鉄骨ACL造建物の屋上防水工事とは?施工費用や周期について説明
2024/10/15
鉄骨ALC(AutoclavedLightweightConcreteまたはエアー軽量コンクリート)造建物は、工場や事務所などの非住宅建築物によく採用されている構造方式です。
このタイプの建物では、屋上の防水対策が欠かせません。
本記事では、鉄骨ALC造建物の屋上防水工事について、工法の種類や施工費用の目安、適切な工事周期などを解説します。
建物の長寿命化を検討される際の参考にしてください。
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鉄骨ALC造建物とは?
鉄骨ALC造は、鉄骨造の力学的な強度と、ALC(軽量コンクリート)の軽量性と断熱性を併せ持つ、合理的な非住宅建築物の構造方式です。
鉄骨造は力学的に優れた構造体ですが、重量物のため住宅には不向きです。
一方ALCは軽量で断熱性に優れ、ランニングコストも抑えられます。
そこで両者の長所を生かして、鉄骨ALC造が工場や事務所など、大型・中層の非住宅建物に多く採用されています。
国土交通省の資料によると、鉄骨ALC造は事務所ビルの約6割、工場の約4割で採用されているとされています。
鉄骨ALC造は、強度と経済性を両立した合理的な構造方式で、非住宅建物により適しています。
鉄骨ALC造建物の防水工事の種類
鉄骨ALC造建物の屋上防水には、以下の4つの主な工法があります。
アスファルト防水
アスファルト防水は一般的で低コストな防水工法ですが、耐久性に課題があります。
特徴をまとめると、以下のようになります。
- アスファルトを加熱・溶融させ、床面に均等に塗布する簡便な工法
- 施工コストが安価で、初期投資を抑えられる利点がある
- 日本アスファルト合材協会によると、紫外線や凍結による劣化が早く、耐久年数は10年程度と比較的短いのがデメリット
A社は10年前に低コストのアスファルト防水工事を実施しましたが、すでに防水層の劣化が見られ、一部に雨漏りも発生しています。
早期の防水工事の見直しが必要な状況です。
アスファルト防水は低価格が魅力ですが、耐久性に乏しい面があります。長期的な視点から適切な工法選定が重要です。
改質アスファルトシート防水
改質アスファルトシート防水は、トーチ工法と冷工法の2つの施工方式があり、それぞれ特徴が異なります。
- トーチ工法は現場で改質アスファルトシートを溶着するため、施工スピードが速く、防水層にすき間が生じにくいメリットがある
- 冷工法は、シートを接着剤で張り付ける方式で、火災のリスクがなく安全性に優れている
B社はトーチ工法を採用し、迅速な施工で防水工事を完了。
一方C社は火気使用を避けたく、冷工法での施工を選択しました。
トーチ工法と冷工法では、施工性と安全性のバランスが異なります。
現場の環境や条件に合わせて、適切な方式を選ぶ必要があります。
シート防水
シート防水は高い防水性と耐久性を備えた優れた工法ですが、比較的コストが高くなる傾向にあります。
- 塩化ビニルやゴム製のシートを床面にしっかりと張り付ける工法で、シームレスな防水層が形成可能
- シート防水協会によると、適切な施工とメンテナンスにより20年以上の長期間にわたり高い防水性能を発揮
- シート材料費が高額なため、施工単価も1平方メートル当たり3,500円~6,000円と比較的高め
D社は塩ビシート防水を採用し、高い防水性を実現しましたが、初期投資として300万円の出費がありました。
シート防水は耐久的で信頼性の高い工法ですが、コストが比較的高額になるデメリットもあります。
予算と要求性能を勘案し、適切な採用を検討する必要があります。
ウレタン防水
ウレタン防水は高性能な工法ですが、施工が難しく、コストも高額になる傾向があります。
- ウレタン樹脂を塗布・養生して防水層を形成する、高度な技術を要する工法
- ウレタン工業会の資料によると、優れた伸縮追従性と耐候性から、20年以上の長期間にわたり高い防水性が期待できる
