屋根塗装の流れ・費用相場・塗り替えが必要な屋根材の種類などを徹底解説
2024/06/19
屋根のメンテナンスとして必要な工事は屋根材によっても異なりますが、塗装工事が必要なケースは多いです。
今回は、そんな屋根塗装の役割や塗装が必要な屋根材、費用相場や塗り替えのタイミングなどについて詳しく紹介していきます。
屋根塗装について詳しく知りたい方や、自宅の屋根材に塗装が必要かどうか知りたい方まで、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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屋根塗装の役割
屋根塗装には、以下のような役割があります。
- 美観の向上
- 屋根材の保護
- 屋根に機能性を付加
それぞれの役割について、詳しく解説していきます。
美観の向上
屋根に塗装を行うと、色やつやを与えることができるため、住宅の美観の向上に大きく役立ちます。
屋根は経年劣化によって徐々に色褪せてきたり汚れて見えてしまったりするものですが、塗装を行うことによって、そのような見た目の問題を解決することができるでしょう。
塗料の色を選ぶことで、前回とは違った色の屋根にすることも可能で、デザインを楽しむこともできます。
塗装の役割の中でも最も目に見えて変化が現れるので、実感しやすいポイントです。
屋根材の保護
塗料を塗布することで、雨や紫外線、サビなどの影響から屋根材を保護することができます。
塗装によるメンテナンスを必要とする屋根材は、雨・紫外線・サビなどに耐性が高くないという特徴があるため、塗装工事を行うことで屋根材を保護することが重要です。
塗装によって屋根材を保護することで、雨・紫外線・サビなどの影響による劣化を遅らせることができます。
塗装工事で屋根材の表面に塗膜を形成することで、雨・紫外線・サビのような外的要因による影響をできるだけ少なくする効果が期待できるでしょう。
屋根に機能性を付加
塗料の種類によっては、以下のような機能性を持っているものがあります。
- 遮熱
- 断熱
- 防カビ
- 防汚
- 弾性
- セルフクリーニング
このような機能性のある塗料を使用して屋根塗装を行えば、屋根に機能性を付加することができます。
防カビ性能のある塗料を使用すればカビの発生を予防できたり、セルフクリーニング機能のある塗料を使用すれば屋根に付着した汚れを雨で洗い流すことができたりと、塗料の種類ごとに特徴を発揮してくれるでしょう。
遮熱性能の高い塗料は、屋根の表面温度を最大で20度も下げることができるといわれていて、熱による屋根の劣化を予防する効果があります。
このように、屋根に機能性を持たせることでさまざまなメリットが得られます。
塗料の種類ごとに特徴が異なるため、自分にとってメリットの大きい機能を持つ塗料を選んで塗装工事を行うと、快適な生活につながるでしょう。
屋根塗装が必要な屋根材・不要な屋根材
屋根塗装によるメンテナンスが必要かどうかは屋根材によって異なります。
そのため、屋根塗装が必要な屋根材もあれば不要な屋根材もあるのです。
ここでは、屋根塗装が必要な屋根材と不要な屋根材をそれぞれ紹介します。
屋根塗装が必要な屋根材とは?
