コンクリート防水工事の種類|アスファルト防水のメリット・デメリットとは?
「屋上に耐久性の高い防水工事を行ないたい」とお考えのかたはいませんか?
そんなかたにおすすめなのが「アスファルト防水」です。
アスファルト防水は防水性能が高く耐用年数も長いので、古くから用いられています。
今回の記事では、アスファルト防水の種類や工事の流れについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
アスファルト防水とは
アスファルト防水とは、アスファルト製のルーフィング(専用のシート)を使った防水工法のことを言います。
合成繊維不織布のシートにアスファルトが染み込んだものを使うのが一般的です。
アスファルト防水は主に、マンションやアパートなどの屋上で使われます。
高重量にも耐えられるので、防水層の上を緑化させることも可能です。
また防水性能(水密性)が高く、施工時の不具合も少ないです。
ただし重量があるので、一般住宅で使われることは少ない傾向にありますよ。
アスファルト防水の種類
アスファルト防水には、「熱工法」「トーチ工法」「常温工法」といった3種類があります。
熱工法
専用の溶解釜で溶かしたアスファルトと、ルーフィング(シート)を交互に重ねていく工法です。
日本では100年以上の歴史があります。
溶けたアスファルトは接着剤としての役割もあります。
短時間で硬化するので工期も短くて済みますよ。
ちなみに熱工法には「密着工法」と「絶縁工法」という2つの種類があります。
密着工法は、そのまま下地にアスファルトを塗っていく工法です。
耐久性が高く人が歩いたりしても問題ありませんが、施工時の熱で下地が収縮し、ひび割れが発生するケースがあります。
絶縁工法は、下地とアスファルトの間に穴が開いたシートを挟む工法です。
下地やコンクリートが収縮してもひび割れが発生しませんが、密着工法よりも耐久性が落ちるので、重量物を乗せたりするのには向きません。
トーチ工法
ルーフィングと呼ばれるシートを片面をバーナーの熱で溶かし、下地に張り付ける工法です。
アスファルト防水では最も多く採用されています。
熱工法よりも臭いが少ないので、周辺環境への配慮にもなります。
ただし施工の難易度が高いので、職人の腕が良い施工業者に工事を依頼する必要があります。
常温工法(冷工法)
熱を使わずに施工できる工法です。
片面に粘着性がある「改質アスファルト」のルーフィングを使用します。
熱を使う工法とは異なり、大掛かりな器具を必要とせず臭いも発生しないので、環境に優しい工法と言われています。
ただし複数枚のルーフィングを張り重ねていく必要があるので、重量に耐えられる建物への施工に限られます。
アスファルト防水の費用相場や耐用年数は?
一般的に、アスファルト防水は1㎡あたり6,000~8,000円の費用がかかります。
他の防水工事よりも費用が高めですが、耐用年数は15~25年ほどと長いのが特徴です。
長く使いたい建物ではアスファルト防水がおすすめです。
ちなみに耐用年数が過ぎるとひび割れやすくので、定期的なメンテナンスが必要ですよ。
アスファルト防水のメリット
アスファルト防水には、以下のようなメリットがあります。
信頼性が高い
防水工法の中で最も歴史が長いので、信頼性が高いです。
ルーフィングには工場で作られる規格品が使われるので、厚みが一定になりやすいです。
耐用年数も15~25年程度と長いですよ。
防水性能が高い
アスファルト防水は、他の防水工事と比べても防水性能が高い特徴があります。
熱や臭いがない工法もある
常温工法の場合は熱や臭いも発生しないので、周辺環境への影響が少ないです。
工期が短い
アスファルト防水は、1週間~1週間半ほどで施工が完了します。
アスファルト防水のデメリット
アスファルト防水には以下のようなデメリットもあるので、施工前に確認しておきましょう。
高い技術が必要
熱工法やトーチ工法の施工では、高い技術が必要です。
アスファルトを均一に伸ばさなければ防水性能や耐久性が落ちる恐れがあるので、施工実績が豊富で技術力の高い施工業者に依頼する必要があります。
熱工法は近隣への配慮が必要
熱工法は煙や臭いが発生するので、近隣への配慮が必要です。
施工の際には火災が起こらないように注意も必要です。
アスファルト防水の流れ(トーチ工法の場合)
アスファルト防水は、以下のような流れで行なわれます。
- 古い防水層の撤去
- 下地処理
- プライマーの塗布
- 防水シート張り
- 改修用ドレンの取付け
- トップコートの塗布
古い防水層の撤去
まずは古い防水層を撤去します。
丁寧に撤去することにより、新しい防水層の性能が高まります。
下地処理
次に下地を綺麗に掃除し、凹凸などを埋めて平らにします。
プライマーの塗布
接着剤の役目を果たすプライマーを、下地に塗っていきます。
刷毛やローラーを使ってムラなく塗っていきます。
防水シート張り
ここでいよいよ防水シートを張る工程に移ります。
ガスバーナーを使って防水シートと下地をあぶっていきます。
あぶり加工では職人の腕が物を言います。
改修用ドレンの取付け
次に雨水を排水するための改修用ドレン(ルーフドレン)を取付けます。
防水層で受けた雨水は、改修用ドレンから排出されます。
トップコートの塗布
最後に防水層を保護するためにトップコートを塗り、完了です。
全ての工程が完了するまでに6~10日ほどの期間がかかるでしょう。
アスファルト防水以外の防水工事について
アスファルト防水以外にも、次のような防水工事の種類があります。
施工箇所などに合わせて使い分けるのが一般的ですよ。
ウレタン防水
液体状のウレタン樹脂を使うので、施工場所の形状や広さに幅広く対応します。
アスファルト防水よりは耐用年数が短いですが、費用と耐用年数のバランスが良いので、防水工事では最も多く使われています。
ただし乾燥までに時間がかかるので、施工する際の天候にも気を付ける必要があります。
シート防水
主に塩化ビニールのシートを張って水の侵入を防ぐシート防水。
最も費用が安い工法で、広い範囲を一気に施工できるメリットがあります。
ただし室外機がある屋上や、複雑な形状の箇所などへの施工には適しません。
FRP防水
ガラス繊維のマットの上からポリエステル樹脂を塗る工法です。
乾燥が早いので、1~2日でスピーディに施工可能できます。
乾燥後は光沢が出ます。
防水性能は高いですが伸縮性がないため、広い場所に施工すると割れやすい傾向があり、使用範囲は限られます。
アスファルト防水まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめていきます。
- アスファルト防水とは、アスファルト製のルーフィングを使った防水工法のこと
- アスファルト防水には「熱工法」「トーチ工法」「常温工法」の3種類がある
- 施工費用は1㎡あたり6,000~8,000円
- 耐用年数は15~25年ほど
- 施工には高い技術が必要
- 施工箇所などに合わせて、防水工事の種類を使い分ける
アスファルト防水は信頼性の高い工法です。
ただし工法によっては、大掛かりな設備が必要になることは覚えておきましょう。
ビルの屋上など、頑丈さが必要な面積の広い場所へ防水工事を行なう際は、ぜひアスファルト防水を検討してみてくださいね。