- 施工単価は1平方メートル当たり5,000円~8,000円と高額
E社はウレタン防水を採用しましたが、技術的な課題から補修工事を余儀なくされ、二重の出費となりました。
ウレタン防水は耐久性に優れた高性能な工法ですが、施工難易度が高く、コストも抑えにくい面があります。用途に合わせた適切な検討が不可欠です。
鉄骨ALC造建物の防水工事にかかる費用
鉄骨ALC造建物の屋上防水工事には、工法によって下記のような費用がかかります。
工法名 | 概算施工単価(1平方メートル当たり) |
---|---|
アスファルト防水 | 1,500円~2,500円 |
改質アスファルトシート防水 (トーチ工法) |
2,000円~3,000円 |
改質アスファルトシート防水 (冷工法) |
2,500円~4,000円 |
塩ビシート防水 | 3,500円~5,500円 |
ゴムシート防水 | 4,000円~6,000円 |
ウレタン防水通気緩衝工法 (絶縁工法) |
5,000円~8,000円 |
上記の費用は、材料費と労務費を含む平均的な目安です(弊社調べ)。
防水工事は専門的な技術と労力を要するため、工法が高度になるほど費用が高くなります。
工事の規模、建物の形状、作業環境などによっても費用は変動します。
200平方メートルの屋上に、ウレタン防水工事(通気緩衝工法)を行う場合、100万円~160万円程度の概算工事費用が見込まれます。
鉄骨ALC造建物の防水工事費用は、工法の選定によって大きく異なります。
建物の用途や予算に合わせ、防水性能とコストのバランスを見極めた上で、適切な工法を選択することがポイントです。
また、防水工事の標準的な周期は10~15年とされています。
工事実施から一定期間が経過すれば、建物の状況を確認し、必要に応じて防水工事を行うことが大切です。
定期的な点検と、適切なタイミングでの防水工事の実施により、建物の資産価値を長期にわたり維持できます。
適切な予防保全対策を講じることが、鉄骨ALC造建物のライフサイクルコスト削減にもつながるでしょう。
鉄骨ALC造建物の防水工事のタイミング
鉄骨ALC造建物の防水工事のタイミングは、築10年前後が目安と言われています。
しかし、実際のタイミングは建物の状態や使用状況によって異なるため、以下のポイントをチェックすることが重要です。
屋上の状態
屋上に水たまりができている、ひび割れや膨れがある、雨漏りがしているなど、防水機能が低下している兆候が見られる場合は、早めに防水工事を行う必要があります。
ALCパネルの状態
ALCパネルは、経年劣化によって吸水性が高まり、防水機能が低下する恐れがあります。
ALCパネルに汚れやカビが生えている、表面が剥がれているなど、劣化が見られる場合は、防水工事を行う必要があります。
使用状況
建物の使用状況によっては、防水機能の低下が早まる場合があります。例えば、屋上緑化をしている場合や、頻繁に水を使う場合などは、防水工事のタイミングを早める必要があります。
鉄骨ALC造建物の防水工事には、様々な工法があります。
工法によって費用や耐久年数が異なるため、建物の状態や使用状況に合わせて最適な工法を選択することが重要です。
防水工事のタイミングを見極めることで、建物の防水機能を維持し、長く快適に使用することができます。
まとめ
鉄骨ALC造建物は、鉄骨の強度とALCの軽量性・断熱性を兼ね備えた合理的な非住宅建築構造です。
屋上防水工事には主に4種類の工法があり、それぞれ特徴が異なります。
アスファルト防水は低コストですが耐久性に課題があり、改質アスファルトシート防水はトーチ工法と冷工法があります。
シート防水は高い防水性と耐久性を備えていますが、コストが高めです。
ウレタン防水は高性能ですが、施工が難しくコストも高額です。
工法選択によって費用は大きく変動し、1平方メートルあたり1,500円から8,000円程度です。
建物の用途や予算に合わせて、防水性能とコストのバランスを考慮した工法選択が重要です。また、定期的な点検と適切なタイミングでの防水工事実施により、建物の資産価値を長期的に維持できます。