マンション大規模修繕工事コンサルタントの選び方と注意すべきポイント

マンションの大規模修繕工事は、建物の安全性を維持するとともに、資産価値の向上につながります。
日々を安心して暮らすためにも、一定周期で行われる修繕工事は欠かせません。
大規模修繕工事はマンション住民が主体的に進めていくため、管理組合を発足させます。
住民から選出された組合員を中心に、施工業者の選定・工事内容の決定・費用の管理を行いますが、専門的な知識が必要です。
大規模修繕工事のスケジュールを作成するにあたり、不明点や疑問を抱くケースも多いでしょう。
そのため、大規模修繕工事を行う際は、工事をスムーズに進めて成功まで導くためのコンサルタントを採用する場合があります。
大規模修繕におけるコンサルタントは、修繕工事の知識を持つ方からのさまざまな助言やサポートをもらえます。
これまでに大規模修繕に関わったことがない組合員にとって、コンサルタントの存在は心強いものでしょう。
しかし、大規模修繕工事コンサルタントは誰でもいい訳ではありません。
本記事では、大規模修繕におけるコンサルタントの選び方と注意点について解説いたします。

マンションを購入した場合、大規模修繕における費用を毎月支払わなければいけません。
その費用は修繕積立金と呼ばれますが、費用を負担するなかで修繕工事の必要性に疑問を感じる方も多いです。
なぜマンションの大規模修繕工事が必要のか、その理由について詳しく解説いたします。
■資産価値の向上につなげる
経年劣化によりマンションが古くなると、機能性や見た目の悪さが目立ちます。
古い物件であると、安全性の低さや住み心地の悪さを感じてしまうでしょう。
その結果マンションの購入者が減ってしまい、入居率にも影響を与えてしまいます。
立地的に便利な場合であっても、設備の機能や美観が損なわれていると空室リスクにつながってしまうのです。
■安全性を高める
建物は、年数の経過によって劣化が進んでいきます。
特に共用部である階段・エレベーター・各配管設備は、日々の使用によってダメージが蓄積されます。
日々のメンテナンスで対応できる部分もありますが、外壁や躯体など業者でなければ修繕できない箇所もあります。
劣化した設備を放置すると、大きな事故や快適な住環境を損なう原因のため、安全性が低下してしまうでしょう。
大規模修繕工事は設備が持つ機能を維持しながら、安全に暮らすために行うのが大きな理由です。

大規模修繕では、工事に関する専門性の高い知識が求められます。
円滑に工事を進めるため、最近ではコンサルタントと提携する方も増えています。
依頼する時には、どのようなところへ相談すれば良いのでしょうか？
■大規模修繕のコンサルタントとは
大規模修繕工事における専門知識を有していることを指し、以下に挙げる3つの種類に分類されます。
・大規模修繕専門会社
・マンション管理会社
・一級建築士事務所
大規模修繕工事に精通しているコンサルティング会社は、大規模修繕専門会社と呼ばれます。
建設業界経験者や企業がコンサルティングを行うのが一般的ですが、状況によってマンション管理士や建築士の知識を必要とする場合もあるでしょう。
マンション管理会社はその名の通り、マンションを管理している会社を指します。
管理会社によって大規模修繕に関するコンサルティング部門を有するケースもあるため、建物の管理と修繕工事を一括して行う場合も多いです。
また一級建築士の資格を持つ方が大規模修繕コンサルタントとして活躍するケースもあり、担当した建物においてそのままコンサルタントとして採用される場合も多いです。

マンションの大規模修繕において、コンサルタントの依頼を検討している方も多いでしょう。
修繕工事は専門知識が必要になる場面も多く、一般的な知識のみでは対応できないケースもあります。
以下では、コンサルタントに依頼できるものについて、解説します。
■建物診断
マンションの劣化状態を詳しく確認するため、大規模修繕工事前に建物診断を行います。
コンサルタントは劣化診断を通して修繕工事の必要性を判断できるため、事前に依頼するケースも多いでしょう。
建物全体の調査を行い、修繕工事の内容を決定していきます。
■施工業者の選定
工事内容や金額などを比較し、業者を選定していきます。
見積もりの内容は専門用語が含まれているため、知識がなければ分からない点も多いでしょう。
コンサルタントとして持っている専門知識をもとに見積もり内容を確認し、施工業者を依頼するための適格なアドバイスを行ってくれます。
■工事計画と内容の確認
コンサルタントは、大規模修繕工事における設計業務や工事監理業務も行います。
見積もり内容の通りに工事が進められているか、しっかりチェックしていくのです。
工事の確認は知識がないと難しいため、頼りになる存在でしょう。
■修繕計画の立案とフォロー
マンションの大規模修繕では、長期的な計画をもとに行われます。
その際、修繕計画の立案もコンサルタントの仕事です。
マンションの管理組合が作成した修繕計画の内容を確認したうえで、工事を進めるためのフォローを行います。