屋根塗装によるメンテナンスが必要となる屋根材には、以下のようなものがあります。
- スレート(コロニアル・カラーベスト)
- 金属屋根(トタン・ガルバリウム)
- セメント瓦
- モニエル(コンクリート瓦)
それぞれの屋根材の特徴や塗装によるメンテナンスが必要な理由、塗り替えの時期などを詳しく紹介します。
スレート(コロニアル・カラーベスト)
スレートは、現在の住宅で主流となっている屋根材です。
スレートの別名として、コロニアルやカラーベストと呼ばれることもあります。
厚み5mmほどの薄い板状の建築材で、スレートの中でも以下の2種類にわけられます。
- 天然スレート(天然石を使用している)
- 化粧スレート(セメントと繊維材料を混ぜ合わせて作られる)
現在の住宅で主流なスレート屋根には、化粧スレートが使用されていることがほとんどです。
天然スレートは天然石を使用するため価格が高く品質に個体差があり、化粧スレートは比較的安価で品質が安定しています。
スレートは軽量な素材で、耐震性に優れていることが特徴です。
メリットも多いスレート屋根ですが、スレート材本体には防水性がないため、雨水の影響から屋根を守るためには塗装によって防水性を上げることが重要です。
スレートが吸水と乾燥を繰り返すと、屋根材がだんだんそり上がってきてしまいます。
このような屋根材の劣化を防ぐためにも、防水性を確保するための塗装が必須です。
一度塗装工事を行っても塗膜は徐々に劣化していってしまうため、10年ごとを目安として塗り替えを行う必要があります。
金属屋根(トタン・ガルバリウム)
金属屋根とは、金属板を使用した屋根のことです。
金属屋根は設置環境の影響を受けやすく、海の近くや鉄粉やほこりの飛来が多い工場周辺の地域などでは、耐用年数が大幅に低下するリスクがあるので注意が必要です。
金属屋根といっても、トタン(亜鉛メッキ鋼板)とガルバリウム(アルミニウムと亜鉛の複合メッキ鋼板)では塗り替えまでのメンテナンス期間が異なります。
トタン屋根では5〜8年を目安とした塗り替えが、ガルバリウムでは10〜15年を目安とした塗り替えが必要です。
ガルバリウムは錆びにくい素材であることから、塗り替えまでの間隔がトタンに比べて長くなります。
現在のメンテナンスではガルバリウムが主流で、屋根材だけではなく棟板金の交換などでもトタンやブリキが使用されることは少なくなっていいます。
メンテナンスは継続して必要となるので、初期費用だけではなく耐用年数やメンテナンスの間隔も考慮しながら屋根材を選ぶことが大切です。
セメント瓦
セメント瓦は、セメントに川砂を混ぜ合わせて作られた瓦の屋根材のことです。
セメント瓦本体には防水性がなく雨水が染み込んでしまうため、塗装メンテナンスによって防水性を確保する必要があります。
1970〜80年代頃を中心に流行したセメント瓦ですが、現在は生産・販売ともに行われていません。
そのため材料が手に入りにくく、部分的な補修の対応が難しい場合も多いので注意が必要です。
耐久性が高いことが特徴なセメント瓦ですが、現在も屋根に使用されている場合は耐用年数を過ぎていることがほとんどです。
そのような場合は、セメント瓦以外の屋根材を使用した葺き替え工事が必要になるでしょう。
モニエル(コンクリート)瓦
モニエル瓦は、先ほど紹介したセメント瓦とよく似た屋根材です。
モニエル瓦はセメントに砂利を混ぜ合わせて作られたもので、セメント瓦とは形もよく似ているため見た目での判断が難しいですが、断面を見ればすぐに確認できます。
瓦の断面が、平らであればセメント瓦、凹凸がある場合はモニエル瓦です。
セメント瓦とモニエル瓦は見た目がよく似ていてどちらも塗装が必要な屋根材ですが、種類によって塗装工事の工程が異なるため、しっかりと見分ける必要があります。
また、モニエル瓦もセメント瓦と同様に、現在は生産・販売ともに終了しています。
部分的な修理の際に同じ材料が手に入らない可能性があること、そして耐用年数を過ぎている場合には違う屋根材での葺き替え工事が必要となる点に注意しましょう。
屋根塗装が不要な屋根材とは?
