屋上防水におけるカバー方式のメリット・デメリット | 施工条件も解説!
2024/05/14
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カバー方式は、屋上への施工でよく採用される防水工事です。 既存の防水層を活かしながら防水工事を行うため、工期・費用面をカットできる特徴があります。
そこで今回は、屋上防水におけるカバー方式について詳しく解説していきます。 カバー方式のメリットやデメリット、さらには施工条件についても紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
屋上防水のカバー方式とは?
カバー方式とは、劣化している防水層のみを撤去し、下地の調整を行いながら新しい防水層を形成する防水工事です。 かぶせ工法とも呼ばれており、屋上の防水工事に採用されている工法の一つです。 既存の防水層を活かしながら防水工事を行うため、工期が短く低コストで行えます。 これは既存の防水層の大部分を残した状態にして、劣化した部分だけ補修するためです。 また、発生する産業廃棄物の少なさも、カバー方式の良い点です。
現代の日本では、地球環境保全の立場からカバー方式を採用するのが妥当だと言われています。 しかし、どのような状態でもカバー方式を導入できる訳ではありません。 すでに雨漏りがある場合や、重量の増加により建物の耐久性に問題が出る場合などは施工できないため、注意が必要です。
▼屋上防水におけるカバー方式を行うメリット・デメリット
屋上防水でカバー方式を採用するのには、メリット・デメリットについても把握しておく必要があります。
そこで下記では、メリット・デメリットについて紹介いたします。
■カバー方式を行うメリット
カバー方式には、以下のようなメリットがあります。
- コストを抑えられる
- 工期が短い
- 発生する産業廃棄物が少ない
- 二重の防水効果が期待できる
- 騒音や振動が少なめ
カバー方式は劣化した防水層を取り除き、部分的な補修を行います。
そのためコストを抑えられ、工期も他の防水工事と比べると短くすみます。
また、排出される産業廃棄物が少ないので環境に優しく、撤去費用も節約できるでしょう。
カバー方式では、既存の防水層を残してその上に新たな防水層を重ねていくため、二重の防水効果が期待できるというメリットもあります。
さらに工事中の振動・騒音は少ないため、ご近所への配慮もできるでしょう。
■カバー方式を行うデメリット
カバー方式には、以下のようなデメリットがあります。
- 使用できる施工材料が限られる
- 重量が重くなってしまう
- 防水効果を維持できない場合がある
- 下地の状態によっては施工できない
カバー方式は、施工できる施工材料の種類が限定されてしまうデメリットがあります。
屋上防水に使用される素材には、ウレタン・アスファルト・FRP・塩化ビニールが挙げられますが、この4種類以外の素材では防水層を被せられません。
またカバー方式を行うと防水層が二重になり、重量が重くなってしまう点もデメリットだと言えるでしょう。
防水効果が長続きしなかったり、下地の状態によっては施工できなかったりするので注意が必要です。
▼カバー方式と撤去工法の違い
撤去工法とは、カバー方式と同様に屋上防水で使われる工法の1つです。
防水層の撤去を最小限に行うカバー方式とは対照的に、撤去工法では既存の防水層をすべて撤去します。
一から防水層を再び構築していくため、防水層の種類を再度選べるメリットがあります。
しかし撤去工法では防水層の撤去に時間がかかってしまうため、カバー方式よりも時間やコストがかかってしまうでしょう。
また騒音・振動が発生するため、施工前には近隣住民に挨拶しておくのが欠かせません。
カバー方式と撤去工法の違いは、主に以下の通りです。
■コストの違い
カバー方式のほうが、撤去工法よりもコストが低く済みます。
これは、既存の防水層を撤去する作業が発生しないからです。
■工期の違い
カバー方式のほうが、撤去工法よりも工期が短いです。
これも、防水層を撤去する作業が発生しないためです。
■廃棄物の量の違い
発生する廃棄物の量も、カバー方式のほうが少ないです。
既存の防水層を撤去した後は、排気が必要でしょう。
■振動・騒音の違い
カバー方式のほうが、振動・騒音が少ないです。
近隣への配慮が一切必要ないわけではありませんが、撤去工法よりも安心して行えます。
■重量の違い
撤去工法のほうが、屋上の重量を減らせます。
重量が減ることで建物全体の負荷を軽減でき、地震時の安定性を向上させることにつながります。
■雨漏りへの影響の違い
カバー方式は、すでに雨漏りが発生している場合は施工できません。
一方、撤去工法なら根本的に雨漏りを解決できます。
▼屋上防水工事でカバー方式が行える条件
屋上防水工事でカバー方式を採用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
具体的には、以下のような条件を満たさなければなりません。
- 既存の防水層の劣化が軽度である
