マンション大規模修繕工事を30年目に実施する効果とは?長周期化について解説
2024/05/17
多くの人が日々の生活を営む中で、マンションは安全で快適な環境であることが不可欠です。
また建物の美観を保ち、耐久性を維持するためには、定期的な修繕が必要です。
居住者の安心と建物の長寿命化を実現するために、大規模修繕工事を検討する方も増えています。
しかし、大規模修繕には多大な費用や時間・手間がかかるため、工事周期の長期化はコスト削減の重要なポイントとなります。
最適なタイミングで計画されることで将来的な予算負担を軽減し、効果的な修繕を実現できるでしょう。
近年では、30年先を目安に修繕工事が計画されることも増加してきました。
今回は、マンション大規模修繕工事を計画する際、30年先まで工事周期を長期化する効果についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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マンションの大規模修繕を行う重要性
マンションにおいて大規模修繕は、資産価値の向上だけでなく、居住者や通行人の安全確保・快適な居住環境の維持にも寄与します。
大規模修繕を行う必要がある主な重要性について、以下で詳しくご紹介します。
劣化を修繕して資産価値を高める
マンションの建築材料は頑丈なもので構築されていますが、時間の経過とともにさまざまな劣化が生じます。
劣化の内容は、外壁タイルの剥離・ひび割れ・鉄筋内部の腐食・屋根の防水・エレベーターの不具合などが挙げられます。
これらの劣化が放置されると資産価値が低下し、入居者を募集してもなかなか集まらず、空室が多く発生してしまうことも予想されるでしょう。
そのため定期的な大規模修繕によって劣化した箇所を補修し、資産価値を高めることが不可欠なのです。
マンションの居住者や通行人の安全を守る
マンションやその周辺は、多くの人が行き交います。
劣化した状態の建物や設備は、タイルの剥離や電気関連のトラブルなどを引き起こす可能性もあります。
これにより居住者や通行人へのケガや損害が発生し、マンションの管理組合は賠償責任を負わなければいけない可能性もあるでしょう。
大規模修繕によって建物の安全性を確保し、問題の予防と解消を図ることが重要です。
居住者が安心して快適に過ごせる環境を整える
マンションは居住者の生活拠点であり、劣化した設備やバリアフリーでない環境は快適な生活を妨げます。
例えばドアやインターホンの不調、老朽化に伴う設備のトラブルは、居住者の生活を快適に過ごせない要因ともなるでしょう。
特に高齢者が増加する中で、バリアフリーな仕様が求められることもあります。
大規模修繕は居住者の快適な環境を維持して住民の転居を防ぎ、経営の安定を図るためにも、居住者に寄り添った居住空間が重要なのです。
これらのメリットを最大限に引き出すためには、計画的で定期的な大規模修繕が欠かせません。
マンションの長寿命と安定した経営を実現するために、プロのアドバイスを得ながら、綿密な計画を進めることが大切です。
マンションの対象部位別ごとの修繕する目安
建物の修繕は、対象部位によって異なる時期に行われます。
修繕計画を適切に立てるためには、各対象部位ごとの修繕目安を正確に把握することが重要です。
大規模修繕工事が必要な箇所は、以下のとおりです。
鉄部塗装 | 4〜6年目 |
給水ポンプ、雨水排水ポンプ | 7〜10年目 |
全面(大規模修繕工事) | 11〜15年目 |
鉄部、屋上、火災感知器、機械式駐車場 給水ポンプ、雨水排水ポンプ |
16〜20年目 |
全面(大規模修繕工事) | 21〜25年目 |
エレベーター、インターホン | 26〜30年目 |
全面(大規模修繕工事) | 31〜40年目 |
大規模な修繕工事は10年目を境に、20年・30年と行うことが多くなっています。
1回目の大規模修繕工事では、タイル補修・外壁塗装・防水補修・シーリング打ち替えや打ち増し・鉄部塗装などが、主な修繕内容です。
2回目の大規模修繕工事では、1回目の工事内容に加えて、新たな設備の追加があります。例えば、自動ドアの設置やカメラ付きインターフォンの導入などです。
3回目の大規模修繕工事では、玄関ドア・サッシ・電気関係の設備の取り換えが主な工事内容となります。
また、1回目・2回目に行われる工事は内部や外壁などの部分に限定されることが多く、大規模な修繕工事は30年目を超えるあたりで行われることがほとんどです。
大規模修繕工事を行うことで建物の機能や外観を維持し、安全性を確保することにつながります。
修繕計画を適切に策定し、定期的なメンテナンスを行うことで建物の寿命を延ばし、住み続ける環境を良好な状態で保てるでしょう。
マンション大規模修繕工事の周期長期化の効果
これまでの大規模修繕は建物の状態によりますが多くの場合、12年に一度のサイクルで実施される傾向がありました。
このサイクルの背後には、平成20年に国土交通省が公開した長期修繕計画作成ガイドラインを参考にしたためです。
しかし、令和3年になりガイドラインが改訂され、大規模修繕工事のサイクルについては「部材や工事の仕様等により異なるが一般的に12年~15年程度」とされました。
さらに、以前は30年サイクルでの大規模修繕工事計画が一般的でしたが、改訂後のガイドラインにより、60年先まで計画を伸ばす管理組合も増加しています。
これにより、大規模修繕工事のサイクルは12年から18年に長期化しているところもあります。
サイクルの変更に伴い、管理会社はさまざまな対策を講じていますが、具体的なコストダウンの効果を見てみましょう。
仮定として、総戸数50戸のマンションにおける12年サイクルと18年サイクルでの大規模修繕工事の費用の目安は以下のとおりです。
- 12年サイクル… 約5,000万円
- 18年サイクル… 約7,000万円