屋根材によっては、屋根塗装によるメンテナンスが不要な場合もあります。
屋根塗装が不要な屋根材としては、以下のようなものが挙げられます。
- 粘土瓦
- ノンアスベスト屋根
それぞれの特徴を紹介していきます。
粘土瓦
粘土瓦は、粘土を使用した焼き物の瓦です。
一般的に「瓦」と聞いて多くの方がイメージする陶器の瓦がこの粘土瓦で、和瓦とも呼ばれています。
粘土瓦は耐久性に優れていることが特徴で、素材も水を通さないため塗装が必要ありません。
新築時から表面に塗装を行わないため、当然塗装メンテナンスも必要としない屋根材です。
粘土瓦にヒビや割れなどの破損が生じた場合は、1枚単位で交換する補修を行うことができます。
ノンアスベスト屋根
ノンアスベスト屋根とは、材料にアスベストを含まない屋根のことです。
アスベストの健康被害が発覚し、2006年にアスベストの使用が禁止されたことで開発が進められ誕生したノンアスベスト屋根ですが、流通当初は強度に問題を抱えていました。
強度に問題のあるノンアスベスト屋根材は、塗装によって強度の補強ができない、塗装によって劣化が抑えられないといった問題があり、塗装ができないものが存在します。
塗装ができないノンベスト屋根材は、以下の7種類です。
- パミール
- レサス
- シルバス
- コロニアルNEO
- アーバニーグラッサ
- ザルフグラッサ
- セキスイかわらU
ノンアスベスト屋根の中でも上記の7種類の屋根材には塗装ができないため、注意が必要です。
屋根塗装が必要な劣化症状
屋根塗装は、耐用年数を過ぎていなくても劣化症状が現れ始めたら塗り替えが必要になります。
ただし、屋根の劣化症状を確認するために屋根に登る行為は危険を伴うため、避けてください。
確実に屋根の劣化を点検する方法としては、業者に依頼することが挙げられます。
業者に依頼せず自分で確認する際は屋根には登らず、外部の屋根を見下ろせる位置から双眼鏡でチェックするなど安全に気をつけて点検しましょう。
ここからは、自分で点検を行う際にチェックしたい屋根の劣化症状を紹介します。
劣化症状は屋根塗装が必要なサインとなるので、ぜひ点検に役立ててくださいね。
- 色褪せ
- カビ・コケの繁殖
- 塗膜の剥がれ
- サビ
- ひび割れ
- 屋根材の反り
色褪せ
屋根に色褪せが生じてきた場合、塗膜の劣化が始まっているサインです。
すぐに雨漏りにつながる劣化症状ではありませんが、全体的な劣化が始まっているサインなので、塗り替えを検討するといいでしょう。
塗膜が劣化してきているということは、防水などの機能性も徐々に低下してきているということです。
放置するとさらに重症な劣化症状が現れてきて雨漏りにもつながるため、色褪せの段階で塗り替えを行うと安心です。
カビ・コケの繁殖
塗膜が劣化してくると防水性や保護機能が低下してくるため、屋根に雨水が染み込んで水分を含み、カビやコケが繁殖することがあります。
カビやコケが繁殖した場所は常に水分を含むこととなり、屋根材の劣化を早めてしまいます。
放置していると屋根の劣化が進んで雨漏りにつながるため、早めの補修を検討しましょう。
塗り替えを行う際は、カビやコケをしっかりと取り除いてから塗装を行うことが重要です。
塗膜の剥がれ
塗膜の劣化が進行すると、塗膜に剥がれが生じます。
塗膜が剥がれた部分は屋根材が剥き出しとなるため、雨水が染み込んで劣化が進んだり雨漏りが発生したりする緊急性の高い劣化症状です。
屋根全体の劣化が早まることはもちろん、塗膜が剥がれた箇所からどんどん雨水が侵入するため、室内で雨漏りが生じたり屋根内部が腐食したりと劣化が広がっていってしまいます。
塗膜が剥がれている箇所を発見したら、できるだけ早く塗り替えを行うようにしましょう。
サビ
塗膜が劣化して保護機能が低下すると、屋根の金属が酸素と水に反応するため、サビが発生します。
サビが進行すると、屋根材に穴があいて雨漏りの原因となります。
また、サビの発生によって体積が膨らみ、周辺のコンクリートを押し広げてしまうと、建物や壁が崩落するリスクもあるのです。
サビが発生したまま放置しているとどんどん広がり、屋根だけではなく建物全体にもダメージを与える可能性があるので、早めの対処が必要です。
とくに海が近い地域ではサビの広がりが早い傾向があるため、より注意して点検することをおすすめします。
