マンション大規模修繕工事の時期・周期|外壁調査と同時実施の利点とは?
2024/11/05
マンションの大規模修繕工事、そのタイミングはいつ頃が最適なのでしょうか?
一般的に12年、15年、18年周期といった目安がありますが、建物の状態や長期修繕計画によって、適切な実施時期は変わってきます。
では、あなたのマンションの大規模修繕工事の時期をどのように判断すればよいのでしょうか?
改修工事の費用や期間も考慮しながら、最適なタイミングを見極めることは、マンションの資産価値を維持する上で非常に重要です。特に、外壁調査と同時に実施することで、より効率的な工事計画を立てることができます。
本記事では、マンションの大規模修繕工事における実施時期の判断基準や、長期修繕計画との関連性について詳しく解説します。また、外壁調査と同時に実施するメリットについても触れながら、管理組合の皆様の工事計画の参考となる情報をご提供していきます。
マンションの大規模修繕工事の時期と周期
マンションの大規模修繕工事の時期は、建物の構造、立地条件、日常的な管理状態など、個々の状況によって異なります。
しかし、一般的な目安として「12年周期」が広く考えられています。
この周期は建築基準法の規定に基づいており、築後10年を経過したタイル貼りなどのマンションの場合、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要があるとされています。
建築基準法の規定と全面打診調査
平成20年4月の建築基準法改正により、定期報告制度の調査・検査基準が厳格化されました。
これにより、建物の竣工や前回の外壁修繕工事から10年を超えている場合、3年以内に外壁の全面打診調査を実施することが義務付けられました。
この調査の主な目的は、タイルなどの外壁落下による事故を防止することです。
ただし、3年以内に外壁修繕工事が予定されている場合は、全面打診調査を行う必要はありません。
外壁調査と大規模修繕工事の関係
外壁の全面打診調査を行うには仮設足場が必要となります。
足場の設置にはかなりのコストがかかるため、多くのマンションでは全面打診調査と大規模修繕工事を同時に実施することが一般的です。
これにより、仮設足場の組立を1回で済ませ、コストを大幅に削減することができます。
このような理由から、10年から12年ごとに大規模修繕工事を行う考えが広く普及しています。
大規模修繕工事内容
大規模修繕工事の内容には、下地補修工事、洗浄工事、シーリング工事、塗装工事、防水工事などが含まれます。
ただし、廊下の長尺シート工事のように足場なしでも実施可能な作業もあります。
そのため、予算の制約がある場合は、一部の工事を時期をずらして実施することも可能です。
マンションの定期的な建物管理の重要性
マンションの長寿命化と安全性確保のためには、定期的に建物の劣化状況を確認し、適切な修繕プランを作成することが極めて重要です。
被害が発生する前に適切な対処を行うことで、大規模な修繕を回避し、コストを抑えることができます。
なお、全面打診調査の対象となるマンションや詳細な条件については、タイル貼りなどの外壁構造であることに加え、地方自治体によって具体的な規定が定められている場合があります。
そのため、各マンションの管理組合は、専門家の助言を得ながら、自治体の規定を確認し、適切な修繕計画を立てることが重要です。
大規模修繕でよくある質問
- 大規模修繕はなぜ必要?
- 大規模修繕は新築時の状態に戻すことを目的に、防水工事、塗装工事などを中心に行われます。 見た目には特に傷んでいないように見えたとしても、年月の経過に伴い劣化はすすんでいます。 大規模修繕を行わず放置してしまうと、水が侵入し建物の躯体部分にダメージを起こしたり、外壁に割れや剥がれが起きたりします。 外観が悪くなれば建物の価値が下がることが予想されます。 さらに躯体部分にダメージが起これば、安全で快適な住環境も維持できなくなってしまいます。 住環境の最適化と資産価値維持のために、大規模修繕は10〜15年を目安に必ず行わなければなりません。
- 打ち合わせの頻度はどれくらい?
- 分譲マンションの場合、マンション修繕委員会の話し合いは月に2〜3回程度行われることが多いようです。 計画から施工完了まではある程度の時間がかかりますので、長期にわたって対応できる人、責任感をもって参加できる人を修繕委員会のメンバーに選ぶようにしましょう。
- 大規模修繕にかかる費用はいくら?
- 基本的には戸数が多いほど、1戸あたりの負担は少なくなる傾向があります。 建物の劣化状況や立地条件などにより費用は大きく変動しますが、築年数が新しいほど修繕箇所が少なくなるので費用は安く抑えられます。 築10年の建物の大規模修繕の費用目安は、1戸あたり100万円前後と言われています。
- 修繕費が不足した場合の対処法は?
- マンションの場合、居住者から不足分を修繕一時金という形で追加徴収する方法がとられるのが一般的です。 それが難しい場合には、金融機関から借入を行う場合もあります。 最悪の場合には工事の延期なども検討されますが、延期した場合その後に行う修繕費が大幅に膨らむことが予測されるため、延期はお勧めできません。 分割修繕などで、緊急性の高い工事だけでも先に行なったほうが賢明です。
- 見積もりの金額を比較すると差が出るのはなぜ?
- 実際に見積もりをとってみると2〜4割の金額の差が出ることが珍しくありません。 これは諸費用に違いがあるからです。 自社施工しているか、下請けに委託しているかでも中間マージンなどで違いがでます。 見積書の内容をよく確認すると、内容不明な項目があったり、廃材処理費が含まれていなかったりと、内容に違いがある場合もありますので、総額の金額だけでなく細かな内容までよく比較することが大切です。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は、建物の個別状況に応じて計画されますが、一般的に12年周期で実施されることが多いです。
この周期は、建築基準法の規定と経済的な効率性を考慮して設定されています。
築後10年を経過したマンションでは、3年以内に外壁の全面打診調査が必要となります。
この調査には仮設足場が必要なため、コスト削減の観点から、多くのマンションでは全面打診調査と大規模修繕工事を同時に実施しています。
大規模修繕工事の内容には、下地補修、洗浄、シーリング、塗装、防水などの作業が含まれます。
ただし、予算に応じて一部の工事を時期をずらすなど、柔軟な対応も可能です。
マンションの長寿命化と安全性確保のためには、定期的な点検と適切な修繕計画が不可欠です。
管理組合は、専門家の助言を得ながら、地域の規定を確認し、計画的な修繕を進めることが重要です。
これにより、大規模な被害を未然に防ぎ、長期的にはコスト削減にもつながります。
適切な維持管理と計画的な修繕により、マンションの資産価値を維持し、居住者の安全で快適な生活環境を確保することができます。