絶縁工法とは?密着工法との違いも紹介
2024/06/19
外壁の塗装や修繕工事を行う際、重要な工程の一つが「絶縁工法」です。
絶縁工法は外壁の劣化を抑え、結露の防止など様々なメリットがありますが、一方で密着工法という別の工法もあります。
本記事では、絶縁工法の概要と特徴、密着工法との違いについて詳しく解説します。
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絶縁工法とは?
絶縁工法は、防水層と下地の間に空気層を設けることで、建物の動きによる応力を緩和する防水工法です。
この空気層が断熱効果も発揮し、建物の温度管理にも貢献します。
一般的な住宅の外壁は、サイディングやALCパネルなどで構成され、その内側に断熱材が設置されています。
絶縁工法ではこの断熱材の内側に更に空気層が設けられます。
住宅の外皮の熱貫流率は、「次世代省エネ基準」で0.6W/m2K以下と定められています。
絶縁工法のメリット
絶縁工法には、建物の保護と性能向上に関する重要なメリットがあります。以下、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
防水層の耐久性向上
絶縁工法では、防水層と下地の間に空気層を設けることで、建物の動きによる応力を緩和します。これにより、以下の効果が得られます。
- クラックの抑制:建物の収縮や膨張による影響を受けにくくなり、防水層にクラックが入りにくくなります。
- 剥離の防止:下地との密着面積が少ないため、建物の動きによる防水層の剥離リスクが低減されます。
- 長寿命化:応力による損傷が少ないため、防水層の寿命が大幅に延びます。一般的に、密着工法と比べて1.5〜2倍程度の耐用年数が期待できます。
断熱性能の向上
空気層が断熱材の役割を果たすことで、建物全体の断熱性能が向上します。具体的には以下のような効果があります。
- 冷暖房効率の改善:夏は外部からの熱の侵入を抑え、冬は内部の熱の流出を防ぎます。これにより、冷暖房の効率が20〜30%程度向上すると言われています。
- 省エネ効果:断熱性能の向上により、エネルギー消費量が削減され、光熱費の節約につながります。
- 快適な室内環境:室温の変動が少なくなり、年間を通じて快適な室内環境を維持しやすくなります。
結露の防止
空気層が結露を防ぎ、建物内部の湿気対策にも効果を発揮します。
- 壁体内結露の抑制:空気層が温度差を緩和し、壁体内部での結露発生リスクを大幅に低減します。
- カビ・腐食の防止:結露が抑制されることで、カビの発生や建材の腐食を防ぐことができます。
- 室内の快適性向上:壁面の結露が減少することで、室内の湿度管理がしやすくなり、快適な居住空間を維持できます。
これらのメリットにより、絶縁工法は建物の長寿命化と居住性の向上に大きく貢献します。初期投資は高くなりますが、長期的には維持管理コストの削減や省エネ効果による経済的なメリットも期待できます。
絶縁工法のデメリット
絶縁工法には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題も存在します。これらのデメリットを理解することで、より適切な防水工法の選択が可能になります。以下、主なデメリットについて詳しく解説します。
初期コストが高い
絶縁工法は、材料費や施工費が密着工法に比べて高くなります。
- 材料費の増加:空気層を形成するための専用部材や、高品質な防水材料が必要となるため、材料費が上昇します。一般的に、密着工法と比べて20〜30%程度のコスト増となることがあります。
- 施工費の上昇:工程が複雑になるため、施工に要する人件費や時間が増加します。これにより、全体の工事費が10〜15%程度上昇する可能性があります。
- 設備投資:施工には専門的な機器や工具が必要となり、施工業者の設備投資コストが反映される場合があります。
施工技術が必要
空気層を適切に設ける技術が求められるため、施工者の選定が重要です。
- 高度な技術力:空気層の厚さや均一性を確保するには、熟練した技術と経験が必要です。不適切な施工は、防水性能の低下や耐久性の問題につながる可能性があります。
- 品質管理の重要性:施工過程での厳密な品質管理が求められ、これに伴う労力や時間が増加します。
- 施工業者の限定:高度な技術を要するため、対応できる施工業者が限られる場合があります。これにより、選択肢が狭まったり、工期に影響が出たりする可能性があります。
工期が長くなる
工程が増えるため、密着工法に比べて時間がかかります。