サビが発生した場合は、塗り替えを行う前にサビを削って取り除く必要があります。
そのため、サビが広範囲に広がっていると、塗り替え工事にかかる費用が高額になってしまうでしょう。
サビが発生していることを確認したら、できるだけ早く塗り替え工事を行うことが、屋根や建物を守るだけではなく工事費用の節約にもつながります。
ひび割れ
屋根のひび割れは、劣化によって発生する場合と飛来物などの物理的な衝撃によって発生する場合があります。
劣化によってひび割れが発生している場合、塗装の保護機能が低下したことが原因で屋根の構造がもろくなっている可能性が高いです。
ひび割れを起こしている箇所が屋根の一部であっても、全体的に劣化が進んでいる場合も多いです。
屋根の劣化が全体的に進んでいる場合は、塗り替えではなく葺き替え工事を行うほうがいいというケースも考えられます。
このような判断は、信頼できる業者に依頼して劣化状態をチェックしながら行っていきましょう。
物理的な衝撃によって一部にひび割れが生じた場合、全体的な劣化が進行していなければその部分を補修してから塗り替えを行います。
どちらの理由であっても、ひび割れが生じた部分からは雨水が侵入して雨漏りの原因となるため、早めに対処することがおすすめです。
屋根材の反り
塗装による保護機能が低下してくると、屋根に雨水が染み込むようになります。
そうすると屋根材は吸水と乾燥を繰り返すので、膨張や反りを起こしてダメージが蓄積され、徐々に屋根材の反りが大きくなって見た目にも現れてきます。
屋根材の反りを予防するためには、塗り替え工事を定期的に行って保護機能を維持することが一番効果的です。
反りが強い場合には張り替えが必要となるケースもあるので、保護機能を切らさないこと、そしてできるだけ早く屋根材の反りを発見して対処することが大切になります。
屋根塗装の流れ
屋根塗装は定期的に必要なメンテナンスなので、工事の流れが気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、一般的な屋根塗装の流れを詳しく解説します。
それぞれの工程の作業内容を紹介するので、参考にしてみてくださいね。
近隣住民への挨拶回り
現場確認
仮設足場と飛散防止シートの設置
高圧洗浄
下地補修
養生
塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
近隣住民への挨拶回り
屋根塗装の工事を始める前には、近隣住民への挨拶回りを行います。
挨拶回りでは、以下のような内容を近隣住民の方へ説明します。
- 工事内容(屋根塗装の実施)
- 塗装を行う業者名と連絡先
- 工事日程
- 工事中に騒音やにおいなどが生じる可能性があること
屋根塗装では、工事中に騒音やにおいなどが生じる可能性があるため、トラブルに発展しないよう事前に近隣住民の理解を得ることが大切です。
近隣挨拶は、足場設置の1週間前〜前日までには行います。
基本的に塗装業者が挨拶を行ってくれますが、施主(工事の依頼主)も同行して挨拶周りを行うことがおすすめです。
現場確認
塗装工事実施にあたって、足場を設置する前に現場確認を行います。
現場確認では、以下のような点の確認を行います。
- 屋根の劣化箇所・劣化状況
- 足場設置や屋根塗装の作業が問題なく行える環境かどうか
屋根の劣化箇所・劣化状況については、業者との契約前にも診断を行うことが一般的ですが、現場確認の際にもしっかりと確認します。
現場確認と挨拶回りは、同日に行われるケースもあります。
現場確認の際は、施主の立ち合いが求められるので覚えておきましょう。
足場設置や屋根塗装の作業を妨げるようなものがないかどうかについても、現場確認の際にチェックします。
作業を妨げる可能性のあるものが置いてあれば、施主に確認して移動するなどの対応を行います。
庭の植物や置物など、動かせない大切なものが現場付近にある場合は、事前に業者に伝えておくと安心です。239
仮設足場と飛散防止シートの設置
屋根塗装の際には、屋根と外壁に足場の設置を行います。
外壁塗装を伴わない屋根だけの塗装の場合でも、屋根に登るために外壁への足場の設置が必要です。
足場の設置は、塗装業者ではなく委託された足場業者が行うケースも多いです。
足場の周辺には、塗料の飛散を予防するための飛散防止シートの設置を行います。
