マンションの外壁塗装の費用相場を徹底解説!注意したいポイントは?
マンションの外壁塗装を検討中のかた。
費用がどのくらいかかるのか気になりますよね。
そこで今回は、マンションの外壁塗装の費用相場について解説していきます。
外壁塗装の流れや、注意したいポイントについてもご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
マンションに外壁塗装が必要な理由
マンションの外壁は、定期的に再塗装を行なう必要があります。
外壁に使われている塗料には10~15年ほどの耐用年数があり、この年数を超えてしまうと雨漏りや、建物の構造部分の腐食が起こりやすくなるのです。
また外壁塗装を行なうと、建物の見た目も良くなるので入居率の向上も期待できます。
資産価値を高めることにも繋がるので、マンションを運営する上で外壁塗装は欠かせません。
外壁塗装を行なうタイミングは?
一般的には10~15年に1度、または大規模修繕の際に外壁塗装を行ないますが、以下のような症状がある場合も外壁塗装のタイミングです。
雨漏り
建物内部まで雨水が侵入しています。
断熱材や柱も腐食している可能性があるので、外壁塗装で雨水の侵入を防ぐことが必要でしょう。
構造クラック
幅0.3mm以上のひび割れを構造クラックと言います。
外壁表面だけでなく、建物内部までひび割れている可能性が高いです。
放置すると雨漏りはもちろん、建物の構造自体の劣化も招いてしまいます。
コンクリートの剥離
壁のコンクリートが剥がれ落ちている場合も注意が必要です。
コンクリート内部の鉄筋が腐食している可能性が高いです。
落ちたコンクリートが人に当たると危険なので、早めに専門家に点検を依頼しましょう。
塗膜の剥がれ
塗膜が剥がれている部分は、防水性能がなくなっています。
この場合も早めの再塗装が必要です。
シーリングの割れ
外壁同士の隙間を埋めているシーリング(コーキング)が割れたり取れたりしていると、その部分から雨水が入り込みます。
シーリングの劣化も放置してはいけません。
外壁塗装にかかる費用は?
マンションの外壁塗装には、1戸あたり13~22万円ほどの費用がかかると言われています。
以下のように階数で概算をすることもできます。
階数 |
費用目安 |
3階建て |
130~410万円 |
5階建て |
450~670万円 |
7階建て |
630~950万円 |
外壁塗装の塗料を選ぶ
外壁塗装の際には、使う塗料を選ばなくてはなりません。
塗料によって値段や耐用年数、特徴が異なります。
塗料の種類 |
耐用年数 |
1㎡あたりの費用 |
特徴 |
アクリル |
3~5年 |
1,000~1,800円 |
発色が良く低コストで施工できる。ただし耐久性がな く、こまめな塗り替えが必要 |
ウレタン |
5~7年 | 1,700~2,500円 |
かつての主流。リーズナブルに施工できる。ただし耐 久性や防汚性は低め |
シリコン |
10年 |
2,300~3,500円 |
値段と性能のバランスが良く、現在の主流。住宅で多 く使われる |
フッ素 |
10~15年 |
3,500~4,800円 |
一般的な塗料では最高グレード。高級感のある艶消し 塗装が可能。耐久性も高いが、塗膜が硬いのでひび割 れしやすい |
光触媒 |
12年 |
3,800~5,500円 |
光による化学反応により、外壁の汚れを分解する。空 気中の汚染物質を分解する作用もある。ただし太陽の 光が当たらない場所では高い効果が期待できないので 注意が必要 |
ピュアアクリル |
15年 |
4,000~4,700円 |
耐久性、防水性、弾力性が高い。施工費用は高いが、 長持ちするので高コストというわけでもない |
無機配合型フッ素 |
16年 |
3,500~4,800円 |
フッ素塗料に無機成分が配合されている。耐候性が高 いので長持ちする |
無機ハイブリッド |
18年 |
3,500~5,500円 |
有機物が配合されていて劣化しにくい。かなり長持ち する |
外壁塗装の流れ
外壁塗装は以下のような流れで行なわれるのが一般的です。
①足場の設置
②高圧洗浄
③下地処理
④養生
⑤シーリング打ち替え
⑥塗装
⑦養生の撤去、足場の解体
①足場の設置
まずは高所で作業をするための足場を設置します。
足場の設置中は絶えず金属音が発生するので、事前にマンション住人に外出を促すなど対策が必要です。
また周辺住民への事前告知も大切です。
足場の設置が完了するまでに3~7日ほどの期間がかかります。