大規模修繕工事は、マンションを購入した人々によって費用を支払い、工事を進めていきます。
そのため、住民にとって現状よりも良くなるように進めなければいけません。
しかし、修繕工事には専門知識を必要とするシーンも多いため、管理組合で対応できない部分もあるでしょう。
その際にコンサルタントを採用し、フォローしてもらうケースもありますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
■工事をスムーズに進められる
大規模修繕工事は、修繕計画の作成・業者の選定・工事の実施まで対応しなければいけません。
特に業者の選定や工事の管理は、見積もりの妥当性や見積もり通りの工事が進められているかを確認する必要があります。
見積もり内容の確認も専門知識が必要なため、スムーズに進まないケースもあるでしょう。
コンサルタントは大規模修繕のノウハウを持っているため、工事を完了までスムーズに進められます。
■修繕工事におけるアドバイスがもらえる
大規模修繕工事は、長期修繕計画をもとに行います。
どの部分を修繕するのかを事前に計画しますが、建物の劣化状況は素人が判断するのは難しいです。
適正な内容の工事を行うため、専門知識を持つコンサルタントからアドバイスをもらえるのは、大きなメリットでしょう。

大規模修繕を行う際は、コンサルタントへ依頼することでさまざまなメリットがあります。
しかし、依頼した場合のデメリットもありますので、どちらも押さえておきましょう。
■費用が発生する
コンサルタントを依頼する場合、修繕工事費用とは別に契約費用がかかります。
またコンサルタント費用も修繕工事の一部に含まれる場合、修繕積立金の値段に影響を与える可能性があります。
■責任が曖昧になる
大規模修繕工事を進めるには、施工会社やコンサルタントなどによる判断が必要ですが、問題があった場合はどこかで責任を取らなければなりません。
しかし、問題がどこで起きたのか曖昧になってしまうと、解決まで時間がかかる場合もあります。
■提案内容が採用されないケースがある
大規模修繕工事の際、提案した修繕計画や業者の選定が却下されるケースもあります。
自分たちが希望する工事を「必要ない」と判断されてしまい、望んでいる結果にならないことも考えられるでしょう。

大規模修繕工事において、コンサルタントを選定する場合に注意すべきポイントがあります。
どのようなポイントがあるのか、詳しく確認していきましょう。
■実績を確認する
これまでに手掛けた大規模修繕工事の実績について、事前に確認しておきましょう。
大規模修繕工事は、マンションの規模・建物の状態・劣化状況により、工事の内容も変わります。
イレギュラーな場面でスムーズに対応するためにも、これまでにどのような大規模修繕工事を手掛けたのか、チェックしておくと安心です。
■管理組合に関しての知識を持っている
コンサルタントによる判断は、大規模修繕工事に関する知識だけではスムーズに進められません。
管理組合と一緒に修繕工事の内容を決めていくため、管理組合の知識を持っていると安心です。
組合の運営ルールに沿って進められる知識を持っているか、確認しておく必要があります。
■公平に判断できるかどうか
実際にあった事例として、コンサルタントが施工会社の業者であるケースも発生しています。
業者選定の際に自社へ依頼するように仕向け、不当な費用を請求されるパターンもあるでしょう。
コンサルタントの在籍会社については、しっかり調査しておく必要があります。

大規模修繕工事は、完了までに長い時間がかかります。
スケジュール通りに工事を進めるためには、事前の準備が大切です。
マンションの大規模修繕工事は住民の生活にも影響を与えるため、スムーズに進めるためにはコンサルタントの依頼から始めましょう。
大規模修繕に関するすべての工程を管理組合のみで行うことはできますが、専門知識を有する場面では決定までに時間がかかる場合もあります。
工事中に確認が必要であれば、中断しなければいけない場合もあるため、工期が延びて住民からのクレームに発展することも考えられます。
そこで大規修繕の知識を持ったコンサルタントに依頼すれば、適正な工事内容や業者の選定が行えます。
また、工事の管理も一任できるため、イレギュラーな事態が発生しても専門知識によって早期解決が期待できるでしょう。
修繕工事は費用が高く、各世帯によって負担されているため、一番大切なのは住民への配慮です。
住んでいる人にとってメリットが得られるものでなければ、反対意見によって計画が中止になるケースもあるため、コンサルタントに依頼しておくと安心です。

マンションの大規模修繕工事をスムーズに進めるには、コンサルタントの力を借りることもあります。
コンサルタントの仕事・重要性・選び方については、以下の通りです。
・大規模修繕工事のコンサルタントとは、修繕工事における専門知識を有し、さまざまな場面において対応やフォローをしてくれる専門家を指す
・コンサルタントは、主に建物診断・業者の選定・工事内容の確認・修繕計画のフォローを行う
・修繕工事では専門知識が必要なケースも多く、コンサルタントに依頼することでスムーズに進められる
・必要な工事を見極めてくれるため、修繕工事において的確なアドバイスがもらえる
・修繕工事でコンサルタントを採用する場合、実績・管理組合運営の知識・判断の公平性を見極める
・コンサルタントは施工会社の業者のケースがあるため、選定には注意が必要
・大規模修繕はスムーズに進められない場合に住民の反対で中止になる可能性もあるため、スムーズに進めるにはコンサルタントの採用を視野に入れておく
大規模修繕工事は、マンションの安全性を維持し、資産価値を向上させるために欠かせません。
また、住民が快適な住まいを実現するため、住んでいる方にとってメリットを得られるものです。
大規模修繕工事をスムーズに進めるためにも、コンサルタントの採用を視野を検討しましょう。