陸屋根とは?メンテナンスが必要不可欠?メリット・デメリットを解説
2024/06/19
ビルやマンションでよく見かけるフラットな形状の屋根って近代的でおしゃれだけど、屋根としての機能はしっかりしているの?と考える方は少なくないでしょう。
そのフラットな形状の屋根は陸屋根と呼ばれ、近年では戸建て住宅にも多く採用されています。
この記事では、陸屋根のメリットやデメリットは?と疑問に感じる方のために、陸屋根についてその特徴やメンテナンス方法、防水工事の種類について解説します。
陸屋根について理解を深め、選択肢の一つに入れ、所有される建物の屋根に最適な屋根を採用しましょう。
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陸屋根とはどんな屋根?
陸屋根(りくやね)とは、勾配のない、フラットな形状の屋根を指し、マンションやビルで多く見られる形状です。
近年では戸建て住宅でも多く見られ、屋上スペースの有効活用が可能です。
平屋根(ひらやね)とも呼ばれ、シンプルで近代的な外観が多くの方に好まれる理由のひとつです。
陸屋根には勾配がないので、勾配がある勾配屋根と異なり水はけの機能に配慮が必要です。これは、陸屋根における注意点の一つです。
陸屋根のメリット
マンションやビルに多く採用されている、陸屋根のメリットをみていきましょう。勾配のある三角屋根では得られない、どのようなメリットがあるのでしょうか。
屋上として使える
陸屋根のメリットとして、屋上のスペースが有効活用できる点が大きいでしょう。
陸屋根では、屋上緑化、レクリエーションスペース、さらにはソーラーパネルの設置など、様々な用途での有効活用が可能です。
ただし、人が多く利用するなど、屋上の表面に大きな負担がかかる場合には特別な配慮が必要です。
施工会社と利用目的を共有し、適切な施工を施しましょう。
掃除がしやすい
平らな陸屋根では、勾配がないので掃除がしやすい、といったメリットがあります。
屋上を有効活用している場合は、屋上への出入りも簡単で、平らなので足元を滑らせる危険も伴わず、勾配屋根のように毎回足場を組んでメンテナンスを行う必要がありません。
足場の設置は1回につき15~20万円と高額な費用が掛かるため、メンテナンス費用の削減にもなります。
また、雨樋に詰まった枯葉などのごみも目視できるので、掃除のタイミングの把握も簡単です。
居住空間が広くなる
陸屋根を採用している建物は、天井が平面で、勾配がある三角屋根などに比べると屋根裏のスペースが必要ない分、天井が高くなります。
天井が高くなることで開放感があり、居住空間を広く感じることができます。
陸屋根のデメリット
平らな形状で、デザイン性もあって、機能性の面でのメリットが多い陸屋根ですが、デメリットもあるようです。
陸屋根のデメリットも把握しておくことで適切な屋根の選択ができ、採用した場合の注意点などが具体的に見えてきます。
最上階に熱がこもる
陸屋根は屋根裏がないので、屋上に降り注ぐ紫外線によって最上階に熱がこもって室温が上昇してしまう、といったデメリットがあります。
なぜなら、勾配がある屋根では、天井と屋根の間に屋根裏があり、屋根裏に設置された換気設備によって外気との気温差を少なくする機能が期待できますが、陸屋根ではその機能がない分、温度の調節が難しいからです。
最上階に熱がこもらないようにするには、屋上の緑化、屋上防水に耐熱効果を施すなどの工夫が必要です。
水はけが悪い
陸屋根の最大のデメリットとも言えるのが、水はけの問題です。
陸屋根は勾配のある屋根に比べ、排水の経路の確保が難しく、屋上に降った雨水がそのまま留まってしまい、これが漏水の原因となることがあります。
そのため、陸屋根にはしっかりとした防水処理を施しておかないと、長時間停滞した雨水が屋根の下地に浸透し、雨漏りが発生しやすくなります。
雨漏り対策・メンテナンスが必要
雨漏りは建物にとって、最も劣化を進める要因のひとつです。特に陸屋根では、しっかりとした防水対策を行うことが重要です。
陸屋根の床に施される防水工事は、勾配のある屋根の防水加工に比べて耐用年数が短いため、屋根のメンテナンスの頻度は多くなります。
また、陸屋根においては、雨水が滞留しやすい特徴から、日頃の防水、排水機能の確認が重要です。
陸屋根に行う防水工事の種類
陸屋根に行う防水工事にはいくつかの種類があります。
ここでは、陸屋根における主一般的な以下の防水工事、4種類を紹介します。