足場を設置した後は、足場の周囲を飛散防止シートで覆います。
これにより、水や塗料がマンション外へ飛散するのを防げます。
②高圧洗浄
次に塗装を施す部分に高圧洗浄を行ないます。
専用の高圧洗浄機を使って、汚れや古い塗膜、カビなどを落とします。
高圧洗浄を行なう前に、マンション住人に窓を閉めることを喚起することも大切です。
窓を閉めないと室内に汚水が侵入してしまいますよ。
高圧洗浄には2~3日かかるのが一般的です。
また洗浄後は1~2日乾燥されることも必要です。
③下地処理
次に外壁の下地処理を行ないます。
ひび割れ部分を補修したり、塗膜の剥がれた部分の手入れを行なったりします。
下地処理を丁寧にやっておくと、塗装をする際に塗料が付着しやすくなります。
④養生
次に、窓や換気扇などに塗料が付着しないように、ビニールシートやマスキングテープを使って養生(保護)します。
養生には3~5日ほどかかります。
⑤シーリング打ち替え
外壁同士の隙間を埋めるためのシーリング。
シーリングの状態が悪い場合は、古いシーリングを一度剥がして新たにシーリングを施します。
シーリングの打ち替えには5~7日ほどかかります。
⑥塗装
いよいよ塗装の作業に入ります。
塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」と、合計3回行なうのが一般的です。
下塗りは、下地と塗料を密着しやすくするために行ないます。
下塗り材は白色なのが一般的で、「シーラー」「プライマー」とも呼ばれます。
中塗りと上塗りは色付きの、同じ塗料を使います。
2回塗り重ねることにより、塗料の性能が十分に発揮されるようになりますよ。
塗装中は臭いが発生するので、事前にしっかりとマンション住人に告知しておくことが必要でしょう。
下塗り・中塗り・上塗りには、それぞれ2~3日ほどかかります。
塗装後は「ペンキ塗りたて」の張り紙を貼ったり、掲示板などで告知することも大切です。
⑦養生の撤去、足場の解体
施工ミスがないかをチェックしたら養生を撤去し、足場を解体します。
足場を解体した後は手直しが難しくなるので注意しましょう。
また足場の解体時も金属音が発生するので、マンション住人や近隣住民への告知が必要ですよ。
足場を撤去したら周囲を掃除し、外壁塗装の完了です。
このように、一口に「外壁塗装」と言っても、さまざまな工程があります。
場合によっては手すりなど鉄部の修理や防水工事なども、外壁塗装の項目に入る場合がありますよ。
これらの工程を一通り行なうと、50戸未満のマンションで1~2か月、50戸以上で2~3か月はかかります。
外壁塗装の注意点
外壁塗装を行なう上で、以下のことにも注意しましょう。
天候によって工期が延びることがある
外壁塗装は天候に左右されます。
雨や雪の日は塗料が乾きにくく、作業が中断しやすいです。
工期を長めに計画しておくと安心ですね。
強風の日など、も塗料が隣家に飛散したりするのを防ぐため、作業が中断しやすいでしょう。
臭いが発生する
外壁塗装工事の期間中は、塗料による臭いが発生します。
事前に入居者や周辺住民にしっかりと告知して理解を求めておかないと、クレームの対象となります。
ベランダで洗濯物が干せなくなる
塗装中は洗濯物に塗料が付着するのを防ぐため、ベランダに洗濯物が干せなくなります。
全面塗装でない場合は、塗装していない壁側のベランダに洗濯物が干せる場合もあります。
ただし塗料の臭いが洗濯物に付く場合もあるので、室内で干すよう告知するほうが安心かも知れません。
マンション住人や近隣住民への告知が必要
外壁塗装ではマンション住人や近隣住民への告知が欠かせません。
騒音や塗料の臭い、作業車両の通行など、外壁塗装によって起こりえる悪影響をしっかりと説明し、理解を求めることが大切です。
近隣住民への挨拶回りは、施工業者が一緒に行なうこともありますよ。
濃いめの塗料を選ぶ
外壁を新築当時と同じ色にするためには、塗装前の色よりもワントーン濃い色を選ぶことが大切です。
これは経年で塗料が色あせ、再塗装前の外壁が薄い色に見えるためです。
施工前に業者としっかり打ち合わせを行ない、適切に色選びを行なう必要がありますよ。
価格の安さだけで業者を選ばない
価格の安さだけで業者を選ぶのは良くありません。
見積もり価格が極端に安い場合、質の低い塗料を使われたり、手抜き工事が行なわれたりする恐れがあります。
良い施工業者を見極めるには、複数の業者で見積もりを出してもらうのがおすすめです。
