塗装で必要なケレンとは?目的や種類などを解説
2024/05/24
塗装工事で行われる作業のひとつが「ケレン」です。 見積もりを見ると、通常はケレンについても記載されています。 しかし、「ケレンとはどのような作業なのか知らない」という方も多いのではないでしょうか。 見積もりで言葉を目にしたことがあっても、必要性まではわからないという方もいらっしゃいますよね。
ケレンは仕上がりや耐久性に大きな影響を及ぼす作業です。 本記事では、ケレンとはどのようなものか、概要・必要性・目的・種類などについてわかりやすく紹介します。 また、費用の相場や工事を依頼するにあたってのポイントについてもまとめました。 塗装工事を行ううえでの参考のひとつとして、ぜひ記事の内容をチェックしてみてください。
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ケレンとは?
ケレンとは、塗装にあたって行われる下処理のことです。
再塗装をするために、セメント・コンクリート・モルタルの汚れやサビを取り除き、塗装面を整えます。
使用されるのはヤスリ・ワイヤーカップ・ワイヤーブラシ・ディスクサンダー・スクレーパーなどの道具です。
言葉の由来は英語の「clean(クリーン)」だといわれています。
ケレンで行われているのは次のような作業です。
- サビ落とし
- 素地調整
- 素地ごしらえ
- 研磨紙刷り
- 目粗し
塗料がつきにくい鉄部は、ケレンが不十分だと2~3年で塗料が剥がれてしまいます。
汚れやサビを落とす作業だけでなく、塗料の密着性を高めるために塗装面を傷つける「目粗し」もケレン作業のひとつです。
ケレンの必要性や目的
なぜ塗装ではケレンを行う必要があるのでしょうか。
「そのままの状態で塗装をしてもよいのでは」と思う方も多いでしょう。
理由を知るために、必要性と目的についてもそれぞれ紹介します。
ケレンの必要性
塗装を綺麗に仕上げ、耐久性を高めるには、ケレンの作業が必要不可欠です。
ケレンなしで塗装をしてしまうと、綺麗に仕上がらず、すぐに塗装が剥がれてしまうおそれがあります。
塗装が剥がれてしまうと、再塗装や補修が必要になるため、塗装においてケレンは重要な作業だといえます。
ケレンの目的
ケレンを行う大きな目的は次の2つです。
- 塗装面を整えてムラをなくす
- 塗料の付着性や密着性を高める
一般的に、塗料の厚みはわずか0.5ミリほどしかありません。
古い塗膜・剥がれ・サビがある状態のまま塗装をすると、塗膜の厚みにムラが出てしまいます。
そのムラをなくすことが、ケレンの大きな目的の1つです。
また、剥がれやサビがある状態でそのまま塗装をしても、塗料がうまくつきません。
さらに、塗装面が平坦な場合も、塗料がつきにくくなってしまいます。
そのため、塗装面が平坦な場合は、表面を傷つけてザラザラさせる「目粗し」が必要です。
状況に合ったケレンの作業を行うことにより、塗料が塗装面に付着・密着しやすくなります。
ケレンを行うとどうなる?
ケレンには一体どのような効果が期待できるのでしょうか。
ケレンによる代表的な効果には次のようなものが挙げられます。
- 塗料の耐久性を高める
- 塗膜の劣化を防ぐ
- 仕上がりがよくなる
塗料の耐久性を高めるだけでなく、塗膜の劣化も防げるのがケレンです。
3つの効果についても、ひとつずつ紹介します。
塗料の耐久性を高める
ケレンには塗料の耐久性を高めるという効果があります。
塗装は3度塗りを行うのが基本です。
「塗料を塗ったら完全に乾燥させる」という工程を3回繰り返さなくてはなりません。
乾燥して重ね塗りすることによって、強い塗膜を作れるのです。
しかし、ケレンを行わず塗膜やサビが残った状態だと、いくら丁寧に3度塗りをしても内側から腐食が進んでしまいます。
塗装を長持ちさせるなら、必ずケレンを行いましょう。
塗膜の劣化を防ぐ
ケレンは塗膜の劣化を防げるという効果もあります。
ケレンを行うと塗料の付着性や密着性が高まり、塗膜の劣化である浮きや剥がれを防ぐことが可能です。
ケレンを行わないと、古い塗膜やサビが落ち、塗膜の劣化につながってしまいます。
浮きや剥がれなどの劣化は、建物の雨漏りを引き起こす原因にもなるため、注意が必要です。
仕上がりがよくなる
仕上がりがよくなることも、ケレンで得られる効果のひとつです。
古くなった塗装面は、古い塗膜やサビなどによって、ボコボコした状態になっています。
そのまま塗料を塗ってしまうと、仕上がりも悪いでしょう。
しかし、ヤスリやサンドペーパーなどでケレンを行うと、ボコボコした部分がなくなって塗料を均一に塗布できます。
塗料が均一に塗布されていると、発色がよくなって美しい仕上がりになります。
ケレンの種類
ケレンの種類は、大きくわけると「1種・2種・3種・4種」の4つです。
種類によって、作業内容や方法には大きな違いがあります。
どの種類を選ぶかは、作業場所・サビの面積・塗膜の状態などから判断しなくてはなりません。