防水工事 | 耐用年数 | 1㎡あたりの費用相場 |
ウレタン防水 | 10~12年 | 7,600~10,200円/㎡ |
FRP防水 | 10~12年 | 12,000~15,000円/㎡ |
シート防水 | 10~15年 | 6,300~8,400円/㎡ |
アスファルト防水 | 15~25年 | 7,000~10,000円/㎡ |
最も一般的に選ばれるのは、施工の環境や形状を問わずに施工ができて、比較的安価で施工可能なウレタン防水です。
人の出入りが多い屋上、小さな面積のバルコニーなどではFRP防水がよく施工されます。
これらの防水工事の種類を、一つずつ詳しくみていきましょう。
ウレタン防水
ウレタン防水とは、陸屋根の床にウレタン樹脂の塗膜を厚めに形成する防水工事です。
ウレタンの塗膜には以下のような特徴があります。
- 施工する床の面積・形状・材質を問わず施工が可能
- 継ぎ目のない滑らかな表面に仕上がる
- 塗膜に弾力性がある
- 防水工事の中では平均的な費用
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗り広げ、その上にトップコートを塗り、陸屋根の表面の防水機能を向上させます。比較的短時間で硬化するので短い施工期間での施工が可能です。
仕上がりは、継ぎ目のない滑らかな表面になり、屋根材の地震や温度の変化による伸縮に追従しやすいため、ひび割れによる漏水の心配も少なく済みます。
さらに、ウレタン防水には主に以下の3つの工法があり、工期や予算に合わせた選択ができます。
工法 | 特徴 | 工期 | 1㎡あたりの施工費用 |
密着工法 | 液体のウレタン塗膜防水材を塗り重ねる工法 工事費用が安い |
3~7日 | 3,500~5,000円/㎡ |
通気緩衝工法 | 通気緩衝シートの上からウレタン樹脂を塗り、 脱気筒を取り付け、内部の水分を逃すことができる |
4~10日 | 5,000~6,000円/㎡ |
メッシュ工法 | メッシュシートを床面に貼り付けて、ウレタン樹脂を塗る 工法で、密着工法と比べひび割れしにくい |
3~9日 | 4,000~6,500円/㎡ |
戸建のベランダなど、狭い場所に適しているのが密着工法です。広い屋上で、すでに雨漏りがみられ、改善をもたらすための施工が通気緩衝工法、どちらにも当てはまらない場所、環境に適したものがメッシュ工法となります。
FRP防水
FRPとは、「繊維強化プラスチックFiber Rein Plastics」の略で、防水工事に使用されるFRPはガラス繊維を混ぜた、プラスチック樹脂です。
FRPを使用した防水シートを屋上の床面に敷き、その上に樹脂、トップコートで仕上げ、硬化させる工法をFRP防水といいます。
FRP防水は表面が固くて丈夫で、陸屋根の防水工事の中でも最も高価です。
FRP防水は戸建のベランダや、人や車の出入りが多いビル、マンション、商業施設など、幅広い建物で使用されています。
施工期間が1~2日で済むので、長い工期が取れない場合にも適した工法です。
シート防水
シート防水は、塩化ビニル製やゴム製のシートを屋上に設置する防水工事です。広い面積での施工に適していて、ビルやマンション、工業施設などで多く施工されています。
シート防水にはシートを床に接着剤で直接貼り付ける密着工法と、固定ディスクを用いた機械式固定法があります。
機械式固定法は、下地とシートが直接密着しないので、シートが下地の影響を受けにくく、通気性が良い、といった特徴があります。また、強い雨風によるシートのめくれなどに強く、より浸水の被害を防ぐことが可能です。
シートとシートの継ぎ目を溶着、または接着剤などを使用しての接合が必要です。
工法 | 特徴 | 工期 |
密着工法 | 施工費用が安い | 乾燥時間が必要 |
機械固定法 | 強風に強く通気性がある | 短い |
シート防水は、紹介の4つの防水工事の中では最も施工費用が安く済み、シートの色、デザインの選択肢が多いことがメリットです。
アスファルト防水
アスファルト防水は、陸屋根の表面に、シート状の防水材(ルーフィング)を液状のアスファルト防水材で貼り付ける工法です。
防水工事の中でも最も歴史のある工法で、広く使用されています。
広い陸屋根に適した工法で、学校、マンション、公営住宅などの屋根や屋上で採用されている防水工事です。
アスファルト防水は次の3つの工法に分かれます。
工法 | 特徴 |