これらの費用差の主な要因は、工事費用全体の約20%を占める仮設工事の回数削減によるものです。
特に仮設工事では、中小規模マンションのほうが大型マンションよりも高額になりやすいので、仮設工事回数を最小限に抑えることがコスト削減の鍵となります。
適切なサイクル設定と対策の組み合わせにより、管理組合は効果的な予算管理を実現し、建物の維持管理をより効率的に行えるでしょう。
大規模修繕工事のおおまかな流れ
大規模修繕を行う流れについて、ご存じの方も少ないでしょう。
工事を進める際の流れを把握し、スムーズに計画を進行させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
STEP1|大規模修繕委員会を発足する
大規模修繕を行うにあたって準備期間を確保し、大規模修繕委員会を発足させます。
管理組合は数年前から積極的な準備を行い、組合員からの参加希望者を募ります。
修繕積立金を支払っている区分所有者は、誰でも参加資格があります。
STEP2|建物調査の実施
計画の基礎となる建物の現状を正確に把握するために、建物調査を実施します。
共用部や設備、建物の構造などに関する詳細な調査が必要です。
問題点を特定し、修繕が必要な箇所を明らかにしていきます。
STEP3|修繕方針の決定
建物調査の結果をもとに、大規模修繕委員会で話し合いを行い、修繕方針を決定します。
方針には工事の内容や進行計画、予算などが含まれます。
予算が不足している場合は一時金の徴収を検討し、適切な修繕を行うための計画を立てます。
STEP4|見積もりの依頼と比較検討
大規模修繕工事の方針が確定したら、複数の工事会社に見積もりを依頼します。
各見積もりを比較検討して最適な提案を選択し、契約条件や工期・品質などを慎重に検討します。
STEP5|施工会社の決定
見積もりの比較検討を踏まえ、最適な施工会社を選定します。
決定を行う際には、区分所有者全体の総意を得るために総会を開催し、議決を行います。
STEP6|工事の実施
契約が成立したら、選定した会社と正式な契約を結び、工事が始まります。
工事が始まる前には組合員や居住者への事前通知を行い、工事の進捗状況を共有します。
工事中に問題が発生した場合は、柔軟かつ迅速な対応が求められるでしょう。
大規模修繕工事中の注意点とは
大規模修繕が行われる際は、通常の生活スタイルに変化が生じます。
工事による騒音や作業による制約があるため、以下のポイントに留意することで快適に過ごせるでしょう。
作業時間によって行き来しづらいルートを確認する
工事の進行により、通常の通行ルートが制限される可能性があります。
作業スケジュールを確認し、適切な行動計画を立てましょう。
ベランダに置いているものは室内に入れて保管する
ベランダにある物品は、工事の際に影響を受ける可能性があります。
そのためベランダにあるものは、室内に移動させて保管しましょう。
騒音・粉じん・においを室内に入れないように窓を閉める
工事中は騒音や粉じん、においが発生する可能性があります。
窓を閉めて、室内の清潔さと快適さを保ちましょう。
エレベーターの使用できない時間を踏まえて行動する
工事により、エレベーターが使用できない時間帯があるかもしれません。
階段を使用するなど、計画的に移動することが大切です。
アンテナを室内で保管する
屋外のアンテナは、工事の対象になる可能性があります。
工事期間中は室内に保管しておくと安全です。
その他
- 駐車場にある車を移動させる
- 洗濯物をベランダで干さないようにする
- 階段や廊下の工事中は建物内で迂回する
- エアコンの室外機を移動させる
マンションの大規模修繕工事の周期を伸ばすためには
大規模修繕の費用を削減して周期を延ばすことは、マンション経営において重要な課題です。
その方法として考えられる、具体的な取り組みについてご紹介します。
耐久性や強度の高い資材の使用
環境や立地条件を考慮し、耐久性や強度の高い資材を選ぶことで、大規模修繕の周期を延ばすことにつながります。
少々費用がかかるかもしれませんが、長期的な視点で見れば修繕の頻度を減らせるでしょう。
建築時の不備の確認と対策
建物が完成する際には、不備が生じる場合もあります。
事前に確認して対策することで、将来の修繕費用を抑えられるでしょう。
建築時の不備に対する対策は、将来のメンテナンスコストを大幅に削減することにつながります。
日々のメンテナンスの徹底
日々のメンテナンスを欠かさず行うことも、重要です。
建物への汚れや劣化が進むのを防ぐために、定期的な掃除や点検を行い、必要に応じて修繕を実施します。
これにより建物の状態を良好な状態に保ち、修繕の頻度を抑えることが可能です。
まとめ
マンションの大規模修繕において、30年先まで工事周期を長期化する効果についての内容は以下のとおりです。
- マンションの安全で快適な環境を維持するためには、定期的な大規模修繕工事が必要
- 大規模修繕は多大な費用や手間がかかるが、長期計画で工事周期を延ばすことがコスト削減の鍵
- 大規模修繕の重要性は、資産価値向上や居住者の安全確保、快適な居住環境の維持・修繕は対象部位ごとに異なる時期に行われ、計画的で定期的なメンテナンスが建物の寿命を延ばす
- 工事の流れには大規模修繕委員会の発足・建物調査・修繕方針の決定・見積もり依頼と比較検討・施工会社の決定・工事の実施が含まれる
- 工事中の注意点として、作業時間や通行ルートの確認・ベランダの物品保管・騒音や粉じんの対策が挙げられる
- 大規模修繕の周期を延ばすための取り組みには、耐久性や強度の高い資材の使用・建築時の不備への対策・日々のメンテナンスの徹底がある
マンションの大規模修繕は、建物の資産価値を向上させ、安全な状態を保つうえで不可欠です。
負担を軽減しつつマンションを快適で安全な状態に維持するためには、大規模修繕の周期を延ばすことが重要と言えます。