屋根の雨漏り防水に欠かせない防水紙（ルーフィング）とは？種類と特徴解説

屋根の雨漏り対策として、防水紙（ルーフィング）の重要性をご存知ですか？

アスファルトルーフィングをはじめとする防水紙は、屋根材の下に施工される防水シートで、建物を雨漏りから守る重要な役割を果たします。

しかし、防水紙には様々な種類があり、「どの製品を選べばよいのか」「適切な施工方法とは」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか？

屋根工事やリフォームの際には、建物の条件に合わせて最適な防水紙を選択することが重要です。

本記事では、屋根の防水に欠かせないルーフィングについて、種類や特徴、施工方法まで詳しく解説します。

雨漏り対策として効果的な防水紙の選び方から、工事の注意点まで、専門家の視点でご紹介していきます。

屋根は、住まいを雨風や紫外線から守る重要な役割を担っています。

その屋根の下地には、防水紙（ルーフィング）というシートが引かれています。

防水紙（ルーフィング）とは、屋根の下地材の上に敷設する遮水シートのことです。

防水紙は、屋根材の隙間から侵入する雨水を防ぐことで、雨漏りを防止します。また、屋根材の劣化を防ぐことで、屋根の寿命を延ばします。さらに、断熱効果を高めることで、住まいの快適性を向上させます。

そこで、下地材の上に防水紙を敷設することで、雨水の浸入を防止し、下地材を長期間保護することができます。

防水紙には、アスファルトルーフィング、改質アスファルトルーフィング、合成ゴム系ルーフィングなど、様々な種類があります。それぞれの種類によって、耐久性や耐候性、価格などが異なります。

防水紙は、屋根の重要な役割を果たす重要な部材です。定期的に点検を行い、劣化や損傷があれば、早急に補修または交換を行いましょう。

防水紙の重要性を理解するためには、まずは屋根の構造を知ることが大切です。屋根は、一般的に以下の4層構造で構成されています。

1層目	屋根材	雨や風、雪などから直接的に家を守役割を果たす最外層
2層目	防水紙	屋根剤の下に敷設され、雨水の侵入を防ぐ役割を果たす
3層目	野地板	屋根材を支える下地となる板
4層目	垂木	野地板を支える骨組み