高圧洗浄
屋根塗装を行う前には、高圧洗浄機を利用して屋根の汚れなどをしっかりと取り除くことが重要です。
屋根には、汚れやコケ、古い塗膜などがたくさん付着しています。
このような付着物をそのままにして塗装を行うと、下地と塗料の接着性が悪く施工不良につながります。
高圧洗浄は、新しく形成した塗膜の寿命を伸ばすためにも重要な工程です。
洗浄には水が使われるため、作業中に窓やドアがあいていると洗浄水が室内に入り込むリスクが高いです。
高圧洗浄を行う際には、窓やドアを閉めることを忘れないようにしましょう。
下地補修
塗装を長持ちさせるためには、下地の状態がとても重要になります。
屋根材の劣化状態によって、ひび割れの補修や高圧洗浄でも落としきれない古い塗膜やサビの除去、部材交換などを行い、下地を整えましょう。
ひび割れなどの損傷部分には、コーキング材を充填する補修を行います。
下地調整の完成度は塗装工事の完成度にも大きく影響するので、とても重要な工程です。
下地補修は1日程度で完了することが多いですが、下地の劣化が激しい場合や劣化箇所が多い場合などでは、2日以上必要となるケースもあります。
養生
塗装を行う前に、塗装の必要がない箇所に塗料が付着するのを予防するために養生を行います。
養生とは、塗装しない箇所を養生シートなどで覆って保護する作業のことです。
屋根だけの塗装を行う場合は、屋根周辺に養生を行って外壁やドアなどに塗料が付着することを予防します。
エアレススプレーなどを使用する吹き付け塗装を行う場合は塗料が飛散するリスクが高いため、屋根周辺だけではなく外壁やドア、室外機などをそれぞれ養生する場合もあります。
塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
屋根塗装の工程は、下塗り・中塗り・上塗りの3つにわけられます。
下塗りは、屋根材(下地)と上塗り塗料を密着させるための接着剤のような役割を持っています。
下塗り材が乾燥したら、上塗り塗料を使用して中塗り・上塗りと重ね塗りしていきます。
下塗り・中塗り・上塗りとそれぞれの工程ごとに乾燥時間が必要となるので、塗装は2日以上をかけて行うことが一般的です。
必要となる乾燥時間は塗料によっても異なりますが、それぞれの乾燥時間を十分に確保することが大切です。
スレート屋根の場合|縁切り
スレート屋根の場合に重要な工程として、縁切りという作業がります。
スレート材同士の重なりには、屋根材の下に入った雨水が流れ出るための隙間があります。
塗装を行うことでこの隙間が埋まってしまうと、屋根材の下に入った雨水が排出できないため雨漏りにつながってしまうでしょう。
このような問題を防ぐために必要となるのが、縁切りです。
縁切りとは、隙間を埋めてしまっている塗膜をカッターなどで切って、適切な隙間を確保する作業のことです。
縁切りは基本的に手作業で行う工程ですが、タスペーサーと呼ばれる道具を使用することで手作業での縁切りを不要にする方法もあります。
塗装前にスレート材の重ね目にタスペーサーを入れておくことで、必要な隙間を作れるので縁切りが不要になります。
完成
塗装が完了したら、養生と足場を撤去して工事は完了となります。
足場を解体する前には、以下のようなチェックを行います。
- 屋根塗装の完成度に問題がないか
- 塗り残した箇所がないか
- 養生はすべて剥がしたか
- 塗料の飛散によって汚れてしまった箇所がないか
このようなチェックは、完了検査と呼ばれます。
完了検査によって、屋根塗装の最終確認を行います。
完了検査には、施主の立ち合いが必要となることが一般的です。
施主は足場に上がることはできないので、地面やベランダなど安全な場所から見える範囲で確認を行います。
塗装の仕上がりや状態をしっかりと確認したい場合は、業者に写真や動画を撮ってもらうことで確認できるケースもあります。
工事完了後に屋根塗装の保証書などが発行される場合は、忘れずに受け取ってしっかりと保管するようにしましょう。
屋根塗装工事のスケジュールを確認する方法
屋根塗装工事は数日かけて行うため、どの日にどの工程を行うのかという具体的なスケジュールを把握しておきたいという方も多いのではないでしょうか。
ほとんどの塗装業者では、工事前にそのような具体的な屋根塗装工事のスケジュールを記載した「工事工程表」と呼ばれるものを作成します。