- 施工手順の増加:空気層の形成、防水層の施工、仕上げ材の取り付けなど、工程が多くなります。これにより、一般的な密着工法と比べて1.5〜2倍程度の工期を要することがあります。
- 天候の影響:屋外作業が増えるため、悪天候による工期の延長リスクが高まります。
- 乾燥時間の確保:各工程間の乾燥時間や養生期間が必要となり、全体の工期が延びる要因となります。
メンテナンスの複雑化
構造が複雑になるため、メンテナンスや補修作業が難しくなる場合があります。
- 点検の難しさ:空気層の存在により、防水層の状態を直接確認することが困難になります。
- 部分補修の課題:局所的な補修が必要な場合、空気層の構造を維持しながら作業を行う必要があり、技術的な難度が上がります。
- 長期的な管理コスト:定期的な点検や予防的なメンテナンスが重要となり、長期的な管理コストが増加する可能性があります。
これらのデメリットを考慮しつつ、建物の特性や予算、長期的な維持管理計画などを総合的に判断し、最適な防水工法を選択することが重要です。
絶縁工法と密着工法の違いについて
密着工法と絶縁工法は、ともに断熱を目的とした工法ですが、その原理と構造が異なります。
施主は用途に合わせて、適切な工法を選ぶ必要があります。
密着工法とは
密着工法とは、断熱材を外壁に密着させて設置する工法です。シーリングやパテで隙間をなくすことで、外気の侵入を防ぎます。
両工法の違い
下記表は、両工法の主な特徴を対比し、それぞれの長所と短所を明確に示しています。
建物の要件や予算に応じて、適切な工法を選択する際の参考になります。
比較項目 | 絶縁工法 | 密着工法 |
---|---|---|
構造 | 防水層と壁体の間に空気層がある | 断熱材を壁体に直接設置 |
断熱性能 | 高い(空気層の断熱効果あり) | 比較的低い |
結露リスク | 低い(空気層が蒸気侵入を抑制) | 高い(壁体内に水蒸気が侵入しやすい) |
施工の複雑さ | 複雑(高度な技術が必要) | 比較的簡単 |
コスト | 高い | 比較的低い |
絶縁工法の費用相場
絶縁工法は一般的な工法に比べ、初期コストが高くなる傾向にありますが、ランニングコストの削減効果を考えれば、総合的にはコストパフォーマンスが良い工法と言えます。
工事の種類や規模によって費用は大きく異なるため、事前に複数の見積りを取ることをおすすめします。
工法 | 費用 |
---|---|
ウレタン防水絶縁工法 |
1㎡あたり5,400円~ |
塩化ビシート防水絶縁工法 |
1㎡あたり5,500円〜 |
新築住宅の場合の費用相場
新築で絶縁工法を採用する場合、一般的な工事費用の目安は以下の通りです。
木造住宅(100㎡)の場合:従来工法に比べ50万円程度の追加コスト
空気層の確保や透湿防水シートの設置など、構造が複雑になるため工賃が高くなる傾向にありますが、国土交通省の試算では、絶縁工法の導入により冷暖房エネルギーが23%削減可能とされています。
このランニングコストの削減効果を考慮すれば、中長期的には従来工法よりもコストパフォーマンスに優れる可能性があります。
リフォームの場合の費用相場
既存住宅に絶縁工法を導入する場合、工事の内容によって費用は大きく変わってきます。
おおよその目安は以下の通りです。
内外壁の全面張り替え:150万円前後
一部分のみの改修:50万円程度から
躯体の状況や工事の範囲によって、必要な工程や資材費が大きく変動するためです。
リフォーム業者の事例によると、内外壁全面の張り替え工事で絶縁工法を採用した場合、平均的な工事費は145万円だったとされています。
一方、外壁の一部分のみに絶縁工法を採用した事例では、工事費は50万円前後と大幅にコストを抑えられていました。
費用はケースバイケースですので、複数の業者から見積りを取り、ご自身の要望と予算を考慮した上で、最適な工法とプランをご検討ください。
まとめ
絶縁工法は、建物の外壁と遮熱層の間に空気層を設けることで効果的な断熱を実現する工法です。
主なメリットとして、高い断熱性能による省エネ効果、結露リスクの低減、外壁の耐久性向上が挙げられます。
一方、デメリットには施工の複雑さと初期コストの高さがあります。
密着工法との主な違いは、空気層の有無と断熱性能の差です。
費用面では、新築の場合、従来工法より50万円程度の追加コストがかかります。
リフォームでは、全面張り替えで150万円前後、部分改修で50万円程度からとなります。
絶縁工法は初期コストは高いものの、長期的には省エネ効果によるコスト削減が期待できます。
用途や予算に応じて適切な判断が重要です。