種類ごとの特徴について簡単に紹介します。
1種ケレン
塗装面が広くて腐食が激しい場所で行われる作業が1種ケレンです。
防食効果は高いものの、作業にあたっては特殊な工法や薬品を用いる必要があります。
1種ケレンで行われるのが、高い圧力で砂や金属片が入った研磨剤を打ちつける「ブラスト工法」です。
ブラスト工法は粉塵が飛び散ったり騒音が出たりするため、一般家庭へのケレンでは用いられません。
橋梁・船舶などで使われている種類です。
2種ケレン
サビや剥離の面積が30パーセント以上のときに行われるのが2種ケレンです。
2種ケレンにはディスクサンダーや電動ブラシなどが使われます。
一般住宅で行われる場合もありますが、どちらかといえば橋梁や鉄塔などで多く使われるケレンの種類です。
電動工具を使うため、2種ケレンでは古い塗膜やサビなどを完全に落として綺麗な状態にすることができます。
ただし、腐食がひどい場合はケレンの作業ができないため、交換が必要になる場合もあるでしょう。
3種ケレン
サビや剥離が部分的に発生している場合に行われるのが3種ケレンです。
3種ケレンでは、電動工具・手工具の両方を使い、劣化していない部分は残します。
一般家庭でのケレンでは3種を選ぶのが一般的です。
ケレンを行う面積によって、3種ケレンはA・B・Cの3種類に分けられます。
ただし、A・B・Cいずれも、作業の内容に大きな違いはありません。
4種ケレン
全体のサビやダメージが少ない塗装面に対して行うのが4種ケレンです。
4種ケレンでは表面を擦って汚れを落とし、塗料の密着性を高めます。
作業で使われるのは、ヤスリやスポンジのような手工具がメインです。
状況によっては電動工具が使われる場合もあります。
ケレンの費用
塗装を依頼するにあたって気になるのが、ケレンにかかる費用でしょう。
業者による違いもありますが、ケレンの費用相場は200~2,000円/平方メートルです。
どのくらいの費用がかかるかは、用いられるケレンの種類によって大きく変わってきます。
種類ごとの相場は以下のとおりです。
- 1種ケレン…3,000〜4,000円/平方メートル
- 2種ケレン…1,500〜2,000円/平方メートル
- 3種ケレン…600〜1,000円/平方メートル
- 4種ケレン…200〜400円/平方メートル
1種ケレンの費用が高額になっているのは、対象となる面積が広く、特殊な工法や研磨剤を用いるためです。
ただし、1種ケレンを行う場所は橋梁や船舶などのような場所に限られています。
住宅を含めて一般的な建物で用いられているのは、2種ケレンまたは3種ケレンです。
実際にかかる費用は状況によっても変わってきますので、業者に見積もりを依頼して確認しましょう。
工事を依頼をする際のポイント
ケレンを依頼する際に気をつけておきたいポイントは次の3つです。
- 信頼できる業者を選ぶ
- スケジュールを確認する
- 写真で工程をチェックする
塗装においてケレンは重要な作業です。
ケレンの作業が不十分だと、再塗装をしても長持ちせず、仕上がりも悪くなってしまいます。
しかし、ケレンを簡略化したり省いたりする業者も存在するため、注意しなくてはなりません。
まずは見積もりを依頼して、ケレン作業の有無や対応などを見て、信頼できる業者を選びましょう。
相見積もりで比較検討を行うと、業者選びでの参考として役立ちます。
スケジュールを確認しておくことも大切なポイントです。
あらかじめスケジュールがわかっていれば、現場での作業をチェックできます。
工事を依頼するのなら、写真で工程をチェックできるかも確認してみてください。
下処理であるケレンは、塗装後は状態の確認ができません。
そのため、写真によって状態の確認ができると安心です。
まとめ
- ケレンとは塗装面を整えたり塗料の密着性を高めたりするために必要な下処理のことである
- 塗装にあたってケレンが不十分だと仕上がりや耐久性に影響が出てしまう
- ケレンの種類は大きくわけると4つである
- 一般的な建物で行われているのは2種ケレンか3種ケレンのどちらかである
- ケレンの費用相場は200~2,000円で種類によって大きく変わる
- 工事の依頼にあたっては信頼できる業者を選ぶ
塗装面を整えて塗料の密着性を高めるために必要となる作業がケレンです。4つの種類があり、一般的な建物では2種ケレンか3種ケレンが用いられています。
ケレンは仕上がりや耐久性に影響する非常に大切な作業です。しかし、業者によってはケレンを簡略化したり省いたりすることがあるため、注意しなくてはなりません。
作業の有無は見積もりの内容でチェックしてみるとよいでしょう。実際の作業内容については、写真で確認させてもらうと安心です。
ケレンが不十分な状態だと、塗装が綺麗に仕上がらず、耐久性も低くなってしまいます。そこで、信頼できると感じた業者に依頼するのが大切なポイントです。
業者選びにあたっては、ぜひ紹介したポイントを参考にしてみてくださいね。