- 重量に問題がない
- 現在の防水層が適切な手法で施工されている
それぞれの条件について、さらに詳しく見ていきましょう。
■既存の防水層の劣化が軽度である
屋上防水でカバー方式を採用できる条件の1つ目は、既存の防水層の劣化が軽度であることです。
カバー方式は、既存の防水層を活用する防水工事の手法です。
防水層が大きく劣化している状態でカバー方式を採用すると、防水効果が続かなくなり、再度防水工事を行う必要が出てくるでしょう。
高額な費用が発生する可能性があるので、施工前に既存の防水層がどの程度劣化しているか、しっかり確認しましょう。
劣化状態によっては、他の防水工事を検討する必要があります。
■重量に問題がない
重量に問題がないことも、カバー方式を採用するための条件です。
カバー方式では、既存の防水層に新たな防水層を重ねる形で防水工事を行うので、施工箇所の重量が増加します。
重量が増すことにより建物の耐久性に問題が出る場合は、カバー方式を採用できません。
重量の問題をクリアできるのであれば、費用・工期の面でメリットのあるカバー方式を検討してみましょう。
■現在の防水層が適切な手法で施工されている
現在の防水層が適切な手法で施工されていることも、カバー方式を採用するための条件です。
カバー方式は、使用できる施工素材が限定されています。
屋上防水に使用される素材としては、ウレタン・アスファルト・FRP・塩化ビニールが挙げられますが、これら4種類以外の素材では防水層を被せられません。
前回の防水工事で、どの素材が使用されていたのかを事前に確認しておくと、工事がスムーズに進行するでしょう。
▼カバー方式を手掛ける業者の選び方
カバー方式で屋上防水を行うためには、依頼する業者の選び方が非常に重要です。
しかし「どのような業者を選んだら良いかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで、屋上防水のカバー方式を依頼する業者の選び方について解説していきます。
以下のポイントを考慮して、業者選びをすると良いでしょう。
■専門知識と実績を持つ業者を選ぶ
屋上防水のカバー方式を依頼する際は、専門知識と実績を持つ業者を選ぶことが重要です。
施工業者によって持っている技術・知識が異なるため、専門外の業者に依頼すると、十分な防水効果を得られない可能性があります。
専門知識を持っているかどうかを確認するには、担当者の対応や口コミ・インターネット情報を参考にすると良いでしょう。
特に10年以上続いている施工業者は、知識・技術の両方で信頼できる場合が多いです。
■保証とアフターサービスに注目する
業者の保証とアフターサービスの内容に注目することも、大切です。
業者によっては、独自の保証やアフターサービスを提供していることがあります。
特に保険に加入していると、施工後に不具合が見つかった場合や、業者が倒産してしまい補修ができなかった場合などに、保険金が支払われます。
自社保証やサービスが提供されている場合は、積極的に利用すると良いでしょう。
■相場と大きく離れた費用を提示する業者には注意
相場と大きく離れた費用を提示する業者は、後々のトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。
工事費用が極端に高い場合、こちらが専門知識を持っていないことを利用して、不当な金額を請求している可能性があります。
反対に、工事費用が極端に安い場合は手抜き工事を行い、施工後にトラブルが発生する可能性が高いでしょう。
また一部の施工業者の中には、法外な費用を請求してくる悪徳業者も存在しており、被害に遭った方からの報告も後を絶ちません。
価格だけでなく、実績や信頼性を含めて総合的に判断することが必要です。
▼まとめ
最後に、この記事の内容をまとめていきますので、ぜひ復習にお役立てください。
- カバー方式では、既存の防水層を活かしながら防水工事を行う
- カバー方式は工期が短く、低コストで行える
- どのような屋上の状態でも、カバー方式が導入できるわけではない
- カバー方式には、「コストを抑えられ」「工期が短い」「発生する産業廃棄物が少ない」「二重の防水効果が期待できる」「騒音や振動が少なめ」などのメリットがある
- 「使用できる施工材料が限られる」「重量が重くなってしまう」「防水効果を維持できない場合がある」「下地の状態によっては施工できない」などのデメリットには注意する
- カバー方式と撤去工法には、コスト・工期・重量など、さまざまな違いがある
- 屋上防水工事でカバー方式を採用するためには「既存の防水層の劣化が軽度である」「重量に問題がない」「現在の防水層が適切な手法で施工されている」という条件を満たす必要がある
- カバー方式を行う業者を選ぶ際は「専門知識と実績を持つ業者を選ぶ」「保証とアフターサービスに注目する」「相場と大きく離れた費用を提示する業者に注意する」というポイントを押さえる
カバー方式にはさまざまなメリットがあり、多くの建物の防水工事で採用されています。
この記事を参考に、ぜひ屋上防水を検討してみてくださいね。