要です。
ここでは、セメント瓦の塗装が必要なタイミングの目安となる症状を紹介します。
- 色褪せ
- 塗膜の剥がれ・膨れ
- カビ・コケの発生
色褪せ
セメント瓦の表面の塗装は、紫外線の影響を受けて徐々に色褪せを起こします。
色褪せは劣化症状の中でも初期に起こるもので、すぐに雨漏りなどにつながる症状ではありませんが、全体的に塗膜の劣化が始まっているサインです。
塗膜が劣化しているということは、色褪せによる見た目の悪化だけではなく防水性能の低下も意味します。
劣化が進んで雨漏りなどが生じてしまう前に、塗装によるメンテナンスを行うことがおすすめです。
塗膜の剥がれ・膨れ
塗膜が劣化すると、剥がれや膨れが現れてきます。
塗膜が剥がれた部分はセメント瓦が剥き出しになってしまうため、保護することができずセメント瓦本体の劣化が急速に進んでいってしまいます。
また、塗膜の膨れの部分は放置すると剥がれにつながる症状です。
放置すると屋根全体や内部にまで大きなダメージを与えてしまい、塗装によるメンテナンスだけでは対応できなくなってしまうことも考えられます。
そのため、塗膜の剥がれや膨れを発見したらできるだけ早く塗装によるメンテナンスを行いましょう。
カビ・コケの発生
セメント瓦が劣化してきて防水性が低くなると、雨水の影響を受けて表面にカビやコケが発生することがあります。
表面にカビやコケが発生しているということは、セメント瓦の表面を保護する役割のある塗膜の機能が劣化している証拠です。
そのため、塗装メンテナンスを行って機能を回復させるべきタイミングの目安だといえるでしょう。
雨漏りにつながる劣化症状とは
セメント瓦の劣化症状の中には、雨漏りに直結してしまうものもあります。
雨漏りは屋根だけではなく建物の内部など全体にダメージを与えてしまうため、できるだけ防ぎたいものです。
ここでは、雨漏りにつながるセメント瓦の劣化症状を紹介します。
- 瓦のひび割れ・破損
- 瓦のズレ
瓦のひび割れ・破損
セメント瓦にひび割れや破損が生じた場合、その部分が雨水の侵入経路となるため、雨漏りにつながってしまいます。
瓦の亀裂や破損部分から雨水が侵入し、屋根の内部に浸水することで雨漏りが起こります。
雨漏りの症状が出ていない場合でも、屋根の内部に浸水して木材の腐食などの重大な劣化が進んでいることも少なくありません。
放置すれば建物全体に大きなダメージを与えてしまう可能性が高いので、セメント瓦のひび割れや破損を見つけたら、早急にメンテナンスを行うようにしましょう。
瓦のズレ
地震や外部からの衝撃など、さまざまな理由から瓦がずれてしまう場合があります。
瓦がずれた部分は屋根を守ることができず内部に雨水が侵入していってしまうため、雨漏りにつながります。
一部分のみ瓦がずれている場合には瓦の接着など比較的簡単な補修で対応できるので、雨による被害が大きくならないうちにメンテナンスを行うことがおすすめです。
瓦のズレを放置していると、雨漏りのリスクが高いだけではなく鳥や虫などの生き物が隙間に入って巣を作ってしまうリスクも高まります。
塗装以外のメンテナンス方法とリフォーム方法
セメント瓦のメンテナンスは塗装だけではなく、以下のようなものもあります。
- 部分修理・差し替え
- 葺き替え工事
メンテナンス方法は、セメント瓦の劣化状態などによって最適なものを選ぶといいでしょう。
ここでは、それぞれのメンテナンスやリフォームの方法について、詳しく紹介します。
部分修理・差し替え
屋根材の一部の劣化が激しい場合には、部分修理や差し替えを行うことで、劣化箇所の補修を行うことが一般的です。
ただし、セメント瓦は現在では生産が終了していて入手が困難なため、部分的に張り替えることは難しいといえます。
そのためセメント瓦の場合では、粘着テープやシーリングなどを使用して既存の部品を接着することで補修を行うことになるでしょう。
このような補修は一時的な応急処理なので、すでに雨漏りが生じているなど全体的な劣化が進んでいる場合には、次に紹介する葺き替え工事を行うことになります。
葺き替え工事
葺き替え工事は、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材を使用して屋根を葺き替える工事のことです。
既存の屋根材が耐久年数を過ぎている場合や、全体的に屋根材の劣化が激しい場合などで行う大規模な屋根のリフォームです。
現在セメント瓦が使用されている住宅は、ほとんどの場合で30〜40年ほどが経過して耐久年数を過ぎているため、葺き替え工事が必要となる場合が多いでしょう。
セメント瓦の葺き替え工事を行う場合、現在ではガルバリウム鋼板などの金属屋根を使用した葺き替え工事が一般的です。
金属屋根は軽量でメンテナンス性能がいいことから、近年人気が高まっています。
セメント瓦と他の瓦屋根との違いは?