防水紙は、屋根材と野地板の間に敷設されます。防水紙は、雨水が屋根材の隙間から侵入しても、野地板まで到達するのを防ぎ、建物内部への浸水を防ぎます。

一次防水と二次防水の二重構造について

屋根は、建物を雨や風から守る重要な役割を果たしています。この屋根の防水対策には、一次防水と二次防水の2つの役割があります。

一次防水とは、屋根材そのものが持つ防水性能を指し、二次防水とは、屋根材の下に敷設される防水紙（ルーフィング）によって水分の浸入を防ぐ仕組みです。

一次防水は雨を防ぐ役割を持ちますが、経年劣化や破損などによって防水性能が低下する可能性があります。

そこで、万一１次防水が破損した場合に備えて、二次防水である防水紙が重要な役割を果たします。

防水紙は、雨水が屋根材の隙間から侵入しても、建物内部への浸水を防ぎ、雨漏りを防止する重要な役割を果たしています。

【一戸建て住宅の場合】
・瓦屋根：化粧スレート、セメント瓦などの下地に防水紙を敷設
・金属屋根：金属板の下地に防水紙を敷設

【集合住宅、ビルの場合】
・フラットルーフ：コンクリート下地の上に防水紙を敷設

防水紙は、アスファルトを含浸させた紙や布でできており、屋根の下地である野地板に施工されます。

一次防水である屋根材が果たせなかった雨水の侵入を防ぐ二次防水の役割をはたします。

また、防水紙は通気性があるため、屋根内部に発生した湿気を排出する役割も果たします。

防水紙の役割は、屋根の耐久性と防水性を維持することです。

防水紙は、ただ設置するだけでは効果を発揮しません。正しい施工方法が重要であり、適切な重ねしろや固定方法により、雨水の侵入を防ぐ必要があります。

また、経年劣化や損傷にも注意が必要です。定期的な点検や補修を行うことで、防水紙の性能を維持し、建物を雨漏りから守ることができます。

この仕組みによって、防水紙は建物を雨漏りから守り、住まいの快適性と耐久性を確保しています。

防水紙の主な役割は、雨水の浸入を防ぐこと、下地材の腐食や劣化を防ぐこと、温度変化による伸縮を吸収することの3つです。

住宅をはじめ、工場やビルなど様々な用途の建物で使われています。

遮水性

雨水の浸入を遮断し、下地材を雨から保護します。この遮水性能が防水紙の最も重要な役割です。

下地材保護

下地材の腐食や劣化を防ぎ、耐久性を高めます。合板などの木質下地では特に重要です。

伸縮吸収

気温変化により屋根が伸縮する際の動きを吸収し、ひび割れを防ぎます。

日本建築学会の調査では、適切な防水紙の使用により、約2倍の屋根の長寿命化が期待できるとされています。

防水紙には主に2種類があります。

一つはアスファルトルーフィング、もう一つは改質アスファルトルーフィングです。

種類ごとの特徴について解説していきます。

アスファルトルーフィングの特徴

アスファルトルーフィングは、一般的な住宅用の防水紙として広く使われています。

価格が比較的安価で、施工性に優れていることが特徴です。

特徴	アスファルトルーフィング
素材	アスファルト、繊維フェルト
価格	安価
耐用年数	10~20年程度
特徴	低コスト、一般的な種類
デメリット	長期間の使用には不向き

両面にアスファルトを塗布した繊維質の芯材から構成されおり、一般社団法人 日本防水工業会の統計によると住宅用防水紙の約7割がアスファルトルーフィングです。

改質アスファルトルーフィングの特徴

改質アスファルトルーフィングは、アスファルトにゴム成分などを配合した高耐久タイプの防水紙です。

高い耐候性と長期の防水性能が特徴で、一般住宅から大型建築物まで幅広く使われています。

特徴	改質アスファルトルーフィング
素材	改質アスファルト、繊維フェルト
価格	高価
耐用年数	20~40年程度
特徴	高耐久性、長期使用可能
デメリット	コストが高い

改質アスファルトルーフィングは、酸化アスファルトにゴムなどの高分子化合物を配合することで、柔軟性と耐久性を高めた製品です。

一般社団法人 日本防水工業会の技術資料によると、標準的な改質防水紙は20年以上の耐用年数が見込まれています。

防水紙の劣化状況は、目視による外観チェックと簡単な器具を使った確認で把握できます。

定期的なメンテナンスが重要です。

防水紙は、使用環境により徐々に劣化が進行します。

経年劣化した防水紙を放置すると、遮水性能が低下し、雨水の浸入によりさまざまな被害が生じる可能性があります。

適切なタイミングで劣化状況を確認し、必要に応じて補修や取り替えを行うことが大切です。

チェック方法

• 目視による外観チェック
  ひび割れ、浮き、破れ、変色などの異常がないか目視で確認
• 簡単な器具を使った確認
  防水紙の柔軟性：細い金属棒などで押して確認
  防水紙の付着状況：防水紙をそっと持ち上げて確認

日本建築学会の建築物定期調査指針では、防水紙の状況は1~2年に1回の確認が推奨されています。

防水紙の劣化が軽度であれば部分的な補修が可能です。

しかし、広範囲にわたる劣化や、防水紙と下地材の接着不良が認められる場合は、全面的な防水紙の取り替えが必要となります。

補修作業は専門業者に依頼するのが賢明です。

防水紙の補修方法は、劣化の程度や原因によって異なります。

一般社団法人 日本防水工業会の技術資料によると、以下の場合は全面取り替えが推奨されています。

• 防水紙の劣化が広範囲にわたっている
• 防水紙と下地材の接着不良が認められる
• 下地材自体の劣化が進行している

一方、局所的な劣化であれば部分補修が可能とされています。

ただし、専門的な知識と技術を要するため、ご自身での補修は避け、専門業者へ依頼することが重要です。

【部分補修が可能な場合】
・防水紙に小さなひび割れや浮きがある
・一部分に限定された破れや劣化がある

【全面取り替えが必要な場合】
・広範囲にわたり防水紙が劣化している
・防水紙と下地材の接着が大半で不良
・下地材の腐食や劣化が進行している

部分補修の手順

劣化部分をカッターなどで切り除く

下地材の清掃と補修を行う

新しい防水紙を切り出し、重ね貼りする

上から圧力をかけ、隙間なく密着させる

補修作業は高所作業となるため、安全対策を万全にすることが大前提です。

一般家庭では難易度が高いため、専門業者への依頼がおすすめです。

防水紙（ルーフィング）は、屋根の下地材上に敷設される遮水シートで、雨水の浸入を防ぎ、下地材を保護する重要な役割を果たします。

主にアスファルトルーフィングと改質アスファルトルーフィングの2種類があり、後者はより高耐久性です。

防水紙の適切な選択と施工は、建物の長期的な防水性能維持に不可欠です。

定期的な点検（1〜2年に1回）を行い、劣化状況をチェックすることが重要です。

軽度の劣化なら部分補修が可能ですが、広範囲の劣化や下地材との接着不良の場合は全面取り替えが必要となります。

補修作業は専門的な知識と技術を要するため、安全面を考慮し、専門業者への依頼が推奨されます。

適切な維持管理により、屋根の寿命を約2倍に延ばすことが期待できます。