マンション大規模修繕工事の定義とは|建築基準法と国土交通省ガイドライン
2024/06/20
マンションの購入を検討されている方や管理組合・オーナーの皆様は、大規模修繕に関する知識を深めておくことが重要です。
新築マンションでも建物や設備は時間の経過とともに少しずつ劣化していくため、快適な生活環境を維持して空室を出さないためにも、定期的な大規模修繕を行う必要があります。
そこで今回は、マンションが大規模修繕を必要とする理由や工事の流れなど、大規模修繕工事について知っておくべき情報を紹介していきます。
これから大起修繕を行う場合は、ぜひ参考としてご覧ください。
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マンションの大規模修繕って?
大規模修繕工事とは、建物や設備が経年劣化により機能を損なったり見た目が劣化したりした際、劣化部分を修繕し機能を回復させる工事のことです。
以下では、大規模修繕工事の本質について詳しく説明します。
大規模修繕工事の本質
大規模修繕工事は、建物の主要な構造や共用部分の修繕・模様替えを含む工事であり、屋根・階段・壁・柱・床・梁などが含まれます。
構造物が経年劣化により劣化すると、建物全体の安定性や外観に悪影響を及ぼす可能性があります。
大規模修繕工事はこうした劣化を抑制し、建物を健全な状態に保つために必要な工事です。
経年劣化は避けられない
「丈夫な資材を使用すれば劣化を回避できるのではないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、どれほど高品質な資材を使用しても、風雨や紫外線・その他の自然環境の影響を完全に避けることは難しく、経年劣化は避けられません。
これにより構造物が徐々に劣化し、最終的に修繕が必要になります。
マンションの中規模・小規模修繕との違い
マンションにおいては大規模修繕に限らず、中規模修繕や小規模修繕も重要なメンテナンスとして行われます。
中規模修繕は基準が厳密に定められていませんが、通常は短めの工期で限られた範囲を修繕する工事です。
そのため中規模修繕は費用を抑えることができ、緊急性の高い修繕に適しています。
一方、小規模修繕は日常的な軽微な修繕を指し、何らかの不具合が発生した都度に行われます。
水漏れの修繕や階段の鉄部の塗装・共用スペースの電球交換などが、小規模修繕の例として挙げられます。
これらの修繕作業は建物の健康状態を維持し、住民が快適に過ごせるために欠かせません。
また一部のケースでは、大規模修繕以外の中・小規模修繕全般をまとめて、小規模修繕として扱うこともあります。
修繕作業が大小さまざま存在する中で、適切なタイミングと範囲で修繕を実施することが、マンションの資産価値維持と住民の安心・安全な生活を確保するうえで大切です。
マンションの大規模修繕工事が必要な理由
マンションにおいて、なぜ大規模修繕工事が必要なのでしょうか。
大規模修繕工事が必要な理由を4つに絞り、詳しく解説します。
建物や設備の経年劣化を防ぐため
大規模修繕工事が必要な理由のひとつは、建物や設備の経年劣化を防ぐためです。
新築時の良好な状態から時間が経過すると、さまざまな箇所が傷み汚れていきます。
例えば、外壁や屋根は紫外線や風雨にさらされ、乾燥によるひび割れや瓦の剥がれが生じます。
これらの劣化が放置されると、雨水の浸入により雨漏りが発生し、建物の耐震性や耐久性に影響を及ぼしてしまうでしょう。
コンクリート内部の鉄筋の錆びつきや木材の腐食など、建物の内部が劣化する可能性も高まります。
このような悪影響を防ぐために、大規模修繕工事が実施されるのです。
また、専有部分に関する修繕は区分所有者の責任となるため、玄関ドアの内側や給排水管・ガス給湯配管などについても適切な対応が求められます。
資産価値の維持
もうひとつの大規模修繕が必要な理由は、資産価値の維持です。
大規模修繕を怠ると、建物の経年劣化が進行し、日常生活に支障をきたすリスクが高まります。
故障や不具合だけでなく、古い仕様の付属設備が生活の不便を招くことも考えられるでしょう。
住民が生活しにくい環境では建物の価値も下がり、将来的な売却や賃貸にしたい時に支障をきたす可能性があります。
中古マンションの取引においては、大規模修繕の有無や計画・履歴などが購入者にとっての判断材料となり、価格や家賃を左右する要因となります。
そのため定期的で計画的な大規模修繕工事は資産価値を守り、住民に快適な居住環境を提供するために重要なのです。
建物のバリューアップのため
マンションの完成から20年が経過すると、設備が住人や時代のニーズに合わなくなることがあります。
例えば、住人の高齢化に伴いバリアフリー化が求められる場合もあるでしょう。
大規模修繕時には建物のバリューアップを図り、これらの変化に対応できるような柔軟さが必要です。
賠償責任のリスクを回避するため
劣化した建物を放置することで地域住民に被害が及ぶ場合、マンションの管理組合が賠償責任を問われる可能性があります。
例えば、外壁のタイルが剥落した場合、歩行者や車に被害が及ぶことが考えられます。
しかしこのような事態も、定期的な大規模修繕を行うことによって未然に防ぐことにつながるのです。
マンションの大規模修繕工事にかかる工期
大規模修繕は計画から着工まで、通常1~2年といった期間を要します。
しかし実際の工事期間は、修繕の規模によって異なります。
マンションの規模 | 工事期間 |