工事工程表を確認すれば、具体的なスケジュールの確認が可能です。
ただし、工事工程表に記載されているスケジュールはあくまで予定であり、屋根の劣化状態や天候によってスケジュールが前後する場合も少なくありません。
変更されたスケジュールも常に把握しておきたい場合は、業者に「工事工程表のスケジュールに変更が生じた場合には教えて欲しい」ということを事前にお願いしておくといいでしょう。
屋根塗装の費用相場
屋根塗装は定期的に必要なメンテナンスなので、費用相場を知って準備しておくことが大切です。
以下の表に屋根塗装の費用相場をまとめたので、確認してみてください。
>
建物の面積(屋根面積) | 工事費用総額の相場 |
---|---|
20坪(36~50㎡) | 30~40万円 |
25坪(62~87㎡) | 50~70万円 |
30坪(74~104㎡) | 60~80万円 |
35坪(87~122㎡) | 75~105万円 |
40坪(100~140㎡) | 85~120万円 |
45坪(118~165㎡) | 95~135万円 |
50坪(124~174㎡) | 100~155万円 |
塗装工事にかかる費用には、屋根の面積が大きく影響します。
また、屋根の劣化状態や使用する塗料によっても費用は変わってくるため、正確な費用が知りたい場合は業者に見積もりを依頼しましょう。
屋根塗装に使う塗料
屋根塗装に使用する塗料にはさまざまな種類があり、それぞれが異なる特徴を持っています。
ここでは、屋根塗装で主流な塗料について、特徴やメリット・デメリット、耐用年数などを詳しく紹介していきます。
屋根塗装の際の塗料選びは重要なポイントになるので、ぜひ参考にしてください。
大まかな塗料の種類
屋根塗装に使用される塗料を大きくわけると、以下のような4種類があります。
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- フッ素塗料
- 無機塗料
それぞれの塗料について、詳しく紹介します。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は、比較的価格が安く扱いやすいことが特徴の塗料です。
DIYでリフォームする際の塗料としても、よく使用されています。
塗料の費用は1,500〜2,200円/㎡程度、全体の塗装費用は25万円程度が目安となります。
塗膜に光沢があるため、安価で購入できるにもかからわず高級感のある仕上がりになることがメリットです。
柔らかく弾性に優れている塗料なので、モルタルなどのひび割れしやすい素材と相性がいい塗料です。
一方で、ウレタン塗料は紫外線に弱くあまり耐用年数が長くないことがデメリットだといえます。
紫外線の刺激を受けると劣化してしまうため、とくに日当たりのいい場所では頻繁な塗り替え工事が必要となってしまうこともあるので注意が必要です。
ウレタン塗料は、以下のような方におすすめです。
- DIYでも高級感のある仕上がりを目指したい
- 外壁のひび割れを抑えたい
- 塗装費用を節約したい
全体の塗装費用を抑えるため、紫外線の刺激を受けにくい雨樋や戸袋などの一部にのみウレタン塗料を使用するケースもあります。
このように部分的に異なる種類の塗料を使用する際は、塗料ごとに耐用年数が異なることで塗り替え時期がずれていくことに気をつけましょう。
シリコン塗料
シリコン塗料は、耐用年数が13年ほどと長いため、最も高い人気を誇っている塗料です。
塗料の費用は2,000〜3,500円/㎡程度、全体の塗装費用は35〜45万円程度が目安となります。
シリコン塗料は、費用と耐用年数のバランスがよく、コストパフォーマンスのいい塗料であることが大きなメリットです。
耐水性や耐熱性にも優れていて、塗膜が水を弾いて屋根の劣化を予防でき、日当たりのいい場所でもすぐに塗料が剥がれることがないため、長持ちしてくれるでしょう。
塗料の種類がよくわからず悩んでしまう方は、シリコン塗料を選んでおけば間違いありません。
ただし、シリコン塗料の中にもグレードがあり、グレードによって機能性が異なります。
塗料のグレードによって耐久性や費用、特徴なども異なるため、シリコン塗料の中でもどのグレードの塗料を選ぶのか業者と相談しながら選んでいくといいでしょう。
フッ素塗料