常温工法 | 液状のアスファルト防水材を使用せず、、自着層のゴムアスファルトを交互に貼り合わせる工法 |
トーチ工法 | バナーを用いてルーフィングシートの裏面を溶かしながらアスファルトを貼り付ける工法 |
熱工法 | 大きな窯を熱してアスファルトを溶かし、ルーフィングシートを積み重ねて貼り付ける工法 |
常温工法は火を使わない点で安全なので、近年最も多くの建物に使用されています。
アスファルトを溶かしてルーフィングシートと下地を密着させるトーチ工法、熱工法はにおいの発生が気になります。建物が密に立ち並ぶような都市部では、周囲に換気を促すなどの配慮が必要です。
アスファルト防水は重量があり、歩行が出来るようにするためにはシートを何層にも重ねなければならない為、人の出入りがない陸屋根への施工が適しています。
また、アスファルト防水は紹介した4つの防水工事の中では最も耐用年数が長く、防水性も高いことが特徴です。
4種類の防水工事にはそれぞれ施工が向いている屋上の形状、費用や工期など、それぞれ特徴がみられました。どちらの工法でも、仕上げにトップコートを塗り、防水層を紫外線から守ります。
所有される建物の陸屋根、平らで狭いベランダの状況に合った防水工事を選択し、建物を漏水や浸水の被害から守りましょう。
陸屋根のメンテナンス方法
陸屋根に防水工事を行った後は、数年おきに適切なメンテナンスを行うことで、その防水効果を長期間保てます。
陸屋根のメンテナンス方法については以下の2つです。それぞれ確認していきましょう。
トップコートの塗り替え
トップコートの塗り替えは、5年おきに行うことで、防水層の劣化が進む前にメンテナンスできるので、非常にコストパフォーマンスよく、防水機能の維持が可能です。
トップコートの塗り替え費用は1,500~2,000円/㎡が相場です。
防水層の表面のトップコートは経年劣化により性能が低下し、その結果、雨水が長時間同じ箇所に滞留することと、その水がトップコートを突破し、下地に浸透すると漏水のリスクが高まります。
また、トップコートは紫外線から防水層を守っています。トップコートが剥がれてくると、防水層が直接紫外線の影響を受け、急激に劣化が進んでしまいます。
防水層の劣化のサインは、以下のようなものがあげられます。
- ひび割れ
- 剥がれ
- 浮き
- 膨れ
- 変色
- チョーキング現象
これらのサインが防水層の表面に見られる場合は、トップコートが正常に機能せず、紫外線を反射せずに吸収してしまうため、室内の温度に影響してしまいます。
定期的にトップコートを塗り替えて防水機能や遮熱効果を向上させましょう。
ルーフドレン(排水溝)の掃除
陸屋根のメンテナンスのひとつに、ルーフドレン(排水溝)の清掃があげられます。
前述のとおり、陸屋根は傾斜のある屋根に比べて排水の機能が劣るため、特定の箇所に雨水が滞留しやすい、といった特徴があります。
また、陸屋根ではすべての雨水がルーフドレン(排水溝)に流れるため、排水溝が詰まると雨水が行き場を失い、さらに水たまりが発生するリスクが高まります。
排水溝には落ち葉や木の枝、土ぼこりが溜まりやすく、それらが詰まらないように定期的な掃除が必要です。陸屋根に出入りが可能な人は、ドレンをカバーしているストレーナーも外して、内部の掃除も行いましょう。
まとめ
この記事では、陸屋根の特徴やメリット、デメリット、また陸屋根における防水工事の種類を解説してきました。
メンテナンス方法も紹介し、陸屋根を快適に、コストパフォーマンス良く維持するための情報も提供しています。
以下に、この記事の要点をまとめました。
- 陸屋根(りくやね)とは、勾配のない、フラットな形状の屋根を指す
- 陸屋根のメリットは、屋上のスペースが有効活用できる、掃除がしやすいなど
- 陸屋根のデメリットは最上階に熱がこもり、水はけが悪くて漏水のリスクがあるなど
- 陸屋根に行う防水工事の種類はウレタン防水・FRP防水・シート防水・アスファルト防水の4種類
- 陸屋根のメンテナンス方法はトップコートの塗り替え、ルーフドレンの掃除の2つ
陸屋根は勾配がないため、水はけの機能が劣り、雨漏りに発展する場合があります。
しかし、陸屋根は屋上での作業がしやすい、汚れや劣化を目視しやすい、などのメリットがあります。
定期的に、かつ適切なメンテナンスを行うことで、雨漏りのリスクに備え、防水効果を最大限に生かすとこが可能です。
陸屋根を快適に長期間保つためにも、建物の形状や環境に合った防水工事、メンテナンス方法を選択しましょう。