価格や塗料の種類、工事内容、担当者の対応の良し悪し、アフターフォローなど、さまざまな観点から業者をチェックする必要がありますよ。
外壁塗装業者の選び方
外壁塗装では施工業者選びも重要です。
中には悪徳業者もいるので要注意です。
施工業者は次のような基準で選ぶのがおすすめです。
自社施工かどうかで選ぶ
自社施工とは、下請け業者に外注せずに自社で外壁塗装を行なうこと。
下請け業者に発注する際の中間マージンが発生しないので、料金がリーズナブルなのが特徴です。
また自社施工だと営業担当者と職人のコミュニケーションがスムーズに行なわれる、というメリットもありますよ。
自社施工を行なっているのは地域密着型の塗装業者です。
大手ハウスメーカーや大手リフォーム会社は安心感があり、必ずしも依頼してはいけないわけではありませんが、中間マージンが発生することは留意しましょう。
見積書の内容で選ぶ
見積書の内容が分かりやすいかどうか、丁寧にに書かれてあるか、といったことも確認しましょう。
見積書は10~20ページほどになることも多く、なかなか素人には良し悪しを判断しにくいかも知れません。
工程ごとに費用が分かる見積書だったりすると、素人でも分かりやすいです。
どのメーカーのどんな種類の塗料を何回塗るか、ということも細かく記載されている見積書だと問題ないでしょう。
工事内容が「一式」と書かれてあるような見積書は、詳細が把握しづらいので要注意。
業者にしっかりと工事内容を確認する必要がありますよ。
施工実績で選ぶ
業者の施工実績の有無を確認することも大切です。
施工実績があるからと言って必ずしも優良業者というわけではありませんが、ある程度の安心感はあります。
長年、外壁塗装に携わってきた業者であれば、大きなトラブルは起こりにくいです。
ホームページに施工実績を掲載している業者もあるので、事前に確認しておきましょう。
アフターフォローで選ぶ
施工してから数年後に、施工ミスによる不具合が発生するケースもあります。
こんな場合に対処するために、アフターフォローが充実している業者を選ぶ必要があります。
一般的な外壁塗装業者では、5~10年の保証を付けてもらえます。
ただし独自に設定している自社保証は業者によって内容が異なるので、見積もり時にしっかりと確認しておきましょう。
建設業許可や資格の有無で選ぶ
建設業許可や専門の資格を有する業者なら、信頼感が高まります。
受注額が500万円以下の工事は無許可でも営業できます。
しかし、国から建設業に関するお墨付きを得ている業者のほうが、信頼できるでしょう。
建設業許可を得ている業者かどうかを確認するには、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」というサイトにアクセスして検索してみましょう。
また外壁塗装に関する国家資格である「塗装技能士1級」という資格を有するスタッフが多く在籍する業者もおすすめです。
塗装技能士1級を取得するには7年以上の実務経験が必要です。
資格保持者は施工技術が高く知識も豊富な傾向にありますよ。
見積もりの際に、塗装技能士1級の資格保持者がいるかどうか、ぜひ尋ねてみてください。
営業担当者の対応で選ぶ
営業担当者の対応が誠実かどうかで選ぶのも大切です。
営業担当者がしっかり教育されている業者は、施工品質も高い傾向があります。
以下のような営業マンだと信頼できるでしょう。
・専門知識が豊富
・すぐに連絡がつく
・飛び込み営業をしてこない
・不安をあおって契約を急かしてこない
・施工の際のデメリットもしっかりと説明してくれる
マンションの外壁塗装まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめていきます。
・マンションに外壁塗装は必須
・「見た目が良くなる」「入居率が向上する」「建物の寿命が延びる」といったメリットがある
・雨漏りや構造クラックなどがある場合、予定よりも早く外壁塗装が必要になることもある
・外壁塗装には1戸あたり13~22万円前後の費用がかかる
・耐用年数や予算などに合わせて、塗料を適切に選ぶ
・外壁塗装には、塗装以外にさまざまな工程がある
・外壁塗装では臭いが発生したりするので、事前の告知が大切
・複数の業者の見積書やアフターフォローなどを比較することが肝心
マンションの外壁塗装では数百万円の費用がかかることも多いです。
塗料選びや業者選びなどにこだわることで、適切に工事が行なえるようになりますよ。
ぜひこの記事を参考に、外壁塗装を検討してみてくださいね。