フッ素系の塗料は、耐候性が高いことが特徴です。
耐用年数が18年ほどととても長く、メンテナンスの間隔をあけられることが大きなメリットだと言えるでしょう。
塗料の費用は4,000〜5,000円/㎡程度、塗装工事全体の費用は50〜70万円程度が目安となります。
紫外線や雨の影響を強く受ける屋根の塗装は、劣化が早く耐用年数よりも前に急なメンテナンスが必要となるケースも多いのですが、フッ素系塗料は耐用年数の信頼値が高いことから、急に補修やメンテナンスが必要となるケースが少ないといわれています。
また、フッ素塗料は親水性に優れていて、塗膜に付着した汚れを雨水で洗い流してくれることが大きなメリットのひとつです。
汚れの面でも塗り替え工事の面でも、メンテナンスにかかる手間を大幅に減らすことができるでしょう。
無機塗料
無機塗料とは、従来の有機物に加えて無機物を配合した塗料のことです。
無機物とは、ガラス・石・鉱物など自然界にあるもののことです。
塗料の費用は4,500〜5,500円/㎡程度、塗装工事全体の費用は70万円程度が目安になります。
耐用年数は20〜25年ほどととても長く、フッ素塗料よりも耐候性に優れています。
無機塗料は、有機物のみの塗料よりも燃えにくく、さらに経年劣化しにくくコケやカビが生えにくいことが大きなメリットです。
機能性にこだわりたい方や、塗り替えによるメンテナンスの頻度を減らしたい方におすすめの塗料です。
無機塗料は防汚性に優れていて、表面に汚れが付着しにくいという特徴も持っています。
メンテナンスの面では大きなメリットになる一方で、上から塗料を塗ったときにもすぐに剥がれてしまうリスクがあるため注意が必要です。
この特徴から、塗料の耐用年数が過ぎた際に再塗装が行えない場合があることを覚えておきましょう。
機能性を付加する塗料
機能性に優れた塗料を選ぶと、屋根塗装に機能性を付加することができます。
特殊な効果を持ってい塗料は多くあり、状況に応じて最適な塗料を選ぶと、生活の質の向上にもつながります。
ここでは、代表的な機能性に優れた塗料を紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
- 遮熱塗料
- 断熱塗料
- 光触媒塗料
遮熱塗料
遮熱塗料は、太陽光を反射する機能を持った塗料のことです。
太陽光を反射することで屋根の表面温度を下げるため、室内温度の上昇を抑えることができます。
トタン屋根などのとくに熱伝導率の高い屋根材に対して使用することで、より強く効果を実感できるでしょう。
遮熱効果の高い塗料は、夏の暑い時期でも室温の上昇を抑えて快適に暮らせるメリットがあります。
一方で、遮熱効果が高すぎると冬にも効果を発揮するため、室内温度が上がらず寒さを感じるというケースも考えられます。
冬場の快適さをキープするためには、遮熱塗料とともに断熱効果を上げる工夫をする必要があるでしょう。
断熱塗料
断熱塗料とは、断熱性能に優れた塗料のことです。
断熱とは、熱が建物の外に逃げてしまうことを防ぎ、保温してくれる役割のことです。
断熱塗料を使用して屋根塗装を行うと、熱や冷気の侵入を防ぎ、室内の温度を逃さずキープする効果が期待できます。
屋根にはもともと断熱材が入っていることも多く、そのような場合では断熱塗料を使用して塗装を行なった場合の効果は感じにくいでしょう。
遮熱材のみを使用している住宅では、断熱塗料を取り入れることでより快適に過ごせる可能性があるのでおすすめです。
光触媒塗料
光触媒塗料とは、セルフクリーニング機能に優れた塗料のことです。
太陽光に当たることで自浄作用を発揮するので、汚れが付着しにくいことが大きな特徴です。
光触媒塗料の耐用年数は15〜20年ほどと長いですが、早い段階でひび割れが生じることもあるため注意しましょう。
また、光触媒塗料には「紫外線型」と「可視光型」の2種類があります。
可視光型が新しく改良された塗料の種類で、太陽光が当たらない環境でもセルフクリーニングの効果が期待できます。
屋根塗装工事でよくある質問
屋根塗装工事を行うにあたって、疑問や不安があり悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、屋根塗装工事の際のよくある質問を紹介するので、お悩み解決につながれば幸いです。
Q
窓を開けられないタイミングはありますか?