小規模マンション |
約2~3ヶ月 |
中規模マンション (50~100戸程度) |
約5~6ヶ月 |
大規模マンション |
約1年 |
もちろん、工事の内容や進捗状況によって工期は変動します。
小規模マンションの注意点
小規模マンションの場合、工期が短く費用も抑えられるとはいえ油断は禁物です。
入居者同士の物理的・心理的な距離が近いため、小規模であるがゆえに修繕工事の説明を怠ると、トラブルへと発展してしまうでしょう。
マンションの規模に関わらずしっかりと準備期間を設け、入居者には修繕工事の計画や進捗について適切に説明を行うことが大切です。
コミュニケーションを欠かさず、トラブルの予防に努めましょう。
マンションの大規模修繕工事を進める流れ
マンションの大規模修繕工事は、どのような流れで行われるのでしょうか。
以下に、大起修繕工事の流れについて紹介します。
-
step1|大規模修繕委員会の発足
数年前から計画を立て、大規模修繕委員会を発足させます。
管理組合員から参加希望者を募りますが、組合員であれば誰でも参加可能です。
もし参加人数が不足した場合は、理事会が中心となって管理会社と協力しながら計画や予算案が作成されます。
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step2|建物調査
建物調査は、専門のコンサルタント会社やマンションの施工会社が行います。
修繕・更新が必要な箇所を特定し、修繕方法を提案します。
複数の会社に見積もりを出し、大規模修繕委員会が適切な調査を依頼する会社を決定します。
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step3|計画
建物調査の結果と見積もりをもとに、修繕工事の計画を作成します。
資金が不足している場合は、住民から一時金を徴収する場合もあるでしょう。
計画が確定したら、管理組合総会を開催して組合員の合意を得ます。
-
step4|見積もり・工事会社の決定
計画が決まると、具体的な見積もりを出すために施工会社へ依頼します。
複数の会社から見積もりを取り、適切な施工会社を選んだら候補を絞って管理組合総会で提案し、組合員の賛成を得ます。
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step5|大規模修繕工事の実施
施工会社と契約したら、実際の工事が始まります。
工事期間中、大規模修繕委員会は住人と施工会社とのコミュニケーションを円滑に保ち、住人の理解を得るよう努めます。
一般的な工事内容は、以下のとおりです。
- 仮設工事…足場・現場事務所の設置
- 下地補修工事…ひび割れや欠けを補修し、下地を整える
- タイル補修工事…浮いたり割れたりしたタイルを修復する
- シーリング工事…外壁同士のつなぎ目をシーリング材で保護する
- 外壁塗装工事…外壁の再塗装で美観と機能性を向上する
- 鉄部塗装工事…手すりや階段などの鉄部の再塗装する
- 防水工事…屋上、バルコニー、ベランダの防水工事
- その他の工事…バリアフリー化、設備の更新、エントランスの改修など
以上の手順を踏みながら大規模修繕工事を進めることで、マンションの耐久性や美観の向上・住環境の向上が期待できるでしょう。
大規模修繕工事に必要な費用
マンションの大規模修繕工事には、一戸あたり約100万円前後の費用がかかると言われています。
ただし、工事内容によっては50~70万円程度で済む場合もあり、反対に100万円を超える費用が発生する場合もあるでしょう。
例えば100戸のマンションでは、工事には約1億円ほどの費用がかかる計算となります。
修繕積立金について
修繕積立金は、大規模修繕工事に備えて毎月居住者から徴収されます。
ただし、修繕積立金が不足しているマンションも多く存在し、場合によっては多めの額が徴収されるケースも考えられます。
マンションの管理組合は専門家と協力して修繕計画を立て、適切な積立金の額を居住者から徴収することで、将来の大規模修繕工事に備える必要があるでしょう。
まとめ
マンションの大規模修繕に関する必要性や工事の内容は、以下のとおりです。
- 大規模修繕工事は、建物や設備の経年劣化により機能や外観が損なわれた際、修繕して機能を回復させる工事
- 建物の劣化が放置されると、安定性や外観に悪影響を及ぼす可能性があるため、大起修繕工事は建物を健全な状態に保つために必要
- マンションでは大規模修繕以外にも、中規模修繕や小規模修繕が行われる
- 大起修繕工事が必要な理由は、建物や設備の経年劣化を防ぐ・資産価値の維持・建物のバリューアップ・賠償責任のリスク回避などのため
- 大規模修繕は計画から着工まで通常1~2年の期間がかかる
- 工事期間は修繕の規模によって異なり、小規模なマンションでは約2~3ヶ月、中規模なら5~6ヶ月、大規模なら約1年
- 大規模修繕委員会の発足・建物調査・計画・見積もり・工事会社の決定・大規模修繕工事の実施の流れで工事は進められていく
- 一戸あたり約100万円前後の費用がかかり、工事内容によっては50~70万円程度や100万円を超える場合もある
- 修繕積立金は毎月住人から徴収され、不足があれば適切な積み立てが必要
大規模修繕は慎重な計画と準備が必要であり、住民への適切な情報提供や協力が重要です。
記事の内容を参考にして、住民の理解を得ながら安全で快適な住環境を確保できるよう、計画してみてくださいね。