脱気筒とは?仕組みや屋上防水での役割・種類などを徹底解説
2024/06/19
マンションの屋上やバルコニー、ベランダなどに設置されている金属の筒を見かけて、これはなんだろう、と思ったことはありませんか?
その金属の筒は脱気筒と呼ばれる設備です。
防水工事をすでに依頼した人の中には、脱気筒は本当に必要なものなのか、と考える方もいるでしょう。
この記事では、脱気筒の役割や必要性などを詳しく解説していきます。
中間マージンゼロ!直接お取引でコストカット
新東亜工業が選ばれる理由
- 仲介料である中間マージンが0で外注費コストカット
- 施工スピードと正確性を重視
- お客様満足度は98%!
- その他大規模修繕の対応や相見積もりも歓迎
脱気筒とは?
脱気筒とは、防水層と下地(コンクリートなど)の間に、雨や室内の湿気などで発生する水蒸気を外へ排気するための筒です。
屋上やベランダ・バルコニーの床は、雨水が建物内部に入らないように防水層で保護されています。
しかし、防水層は通気性がないので、下地から発生した水蒸気を外に逃すことができません。防水層の内側に溜まった水蒸気は防水層を破損させる原因になります。
防水層が破損してしまうと、その箇所から雨水が侵入し、雨漏りなどのトラブルが起こる恐れがあります。
そのような事態を防ぐために脱気筒を設置します。
脱気筒がないとどうなる?
脱気筒は防水層と下地の間で発生した水蒸気を排気する設備です。
もし、脱気筒を設置しなかった場合、以下のような問題が起こります。
- 防水層が膨らむ
- 防水層に亀裂や穴が発生しやすくなる
- 下地が劣化する
屋上やベランダの下地は雨や屋内の湿気・水分を含んでおり、昼夜の温暖差や太陽の熱によって水蒸気が発生します。
前述したように防水層には通気性がないので、脱気筒を設置しないと水蒸気は外に排気されず、防水層と下地との間で溜まっていく一方です。すると、防水層は徐々に膨らんでいきます。
膨らみが生じてしまうと、防水層は下地との密着性が失われ、耐久性も低下し、亀裂や穴が発生しやすい状態になります。
亀裂や穴などの損傷は雨漏りを引き起こす原因です。また、損傷箇所から劣化が進んでいくので、防水層の寿命も短くなります。
さらに、下地にも負荷がかかっているため、亀裂が走ったり、破損することもあります。
脱気筒の設置は費用がかかりますが、出費を抑えようとして脱気筒の設置を省いてしまうと、上記のような問題が起こり、防水工事のやり直しや下地の補修工事が必要になるので、結果的に費用の負担は大きくなります。
脱気筒の種類
脱気筒には大きく分けて、
- ステンレス製
- アルミ合金製
- 塩ビニール製
の3種類があります。
以下ではこれらの特徴を紹介していきます。
ステンレス製
ステンレス銅でできた脱気筒は、サビに強く耐久性に優れているのが特徴です。
ステンレス製の脱気筒は、雨や紫外線の影響を受けやすい屋上での使用に適しています。
アルミ合金製
アルミ合金製の脱気筒は、アルミにさまざまな金属を融合させて作られたものです。
腐食に強いのが特徴です。雨が多い地域はアルミ合金製の脱気筒がおすすめです。
塩ビニール製
塩ビニール製の脱気筒は、ベースが塩化ビニールで、キャップ部分がステンレス製であるのが特徴です。
塩ビニール自体が耐久性に優れているため、塩ビニール製の脱気筒は耐用年数が50年以上と言われています。
ランニングコストを重視して防水工事を行いたい方は、塩ビニール製の脱気筒の使用がおすすめです。
脱気筒を使う防水工事とは?
脱気筒は水蒸気から防水層を守るために必要な設備ですが、防水工事の中には、脱気筒を使わない工事と使う工事があります。
以下では、脱気筒を使用して通気性を確保する防水工事を紹介していきます。
ウレタン防水
ウレタン防水通気緩衝工法で脱気筒は使われます。
通気緩衝工法とは、絶縁工法とも呼ばれ、穴が開いている通気緩衝シートを下地に張り付けてから液状のウレタン樹脂を塗る工法です。
ウレタン防水通気緩衝工法は、築年数を経た建物やマンションの屋上など面積が広い場所で多く使用されます。
塩ビシート防水
塩ビシート防水は機械的固定工法が主流です。
機械的固定工法も通気性を確保する工法で、下地と防水シートの間に通気緩衝シートを挟み、ディスクを使ってそれらを下地に固定させます。
通気緩衝シートによって通気性は確保されていますが、水蒸気の逃げ道が少ないため、脱気筒を設置して水蒸気がより排気されやすくします。
FRP防水
FRP防水は頑丈な防水層を形成するのが特徴ですが、費用が高いため、主にベランダやバルコニーなど、屋上よりも面積が狭い場所で使われることが多い防水工事です。
FRP防水もウレタン防水と同じく塗膜防水の一種ですが、脱気筒を使うことはほとんどありません。
しかし、湿気が多い場所にFRP防水を施工する場合は脱気筒を設置する必要があります。
脱気筒の設置基準
脱気筒は、屋上の真ん中あたりに設置されます。特に平らな屋根(陸屋根)では不可欠です。
面積によって個数は異なりますが、おおむね50〜100㎡の間隔で設置されることが多いです。
水蒸気は上に逃げる性質があるため、勾配が高い位置に設置するのが一般的です。
また、下地に目地がある場合は、目地が交差する箇所に脱気筒を設置します。
脱気筒のまとめ
脱気筒の役割や必要性、種類などを紹介してきました。
以下にこの記事の内容をまとめました。
- 脱気筒とは、防水層と下地(コンクリートなど)の間に、雨や室内の湿気などで発生する水蒸気を外へ排気するための筒
- 脱気筒は防水層と下地を保護するために必要な設備
- 脱気筒にはステンレス製・アルミ合金製・塩ビニール製がある
- 脱気筒は主にウレタン防水通気緩衝工法で使われる
- 脱気筒を設置する際は屋上の真ん中あたりに、50〜100㎡の間隔で設置する。勾配が高い位置に設置するのが一般的
脱気筒の役割を理解して、防水工事を成功させましょう。