A
屋根の塗装工事中は、窓を開けられないタイミングがあります。
屋根塗装工事のはじめの方に高圧洗浄機を使用した清掃を行なっている際は、窓をあけていると洗浄水が室内に入ってくる可能性があるため、窓を開けることができません。
洗浄の際は、窓やドアなどの洗浄水が入ってくる可能性のある開口部はすべて閉めておく必要があります。
また、塗装工程の間は、下塗り・中塗り・上塗りすべての段階で塗料のにおいが室内に入ってくる可能性が高いので、窓は閉めておくことがおすすめです。
塗装工程中は塗料のにおいが気にならないのであれば窓をあけられる場合が多いですが、吹き付け塗装の場合は塗料が飛散しやすいので、窓を閉めておくように指示がある場合もあります。
Q
エアコンは普段通り使用してもいいですか?
A
屋根塗装の工事中でも、エアコンは普段通り使用することができます。
窓をあけられない期間もあることから、季節によってはエアコンを使用したい方も多いですよね。
ただし、場合によってはエアコンの室外機を養生する可能性があるため、エアコンを使用したい場合はあらかじめ業者に伝えておくと安心です。
室外機に養生が必要な場合でも、通常と異なる方法で養生を行えば、エアコンが使用できます。
Q
ニオイはありますか?
A
屋根塗装の工事中は、塗料を使用する塗装工程でにおいが気になる可能性があります。
屋根からの距離や風向きなども影響して、においが気になったという方もいればまったく気にならなかったという方もいるようです。
塗料のにおいが気になる場合は、塗装工程中は窓やドアなどの開口部をできるだけあけないように心がけるといいでしょう。
塗装工程の期間を狙って、できるだけ外出するようにするのも効果的です。
また、屋根塗装で主流な溶剤系塗料はにおいが強い傾向があるため、においの弱い水性塗料を選ぶこともおすすめです。
ただし、屋根材との相性や劣化症状などによって水性塗料が使用できない場合もあるため、「においが気になるので水性塗料を使用したい」ということは業者に相談して決めていきましょう。
Q
洗濯物は外に干せますか?
A
屋根塗装中は、以下のような理由から基本的に洗濯物を外に干すことができません。
- 洗濯物を外に干すと洗浄水や塗料などが飛散して汚れる可能性がある
- 塗装作業の妨げになる可能性がある
- 洗濯物に塗料のにおいがつく可能性がある
普段は洗濯物を外に干している家庭でも、塗装工事中は室内干しをしたりコインランドリーや浴室乾燥機を利用したりなどの対応が必要になります。
塗装工事が始まる前までに、室内干しできる環境を整えたり近所のコインランドリーを調べておいたりと、洗濯物を外に干さなくてもいいような準備をしておきましょう。
Q
工事中はずっと家にいたほうがいいですか?
A
屋根塗装の工事中は、ずっと家にいる必要はないため外出することができます。
屋根塗装は室内ではなく外で行う工事なので、施主が家にいなくても問題なく工事を進められます。
ただし、以下のようなタイミングでは施主の立ち合いが求められることが多いので、注意が必要です。
- 現場確認
- 完了検査
立ち合いが必要なタイミングはあらかじめ業者に確認して、誰かが立ち合いに対応できるよう調整しておきましょう。
まとめ
今回は、屋根塗装について詳しく紹介しました。
- 屋根塗装には、「美観の向上」「屋根材の保護」「機能性の付加」という3つの役割がある
- 屋根材によって、屋根塗装が必要な場合と不要な場合がある
- 塗装が必要な屋根材には、耐用年数の経過や劣化症状の出現を目安とした定期的な塗り替えが必要
- 劣化症状を放置すると、屋根材を傷めたり雨漏りが生じて建物内部に悪影響を与えたりする
- 屋根の塗装工事にかかる費用は、屋根の面積や使用する塗料によって異なる
- 屋根塗装の際は塗料選びが重要なポイント。費用だけではなく特徴や機能性、メンテナンス頻度などを考慮して選ぶことがおすすめ
屋根塗装は、屋根材だけではなく建物全体を雨漏りなどの被害から守るために必要なメンテナンスです。
塗料選びや費用相場の把握など、今回の記事を参考に屋根の塗装工事に備えてみてくださいね。