「セメント瓦と他の瓦屋根にはどのような違いがあるのか」が気になっている方も多いのではないでしょうか。
瓦屋根には意外にも多くの種類があり、大きく分けると以下の4種類があります。
- セメント瓦
- 粘土瓦
- モニエル瓦(コンクリート瓦)
- スレート瓦
ここまで紹介してきたセメント瓦以外の3種類について、詳しく紹介していきます。
粘土瓦
粘土瓦はほとんどの人が「瓦」と聞いてイメージするような一般的な瓦のことで、粘土を焼き固めることで作られています。
粘土瓦は古くから使用されてきた屋根材で、日本家屋で多く採用されている屋根材です。
日本の気候に適している屋根材であることから、現在でも人気があります。
粘土瓦の中でも、その製法や特徴などから以下のような種類に分けられます。
- 陶器瓦…釉薬瓦とも呼ばれる。釉薬を使って着色した粘土瓦。
- 和瓦(日本瓦)…粘土瓦の別称。
- 燻し瓦…素地を燻した粘土瓦。銀色をしている。
- 素焼き瓦…粘土瓦のうち、釉薬を使わず焼いたもの。代表例は沖縄赤瓦。
- 練り込み瓦…二酸化マンガン・酸化第二鉄などの金属酸化物を練り込んで焼いた瓦。特注品。
- 窯変瓦…焼き上げ時に窯に注入する酸素ガスを調節して作る瓦。一枚ごとの色ムラが特徴的。
セメント瓦は塗装によるメンテナンスが必要でしたが、雨水の染みない粘土瓦には塗装が必要ないことが特徴です。
モニエル瓦(コンクリート瓦)
モニエル瓦は、コンクリート瓦とも呼ばれる屋根材で、セメント瓦とよく似ています。
モニエル瓦もセメント瓦と同様に、1970〜80年頃に人気となった屋根材です。
主成分はどちらの瓦もセメントで、セメント瓦はセメントに川砂を混ぜ合わせて作られたもの、モニエル瓦はセメントに砂利を混ぜ合わせて作られたもののことを指します。
セメント瓦の切断面は平ら、モニエル瓦の切断面には凹凸があるということがそれぞれの特徴です。
カラーバリエーションが豊富で人気が出たモニエル瓦ですが、セメント瓦と同様に現在は生産が終了しています。
スレート瓦
スレート瓦は、粘板岩(スレート)でできた薄板を使用した屋根材のことです。
スレート屋根と呼ばれることもあります。
天然の粘板岩を使用したものを天然スレート、セメントに繊維状の素材を混ぜて薄い板状に加工したものを化粧スレートと呼びます。
費用が抑えられる上に安定した品質が保たれる化粧スレートが、一般住宅の屋根材として採用されることが多いです。
天然の材料を使用する天然スレートは、価格が高額になる傾向があります。
セメント瓦にはアスベストが含まれている?
アスベストは、1960〜90年頃を中心に多くの建築物に対して使用されました。
その後人体への健康被害が問題となり、1975年から規制が始まり、2006年には含有量が重量の0.1%を超えるものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則として禁止されています。
アスベストが多く使われた年代とセメント瓦が流行した年代がかぶっているため、セメント瓦の中にはアスベストが含まれている可能性があります。
しかしセメント瓦はもともと厚みがあるので、アスベストを含む商品はそれほど多くありません。
セメント瓦にアスベストが含まれているかどうかは、瓦を割ることで判断できます。
アスベストが含まれている瓦の場合は、内側から繊維状のアスベストが露出するでしょう。
アスベストが含まれているセメント瓦であっても、瓦が割れていない場合は健康被害が生じる可能性は低いといえます。
一方で割れてしまった場合は健康被害を受けるリスクが高まるため、確認のために自分で瓦を割ることは避けて、専門業者に依頼するようにしてくださいね。
まとめ
今回は、屋根材の一種であるセメント瓦について詳しく紹介しました。
- セメント瓦は、セメントと川砂を混ぜ合わせて作った屋根材のこと
- 一般的な粘土瓦に比べて費用が安く、1980〜90年頃に流行した
- 現在ではセメント瓦の生産は終了している
- セメント瓦は、耐火性・耐久性に優れていて、デザインも豊富
- セメント瓦には塗装メンテナンスが必要
- 現在使用されているセメント瓦はほとんどが耐久年数を超えているため、多くのケースで葺き替え工事が必要になる
- セメント瓦にはアスベストが含まれている可能性がある
セメント瓦は一時期流行した屋根材ですが、現在では生産が終了しています。
瓦屋根を採用したい方は今回紹介した別の種類の瓦の採用を検討し、自宅にセメント瓦が使用されている方は必要に応じて葺き替え工事などの補修を行ってくださいね。